西條剛央のレビュー一覧
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サブタイトルは
「ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか」で、
まさにその通りの本でした。
著者の西條さんは「ふんばろう東日本支援プロジェクト」代表で、
早稲田大学大学院(MBA)専任講師です。
帯の糸井重里さんの推薦文がわかりやすいので、
全文引用します。
『岩をも動かす理屈はある。
「そこに方法がないなら、つくればいい」
西條さんの学問は、実戦的で痛快だ。
震災の状況だけでなく、あらゆる仕事の場で
役に立ってしまう本になったと思う』
最初は、地震の発生、そこからの著者の思いや行動などが綴られて進行していきます。
あっという間に組織の原型が出来あがりますが、
そのスピード感はほんとうに現実に即しており、
ただ、紙幅の都合上早まっているわけではないのです、当たり前だけど。
どういうプロセスを経て、このような大きくて機能的な支援組織が編まれたか。
それがこの本を読むとよくわかります。
細部の折衝なんかまではわからないところはありますが、
著者自身、組織や枠組みを作ったらそこにいる人たちに放り投げてまかせられる人です。
仕組みさえきちんとしていれば、ちゃんと動くのだ、
という信念とご自身のされている学問への自信がそこにはあるようですし、
実際、そうやってうまくいったボランティアモデルなんですよね。
要所要所で、著者の専門である「構造構成主義」に照らして行った行為だとして、
そのやり方が紹介されます。そのうちの「方法の原理」というのが、
今回とても有益に使われていて、それはこういうことで、
(1)状況と(2)目的によって規定される
ということでした。
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状況を踏まえて、目的を見定めつつ、その時点、その場で
有効な方法を考案すればいいという考え方である。
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と、引用すると上のような説明があげられます。
これはね、けっこう使える考え方なんじゃないかなと思いました。
知らず知らずそうやって「方法」を考えている人も多いでしょう。
それにしても、最初の段階で著者が被災地に足を踏みいれて、
その状況や被災者の話が載っている部分があるんですが、
今読んでみると、当時の、北海道に居ても感じた、
打ちのめされるような気持ちがよみがえり、
さらに、こんなにもひどかったのかという新たな生々しい情報を知ることにもなって、
この震災を忘れ去るべきではないなと思い返したくらいです。
遺体の損傷もひどかったみたいですね、言うのがはばかられるくらいに。
また、ちょっと考えたところは、P・F・ドラッカーの引用のところです。
これは、価値についての考察のところであり、僕が気になった文章は
まったく本書とは関係のないところなんですが、それはこういうところでした。
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「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問う。
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小売店で働いていた時に、お客さんが何を買いたいかだなと考えていた僕は、
上司に「何を売りたいか考えて、どうやって売れるかを考えて売るんだ」と言われた。
本部から、週末のセールはこれこれでチラシに載るから発注忘れるな、
みたいな感じで毎週やってたわけで、
本部としては顧客が買いたいものだとか旬のものだとかの合わせ技で出してきたと思うんだけど、
その数量とかを決めるのは末端の僕みたいな人でした。
そうなると、どれだけ売れるかを想像したり、過去のデータとか、
昔からいる人にアドバイスしてもらって発注することになる。
お客さんは買いたいかなと、そこで考えるわけです。
でも、「何を売りたいか」ありきだったんですよね、どっちが先かって言うと。
末端にいると、そこらへんひっくり返ります。
だから、「何を売りたいか」でポップを作ったり、置き場所を考えたりして商売してた。
店員は、もう、「どう売るか」なんですよねぇ。
何をどうやってさばくか、でやらされる。
ドラッカーを読んでると実はこういうところで末端の人はわからなくなります。
と脱線したところで話を本書の内容にもどして。
冒頭、糸井さんの名前が出たところで気がついた方もいらっしゃると思いますが、
本書の第5章になっている部分は、『ほぼ日』で行われた糸井さんと著者の西條さんの
まさしくこの「ふんばろう東日本支援組織」についての対談から
再構成されたものだったりしますので、その対談で西條さんを知っていたりもするでしょう。
また、ツイッターをよく使われていたようなので、地震発生まもない時点から
西條さんを知っている人もいるかもしれない。
そういう人に至っては、本書は僕よりももっと身近に感じて読めたりもするでしょう。
最後に、本書の印税全てと出版社にはいる収入の一部が、
このボランティア組織「ふんばろう東日本支援」におくられるとのことです。
いまもまだ、仮設住宅にはいられている被災者のひとたちって多いでしょうし、
この本で触れられているような、被災しながらも満足に支援をうけていない
人たちもいらっしゃるみたいです。
それを知ると、何もできない自分にはため息がでますが、
本書を買ったことでちょっぴり寄付ができて、さらに読んで状況などを知れたこと、
そして、明日へ繋がるような方法論に触れられたことは良かったなぁと思っています。 -
Posted by ブクログ
東日本大震災のボランティアをどうやって始め、進めていったかという話。
本の始めに震災当初のころの話が書かれていた。私的な話だが、震災の日の翌日に自分の結婚式が予定されていたことでそのことで頭がいっぱいだったことと、帰宅難民になり、車の中で一晩過ごしたことで、震災直後の様子をよく知らなかったことに思い当たった。本を読むだけでずんと落ちおんでしまうほどひどい状況に、自分のことでいっぱいいっぱいでこのことを直視できなかったことが本当に幸せなことだったんだなと思った。
内容は後半のところどころに、蛍光ペンで線を引きたくなるような、ビジネス書としていいことが書かれていて、いい本だと思う。 -
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3.11の後、日本最大級の支援組織「ふんばろう東日本プロジェクト」をつくった、代表 西條剛央さんの記録
4人でのボランティアからはじめたことが、全国のひとりひとりの力を活かし、大きなプロジェクトになっていく過程と仕組み。固定的な方法も役に立たず、未知の状況で、変化の激しい環境のなか、必要なものを、必要な人に。協力したい人から、早く確実に届ける。
被災された方々のために、自分にできることをしたい、という思いの具現化のもとになるのは、構造構成主義=あらゆることを、しなやかに対応するための考え方。構造構成主義という理論があったからこその実現、でも、そのきっかけは、たくさんの偶然(もしかしたら必然)や、出会いの呼ばれたから。
自分は呼ばれたら気がつけるかな。 -
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ネタバレ著者 西條剛央氏は1974年生まれで、早稲田大学大学院(MBA)の心理学と哲学の専任講師を務めている。
過去にボランティア活動の経験は無かったが、「構造構成主義」を用い「ふんばろう東日本プロジェクト」を立ち上げ、日本最大級のボランティア・プロジェクトを成功させる。
本書は、その仕組みと支援の舞台裏を書いたもの。
阪神大震災のときも、全国から集まった多量の支援物資について保管と仕分けができずに被災者に届かなかったと聞いた。東北大震災では、その失敗を教訓にロジスティクスに詳しい人がボランティアとして支援していると聞いたような気がするが、事実を確認したわけではない。
確かに、『ホームページに、聞き取ってきた必要な物資とその数を掲載し、それをツイッターにリンクして拡散し、全国の人から物資を直送してもらい、送ったという報告だけは受けるようにして、必要な個数が送られたら、その物資に線を引いて消していく。そうすれば必要以上に届くこともない。また、仕分ける必要もなければ、大きな避難所や倉庫で物資が滞ることもない。必要としている人に必要な分量。直接送ることが可能になる。』というのは、いい視点だ。
これを支援してくれる人たちを見つける手立てもインターネットというあたりが、阪神大震災との大きな違いだ。インターネットの使用環境が全く違う。
時代は変わるので、以前の成功も失敗も鵜呑みにしてはダメ。
だから、現地を見て、状況と目的から方法の有効性を考えるというのは面白い。
ただ、本としては、今一つ分かりにくい。ノンフィクション作家が書いた方が格段に面白いものになっただろう。
ボランティアの組織運営上の苦労話は、目新しいものはないが、改めて組織運営の参考になった。 -
Posted by ブクログ
東日本大震災における被災地支援の大きなうねりの一躍を担ったプロジェクトの活動の様子と、ボランティアの集合体という無形なものを、いかにして実態ある組織にまとめ上げたのか、その内部構造が良く分かります。
ボランティアに参加したことのある人、あるいは、ボランティアと被災者をマッチングする立場に立ったことのある人は、その組織化と運営がいかに難しいことなのかを実感しているはず。
私自身、何度もボランティアに参加し、そしてNPOの運営に携わっている者として、本書は、組織運営のお手本として大いに参考になった。
組織論としては、ビジョンの共有、目標の設定、プロジェクト組織の有効性、権限移譲と情報共有の重要性などについて読み取ることができる。
「ふんばろう」とは別に、私自身、仲間と一緒にNPOを立ち上げ、今も支援活動を続けている。また、NPOの仲間とは別に、継続的に現地で活動を続けている知人もいる。
私自身も含め、皆それぞれの思いを抱えながら、今も活動を続けているのだが、本書ではあまり触れられていない、そんなボランティアの様々な思い。それを、「今の思いの記録として文章に記しておきたい。」と、本書を読んで、改めてそう感じた。
皆それぞれが、それぞれの思いを記すことで、
様々な人達の共感を生み、うねりは伝播し、より良い未来へとつながっていくはず。そう信じたい。