【感想・ネタバレ】人外魔境のレビュー

あらすじ

暗黒大陸の「悪魔の尿溜」とは?国際スパイ折竹孫七が活躍する、戦時下の秘境冒険SFファンタジー。『黒死館殺人事件』の小栗虫太郎、もう一方の代表作。

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Posted by ブクログ

秘境を冒険する13の物語。
ルビと文体が独特ですが、舞台のようなセリフの言い回しや文体のリズムに思わず没頭してしまいます。お気に入りは『天母峰』『水棲人』です。

天母峰
「ユートピア!? しかし僕は、小説にあるような美しさは求めていない。きっとそこには、冬眠生理でもあるような人間がいるだろう。ながい冬は眠り、短い春は耕す──そういう世界にこそ、ユートピアはあるのだ」

水棲人
「人間はちいさな機会などに眼をくれていたら、大きなのを失うよ。誰にも、一生に一度はやってくる大かいやつを、俺は捕まえようってんだ(後略)」
「面白くもない私の生涯に、過ぎゆく女性の衣摺れの音を聴いたのも、まったくあなたのお陰」


『天母峰』何もしなくて良い、ということの先には虚無があるのだと思いました。私たちが生み出したものが私たちを豊かにしてきたのであり、皆が何もしないのであれば、ただ滅びゆくのみなのだ、と。
『水棲人』愛する人の幸せのために、あなたは一体どれほどのことができますか。愛する人の愛する人のために、生きることはできますか。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

発表された時期からして仕方がないが、軍事探偵小説の色合いが濃く出ているのはいささか興ざめ。今読むと噴飯ものの描写も多いがそこはご容赦。あり得ないような好都合な偶然が頻発したり、一編の鍵になる謎が勘違いで済まされたり、あちゃーな展開が当たり前のように続くがこれもこんなもんだ。あと、黒死館に比べればかわいいものだが、虫太郎一流の悪文は決して読みやすいとは言えず、何が言いたいのかよく分からない描写も多い。まあ、それも味。

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2022年01月22日

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