佐藤朔のレビュー一覧
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人は性善なのか性悪なのか、罪人は更生しうるのかしえないのか、など人間の本質を問う議論は古くからある。
きっとその答えは「どちらもありえる。」というきわめて凡庸なつまらないものなのだろうと思う。それはそれぞれ事情も環境も異なるからだ。クソつまらない。けどきっと社会なんてそんなものだ。そして社会は不条理でもある。レ・ミゼラブルはそれらを煮詰めたような話だ。
第1巻は前科者のジャン・バルジャンが司祭との出会いで立ち直り、産業を興して社会貢献するまでに更生するが、正義感あふれるジャベール警部に過去を明かされてしまうまでが描かれる。
きわめて強い正義感と潔癖症は、裏を返せば不寛容であり赦しを与えない諸刃の剣だ。社会の秩序を守り悪を正すために正義感やある種の潔癖症は欠かせない。でもそれが暴走してしまうことの恐ろしさもある。翻って日本の左右両極で生き過ぎた正義感と潔癖症が暴走し始めてないかとジャベールをみて思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ感動に満ち溢れていた。本当の善人がここにいた。その人はとても悲しく、貧しく、時には卑しく、輝かしい程の聖なる光で包まれていた。
この本は自分にとって聖書のような本。キリスト教ではないから難しい言葉も多かったが、伝えたいことはしっかり理解する事はできたと思う。
今の心の感動を言葉に表すことは難しい。5巻を通して、ハラハラドキドキもしつつ、ココロがここまで清らかになれるものなのかと感動し、とてもズルく生きる人々を軽蔑しながら、どこか尊敬していた。
ここに登場する人々は、生きていた。生きながら無為に生きる事は誰1人しなかった。どのような境遇でも、自分の信念を持っていた。1人1人の人物を忘れる事なく、自分が優しさを忘れた時にまた読み直したい。 -
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ネタバレ面白すぎる。1巻からこの重厚感。当時のフランスの価値観や様子がよく伝わる。
心が清らかである事が、どれだけ無惨な事かを実感する。いや、なろうとする過程が悲惨なのか。心が綺麗な事は、一種の貧しさなのか。正直者は賞賛されるが、醜さには勝てないように感じた。
ジャンバルジャンは、良い司祭との出会いで人生を変えた。その過程を読むととても心が痛くなる。それは辛い境遇からくる辛さではなく、自分の邪な心に訴えかけられるような、その心を思わず否定したくなってしまう。常に正しくある事、必要以上に持たない事。どれだけ今の自分が浅ましい人間なのだろうと実感させられた。
このお話は5巻まである。ゆっくり読んでいこう -
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ネタバレ【ジャン・バルジャンが聖人に生まれ変わっていく長い旅の始まり】
物語全体を通して、ジャン・バルジャンが聖人に近づいていく課程が描かれています。1巻では、以下の内容が綴られています。
・物語全体を通してバルジャンの目標となるミリエル司教のエピソード
・憎しみを持ったバルジャンが「正直者」として生まれ変わる
・「正体を明かすべきか否か」正直さとは何か問われる大きな試練
【理想人としてのミリエル司教】
冒頭のミリエル司教のエピソードが秀逸でした。ミリエル司教はこの物語で最大の聖人であり、理想的な人物として描かれています。物語全体を通して、ジャン・バルジャンは多くの苦しみ、葛藤を味わい、成長していきますが、常にこのミリエル司教を手本として生きていくことになります。
【ミリエル司教の優しさはバルジャンを苦しめる】
ミリエル司教から盗みを働いたバルジャンはすぐに捕まりますが、赦され、釈放されます。そして、「正直な人」になることをミリエル司教に約束させられます。
この寛大さはバルジャンを苦しめることになります。今まで感じていた憎しみを捨て、正直者/善意の人になることは、「憲兵に捕まって監獄に入った方がよかった」と思うほどに辛いものでした。この苦しみを乗り越え、彼は正直者として生まれ変わり、新たな人生が始まります。
【工場主、市長として街の発展に尽くす】
バルジャンはミリエル司教との約束「正直な人」になるため、正しく生きることを選びます。彼の興した工場のおかげで街は発展し、得られた富を貧しい人に分け与え、皆豊かになっていきます。バルジャン自身も人格を磨き、ミリエル司教のような聖人に近づいていきます。最初は素性の分からない彼を疑っていた市民も、彼の行いを見て信頼するようになっていきます。
しかし、全ての人を救える訳ではなく、意図せずして新たな苦しみを生み出してしまいます。哀れな女性ファンチーヌを救えなかったことが、後にバルジャンの人生を大きく変えていきます。
【正体を明かすべきか否か、究極の選択】
順調に街を発展させていたバルジャンでしたが、あるとき、過去に自分の犯した罪の濡れ衣を着せられた無関係の男が捕まったことを知ります。自分が正体を明かせばその男は助かります。
しかし、そんなに単純ではありません。自分が捕まれば工場で働く人々はどうなる?市政はどうなる?そしてなによりファンチーヌとその娘を誰が守る?その他にも様々な要因が絡み合い、正体を明かしても、明かさなくても、いずれにしても大きな犠牲を伴います。彼が「正直者」として生きるようになってから最初の大きな試練を迎えました。この部分の葛藤が1巻で最大の山場です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ悲惨な結末を迎えた革命、多くの仲間の死。しかし、愛するコゼットをなんとしても守り抜くためにも、マリユスだけは救い出さねばならない...再びバルジャンのスリリングな逃避行が読み応え十分でした。
ジャベールの方はというと、悪人は変わることができないという考え(信念)が揺らぎ、自分が信じていた者が根底から崩れていくことに絶望します。これは、ジャン・バルジャンがミリエル司教に赦され、ひどく苦しんだ時と状況が似ています。バルジャンは苦しみ、再度悪事を働くなどしたあげくに乗り越えましたが、ジャベールは耐えきれず、死を選びます。人は変わることができるが、それには大変な苦しみを伴うというのが、この物語のメッセージの一つではないでしょうか。
バルジャンの苦しみは続きます。何とかマリユスを助け出し、コゼットとの結婚にこぎ着けたものの、自分がかつて罪を犯したということを打ち明けられず、コゼットの近くにいることも、離れることもできず...
そんな苦しく、終わりのない旅を続けたジャン・バルジャンが、ついに赦されたというラストは感動的でした。長い物語で読むのは大変でしたが、大満足です。 -
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第三巻目のマリウスは、スラスラ読んでしまいました。
映画では、パリに来てからのマリウスが描かれていましたが、本ではパリに来る前からのマリウスが描かれていて面白かったです。
マリウスは、裕福な家庭で育ちましたが、祖父のことが大嫌いでした。マリウスの父は、祖父によって家から追い出され、マリウスは祖父の手で育てられました。
マリウスの父が亡くなってからマリウスは、父について調べました。そして、父に熱い信仰心が芽生えました。
ここまでは、映画では描かれていなかったのでスラスラと読んでしまいました。
パリに来てから、マリウスの生活は苦しく貧しい日々を過ごしていました。そんな中で、マリウスは、コゼットに対して熱い恋心が芽生えて、公園で待ち構えていたり、家までつけて来たりと積極的になっていたのが印象的でした。ジャンバルジャンは、その時ルブラン氏と名前を変えていたのも印象的でした。
三巻目は、ハラハラドキドキの展開でよかったです! -
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2012年にやった映画を見て、すごく感動して本をすぐに買いました。
映画のレミゼラブルよりも、一人一人の登場人物について詳しく書かれていて、すぐに読んでしまいました。
本では、当時のフランスのことも説明がしてあり、時代背景がわかって良かったです。
一巻目は、ファンチーヌについて書かれていました。映画では、売春婦になったファンチーヌだけが出てきましたが、本では売春婦になる前のファンチーヌの姿も描かれていました。哀れなファンチーヌの姿が映画よりもはるかにリアルに描かれていたので、びっくりしました。
ジャンバルジャンは、囚人として19年間牢獄に入っていて、精神的に不安定な状態だったのをミリエル司教さんに助けてもらい、マドレーヌ市長として活躍していく姿が描かれていました。
初めて、ビクトルユゴーのレミゼラブルを読みましたが、何回読んでもすばらしい作品だと思いました。