【感想・ネタバレ】ローマで消えた女たちのレビュー

あらすじ

ローマで女子学生が失踪し、ヴァチカンの秘密組織に属する神父マルクスは犯人をひそかに追う。一方、転落死した夫が実は殺されたのではないかと疑う警察官サンドラは、夫が死んだローマで独自に調査を始めていた。二人の道が交わるとき、戦慄の真実が明らかになる。『六人目の少女』の著者が放つ傑作サイコサスペンス!/掲出の書影は底本のものです

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Posted by ブクログ

 無国籍のエンターテインメント大作『六人目の少女』で凄まじいデビューを飾ったイタリア人作家カッリージの長編第二作である。のっけからあれほどのアイディアを詰め込んでしまった彼が、第二作をどのくらいの意欲と自負とで書き始めたのか想像もつかないが、大抵の作家であればあのデビュー作を超える二作目というだけで、恐怖に震えそうだ。

 そうした周囲の期待を背負って作り上げねばならなかった本書は、作者がそうした期待にしっかりと応えるこれまた印象的な作品であり、さらに作者があとがきで書いているように、二つの大きな興味深い題材を何としても小説化したかったという確かな動機に支えられて生まれたものであろう。

 二つの題材の一方は探偵や諜報員のように動くバチカン内部の捜査官たちの存在である。法に縛られず、時には処刑さえも行う内赦院所属の<闇の狩人>たち。さらにデータベースとして実在するらしい罪の記録保管所で分析される悪の記録。こうしたものが小説の中では教会の送り出す追跡者たちという存在として浮き彫りにされる。

 もうひとつの題材は、生物変異型の連続殺人犯、というまるで映画『遊星からの物体X』のように、殺人の獲物になりすまして生き続ける存在である。映画と違うのは、捕食者がエイリアンではなく、あくまでも人間であるということのみである。その存在はとてもわかりにくいものだが、小説内のあまりにも目立つ伏線によってじわじわとにじみ出てくる恐怖や悪寒そのものと言ってよさそうな嫌悪すべき存在である。

 善と悪の代表型のような以上二つの存在の対立が、物語中で大きくツイストをすることで、ものごとは見たままのものではなくなり、より深い部分を見つめなければ真実が見えない構造として作品全体の迷宮性はさらに強烈に読者の眼をくらまそうとする。

 この作家は小説構造を最初に建築学的に設計するところから始めるタイプの人なのかもしれない。そのくらい精密な計算された物語のパズルで全体が見え難くなっているために、一作目も二作目もスリリングで謎に満ちているのだ。

 この凄腕のストーリーテリングは、巻末最後の一行まで続いてゆく。続編があってもおかしくはないほどだが、やはり続編はいやだなあと鳥肌が立つあたりで、本書の存在感が改めてぞわりと感じられるほど。犯罪小説の好きな方、犯罪という人間のある断面を見つめて、新たな物語の地平に驚きを発見して頂きたいものである。

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2014年10月28日

Posted by ブクログ

これは面白い。久々にこんなに面白い本を読んだ。
交錯する物語、次第に浮かび上がる真実。
雑多に詰め込まれているように見えて、整列している。
ミステリとはこんな物語のことを呼ぶ。

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2014年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後のひっくり返しは面白かったが、それ以外は、うーん、あんまりだった。
サンドラの二転三転する身の変わりようについていけない。シャルバーをなぜそこまでひっぱる? あと対面した相手が言ったことを「嘘だとは思えない」、「正しいと信じる」という言い切りの場面が多くて、なぜ……となってしまった。分署長とか警部もキャラ付けがしっかりしている割に絡んでこないし。
モニカは良かったですね。













こういう言い方は良いものではないが、イタリアのサスペンスなら「パードレ」シリーズの方が面白い。

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2020年04月22日

Posted by ブクログ

話が複雑で大変でした。章立てが細切れだったので細切れに読んでしまったので尚更。でもついていければ面白いですよ。

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2015年02月28日

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