佐藤朔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全5巻を読み終えての感想。
古典的作品なので、読者それぞれに解釈はあると思うが、この長編は過去に罪を負った人間の救いの話であったように思う。
主人公ジャン・ヴァルジャンは、徒刑囚となってからも罪を重ねるが、聖人と出会い、改心する。それまでの罪を贖うように、彼自身も聖人のように多くの人に善行を施すが、度々襲いかかる試練には知られざる葛藤があり、人間としての弱さがさらけ出される。この葛藤は、ジャン・ヴァルジャンほどでは無いにせよ、多かれ少なかれ読者にもあるはずで、ここに共感のポイントがある。
特に、生きがいとしていたコゼットの恋の相手に対する敵意は、聖人然として振る舞う普段の彼からはほど遠い人間的 -
Posted by ブクログ
ネタバレフランス文学の古典ということで、構えて読んだが、思いの外面白い。フランス史とキリスト教の知識があまりないので、それがあればもっと楽しめそう。
長い刑期を終え、出所したジャン・ヴァルジャン。出所の直後も刑務所上がりとして扱われ、絶望に打ちひしがれた中、司祭の家て盗みをはたらき、再度警察に捕まりそうになる。
しかし、司祭の弁明で、彼の罪は不問とされる。その際に受けた人間的扱いから、彼もキリスト教の愛に目覚め、他者に奉仕するように。その数々の善行から市長にまで昇り詰めるが、過去が追い縋ってきて、再び全てを失うことに。。。というのが、この巻のあらすじ。
犯した罪は許されないのか?というのが、物語の主題 -
Posted by ブクログ
ユゴー 「 レミゼラブル 1 ファンチーヌ 」表紙絵につられて購入
テーマは
*文明社会の掟と処罰
*キリスト教道徳の実践者(正しいとは)
*ミリエル→ジャンバルジャンへキリスト道徳が承継
正しくあれ
*人々の魂を救う
*学問
1章 正しい人
「迷ったり〜してもいいが、正しい人であれ」
「罪をできるだけ少なくすることが 人間の掟」
「人間は無知という暴君を持っている〜人間は学問によってのみ支配されるべき」
2章 転落→ジャンバルジャン
「文明には恐るべき時がある〜刑罰が破滅を宣告する時」
「キリストの神聖な掟が 我々の文明を支配する〜掟は文明の中まで入ってない〜奴隷制は依然としてあ -
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これを収録するなら、まず『反抗的人間』の収録をしてください。
ジャンソンもサルトルもカミュもお互いに読んでいるからああいう手紙のやり取りができるけれども、文脈のわからないまま読んでも、カミュのことばに触れることができず、ただジャンソンとサルトルがまくしたてるのをうんざりしながら読むだけだ。得られたのは、いかにカミュが誤解されているかということだ。
カミュは哲学畠に生きた人間ではないから、ことばでがちゃがちゃ書き立てるのではなく、論理の飛躍の力で伝えようとする。そこが魅力であり、誤解の元ではないかと感じる。この論争を難しく面倒なことにしているのは、カミュのことばではなく、哲学とか批評とか称してい -
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一巻目のファンチーヌの話は、本当にハラハラしながら読みましたが、二巻目のコゼットの話はゆったりしたかんじで読みやすかったです。
ジャンバルジャンは、再び牢獄に入ってしまい、ファンチーヌとコゼットのことについて約束したことはどうするのかなと思いましたが、ジャンバルジャンは見事に牢獄から抜け出して、コゼットを助けに行ったので良かったです。
牢獄から抜け出したジャンバルジャンですが、ジャベールに追われながらコゼットと逃げるシーンは、ハラハラドキドキしながら読みました。でも、無事に修道院で庭師として働いていたフォーシュルバンに助けてもらい、コゼットと共に修道院で暮らすことになったので安心しました。
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Posted by ブクログ
邦題「ああ無情」としても知られている名作です。
つまり名作ゆえに過去児童書等で何となくあらすじは知っている(…ような気がする…)ので改めて手に取るまでもなかろうと思いがちな作品の一つなのかもしれません。
ですが機会があれば一度は全編読み通してみることをおすすめします。
タイトルの Les Misérables は「みじめな人々」の意。
本来ならいわゆる社会の下層階級に属する弱者のことを指すのでしょうが、作品を読んでいくうちに、みじめな人々とは一体誰のことなのかと考えさせられます。
加えて19世紀フランスの社会情勢や民衆の生活が実に細かく描写されていますので、当時を知るための歴史資料にもなりうる