清水由貴子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
サンドローネ・ダツィエーリ『パードレはもういない 下』ハヤカワ文庫。
第1作の『パードレはそこにいる』から始まったサイコミステリー三部作の完結編。
ダンテがギリギリの状態から生還し、コロンバと共に『パードレ』事件の全貌を明らかにするという、まさに完結編にふさわしいストーリー。ダンテもコロンバもこれ以上無いというくらい傷付きながら、事件の真相へと辿り着く。
誰も信じてはいけない……
個人的にはこの三部作はいずれもミステリーランキングの上位に入ってもおかしくないと思うのだが、前の2作がランキングに掠りもしなかったことを思うとこの完結編もランキング外になるんだろうな。しかし、泥々したサイコミ -
Posted by ブクログ
サンドローネ・ダツィエーリ『パードレはもういない 上』ハヤカワ文庫。
三部作の完結編。第1作の『パードレはそこにいる』の衝撃度は語り尽くせない。そして、結末がスッキリしないままに唐突に終った第2作『死の天使ギルティネ』。本作はいよいよ『パードレ』と『ギルティネ』、『レオ』、『ダンテ』の謎が明らかになり、行方不明のダンテと引退したコロンバの運命が描かれるのだろう。
第1作を凌ぐほどの面白さ。相変わらずコロンバは酷い目に会い続け、『パードレ』の一連の事件には壮大な陰謀があることを匂わせながら、いつレオが牙を剥くのかという恐怖を感じるうちにストーリーは進む。
ダンテは生きているものの未だに行方 -
-
-
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻は、ダンテとコロンバが別行動したり、警察内の軋轢描写なども多かったのだけど、下巻に入ると二人の犯人追跡行がメイン。そこに”サボテンブラザーズ”、新たな敵・味方、そしてギルティネが絡んで物語が一気に進む。
ギルティネは、同じ監禁時代を過ごしたダンテの表裏一体の存在であり、同時に同じ陰謀の犠牲者でもあることを示唆しながら物語は過去にもおよび、ますますストーリーが膨らみ、前作ラストに現れた”弟”の存在もついに…。
これ3部作らしく、ギルティネとの攻防は片が付くものの、大きな陰謀や弟の存在は次作に続く、で終わって、これはこれで十分読み応えがあったものの、早く次を読みたい!
下巻はテンポが良いし -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回も過去と現在が並行しながら物語が進む。特に過去編は前回はトッレの悲惨な生活だったが、今回はその逆の様で、被害者ではなく犯人の過去。
その犯人が仕掛けたのが列車テロ。冒頭のテロのすさまじい描写は前作の”爆破”シーンをほうふつとさせる。
犯人を追うのがコロンバとトッレというのは同じで、今回も警察上層部からありとあらゆる横やりが入ってくる中二人の捜査が続く。
前作と違うのは、コロンバに男性の陰が見え隠れするてんと、”サボテンブラザーズ”の登場。この3人組のキャラがなかなかいい。
テンポが良く視覚的に派手な場面が続く展開はまるでサスペンス映画の様で、ローマのように絵面がいいところだけに是非映画化 -
Posted by ブクログ
ネタバレ色々凝った設定はあるものの、上巻を読んだ限りでは、サイコサスペンス調の展開であり、幼児連続誘拐監禁事件の犯人を追う、心に傷を負った警官と元被害者、という構図で話が展開すると思っていたら、下巻冒頭の軍隊シーンで一気に煙に巻かれてしまった。
そこからの展開はことごとく意表をついてきて、そもそも誘拐の動機が全く違っていて、まるで”Xファイル”調の動機であること、事件を追っていた二人が、今度は濡れ衣を着せられて警察から追われる立場になり、さらにはその捜査の過程でダンテ自身の出生自体が謎に覆われていると言う急転直下の展開・・・、う~ん、実に鮮やかで見事。
次々と関係者が登場して、わかりにくいイタリア姪 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ先日までドイツ物を読んでいたが、今度はイタリア。
ということで相変わらず名前が覚えずらいが、ドイツよりはましかな?
しかし、内容は面白い。とてつもないトラウマを持った女刑事と失踪人を探すプロ。二人が連続児童誘拐犯を追うというストーリー展開だが、何より二人のキャラが良くできているうえ、会話もユーモアをまぶしながらも歯切れが良い。トラウマ描写もスパイスになる程度で物語の足を引っ張っておらず、誘拐犯との知恵比べが次々に展開されて、テンポも良い。
凝った構成にも引き込まれるし、作者の描写力も視覚的にも迫力があって、”爆破シーン”の描写なんてすさまじい。
いよいよ犯人像が浮かび上がって情感は終わるが、下 -
-
-
-
-
-
Posted by ブクログ
正直なところ余り期待していなかったのだが、上巻を一気読みした程のものすごく面白いイタリアン・ミステリーだった。
ある出来事をきっかけに休職に追い込まれた女性捜査官コロンバと、少年時代に誘拐犯に監禁され続けた過去を持つ失踪人捜索コンサルタントのダンテの二人が、ローマで起きた女性の惨殺と彼女の六歳の息子の失踪事件を追う。
早々にダンテの壮絶な過去は明らかになるのだが、コロンバが休職に追い込まれた理由はなかなか明かされない。その理由も気になるのだが、次々と驚きの展開を見せる女性の惨殺と六歳の男子の失踪事件からも全く目が離せない。
これは絶対にお勧めの海外ミステリーだ。 -
-
Posted by ブクログ
無国籍のエンターテインメント大作『六人目の少女』で凄まじいデビューを飾ったイタリア人作家カッリージの長編第二作である。のっけからあれほどのアイディアを詰め込んでしまった彼が、第二作をどのくらいの意欲と自負とで書き始めたのか想像もつかないが、大抵の作家であればあのデビュー作を超える二作目というだけで、恐怖に震えそうだ。
そうした周囲の期待を背負って作り上げねばならなかった本書は、作者がそうした期待にしっかりと応えるこれまた印象的な作品であり、さらに作者があとがきで書いているように、二つの大きな興味深い題材を何としても小説化したかったという確かな動機に支えられて生まれたものであろう。
二 -