清水由貴子のレビュー一覧
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久々に超弩級の胸糞で、度々瞬間的に手を止めたくなりますが、それでもやはり読ませる筆致には流石という言葉しか出てきません。
グレーンスとホフマンのブロマンスものとして読まないと心が持たない面も。そのくらい過去に例がないくらいの胸糞です。心して読んで下さい。
でも電話の声を聞いただけで状態を察する感じ等、ブロマンスものとしても拍車がかかってきましたよ!
本作は今までのレギュラーメンバーの登場が少ない分より一層な感じがしますね。
いやはやこりゃあどちらかが死ぬまでシリーズ続いちゃうでしょうね。
タイトルの三シリーズは邦訳で続いてるだけですが、ここは訳者の腕の見せ所ですね。そこも楽しみ!! -
Posted by ブクログ
特に深い理由もなく、題名に惹かれて購入しましたが予想以上に面白かったです。本書の主人公アルド・マヌーツィオは15世紀後半~16世紀前半のイタリア人で、現代にもつながる多くのイノベーションを出版分野で生み出した人物。本のオビにも書いてありますが、今では当たり前の目次、カンマ、ページ番号、献辞、文庫本というスタイルを生み出しました(ところでオビは誰が発明したのでしょう?)。私は出版業界の人間ではありませんが、本書によれば、出版業界の人間からすれば活版印刷を発明したグーテンベルクと同じくらい有名な人物のようです(2015年には没後500周年を記念した大々的なイベントが世界的に行われたとのこと)。
マヌーツィオの出版事業は500年前のヴェネツィアを舞台に展開されます。本書によれば当時のヴェネツィアはヨーロッパ中で(つまり世界全体の中で)一番書籍の出版が盛んだった場所とのこと。その背景には、教会にしばられない自由な風土と、様々な民族、人種が入り混じった多国籍の人々が住んでいたからです。そのためラテン語や俗語だけでなく、ギリシャ語や様々な言語の書籍がヴェネツィアで出版されていたようです。
私が特に印象に残ったのは、マヌーツィオが文庫本というスタイルを発明したこと。それまでの本はサイズが大きく、とても持ち運びできるモノではありませんでした。しかも読者は聖職者や学者、一部の貴族に限られていたわけです。しかしマヌーツィオは、良質な作品(典型的には古代ギリシャ時代の作品)のサイズを小さくすることで、本を「ポータブル」にし、読者層を格段に広げました。この背後には、人々が当たり前のように良質な作品に触れることで自らの良識や判断力を高めること、それこそが人類の発展と世界平和に重要だと考えたからに違いありません。
マヌーツィオの価値観は当時の基準からすればかなり異質なものだったようです。たとえば自分の娘たちに、人生は自由に決めるように、また結婚相手も財産ではなく人柄で選べと言い残していたようで、あたかも21世紀的な価値観の持ち主だと言えます。私自身がマヌーツィオに親近感を持つ最大の理由はこのあたりにあるのかもしれません。本当は21世紀に生まれるべき人物が、なにかの拍子で15世紀イタリアに生を受け、人類の子孫のために、読書というかけがえのないチャンスを広げてくれた、ということでしょうか。 -
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最初からこれで大丈夫なの?
マリオカートのロケットスタートが成功した時のように物語は唸り声をあげて始まります
そしてその後もさながら熟練のプロゲーマーのようにAボタンから指が離れることはなく走り続けます
もう最初からクライマックスのような、普通なら物語の終盤に見せるよなスピード感で大丈夫なん?って思いましたがそのまま上巻を駆け抜けてしまいました
でもよく考えたら三部作を一つの物語と捉えればもう終盤でこのスピード感にも納得です
衝撃の結末を迎えた前作から15ヶ月、女刑事コロンバは警察を辞め隠遁生活を送っています
ある夜、近隣で起きた殺人事件に巻き込まれ行動開始…
そして遂にバディが再結成!やった!
二人の遠慮のないやり取りも復活して、さあ反撃開始の下巻へGo!
あ、あとちょっとだけ『薔薇の名前』読んでて良かったw -
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よーし、そういうことならそこを動くな
もちろんスッキリなどさせてくれなかった
理由は簡単だ
本作『死の天使 ギルティネ』はコロンバ&ダンテ三部作の第二部だからだ!
最終章は7回くらい読み直した
そのくらい衝撃かつ悲しい結末
全てのことに気が付いたとき、本当に大切な人はいつでもそばにいてくれたと気付いたとき、いつだって自分を守るために己の限界を超えようとしてくれたと気付いたとき、自分の気持ちや信じてもらえない悲しみを押し殺してでも助けてくれようと立ち上がってくれたと気付いたとき…全ては遅すぎた?
そんなことはない!まだ間に合う!
理由は簡単だ
まだ第三部があるから!
ここでスッキリしなかったらチョキで殴ってやる(自分も痛い) -
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もうやめてあげて!
コロンバとダンテのコンビは思わずそう叫んでしまいそうなほど苦難の連続です
それでなくとも2人は大きなトラウマを抱えていてとんでもない弱点を抱えているのに
なんとか頑張って危機を脱しても10ページも持たずに苦難の雨あられ
二人合わせて少なくとも7回は死にかけます(集計適当)
しかも最後にとんでもないのが降ってきてまだ苦しめるの?もうやめてあげて!と叫んじゃいますほんと
それでも二人はお互いの弱さを認め助け合い、弱さを補ってあまりある長所を信頼しあって逃げずに闘い続け最後には互いがなくてはならない存在となっていきます
この過程がいいんだまた
思いもよらない人物の助けも借りつつ衝撃すぎる真実へ
うわーそうなるの?
そしてそして最後の最後にさらなる衝撃を読者に与えて次作へ!
こりゃあ次も読まねばなるまい!
イタリアミステリー…やるやないか! -
Posted by ブクログ
グレーンス警部と潜入捜査員ピートとのW主人公シリーズ三部作も、いよいよ大団円を迎える。
『三秒間の死角』が、作品の完成度やインパクトのわりに正当な評価を得ていなかったものの、アンデシュ・ルースルンドの名は、元囚人の肩書きステファン・トゥンベリとの共著『熊と踊れ』二部作により、一気にエース級作家として知れ渡り、それを受けてか、『三秒間の死角』も『THE INFORMER/三秒間の死角』のタイトルでNYを舞台にストーリーもシンプル化した形に差し替えられたものの、ともかく映画化された。
以降、『三分間の空隙』、そして本作と、あっという間の三部作翻訳が完了し、ついに最終編とあいなる。ただし、前二作を含むこれまでのグレーンス警部シリーズ全作の共著者であったペリエ・ヘルストレムの病死により、本作では初めてアンデシュ単独での執筆となる。共著がどのように書き進められる作業なのか知るべくもないが、本作で判断する限り、スピードが増して、むしろ読みやすくなり、アンデシュの持つストーリーテリング能力を、むしろ見直した感がある。
のっけから暗闇、上下左右を死んでいく者たちに囲まれ、自身も死にそうになる圧迫感のある状況下、物語はスタート。死んでゆく彼らが何者なのかの説明はまったくなし。
続いてグレーンス警部のいつもの描写。亡き妻を偲んで警察署内の自室のソファで眠り、妻を想いレコードをかけるセンチメンタルな日々。事件の一報。コンテナいっぱいに詰められた死体が港に到着したのだ。何という事件だろうか。
一方、西アフリカ移民の食糧輸送を妨害するテロリストの攻撃から輸送トラックを守るために雇われている、我らがピート。彼が、相変わらず命がけの戦場に身を置く有様と、全く対照的に彼を待つ、妻と二人の男児というホームシックな情景も描かれる。ピートとグレーンス。二人の抱える状況はやがて交錯する。西アフリカ移民という国際状況。対するは、移民の密入国支援で稼ぐ謎の組織。相変わらずの緊迫感溢れる構図である。
本作には、実は作者の懇切丁寧なあとがきが付加されている。亡くなった共著者への哀悼の想いがまずは強いのだが、これから孤軍奮闘で作家活動を継続してゆかねばならないアンデシュ自身のこだわりとして、ミステリーには謎解きの上に事実を混入して重厚化させる、という作品作りへの拘りが語られている。
本書でも、その意向がしっかりと実現されていると思う。世界の人々が予想もつかないような事実の重み。誰かの調整を必要としている救いのない現実。それでいて、語られるストーリーの間断なきスピード感と、アクション。複雑極まりない人間たちが織り成す葛藤と、タペストリのように縦横に織られる精緻な紋様。
グレーンス警部とピートの間の距離は二作目でぐっと詰まったが、三作目はこの傑作シリーズに恥じず、またも一気に二人の絆を強め、締めてくる。よりタイトに。よりスタイリスティックに。
本書で公開される強烈な悪と人間の残虐と欲望の泥濘には、吐き気さえ覚えてしまうものだが、そうした世界に対峙する男たちの、内を貫く正義感や家族愛が、だからこそ輝く。本書では、グレーンスが、ふとしたことで子供たちに慕われ、自分の中のやさしさ、という慣れない感覚にたびたび震える。そんなヒューマンなシーンもとても印象的だし、ピートとの物言わぬ信頼感や、隔たった二つの世界でのチームワーク含め、何ともスマートかつ重厚な物語に仕上がっている。
さて、本作でシリーズも終わりと覚悟していたが、作者自身による意外なあとがきが残されている。ある意味嬉しい驚愕だ。 -
Posted by ブクログ
グレーンス警部と潜入捜査員ピートとのW主人公シリーズ三部作も、いよいよ大団円を迎える。
『三秒間の死角』が、作品の完成度やインパクトのわりに正当な評価を得ていなかったものの、アンデシュ・ルースルンドの名は、元囚人の肩書きステファン・トゥンベリとの共著『熊と踊れ』二部作により、一気にエース級作家として知れ渡り、それを受けてか、『三秒間の死角』も『THE INFORMER/三秒間の死角』のタイトルでNYを舞台にストーリーもシンプル化した形に差し替えられたものの、ともかく映画化された。
以降、『三分間の空隙』、そして本作と、あっという間の三部作翻訳が完了し、ついに最終編とあいなる。ただし、前二作を含むこれまでのグレーンス警部シリーズ全作の共著者であったペリエ・ヘルストレムの病死により、本作では初めてアンデシュ単独での執筆となる。共著がどのように書き進められる作業なのか知るべくもないが、本作で判断する限り、スピードが増して、むしろ読みやすくなり、アンデシュの持つストーリーテリング能力を、むしろ見直した感がある。
のっけから暗闇、上下左右を死んでいく者たちに囲まれ、自身も死にそうになる圧迫感のある状況下、物語はスタート。死んでゆく彼らが何者なのかの説明はまったくなし。
続いてグレーンス警部のいつもの描写。亡き妻を偲んで警察署内の自室のソファで眠り、妻を想いレコードをかけるセンチメンタルな日々。事件の一報。コンテナいっぱいに詰められた死体が港に到着したのだ。何という事件だろうか。
一方、西アフリカ移民の食糧輸送を妨害するテロリストの攻撃から輸送トラックを守るために雇われている、我らがピート。彼が、相変わらず命がけの戦場に身を置く有様と、全く対照的に彼を待つ、妻と二人の男児というホームシックな情景も描かれる。ピートとグレーンス。二人の抱える状況はやがて交錯する。西アフリカ移民という国際状況。対するは、移民の密入国支援で稼ぐ謎の組織。相変わらずの緊迫感溢れる構図である。
本作には、実は作者の懇切丁寧なあとがきが付加されている。亡くなった共著者への哀悼の想いがまずは強いのだが、これから孤軍奮闘で作家活動を継続してゆかねばならないアンデシュ自身のこだわりとして、ミステリーには謎解きの上に事実を混入して重厚化させる、という作品作りへの拘りが語られている。
本書でも、その意向がしっかりと実現されていると思う。世界の人々が予想もつかないような事実の重み。誰かの調整を必要としている救いのない現実。それでいて、語られるストーリーの間断なきスピード感と、アクション。複雑極まりない人間たちが織り成す葛藤と、タペストリのように縦横に織られる精緻な紋様。
グレーンス警部とピートの間の距離は二作目でぐっと詰まったが、三作目はこの傑作シリーズに恥じず、またも一気に二人の絆を強め、締めてくる。よりタイトに。よりスタイリスティックに。
本書で公開される強烈な悪と人間の残虐と欲望の泥濘には、吐き気さえ覚えてしまうものだが、そうした世界に対峙する男たちの、内を貫く正義感や家族愛が、だからこそ輝く。本書では、グレーンスが、ふとしたことで子供たちに慕われ、自分の中のやさしさ、という慣れない感覚にたびたび震える。そんなヒューマンなシーンもとても印象的だし、ピートとの物言わぬ信頼感や、隔たった二つの世界でのチームワーク含め、何ともスマートかつ重厚な物語に仕上がっている。
さて、本作でシリーズも終わりと覚悟していたが、作者自身による意外なあとがきが残されている。ある意味嬉しい驚愕だ。 -
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アンデシュ・ルースルンド『三時間の導線 下』ハヤカワ文庫。
グレーンス警部シリーズの第8作。シリーズ内シリーズ三部作の『三秒間の死角』『三秒間の空隙』に続く第3作。2017年にコンビを組んでいたベリエ・ヘルストレムが急逝したことにより、アンデシュ・ルースルンドの単独名義で書かれた最初の作品になる。
本作は、西アフリカとスウェーデンを舞台にした北欧冒険ミステリー小説と言っても良いだろう。クレイグ・トーマスの傑作傑作小説『闇の奥へ』に優るとも劣らない非常に面白い作品である。ストーリーの面白さもさることながら、登場人物の関係も『闇の奥へ』の主人公、ケネス・オーブリーがグレーンス警部なら、パトリック・ハイドはピート・ホフマンという役回りとなっているのだ。
グレーンス警部の依頼で国際的難民密航組織に潜入したピート・ホフマンは次第に巨悪の核心へと迫るが、同時に自らの命が三時間後に失われる最大の危機にさらされていることを知る。ピート・ホフマンの運命や如何に。さらにはピート・ホフマンの家族とグレーンス警部にも生命の危機が迫る。
しかし、それだけで終わらないのが本作がシリーズ最高傑作と言われる所以だ。予想外の驚愕の真相が最後に用意されているのだ。
本体価格1,040円
★★★★★ -
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アンデシュ・ルースルンド『三時間の導線 上』ハヤカワ文庫。
グレーンス警部シリーズの第8作。シリーズ内シリーズ三部作の『三秒間の死角』『三秒間の空隙』に続く第3作。つまりはグレーンス警部シリーズにして、ピート・ホフマン・シリーズでもあるのだ。
64歳となったグレーンス警部の前に再び奇妙な事件が立ち塞がる。これまでのシリーズ同様、予想外の事件から幕を明け、スウェーデンはおろかヨーロッパを飛び出し、世界の暗部で起きる壮大な事件へと展開していく。
ストックホルム南病院の遺体安置所で22体しか無いはずの遺体が1体増えるという事案が発生。増えた遺体はアフリカ出身の男性であること以外は素性は全く不明。翌日、同じ遺体安置所でさらにアフリカ出身と思われる女性の遺体が発見される。
捜査を進めるうちに港の怪しいコンテナの中で見付かった68体もの大量の遺体。コンテナの遺体の中から見付かった衛生電話機から採取した指紋は意外な人物のものだった。さらには聖ヨーラン病院の遺体安置所でも3体の謎の遺体遺棄が発見される。
本体価格1,040円
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「パードレは、そこにいる」
「死の天使ギルティネ」と続く三部作の完結編
下巻!!ここ最近での一番のおすすめ本
失踪人探しのスペシャリストであり、自身も誘拐、監禁事件の被害者であるダンテと、とある事件で(心身共に)傷を負った破天荒警官のコロンバのコンビが、昔ダンテを誘拐した男「パードレ」を追うシリーズ
原本が出て、いつ翻訳されるのか待ちに待っていたものの、いざ発売されたら嬉しくて大事に読もうと全二作を読み返した。(なんか照れて、発売日に買わなかった…という奇行)
海外ドラマでは、たいがい一話完結の話をこなしつつ、ラストの方で主人公が対峙しなくてはならない一番のテーマや宿敵に挑む話を持ってくるが、ダンテとコロンバの場合はいきなり宿敵と闘い続ける構成だった。
ダイナミックにツイストをかけてくるのも最高
続編があるなら…と思ったけどこれで完結してるのが良い。
上にも書いたが、主人公達が、この敵、この動機で最後まで戦いきったのが良かった。
二人とも幸せになってくれ…
翻訳者さんありがとう…
追記:海外のポップカルチャーや、日本を意識した要素を入れてくれるのは嬉しいが(「ぐでたま」はシリアスな場面なのにちょっと笑ってしまった。)
メタルギアソリッドの作者と交友関係があるのも知ってたので、まぁ…サービスかな?とか、…ちょっと多かった気もする。 -
Posted by ブクログ
「パードレは、そこにいる」
「死の天使ギルティネ」と続く三部作の完結編
前回から2年くらい経ってるので前作を読み直してから、読み始める。
失踪人探しのスペシャリストであり、自身も誘拐、監禁事件の被害者であるダンテと、とある事件で(心身共に)傷を負った破天荒警官のコロンバのコンビが、昔ダンテを誘拐した男「パードレ」を追うシリーズ
…何というか、二部のギルティネが凄まじくぶった斬られたまま終わってしまったため、読んだ当初は「えっ!」
と叫んでしまったが(ややキレ気味)
今回再読してみると、当時は続きが気になり荒々しく読み進めてしまっていたのだと反省…
しっかりと面白かったです。
そんなわけで第三部
これが…もう見事で
第一部でコンビのそれぞれが、前の事件で負った傷を乗り越えながら闘って、第二部では更に最悪な事件に巻き込まれて、今回はそれさえも乗り越えようともがいている。
誰にも信用されないし気が狂ってると思われてるコロンバは、もはやダンテ化してきてて…
ヤケクソ気味なのか破天荒さもパワーアップしてる。
完結まで読めることに、感謝しかない。