福岡伸一のレビュー一覧

  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    ネタバレ

    ナウシカ、エヴァ、進撃の巨人の関連性を知れた。4分の1ほどまでしか精読できていないため、3点の作品の何かを掴めたら再度読むといいだろう。
    世界、戦争、思想。

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    2024年12月02日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    いかに漫画版「ナウシカ」が奥深い作品かという事を様々な方が語っています。
    この本を読んでいる最中は常に、「ナウシカ」を読み返したくなってしまいます。その欲求に抗いつつなんとか読み終えました。
    …さて、漫画版「ナウシカ」を出してきますか!

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    2024年05月21日
  • 最後の講義 完全版 福岡伸一

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    既に『動的平衡』を読んでおり、かつNHKで放送された同タイトルを視聴済みであるので、福岡先生の提唱されている内容の復習、として読んだ。NHKの放送でお話しされたことが実に鮮やかで、印象に残るものばかりだったので文字として読めて嬉しい限りだ。
    『生命とは動的平衡な流れである』。機械的に組織の中の部品のように見るべきではなく、生命とは絶妙なバランスの上で成り立っている。一見哲学のような表現であるが、解説を聞くといかに生命というのは奥深いものだと感嘆させられる。
    フェルメールのエピソードはNHKの番組にはなかったように思う。講義を聞いた人たちの質疑応答の鋭さ、また的確に回答する福岡先生。最後まで、なるほどと思うことばかりだった。

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    2023年12月11日
  • 最後の講義 完全版 福岡伸一

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    福岡伸一先生の本は何冊か読んだが、その中でもこの本には、先生が今までの人生で見出した生物学等の学問に対する考え、芸術や生命そのものに対する哲学が凝縮されていて、とても心に残った。
    「生命とは機械ではなく、動的平衡なもの」
    何回も目にしたワードだけど、やはりハッとする。
    ベルクソンの弧のパートの考え方もとても面白い。

    第3章に関して医療に携わる立場としては、脳死による移植など機械論的な考えに基づく医療行為が資本主義的なものであるというくだりはそのまま受け入れることは難しかったが、「本来草食動物である乳牛を人工的に肉食動物にした」という言葉はとても印象的。地球全体の動的平衡を崩すことの弊害を考えさせられた。

    また、少年時代の福岡先生のレーウェンフック、フェルメールとの出会い、研究で壁にぶつかった時にシェーンハイマーの言葉によって動的平衡のコンセプトを得たことなど、先生の歩んできた学問の道の中にターニングポイントとなる先人達の存在があったというのがとても興味深かった。

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    2023年09月04日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    何年も前に読んだナウシカをまた読みたくなったきっかけだった。
    こんなに深い視点がいっぱい詰まった作品だったとは思わなかった。当時読んだ時は20代前半でまだ世の中の現実や厳しさなどほとんど知らない世界で過ごしていたためか、ほとんど心に残っていなかった。というよりも理解できていなかったのだと思う。
    もう一度ナウシカを読み始めて、同時にこの本も読んでたくさんの人の考察を見ると、全然見える世界が変わった。
    本書の誰かも書かれていたけれど、過去に読んだ時と別にもう一度読み直すと見える世界が違う。まさに自分もそうだった。

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    2023年06月06日
  • 最後の講義 完全版 福岡伸一

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    是非読んでほしい1冊です!
    NHKの最後の講義という番組を書籍化したものです。

    「どうして生命にそんなに価値があるのか」

    福岡伸一先生のファンになったきっかけの1冊です!

    なぜ人はご飯を食べ続けるのか
    なぜ老けるのか
    なぜ生命には終わりがあるのか

    とても分かりやすく書いてあります。
    少々専門用語などが出てくるので難しい部分もありますが。
    大学でもここまで丁寧にくだいた説明は聞けないです!
    全174ページなので読みやすく学生さんにもオススメです。

    学生時代にこの本に出会えていたら絶対に読書感想文を書きたい。。

    理系出身なので読んでいて懐かしい気持ちになりました。
    やはり生物学は奥が深く面白いです。

    そして福岡伸一先生は芸術も嗜む方なんです。
    「美の起源は、生命に必要なものを美しいと感じるところにあるのでは」というセリフがとても好きでした。
    例として、なぜ青を美しいと感じるのか。
    それは青が紫外線の色に近く生物が光合成をしようと光を求めるので未だに人間は青を美しいと感じるのだろうとの事。
    なるほど、納得です。
    でもそうすると1つ疑問点が、
    美しいと感じるのであれば食欲にも繋がるのでは?
    でも青いものを食べるのは人間嫌がりますよね、謎です。。
    調べれば答えは分かるのでしょうが。。

    まぁ、こんなカラクリ知らなくても生きていけるんですけどね。
    でも自分が生命として存在している理由が分かります。

    余談ですが、大学講師ビジネスあるあるで、
    自分が書いた本を教科書に指定して買わせられます。
    ホントにしょーもない本が多いですが、
    この本なら何冊でも買いますよ!と声を大にしたいです(笑)

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    2023年03月05日
  • 最後の講義 完全版 福岡伸一

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    『動的平衡』という概念に目から鱗。
    1年前の私と今日の私は個々の細胞レベルでは全く別人と考えても良いという。
    『動的平衡』は必ずしも一つの生命の中で起こっているだけではなく、地球全体の生態系の中でも成り立っているという。
    地球全体も一個の生命体と捉えたら、世界の見方が変わるかもしれない。
    『動的平衡』を社会や文化に当てはめて考えられることにも納得。
    質疑応答にも的確に解りやすく回答されているところに福岡伸一さんの奥深さを感じた。

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    2023年01月24日
  • ポストコロナの生命哲学

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    福岡さんの 動的平衡関係、生物と無生物のあいだ
    に入り込んで、このほんをコロナという切り口から購入! ナウシカのアニメ映画化でも今を写すなあと感動してたのに、アニメの方が更に問題提起が重たかったとは! 買おうかとも思いましたが、この時期にもっと心が重くなるのではと躊躇。
    鼎談の内容が高度でなかなかついてはいけなかったけど、気付きを沢山いただきました!

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    2022年09月21日
  • 最後の講義 完全版 福岡伸一

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    「本から」
    動的平衡は必ずしも一つの生命の中で起こっているだけではなく、地球全体の生態系の中でも成り立っているといえそうです。
    結論としては、生命や環境は動的平衡のメカニズムで成り立っていて、その考え方のポイントは要素ではなく、要素と要素の「関係」だ大事だということ。また、「物」ではなく「事」」が大事だということです。

    部分として、部品として、生命を見たり、生命の時間を分断し、流れを止めるというのは、生命本来の見方にはそぐわないもの。生命は操作したり、介入できるものではなく、共生するものです。

    記憶というのは物質ではなく、ある種の「状態」であることがわかってきました。(略)脳内の神経細胞(ニューロン)が連係した回路網として保存されているのです。シナプスによって作られた回路に何度も電気が通ることで記憶は増強され、保存されたり甦ったりしています。

    音楽はどこから発せられているかというと、自分の体内であり、生命からです。心臓の鼓動や呼吸、筋肉のパルスや脳波も、全てがリズムを刻んでいます。(略)
    自分自身の生命が奏でる音が美しいから、音楽を美しいと感じる。そこに(音楽の)起源があるのではないかと思います。

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    2021年02月14日
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線

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    ネタバレ

    1人めの養老先生の「私の人生は「不要不急」なのか?」という問いでガツンと来る。数に限りがある人工呼吸器を若い患者、高齢の患者どちらに使うかで、現実にトロッコ問題が発生しているとは。「トライアル・アンド・エラー」ではなく「トライ・アンド・エラー」という表現は相変わらず気になる。伊藤隆敏さんのページにもあるように現金給付は一律じゃなくてもよかったんじゃないかと思う。ブレイディみかこさんのページにあるように普段質問しなかった子がオンラインだと質問するようになったみたいな予想していなかった変化は今後も起こるだろう。

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    2020年09月22日
  • スタディサプリ三賢人の学問探究ノート(3)生命を究める

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    とてもよい内容。3人だと少ない感じがした。10人ぐらいあると、色々なアプローチが知れてよいのだが、子どもにはこれぐらいがとっつきやすいのかも。

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    2020年06月19日
  • 最後の講義 完全版 福岡伸一

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    福岡伸一氏の提唱する動的平衡の考え方がよく分かります。現在のコロナ騒ぎの世の中を見る限り、動的平衡のような考え方ができる人は皆無に近いのではないかと思えてしまい残念です。
    動的平衡の価値観を受け入れられる人は、そんなに騒がず声を上げないだけかもしれませんが。

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    2020年05月06日
  • 最後の講義 完全版 福岡伸一

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    生物学者の福岡伸一さんが、「最後の講義」という形で生命・生物について語っている。生命体のなかで起こっている、絶え間ない合成と分解を繰り返しながら、変わらないために変わり続けているという「動的平衡の生命観」に納得した。

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    2020年04月07日
  • 科学以前の心

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    雪の研究の第一人者の中谷宇吉郎博士のエッセイ集。主題は時代を感じるものが多いが、それを感じさせない鋭く理路整然とした書き方に引き込まれる。雪今昔物語、科学以前の心、私の履歴書、何かをする前に...が特に好き。

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    2016年09月03日
  • 科学以前の心

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    「なにかをする前に、ちょっと考えてみること」と「機械の恋」を特に興味深く読んだ。
    協力体制のことや、整理整頓のこと。生活や仕事に役立つ助言がたくさんあった。

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    2015年01月01日
  • 科学以前の心

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    科学エッセイの名手福岡伸一が選んだ中谷宇吉郎のエッセイ集。有名な雪の研究、人工雪の製作とその過程を映画に撮る話、科学する心、古寺、歌舞伎等どのエッセイも歯切れが良く、眼差しが暖かい。寺田寅彦に始まる、日本の科学エッセイの精神をしっかり受け継ぎ、福岡伸一を含む後の世代に渡したのが良く分かる。

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    2013年10月19日
  • 虹の解体 世界はなぜ美しいのか

    購入済み

    ドーキンスのリベンジ

    ドーキンスの「利己的な遺伝子」はだいぶ前によんだきとがsり、その時は特に冷淡とか非情といった印象は受けなかったが、当時そのような批判があったことは本書で知った。その後の生物学や進化学の治験を踏まえて、ドーキンス自身が、上記批判への反論も越えて科学の美しさや詩情性を説いているのは共感できる。

    #共感する

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    2026年01月02日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    序章
    鈴木敏夫 スタジオジプリプロデューサー
     鈴木敏夫は「風の谷のナウシカ」の制作背景やそのテーマについて語っている。彼は、作品が発表された当時の社会的・環境的状況がどのように影響を与えたのかを考察し、ナウシカというキャラクターが持つ強い意志や優しさが、現代においても重要なメッセージを持っていることを強調している。
     風の谷のナウシカの題材は『新諸国物語』(NHK ドラマ1952年)。

     ナウシカが旅をして、見聞きしたものによって、読者が世界の秘密を知っていく。宮崎駿は「勧善懲悪」が好きで、それが「自然を守る人がいいひとで、自然を破壊するのは悪人」と言う物語にした。
     赤坂憲雄の『ナウシカ考 風の谷の黙示録』を読み、宮崎駿は「おもしろいね。俺ってこんなもの書いていたんだ」と言った。他者からの深い考察が、作者に新たな気づきを与える。
     映画では「腐海は自然の象徴で、腐海こそが人類を救う」と謳ったのに、第7巻で「腐海や王蟲が、実は人間の文明が作り上げた人工的な生態系だった」ことが明らかになった。物語全体の構図がまるで変わってしまった。
     ナウシカは、本来、風の谷の500人のために闘った。そして、もののけ姫のアシタカは「個人的な理由で戦う主人公」となった。宮崎駿は、どんどんと変わっていく。

    杏 俳優
     時間の経過とともに死生観や価値観が大きく変わる。そういう時代に生きている。ナウシカは「母は決して癒されない悲しみがあることを教えてくれましたが、私を愛さなかった」という。母は絶対的な存在でなくていい。巨神兵は、ナウシカを母親と思い込んだ。そして王蟲はナウシカを守って死んだ後、「母は私を愛さなかったけれど、オーマは私を愛してくれた」とナウシカはいう。母と娘の関係が全く違うものがある。

    叶精二 映像研究家
     アニメーションが前提でない『風の谷のナウシカ』、コミック版。なるほど。
     連載中に、東西冷戦の終結、ユーゴースラビアの内戦など衝撃的な事件があり、影響を受けている。

    小泉悠 軍事アナリスト
     現実のウクライナとナウシカの世界、戦争の「ネイチャー」は変わらない。核戦争による世界の破滅は、ウクライナでは現実のものになるかもしれない。戦争を経験した世代、戦争を経験した世代を親に持った世代、戦争を知らない世代。世代によって、大きく戦争の捉え方が違ってくる。

     『宇宙戦艦ヤマト』『ウルトラマン』は、作り手の戦争体験が塗り込められている。
     庵野秀明は、『宇宙戦艦ヤマト』『連合艦隊』に影響を受け、『エヴァンゲリオン』を作っている。
    戦後の日本では、戦争の悲惨さや反戦が訴えられたが、戦争そのものを真正面から描きにくかった。それがサブカルチャーの一部がになった。日本人には「敗戦で自分たちの国は、一度滅びてしまった」という感覚がある。

     ナウシカによって、「滅びはやってくる可能性がある」「文明が滅びた後はこうなる」を知らされる。小泉は、戦争が、悲惨であるにもかかわらずかっこよさがある。「人間は本来、こんなひどいことをするはずはない」と小泉は言いたくもないという。宮崎駿は、兵器や飛行機の時として持つエロティックな美しさに魅了されているところがある。戦争の実相は、巨大な悲惨が人々を襲い、世界が破滅の淵に追いやられていくこともある。

    川上弘美 作家
     ナウシカは不思議な人。自分を傷つけるクシャナ、敵国の人々、深井の動植物など自分の周囲に来たものを全部守ろうとする。ナウシカは、物語の中でみんなを繋ぐ絆になっている。ちょっとした破綻、なんでこんな文章がという驚きや作者自体が制御できないものが雑音としてあっても、ノイズがあることは避けられない。それも受け入れることだ。

     精一杯生きること、自らの死を認めることは、両立する。原発の使用済み核燃料は10万年も危険な放射能を出し続ける。その間、人類が確実に存続し、責任もって保管し続けられると考えること自体がおかしい。「滅びはあり得ない」と信じ込もうとしているのではないか。
     ボーヴォワールは「人おのおのは死にますが、人類は死ぬべきものではないことを我々は知っています」というが。川上弘美は「人類の未来を自然に委ねる」という選択をする。確かに、『風の谷のナウシカ』は、単純な物差しで測れるようなシロモノではないのだね。

    福岡伸一 生物学者
     老いるからこそ、死ぬからこそ人は美しい。環境の全体のバランスを考え、人間に害を及ぼしかねない存在とも共存していく。ナウシカは人類のことを「大地を傷つけ、奪い取り、汚し、焼き尽くすだけの、もっとも醜いいきもの」としている。

    竹宮恵子 漫画家
     物語が始まった時「これから何かが違う世界が始まるんだ」ナウシカはあまり言葉で説明しない。ナウシカの世界でも、たとえ人工的に作られたものでも、生命は常に変化し、創造主の意図を超えていくとして描かれた。素晴らしきディストピアの拒絶があり、それでも自分の意思で生きようとする。

    鈴木涼美 文筆家
     『娼婦の本棚』を書いた著者は、夜の街=腐海に生きている。腐海に生きる蟲たちは美しい。闇があって光がある。悪の方に魅力を感じる。ナウシカは生に執着せず、死の恐怖がない。

    河野真太郎 英文学者
     ナウシカは戦う力と、腐海の真実に気づく科学的知識を持ち、包み込むような母性とカリスマ性のない混ぜになった女性。族長の父は「男であったら何もいうことはない」という。
     クシャナは、母親が、王家の陰謀の犠牲、家父長制の犠牲になって心を病んだことへの怒りを動機に、父王や兄王子たちと戦ってきた人。女性性を捨て、男性性を獲得しなければならなかった。
     ナウシカの物語は、「自然を守ればそれでいい」という考え方とは、異なる思想。

    大木毅 現代史家
     戦争では多くの住民が飢えや病気で死んでいく。ナウシカは「なんという戦争、いかがわしい正義すらかけらもないなんて」という。戦争はそのような残虐性を持っている。

    赤坂憲雄 民俗学者
     ゴジラは1954年に発表された。ゴジラの映画には、科学やテクノロジーへの信頼がある。ゴジラを最終的に葬るのは、一人の科学者の自己犠牲。それは宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』の主人公の姿と重なる。ナウシカは、最先端テクノロジーが暴走し、地球環境を破壊してから1000年後の世界。科学や文明への信頼が裏切られていく時代を予感しながら作られている。「何が起こるか分からない」という不気味さ、不安の中に置かれている。ナウシカの世界が、とてもリアルに感じられる時代へ運ばれつつある。
     ナウシカの物語は、宮崎さんの巨大な無意識が充満している。それが最大の魅力。宮崎駿はいう「こういうふうにしたい、じゃなくて、こうなっちゃう、ものを作る主体というより、ただ後ろ方くっついていっただけ」

     権力に善意は期待できず、権力そのものを無化する仕掛けを作り出すしかないという作品。
     王という存在は必然ではない。首長というのは、部族の人々に隷属を求める権力ではなく、むしろ、言葉によって自分の権力を絶えず無化していくことを求められ、それを理念や義務として積極的に引き受ける。ナウシカは、人々に命令を下すことはなく、権力を持たず、深い思索に裏打ちされた言葉だけで人々を励まし、なだめ、導き、ひたすら調停者としての役割を果たそうとする。宮崎駿は「虫愛づる君」に、自らの知性と探究心で腐海の謎を解き明かす役割を与えた。
     民主主義は、権力の毒や腐敗を知る人が作り出した暫定的なシステムである。愚かにして美しい人間を完全にコントロールはできない。ナウシカの物語は、それぞれがれっきとした価値を持つ声たちによる真のポリフォニー(多声音楽)が本質なのだ。いやはや。ナウシカを読み解く力の深いことよ。

    もう、ナウシカの物語は、実に多面的な見方ができる。いろんな問いかけがあり、考えるきっかけになるいい本である。なぜか、頭の中の芯を熱くする。

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    2024年12月22日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    マンガのナウシカは、最後の方の記憶がなく、途中までしか読んでいないかもしれない。
    改めて読み直そうと思う。
    読んでいても読んでいなくても面白かったが、自分はここまで考えながら読めなかったから、途中までしか読んでないのだろうと思った。

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    2024年12月01日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    いろんな解釈があってほんとうに面白い。
    ナウシカの原作再読したくなった。
    闇の中にも光があって、完全な世界よりも、いつかは滅びるかもしれない世界、それがまたいい。

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    2024年10月05日