清水由貴子のレビュー一覧

  • 六人目の少女

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    ネタバレ

    とにかく濃厚な文章、スピーディな場面転換、さらには多彩な視点でぎっしりと物語が描きこまれている。ショッキングな冒頭から、シリアルキラーと戦う特捜班の知恵比べが始まる、薄皮を剥ぐように次々に意表を突く展開が待ち受けながら、少しずつ話が収束していく様は見事としか言いようがない。練られたプロットには驚くし、伏線が至る所に張り巡らされている。
    生き残った少女がヒロインであり、彼女に捧げる犯罪?というのオチがスゴイ。結局犯人は捕まっていないわけだからこれは続編が望まれる。
    それにしても、6本の腕、5人の行方不明の少女、謎の囚人、自傷癖の女刑事、息子を抱えた心理学者、パレイドリア(幻視)能力を持つ修道僧、

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    2014年05月01日
  • 六人目の少女

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    いやー、面白かった。
    グイグイ引き込まれた。
    ちょっとてんこ盛りすぎる気もするし、ひとつ二つ欠点というか、ソレにしちゃったのはもったいないという点もあったけど、夢中にさせてくれたので、とりあえずOKです。

    あまり良くない頭でついていくのは大変でしたけど^^;

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    2013年11月27日
  • 六人目の少女

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     不思議なことに、国籍のない作品である。イタリア発の作品ではあるけれども、物語の舞台はどことも取れない。作者はいつの時代でもどこの国でも通用する時代や場所にとらわれない物語を書きたかったらしいのだ。いわば人類共通の物語というものを。

     そうした思いを抱く作者にとっては幸いなことに、この作品は世界23ヶ国で翻訳出版され、バンカレッラ賞、フランス国鉄ミステリ大賞、マッサローザ文学賞、カマイオーレ推理小説賞、ベルギー推理小説賞、地中海推理小説およびノワール小説フェスティバル大賞などいくつもの多国籍に渡る賞を受賞している。イタリア版『羊たちの沈黙』とさえ語られ、ヨーロッパ各国でビッグヒットを飛ばし、

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    2013年09月26日
  • 六人目の少女

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    原題は”ささやく者”、意味するところは”暗示者”
    イタリア版『羊たちの沈黙』と称されるだけの事はある。
    物語は森の中で六人の少女の腕が発見されるところから始まる。犯罪学者ゴランと行方不明者捜索のスペシャリスト、ミーラが主役となって物語は展開していく。
    次々に発見される少女の遺体、まるで「セブン」の様に猟奇的な展開、やがて発見場所に意味が有ることが判明、背景に全く別の殺人事件が有ることが捜査の過程で浮かび上がってくる。
    3人目くらいまでは絶好調、この勢いが最後まで続けば凄い作品なんだがと思ったが、やっぱり少し多すぎた、4人くらいのほうが緊張感が持続したんじゃないかな。
    捜査チーム内の葛藤が描かれ

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    2013年07月21日
  • 六人目の少女

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    本文512ページ。
    なのにこの膨大な量を読み終わった心地よい疲れは何?

    一冊の本の中に詰め込まれている驚きと深さと痛さ。
    『登場人物』として挙げられているだけの人数ではなくしかも、誰も彼も
    内に抱えているモノの鋭さが一行なんかではない。

    ストーリーは一言で言うと5人の誘拐被害者の少女、
    次々発見される痛ましい遺体。
    発見されたのは6本の左腕。6人目の生死はいかに?

    捜査官たちのプライベートな悩みもすべて呑み込んでゆく事件の深さ。
    読み終わったときには背筋がゾワゾワしました。

    また凄い本に出会ってしまった。

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    2013年05月11日
  • 黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル

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    これ邦題合ってないと思う。
    整理するにあたってタイトルだけ見て内容思い出せなかった。パラパラとめくって、あーあれかー!って思い出したけど。
    端的に言うと女性憎悪犯罪なんだけども女性ふたりが交わる経緯がなかなか興味深いというか。終盤でそことそこがー!?みたいな感じではなくて、序盤でキーパーソンとして関わってくる。北欧に限らず海外ミステリーの大半は意外な人物を犯人(もしくは協力者)に置きたがる傾向にあると思うんですが一周まわってなんかもう序盤で「こいつ、あやしー」って目星をつけられてしまうのでそろそろ意外性狙わず順当な犯人を順当に追い詰める作風の方が案外目新しく映るかもしれない。複数の視点が切り替

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    2025年09月23日
  • 死の天使ギルティネ(下)

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    ネタバレ

    一気読みしてしまった!
    絶対何度も死んでるよね?と思うアクションだらけ。
    そこがまた面白いけど。
    最後は、一作目読んでからなのか、こんなんじゃ終わらないよね?と謎に猜疑心持ちながら読んでいたので、やっぱりかー。でどうなるの?!で終わって続きが気になる。

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    2025年08月11日
  • 三年間の陥穽 下

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    ホフマンの妻であるソフィアも、過去に性的な虐待を受けた過去があるのか…でも今後それが語られることは無さそうではあるが。
    今作は、小児愛集団の最後の1人の正体がかなり意外な人物だった。
    スウェーデン人がスウェーデン語で話し、デンマーク人がデンマーク語で話し、それで会話が成り立つのか?と疑問だったが、スウェーデン語とデンマーク語(とノルウェー語)は文脈次第で通じることがあるという程度には似ているそうで、これまた新たな発見だった。
    もう「3」シリーズは本書「3年間」で終わりかと思いきや、続作も本国では刊行済みのようで、どんなタイトルになるか楽しみ…ではなくて、ますます老いが進んだグレーンス警部の体調

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    2025年04月22日
  • 三時間の導線 上

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    グレーンス警部と潜入捜査員ピート・ホフマンのシリーズ。
    病院の遺体安置所に身元不明の遺体がひょっこり現れたのを機に、警察犬に臭いを辿らせて着いた港でコンテナを調べると、中には遺体が68体詰められていた…という幕開け。
    前作でグレーンス警部はピート・ホフマンを窮地からスウェーデンに連れて帰ってきたのだが、今回は西アフリカの不法入国ビジネス組織への潜入捜査を強要する…そのおかげで、グレーンス警部はピート・ホフマンの妻ソフィアにブチ切れられてビンタされるのだが。
    上巻が終わるのが事前想定よりもかなり早く、「まだまだ起承転結の『承』の序盤じゃないか」という印象で下巻へ続く。

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    2025年03月08日
  • 三時間の導線 下

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    スウェーデンの作家アンデシュ・ルースルンドの長篇ミステリ作品『三時間の導線〈上〉〈下〉(原題:Tre timmar)』を読みました。
    アンデシュ・ルースルンドの作品は、先日読んだベリエ・ヘルストレムとの共著『ボックス21』以来ですね。

    -----story-------------
    難民の大量死事件に迫る北欧ミステリ
    遺体安置所に現れた「あるはずのない」死体。
    グレーンス警部がその謎を追うが……傑作『三分間の空隙』から続くシリーズ新作登場

    〈上〉
    ストックホルムの遺体安置所で発見された「あるはずのない」男の死体。
    死体の調査を進めるグレーンス警部だったが、さらに身元不明の女性の亡骸が見つか

    0
    2025年02月12日
  • 三時間の導線 上

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    スウェーデンの作家アンデシュ・ルースルンドの長篇ミステリ作品『三時間の導線〈上〉〈下〉(原題:Tre timmar)』を読みました。
    アンデシュ・ルースルンドの作品は、先日読んだベリエ・ヘルストレムとの共著『ボックス21』以来ですね。

    -----story-------------
    難民の大量死事件に迫る北欧ミステリ
    遺体安置所に現れた「あるはずのない」死体。
    グレーンス警部がその謎を追うが……傑作『三分間の空隙』から続くシリーズ新作登場

    〈上〉
    ストックホルムの遺体安置所で発見された「あるはずのない」男の死体。
    死体の調査を進めるグレーンス警部だったが、さらに身元不明の女性の亡骸が見つか

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    2025年02月12日
  • 三年間の陥穽 下

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    ネタバレ

    2024年に読みたい本リストの本だったが、ギリギリセーフ。来年はもっと余裕を持って読みたい。
    今回はぺドフィリア(小児性愛者)の犯罪組織が舞台。こういう人たちへの嫌悪感をものすごく感じたし共感もした。前作でもう潜入は最後と言いながらも続編が出たからにはやるんだろうなー、3年も?としたら酷すぎると思っていましたがそんな長さでなくてよかった。潜入の場面がやはり読み応えがありました。不本意ながらもその状況に生きている実感を得ているホフマンもいましたね。
    最後の最後に判明した黒幕の正体は衝撃的でした。グレーンズが墓地で出会った女性は幻覚ってこと?それもすごい。次回作も楽しみだが邦題はどうなるのか?

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    2024年12月10日
  • 黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル

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    ストックホルムで女性の刺殺体が発見された。交際相手の男は服役中だったが、事件当夜は仮釈放されていた。警察は男が犯人と確信するが、ヴァネッサ警部の元に「彼は殺していない」と訴える女性が現れる。ネットで蠢く「インセル」が現実社会に牙を剥く暗黒ミステリ。

    新しい警察小説。シリーズ2作目らしい。
    邦題を見て、医療ミステリかと勘違いしていた。エグい描写もあるもの、抜群のリーダビリティで、堪能いたしました。

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    2023年12月22日
  • 黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル

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    刑務所にいる男の妻が殺された。夫の差し金?女性記者に不幸な出来事、テレビ司会者の不倫疑惑。

    面白かったが、長かった。なぜかシリーズ第二作から翻訳が出た。前作に興味あり。

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    2023年12月20日
  • 黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル

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    新たな北欧ミステリー。ヴァネッサフランクと言う警部が主人公。めちゃ面白くてあっと言う間に読めた。社会の問題点のヤクやDVや人種差別、等を複合的に収めている。始めはパラパラに散らばったパズルを最後にはしっかりまとめる感あって良かった。

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    2023年12月16日
  • 黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル

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    SL 2023.12.1-2023.12.3
    視点がくるくる変わるのではじめは読みにくいけど、少しずつ、だんだんと繋がってくるとパズルを嵌めていくような快感があって読む手が止まらない。
    警察小説なんだけど、主人公ヴァネッサのやみくもに法を守ろうとしない柔軟なやり方が好きだ。
    これが2作目なのでヴァネッサが警察組織で浮いていることがわかりにくいし、前作ではニコラスが重要な役割を担っていたことがわかるので、1作目を邦訳してほしい。

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    2023年12月03日
  • 黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル

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    ネタバレ

    スウェーデンからいくらでも出てくるな!というのが率直な感想。
    本作はシリーズ2作目らしいので、よいものから出していくパターンでしょうか。

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    2023年11月30日
  • 黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル

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    良質なミステリーを輩出するスウェーデンミステリー界に新たなる傑作シリーズが、誕生しました。
    それが、国家警察殺人捜査課ヴァネッサ・フランク警部を主人公とする今作です。
    まず、登場人物が良いです。主人公のヴァネッサを始めとして、クライマックスで大活躍するニコラス、ニコラスの隣人の少女セリーネ、記者のジャスミナと皆、芯を持った人物として描かれています。ヴァネッサとニコラス、ニコラスとセリーネのそれぞれの関係性が非常に良く、上手く丁寧に描かれています。そして、ボリエとエーヴァの悲しい物語も有ります。
    最初は、各登場人物の短いシーンが続き、話がどのように繋がって行くのか見えないかもしれませんが、全貌が

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    2023年11月19日
  • 三年間の陥穽 下

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    下巻はピート・ホフマンの息詰まる潜入捜査で幕を開ける。極論を言うなら、扱い難いグレーンス警部よりリアリストのピートの活躍に胸を踊らされていたので今回はとても辛かった。今回のテーマも暗澹たるやりきれない社会の一面を取り上げてあり、最後の一文に救いを見た気がした。

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    2023年07月18日
  • 三年間の陥穽 下

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    シリーズ当初はとっつき難いキャラで、何て感情移入しづらい主人公なんだろう…と思ってたグレーンスが、シリーズを重ねていく度毎に人間味を帯び、ピートとその家族との関わりを通じて頑なな心を少しずつ開いていく様子が何だか他人事とは思えず、次作もあるらしいのだが今からもう心配です。

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    2023年07月01日