前回の「完全読者放置展開」を受けて(?)、ようやく学園都市に戻ってきた上条当麻。
しかし休む間もなく騒動に巻き込まれ、さらには「魔神になるはずだった男」オッレルスから「幻想殺し」の謎について告げられたあと“ある人物”が姿を現し――! という第5巻。
……うーん。様々なキャラクターが様々な状況において動き出すというのは別に今に始まったことじゃないし、メリハリをつけているんで面白いところは面白いし、驚くべきところでは驚く内容に仕上がっている。
つーか、まさかの「フ○ンダさん復活」とか、麦のんでなくてもビックリ仰天しましたしね。
けど、総じてこの巻でなにをやっていたのか? というと、結局上条さんが踊らされて、とんでもない怪物を解放してしまっただけ。
上条さんの“意志”があるように見えて、ない。ないんですよ。
互いに揚げ足取りをした挙げ句「あるように思わされた」だけ。
故に全然共感も得られないし、納得もできない。
それどころか、ハワイでの愚行を繰り返しているような状況にさえなってしまっている。
加えて、様々なキャラクターの状況や思惑が複雑怪奇に入り組んでいるので、完全に「ライトノベルの枠」をブッ飛ばして「重厚濃厚ファンタジー小説」になっている点に関しては、個人的に複雑です。
よほどコアなファンだったりしない限りは「ぽかーん状態」で、内容を理解するのに要らぬ努力と忍耐力を要求されるのはいかがなものか? という思いはどうしても消せませんでした。
※ 余計な場面を挿入しているから、なおさら読みにくい・理解しにくいし。
「ライトノベル」というものが本当に「中高生をメイン読者層」に想定しているなら、なおさらです。
何より、今に始まったことじゃないと思いますけど、すでに物語が肥大化しすぎていて追い切れないし、収拾もつけられないのではないでしょうか?
その最たる原因はいうまでもなく「キャラクターの存在理由」を無視して、設定と展開を強引に推し進めた……いわば「風呂敷を広げすぎて云々」なので、インデックスや美琴が完全に「飾り」以下の存在に成り果てている上、もしかすると読者の中には「吹寄って誰だよ?」という人も少なくないかも知れない。五和さんなんて、新約になって名前だけでも登場したか? というような感じですし。
構成が巧みだし、面白いのは面白い。
ただ、例えるなら「あまりにも油がくどすぎる高級ステーキ」みたいな感じになっているので、個人的に追うのがかなり辛くなっているのも事実。
だって下手をしなくても、物語を完走しようとするなら間違いなく通巻で50巻超えるでしょう?
つか、作者の力量・生産量を考えるとグイン・サーガさえ超える巻数になったって不思議じゃない。
なまじ一定以上の――それこそ世に言う「天才」が醸し出す魅力と面白さがあるから、始末に負えない。
いっそ「駄作だ」「合わない」などとゴネて切り捨てられれば幸せなんだろうけど、それもできない。麻薬か、この作品は。
そんなわけ(?)で、購入するかどうかはよく考えた方が良いと思います。
「買って損はしない」ことだけは強く断言できますが。
ちなみにインデックスさんは冒頭だけ。美琴なんかは「胸触られておしまい」というぞんざいな扱いなので、ファンの方はご注意ください。