佐藤朔のレビュー一覧

  • レ・ミゼラブル(三)

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    この巻では青年マリユスの生い立ちや彼の人柄がほぼ丸々1冊をかけて描かれることになります。 第3巻の最後にはテナルディエ一家とジャン・ヴァルジャン、そしてジャヴェールとの手に汗握る対決のシーンがあります。ここも見逃せません。 壁の穴からその顛末をのぞくマリユスの目を通して私たち読者もそのシーンを目撃することになります。 このシーンも本当に素晴らしいです。驚くべき臨場感! こんなシーンを言葉のみで表現するユゴーの力にはただただ脱帽するしかありません。

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    2024年08月14日
  • レ・ミゼラブル(五)

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    最終巻は1832年暴動の強烈な描写で幕を開ける。マリウスを救出するジャンの命をかけた行動、見事としか言いようがない伏線回収を経て物語は静かに終わる。重厚な歴史文学、教養文学かつ壮大な娯楽小説の本書は読書の楽しみを与えてくれた。必読!

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    2023年06月11日
  • レ・ミゼラブル(三)

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    第3部はコゼットに恋焦がれるマリユス青年を中心に展開します。読みどころは厳格な祖父の人物描写、19世紀初頭のパリにおける貧窮、マリユスが共和主義に傾倒してゆく様子。
    そして何よりも後半に描かれる因縁と手に汗握るサスペンス。本当に面白い小説。やはり最大の挫折ポイントは第1巻の長々と続くビヤンヴニュ司祭の記述。これを乗り越えればすばらしい物語の世界が待っています。読まないのは人生の損です。

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    2023年03月06日
  • レ・ミゼラブル(二)

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    2巻も素直に面白く読めました。
    2巻の読みどころは、コゼットを取り戻すに来たジャン・ギャルバンと強欲な養父母とのやり取り、手に汗握るパリ市内の追跡劇、ジャンを命の恩人と慕う修道院の庭番の活躍など。
    冒頭のワーテルロー戦の詳細な記述、終盤のユゴーによる修道院の功罪論は少々退屈でした。2巻の挫折ポイントと思いますが、物語を深く鑑賞する為に必要な記述と思います。

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    2022年11月26日
  • レ・ミゼラブル(一)

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    この歳で初読。世の中に、こんな面白い小説があるとは思いませんでした。
    冒頭に登場するビヤンヴニュ司教の偉大さと人間としての面白さ、主人公ジャン・ヴァルジャンの数奇な運命と高潔さ。全5巻の1巻目で物語は目が回るような展開を見せます。舞台は19世紀初頭。フランス社会と民衆の生活も詳細に描写され、当時の大衆が奪うように読み耽ったというのも理解できます。佐藤朔さんの翻訳もわかりやすく、まさに勘を置く能わずの名作。2巻以降も楽しみです。

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    2022年11月03日
  • レ・ミゼラブル(一)

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    ネタバレ

    【ジャン・バルジャンが聖人に生まれ変わっていく長い旅の始まり】
     物語全体を通して、ジャン・バルジャンが聖人に近づいていく課程が描かれています。1巻では、以下の内容が綴られています。

    ・物語全体を通してバルジャンの目標となるミリエル司教のエピソード
    ・憎しみを持ったバルジャンが「正直者」として生まれ変わる
    ・「正体を明かすべきか否か」正直さとは何か問われる大きな試練

    【理想人としてのミリエル司教】
     冒頭のミリエル司教のエピソードが秀逸でした。ミリエル司教はこの物語で最大の聖人であり、理想的な人物として描かれています。物語全体を通して、ジャン・バルジャンは多くの苦しみ、葛藤を味わい、成長し

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    2022年10月16日
  • レ・ミゼラブル(五)

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    ネタバレ

    悲惨な結末を迎えた革命、多くの仲間の死。しかし、愛するコゼットをなんとしても守り抜くためにも、マリユスだけは救い出さねばならない...再びバルジャンのスリリングな逃避行が読み応え十分でした。

    ジャベールの方はというと、悪人は変わることができないという考え(信念)が揺らぎ、自分が信じていた者が根底から崩れていくことに絶望します。これは、ジャン・バルジャンがミリエル司教に赦され、ひどく苦しんだ時と状況が似ています。バルジャンは苦しみ、再度悪事を働くなどしたあげくに乗り越えましたが、ジャベールは耐えきれず、死を選びます。人は変わることができるが、それには大変な苦しみを伴うというのが、この物語のメッ

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    2022年10月10日
  • 革命か反抗か―カミュ=サルトル論争―(新潮文庫)

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    革命か反抗か―カミュ・サルトル論争
    (和書)2012年05月05日 20:57
    1969 新潮社 カミュ, 佐藤 朔


    最近、実存主義というものを勉強しようと思い、取り合わせが興味深く感じたので手にとってみました。

    この本の内容とはあまり関係ないけれど、読んでいて創作意欲というものについて感じるところがあった。

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    2020年09月27日
  • レ・ミゼラブル(五)

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    一貫して作者がこの物語を通して伝えたい思想というものが感じられて、とても深い感動を覚えた。物語に挿入されるフランスの様々な情勢についての話もとても詳細に書かれていて、本当にすごい本を読んだと思う。

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    2020年08月30日
  • 革命か反抗か―カミュ=サルトル論争―(新潮文庫)

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    われわれは歴史をたえずつくるが、歴史もまたわれわれをつくる。そしてわれわれが歴史によって、しばしば「つくりなおされる」危険は重大である。

    反抗的人間を読んでないから、ほとんど意味がわからん。しかし、シーシュポスの神話は僕の最重要本。サルトルは、存在は本質に先立つ、くらいしか知らないから、嘔吐と存在と無は読みたいなぁ

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    2018年11月24日
  • レ・ミゼラブル(三)

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    第三巻目のマリウスは、スラスラ読んでしまいました。
    映画では、パリに来てからのマリウスが描かれていましたが、本ではパリに来る前からのマリウスが描かれていて面白かったです。
    マリウスは、裕福な家庭で育ちましたが、祖父のことが大嫌いでした。マリウスの父は、祖父によって家から追い出され、マリウスは祖父の手で育てられました。
    マリウスの父が亡くなってからマリウスは、父について調べました。そして、父に熱い信仰心が芽生えました。
    ここまでは、映画では描かれていなかったのでスラスラと読んでしまいました。
    パリに来てから、マリウスの生活は苦しく貧しい日々を過ごしていました。そんな中で、マリウスは、コゼットに対

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    2014年11月15日
  • レ・ミゼラブル(一)

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    2012年にやった映画を見て、すごく感動して本をすぐに買いました。
    映画のレミゼラブルよりも、一人一人の登場人物について詳しく書かれていて、すぐに読んでしまいました。
    本では、当時のフランスのことも説明がしてあり、時代背景がわかって良かったです。

    一巻目は、ファンチーヌについて書かれていました。映画では、売春婦になったファンチーヌだけが出てきましたが、本では売春婦になる前のファンチーヌの姿も描かれていました。哀れなファンチーヌの姿が映画よりもはるかにリアルに描かれていたので、びっくりしました。
    ジャンバルジャンは、囚人として19年間牢獄に入っていて、精神的に不安定な状態だったのをミリエル司教

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    2014年10月27日
  • レ・ミゼラブル(五)

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    自分の魂まで清められるような物語。
    途中別の本を読むための中断を挟み、結構時間がかかり
    ようやく読み終わったが、ヒトコト「読んでよかった」
    正しく生きる人になるために、
    自分にとって大切な人のために生きるために
    自分の持てるすべてを出し切って。

    最初は「よくコレを映画にしたり舞台にしたりしたいと
    思ったもんだ」と思ったが、読み終わってみると
    映画化・舞台化したくなるし、できることなら
    どんな役でもいいから出演したい、と思うような
    登場人物の一人ひとりが活きている壮大なドラマ。

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    2014年07月19日
  • レ・ミゼラブル(五)

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    ようやく五冊読破。物語を追いかけるのはおそらくもう4、5回目ほどになりますが、それでも要所要所涙がこぼれてきました。作者の思想、哲学からパリの歴史、思潮に文化、いろいろなことに触れつつも、ジャン・バルジャンの人生をたどってゆくかんじでした。罪は善行で償われることはないのか、わたしからしてみればもういいじゃん!としか思えないのに!(笑) 一番印象に残っているのは人物の葛藤の描写で、もう圧倒されました。それぞれの生きざまがかっこいい!胸をつくような言葉に揺さぶられまくりです。すべての人々が本当に幸福になったかと言われればそうではないけれど、幸福を求めて動く姿には本当に人間がでるなあ!と。なんという

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    2014年03月15日
  • レ・ミゼラブル(三)

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    本当に面白い。はらはらドキドキしてしまう。

    マリユスがコゼットを追いかけているのを警官だと勘違いして逃げられる。
    「マリユスー!」

    隣人がテナルディエ夫妻だった。
    「お前らかこの野郎!」

    「ジャヴェール警部に会いたいと言えばよろしい」
    「あかーん!」

    この巻は一番面白かったです。新しく出てきたマリユスが、今までの因縁や伏線を見事にあの一室で回収しながらのアクション。
    ジャヴェールが登場してその場を収めるシーンは小説ではなくドラマや漫画のような雰囲気。
    ジャンはどうなる事やらと、助けてもらった後のいざこざを心配していたので、逃げてくれてよかったです。窓から逃走。次の巻を買っておいてよかっ

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    2013年12月04日
  • レ・ミゼラブル(一)

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    父がいつか読みたい本と言っていたので、気になって購入。
    比較的早く読み終えてしまい、早く続きが見たい。
    ドキドキハラハラして、ジャン、マドレーヌに感情移入してしまう。
    彼は確かにパンを盗んだ。たったそれだけのことでここまで善行や幸せを許されないのは何とも悲しい話です。
    これからどうなるのか、あと三冊。ジャンに平穏は訪れるのか・・・。

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    2013年09月28日
  • レ・ミゼラブル(五)

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    ネタバレ

    第五部「ジャン・ヴァルジャン」
    暴動のさなか、コゼットのためにマリユスを助けに行くジャン・ヴァルジャン。自分のためでなく、また、自分の血のつながった娘ではないにもかかわらず、コゼットのために動くジャン・ヴァルジャンは格好良かった。また、コゼットとマリユスが結婚した後、身を引こうとするジャン・ヴァルジャンも揺らぎながらも自身の正義に従って生きているかんじがして、格好よかった。マリユスに自身の生い立ちを語ったのも、司祭に習った正義に従ったため、というのも良かった。
    ティルディナイがジャン・ヴァルジャンを救ったり、マリユスの誤解を解く手がかりとなったりしたことが、作者の構成力の高さをうかがえた。

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    2013年08月04日
  • レ・ミゼラブル(四)

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    ネタバレ

    第四部「プリュメ通りの牧歌とサン・ドニ通りの叙事詩」
    やはり、印象的なのは、やっと巡り合うことができたコゼットとマリユスの邂逅シーン。そして、テルディナイの娘なのに(という偏見だが(笑))マリユスのために尽くすエポニーヌの献身さ。この二つであろう。
    途中途中の解説や作者の私見は興味深く、勉強になるが、話の腰を折っている気がしてならない。

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    2013年08月02日
  • レ・ミゼラブル(三)

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    ネタバレ

    第三部「マリユス」
    新たな主人公、マリユスの一族の話とマリユスの生い立ち、そして、思考の変化を追っていった。最後は、マリユスの父親の恩人であるテナルディと対峙して終わっていく。
    全体的に面白くなかった。思想的な話もイマイチに思えた。

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    2013年07月31日
  • レ・ミゼラブル(二)

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    ネタバレ

    第二部「コゼット」
    最初の時代描写のためだとは思うが、ワーテルローの戦いがすごく詳細に書かれており、うっとおしかった。
    大きなつながりがあるわけではないのなら、少しは割愛してほしかった。
    ただ、コゼットを奪還しそれを守るために知恵を振り絞るジャン・ヴァルジャンは格好良かった。また、そのをやってのけた後に平和に暮らす二人の描写はほほえましかった。

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    2013年07月27日