佐藤朔のレビュー一覧
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本当に面白い。はらはらドキドキしてしまう。
マリユスがコゼットを追いかけているのを警官だと勘違いして逃げられる。
「マリユスー!」
隣人がテナルディエ夫妻だった。
「お前らかこの野郎!」
「ジャヴェール警部に会いたいと言えばよろしい」
「あかーん!」
この巻は一番面白かったです。新しく出てきたマリユスが、今までの因縁や伏線を見事にあの一室で回収しながらのアクション。
ジャヴェールが登場してその場を収めるシーンは小説ではなくドラマや漫画のような雰囲気。
ジャンはどうなる事やらと、助けてもらった後のいざこざを心配していたので、逃げてくれてよかったです。窓から逃走。次の巻を買っておいてよかっ -
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ネタバレ第五部「ジャン・ヴァルジャン」
暴動のさなか、コゼットのためにマリユスを助けに行くジャン・ヴァルジャン。自分のためでなく、また、自分の血のつながった娘ではないにもかかわらず、コゼットのために動くジャン・ヴァルジャンは格好良かった。また、コゼットとマリユスが結婚した後、身を引こうとするジャン・ヴァルジャンも揺らぎながらも自身の正義に従って生きているかんじがして、格好よかった。マリユスに自身の生い立ちを語ったのも、司祭に習った正義に従ったため、というのも良かった。
ティルディナイがジャン・ヴァルジャンを救ったり、マリユスの誤解を解く手がかりとなったりしたことが、作者の構成力の高さをうかがえた。
帯 -
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ネタバレ読み終わったいまとなっては、もはや感動しかない。内容のレビューなんてとてもする気にはなれない。
そもそもこれは本当に小説なのだろうか。小説とはなんなのだろうか。
この作品は、小説という形を借りた、小説とは違うもっと別の「なにか」のように思えてならない。しかしそれはなんなのだろう、と考えたときに、うまく言い表せる言葉が見つからない。
この作品では、作者の言いたいことすべてが余すところなく綴られている。いわゆる「小説」ならば蛇足となることも、すべて書かれている。正直、読んでいて辟易としたが、これはなくてはならないものだと思う。物語としては必要はないのかもしれないが、この作品はただの物語ではないと考 -
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ネタバレ小説を読んでいて、久しぶりに圧倒された。それが今日の作品ではなく、古典文学であるこの作品であるということは、少し残念ではあるけれど、しかし新しい出会いであることには変わりない。
これがほんの第一部であるということへの驚きと期待。まだこの作品の世界が広がっているという喜び。そしてそれはある種の絶望的な情緒でもある。
人間の喜怒哀楽が徹底的に描かれていて、それは読んでいて心地良いというレベルではなく、思わず目を伏せてしまうほどの描写で、それでもページをめくらずにはいられないという、「リアル」と「リアリティ」の紙一重で、読者(「読書家」とはあえて書かない)の倒錯的であるこの快感をひしひしと感じら -
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名作と呼ばれる作品は昔から苦手だったのですが、
この本を読んで、その偏見がなくなりました!
5巻すべて読むのに2ヶ月以上かかりましたが、読んでよかったと思います。
だけど、作者が伝えたいことが(それもとても強く伝えたいことが)何かあるのはわかっているのに、それが何なのかがわからない。
これかな?と思うと、なんだか違うな、って次に思わされたりして。
時間はかかるけど、もう一度読みたいです。作者が何を伝えたくてこんな超大作を書いたのか、知りたいです。
これだけ長いので、色々と心に響く部分はあるのですが、個人的にはジャンヴァルジャンが良心と欲求に葛藤している部分(数回あります)が、共感できてよか -
Posted by ブクログ
ネタバレ高校生の頃、サルトルゼミで、サルトルを読んでいました。ちょっとした解説や批評、文学以外はちんぷんかんぷんでした。この本を読んで、カミュに興味をもち、カミュの本もたくさん読みました。そういうきっかけを与えてくれた本なので、感謝しています。
論争の表面的な言葉は、原文によらないとニュアンスが伝わらないと諦めているので、特に気にはなりませんでした。
この本を読んで、カミュが好きになったことを記録します。それまでは異邦人しか読んだ事が無く、どう理解したらいいか分からずに、好きとも嫌いとも言えませんでした。本書を読んだ後、カミュの出ている翻訳はかたっぱしから読みました。