あらすじ
糸井重里が感動した「西條剛央さんの、すんごいアイディア」。支援活動のプロでない著者が画期的な支援の仕組みをどう立ち上げたのか?日本最大級のボランティアプロジェクトをつくった著者が明かす、有事に有効な支援の仕組み。1000人超の組織を給料を一切払わず事務所も持たずに、どう運営するのか?
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Posted by ブクログ
・意味の原理:起きた出来事は変えられないが、出来事の意味は事後的に決まる
・10分あればできることがある、今の自分にしかできないことがある
・時間を止めて固定的に考えると、一人ひとりの力はあまりに小さく無意味なものに感じてしまいますが、時間というファクターを入れて考えるとそんなことはないとわかります。僕らが少しでも進めておけば、そこを出発点として、子供たちが次の世代がさらに進めてくれる。強い意志は継承されます。
・構造構成主義:「方法」というのは、必ず「ある特定の状況」で「ある目的を達成する手段」として使われる。要するに考えればいいポイントは2つしかない
・状況をトップダウンにコントロールせずに「こういうやり方をすれば、こういうことができます」とだけ示していた
・市民意志機能:一銭のお金も動いていないのに、みんなの「なんとかしたい」という気持ちだけで動いている
・最後の5%にはこだわらず、あまり厳密に考えすぎずに、95%のところでどんどん迅速にやっていく
・原理というのは、それに沿ったから必ずうまくいくというものではないが、それから外れると必ず失敗するものなのである。そのため、「状況」を捉え損ねると必ず失敗してしまうのである
・「目的」を共有することは、活動が目的からぶれないためにも重要になる
・すべての価値は、欲望や関心、目的といったことと相関的に(応じて)立ち現れる。「我々の製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」
・活動の良しあしは関心相関性に応じて判断される。
・名は時空間的なまとまりを生み出す形式である。たまたま集まった人たちにチームの名前をつければ、そこにはある種のまとまりが生まれる。役職名が与えられれば、その名にふさわしい動きを意識するようになる
・反省会は、自分たちの足りなかったことにフォーカスを充てることになるため、気持ちだけで動いている人のエネルギーを奪いという、ボランティア組織にとっては致命的な欠点を持っている
・その人の存在(Being)を認めることを前提として、行為(Doing)の結果(Output)も適切に評価できるようにすること
・ボランティア組織は感謝を忘れた時に崩壊する
・問い方を根本的に変える:「原発は是か非か」ではなく、双方の関心を織り込むように「原発をなくしても問題が生じないようにするにはどのようにすればよいのか」
Posted by ブクログ
タイトルだけ見たときは、「仕組み」という言葉に少々違和感を感じていたけれど、読んでみると確かにすんごい。
内容的には仕組みよりも想いや情熱の部分をとても感じ、考えさせられる本だった。
ボランティアをやったことがなくても、こんなに大きなことを成し遂げられる。
人間、なんでも本当にやると決めたことはやるんだなと思った。
ボランティア、チャリティ、支援、まだまだ自分もしたことがないけれど出来ることはある。
知らないからやらないとか、やったことないからやらないとか、でも自分がされたら嬉しいのは何か?
そうやって人の想いと具体的な行動、活動が巡り巡ってこの地球は成り立っているんだなと改めて考えた。
心に残る一冊だった。
Posted by ブクログ
●ボランティア活動への感動
・前半部分は読んでいると涙が出てくる
・人の優しさ、誰かを、他人を思いやって、自分の時間やあらゆるエネルギーを投資してきた人たちがたくさんいたことに驚く
・知らなかっただけだが、多くの人が、被災地を支援していたという事実に感心した。自分の見えないところで、いつも、誰かが、誰かのために、頑張ってくれているのだろう
●個人の手によって多くの被災者を支援できる時代
・役所や赤十字社に頼らず、支援の仕組みを作り上げた筆者
・ツイッター、フェイスブック、サイボウズLiveなどを駆使して多くのプロジェクトを実施した
●被災地の悲惨さ
・遺体は損傷が激しく、頭が取れていることなども多い。カラスが集まっているところにいって、探すなどしているとか
●やはりボランティア組織でも、問題はいつも人の感情
・ネガティブな感情が人を追い込む
・大切なのは、提案。まずは認めること
・抱えてから、ゆさぶること
・批判する前に、質問をすること
●成功の鍵はいつもシンプルである
・「構造構成主義」という概念が成功の秘訣である
→説明は一見単純。しかし、よくよく考えると、物事の本質を貫くようなものは、シンプルなのだ。分かりやすからこそ、多くの物事に対応させることができる
・構造構成主義においては、取るべき手段は、状況と目的によって変わると考える。何か状況が変わったなら、必ず取るべき手段が変わっていることに注意
●名前をつけること、役職をつけることの重要性
Posted by ブクログ
構造構成主義を専門とする西條さんが、東日本大震災で行ったボランティアの様子(人を助ける様子)をまとめた本です。
ボランティアそのものよりも、ボランティアの仕組み、ボランティア団体の組織の作り方・運営の仕方が「すんごい仕組み」になっています。
「状況」と「目的」に応じて「方法」を決める、という、言われてみれば当たり前の方法を、適切にそして素早く、東日本大震災後のボランティア活動に適用した結果が、「人を助けるすんごい仕組み」につながるわけです。
ボランティア活動の本としても読めますが、組織論の本としても読めます。
興味がある方は、是非、手に取ってください。
Posted by ブクログ
先日のITx災害会議でいただいた一冊。東日本大震災のときに「ふんばろう東日本」のプロジェクトがどういう経緯であれだけの支援ができたのか、とても参考になる未来につながる一冊だと思います。日本人みんなにオススメしたい。構造構成主義、この考え方は本当にどこでも活用できそうですね。震災以降も災害は続いているけど、災害を経験するたびに僕らも何をすればいいかわかってきていて、同じ過ちを繰り返さないように考え、スピードを反射の領域まであげていけるといいのかなと思いました。トレーラーハウス、1台確保しておけると便利かもしれないなとか。
Posted by ブクログ
さっちゃんさんからMaetakeへのプレゼント本です。
本はあの3.11の事件当日の著者の体験された状況から、支援に乗り出すきっかけ、そのプロジェクトが拡大していく過程での様々な出来事を検証する中で(ここまでは涙なしにはやはり読めませんでした)、何が効果的で何が反省点だったのか、今後の課題はなにか、そして最後に自分がこの本を書くその必然性のようなもの、について書かれています。
やはりこういった書評はありきたりの解説ではなく、自分が置かれた今の状況の中で何を感じたかを個人的主観として書くべきなのでしょうから、私自身の湧き上がった思いをあげると…
・関西に住んでいて、あの日、映像に食い入るように見つめていたこと、その中で一番情報が早かったのがツイッターだったため、ひたすらタイムラインを追い、大事だと思われる投稿をリツイートしていた頃を思い出します。組織づくりにおけるソーシャルネットワーク革命ともいうべき変化はまさに実感。しかしそれでも私はこの人と組織を知らなかった、ということの方が驚き(ショック)だったこと!
・この新たな組織づくりのコツ、これは今後様々な場面で、各自自らがアクションを起こす際に大いに参考になるなと考えたこと。きっとこのような事態が今後の長い?人生において必ずまたくるだろう、とも。
・年代が近いこともあり、自分ならどうするか?を考えた時に、組織が拡大する中で効果的な対応には眼を見張るものがある。その核が著者が書かれている通り、‘構造構成主義’という原理=アイデア=フレームワーク=無形の型であること。とても勉強になります。
・ほか響いた言葉としては、実名主義、5%理論、現場主義、トラブルを減らす7カ条、状況・目的の方法の原理、小魚の群れ、シンプル、beingとDoing、被害検証、トレーラーハウス仮設住宅、津波防災都市構造、などいろいろあるが、やはり「終わりに」で語られている、4歳の地震体験と10歳の頃に買った『いつか来る巨大地震に備える本』、そして自分たちの偶然最初に訪問した南三陸町が祖先のルーツだったこと、そこからこのプロジェクトを主導し本を書いたという必然性=運命=呼ばれ体験を記されていることに震える感慨を持ちました。そしてそうであるならば、このタイミングで私がこの本を手にとったということも(今までの2年ちょっと存在さえ知らずにいたということも含めて)何かの必然だと思っている。その心の声に、私も耳を傾けたい。
Posted by ブクログ
構造構成主義の著者の東日本大震災復興活動の書。
ボランティアの経験の無い著者が、ここまで大きなプロジェクトを成功させたことに驚きを禁じえない。構造構成主義が実践に役立つことが最高の形で証明されている。(もちろん本書にもあるように並々ならぬ苦労はあったにせよ)
岩田健太郎や京極真で構造構成主義には少し触れたことがあるが、更に興味がかきたてられた。
糸井重里の帯の言葉「岩をもうごかす理屈はある。」も秀逸。
Posted by ブクログ
うん、おもしろかった!!
~というのが率直な感想です。
「ふんばろう南三陸」については、ご縁のある方が携わっていたこともあり、初期のころから活動を知ってはいたものの。
具体的にどんな動きが起こっていたのか、なにゆえにそのような人の力を生かしてよりニーズにフィットしたアクションが起こせるのか?という疑問に細やかに答えてくれる章立てになっていました。ボランティアはもちろんですが、趣味で市民活動をしている観点からも非常に勉強になりました。
Posted by ブクログ
筆者が3.11以降「ふんばろう」プロジェクトを立ち上げ、
巨大化した組織をいかにまわしていったかを、筆者の専門
「構造構成主義」という小難しい理論を軸に語っています。
大事なのは「状況確認」と「目的の把握」。
実に単純明快!
この目的に集った力は、役所の公平主義や前例主義などの
障害を打ち破る力やスピードがあることを実証しました。
また、勢いで動いていた初期から、次第に
組織内部で発生してきたトラブルを減らす
7か条は、色々な組織に使えそうです。
後半には、
「ある組織や社会が衰退と滅亡に向かうときに、
一つの共通した現象が見られる。
それは個々人レベルでは、誰もがおかしいと
思っているのに、一部の利権などから社会や
組織全体は反対方向に進んでしまう、という現象だ。
組織が死に至る病、と言っていい」
というくだりがあります。
これも、小さな会社でも、大きな組織でも言える事。
常に、この組織の目的って何だったかと戻る勇気が必要ですね。
そして、ただ原発の是非をぶつけ合うのではなく、
どうしたら経済も停滞させることなく、
安全な代替エネルギーを普及させることが
出来るかという切り口で議論ができる
ベースや人の思いが出来たのではないか、と
感じさせてくれます。
糸井重里さんの「できることをしよう」と共に
読むべき一冊。
Posted by ブクログ
この本を読むきっかけは、テレビで西條上さんを見たことです。私自身が、震災から2年たって何もできなかったことがずっと心にかかっていました。仕事が忙しいとか、何が最善か考え込んでしまって結局何もできないと言う言い訳だらけで結局何もやらずじまいでした。
心に残ったこと
最善じゃなくてもとにかく動き始めることが大切である。 100人いれば100人から知恵を借りることもでき、次第により良い形に変えていくことができるが、何も始めなければ一歩も動くことができない。
個人的には、やっぱり原子力発電にはNOという考えである。発電所の隣に住んでいない、自分はNOと言うしかない、というのが今の気持ちである。
Posted by ブクログ
先日西條さんの講演会があり、それに参加したのをきっかけにして、この本を読みました。講演会でのお話も、この本の内容にも、うん、うん、なるほど!ほんとうにその通りだ!と納得することが多かったです。特に6~7章の組織運営についてのくだりは、自分の仕事やボランティア活動を続けて行く上で大変参考になりました。早速Facebookのふんばろう東日本支援プロジェクトのFunbaro_allグループに登録しました。今後、何かの形で活動したいと思っています。
Posted by ブクログ
もうすぐ2年がたってしまうのだが、段々報道が少なくなってきているし、ボランティア活動も下火になってきたと言われているので、あらためてあの日をきっかけにおこなわれたいろいろな活動を振り返りたくて手にとった。このプロジェクトの代表者、西条さんはほぼ日で紹介されるまで知らなかった。
でも読み始めるとすぐにファンになった。腰の低い、謙虚な姿勢で、よくNPOで活躍している大声で正義を声高にさけぶスタイルとは真逆だったのが好感がもてたからだ。「公平という呪縛」にとらわれがちな日本の組織の問題点とそれに関する対処策がとくに会社組織にも通用すると思った。この本はできるだけ大勢の人に読んでもらいたい。そしてこれからも支援を続ける人の輪を拡げていきたい。
Posted by ブクログ
ボランティア経験のない著者が東日本大震災のあとに立ち上げ、被災者支援に成果を挙げた「ふんばろう東日本支援プロジェクト」について、どのような難題をクリアするために、どのように支援の仕組みをつくり、プロジェクトを運営していったのかを具体的に解説。「ふんばろうプロジェクト」の仕組みや成果は確かに「すごい」と思えるものだった。東日本大震災に直面し、それに立ち向かった著者を中心とする人々のドキュメンタリーとしても興味深い。
本書の内容は、有効性のある組織づくりを考えるうえで有益だと思う。しかし、その鍵となる「構造構成主義」という著者が編み出した理論については、本書を読んだだけでは十分に理解できたとは言い難かった。方法の有効性は、「状況」と「目的」に応じて決まるというのが基本となる考え方のようだが、ある意味当たり前すぎて「ふーん」という感想しか持てなかった。
本書では、プロジェクトを進めるなかで直面した「行政の壁」についても触れられており、その原因として「前例主義」や「取引コスト」、「公平主義」などが挙げられていたが、行政関係者として耳が痛い指摘だった。
Posted by ブクログ
大震災というスピードと柔軟性を必要とするなかで、ボランティアという不確実な人々をいかに組織するか。
実践があるのでとても説得力がある。
成功の背景には筆者の説く構造構成主義があったから、という理由はちょっとよくわからないけど、示されているポイントは、ボランティアのみならず様々な組織運営に当てはまると思った。
ポイントを押さえて、いろんなアイディアを出すには、経験も必要だけど、学問も大切なんだなと感じた1冊。
Posted by ブクログ
仕組み自体がすごい、というわけではない(違う表現をするならば、シンプルかつ合理的過ぎて逆に当たり前と思ってしまうほどにすごいと言える)。
仕組み自体のすごさ以上に、このような仕組みを生み出した事象がすごい。これが構造構成主義によるものかどうかまでは判断できなかったが、あくまで、どこまでも純粋に、問題解決に向かっていたことは確かである。目の前の問題の先に新たな問題を設定することを意識的にしない。問題解決Aで得た利益を問題解決Bに投資し、というような投資的概念がここにはないからなのかもしれない。
Posted by ブクログ
サブタイトルは
「ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか」で、
まさにその通りの本でした。
著者の西條さんは「ふんばろう東日本支援プロジェクト」代表で、
早稲田大学大学院(MBA)専任講師です。
帯の糸井重里さんの推薦文がわかりやすいので、
全文引用します。
『岩をも動かす理屈はある。
「そこに方法がないなら、つくればいい」
西條さんの学問は、実戦的で痛快だ。
震災の状況だけでなく、あらゆる仕事の場で
役に立ってしまう本になったと思う』
最初は、地震の発生、そこからの著者の思いや行動などが綴られて進行していきます。
あっという間に組織の原型が出来あがりますが、
そのスピード感はほんとうに現実に即しており、
ただ、紙幅の都合上早まっているわけではないのです、当たり前だけど。
どういうプロセスを経て、このような大きくて機能的な支援組織が編まれたか。
それがこの本を読むとよくわかります。
細部の折衝なんかまではわからないところはありますが、
著者自身、組織や枠組みを作ったらそこにいる人たちに放り投げてまかせられる人です。
仕組みさえきちんとしていれば、ちゃんと動くのだ、
という信念とご自身のされている学問への自信がそこにはあるようですし、
実際、そうやってうまくいったボランティアモデルなんですよね。
要所要所で、著者の専門である「構造構成主義」に照らして行った行為だとして、
そのやり方が紹介されます。そのうちの「方法の原理」というのが、
今回とても有益に使われていて、それはこういうことで、
(1)状況と(2)目的によって規定される
ということでした。
_______
状況を踏まえて、目的を見定めつつ、その時点、その場で
有効な方法を考案すればいいという考え方である。
_______
と、引用すると上のような説明があげられます。
これはね、けっこう使える考え方なんじゃないかなと思いました。
知らず知らずそうやって「方法」を考えている人も多いでしょう。
それにしても、最初の段階で著者が被災地に足を踏みいれて、
その状況や被災者の話が載っている部分があるんですが、
今読んでみると、当時の、北海道に居ても感じた、
打ちのめされるような気持ちがよみがえり、
さらに、こんなにもひどかったのかという新たな生々しい情報を知ることにもなって、
この震災を忘れ去るべきではないなと思い返したくらいです。
遺体の損傷もひどかったみたいですね、言うのがはばかられるくらいに。
また、ちょっと考えたところは、P・F・ドラッカーの引用のところです。
これは、価値についての考察のところであり、僕が気になった文章は
まったく本書とは関係のないところなんですが、それはこういうところでした。
_______
「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問う。
_______
小売店で働いていた時に、お客さんが何を買いたいかだなと考えていた僕は、
上司に「何を売りたいか考えて、どうやって売れるかを考えて売るんだ」と言われた。
本部から、週末のセールはこれこれでチラシに載るから発注忘れるな、
みたいな感じで毎週やってたわけで、
本部としては顧客が買いたいものだとか旬のものだとかの合わせ技で出してきたと思うんだけど、
その数量とかを決めるのは末端の僕みたいな人でした。
そうなると、どれだけ売れるかを想像したり、過去のデータとか、
昔からいる人にアドバイスしてもらって発注することになる。
お客さんは買いたいかなと、そこで考えるわけです。
でも、「何を売りたいか」ありきだったんですよね、どっちが先かって言うと。
末端にいると、そこらへんひっくり返ります。
だから、「何を売りたいか」でポップを作ったり、置き場所を考えたりして商売してた。
店員は、もう、「どう売るか」なんですよねぇ。
何をどうやってさばくか、でやらされる。
ドラッカーを読んでると実はこういうところで末端の人はわからなくなります。
と脱線したところで話を本書の内容にもどして。
冒頭、糸井さんの名前が出たところで気がついた方もいらっしゃると思いますが、
本書の第5章になっている部分は、『ほぼ日』で行われた糸井さんと著者の西條さんの
まさしくこの「ふんばろう東日本支援組織」についての対談から
再構成されたものだったりしますので、その対談で西條さんを知っていたりもするでしょう。
また、ツイッターをよく使われていたようなので、地震発生まもない時点から
西條さんを知っている人もいるかもしれない。
そういう人に至っては、本書は僕よりももっと身近に感じて読めたりもするでしょう。
最後に、本書の印税全てと出版社にはいる収入の一部が、
このボランティア組織「ふんばろう東日本支援」におくられるとのことです。
いまもまだ、仮設住宅にはいられている被災者のひとたちって多いでしょうし、
この本で触れられているような、被災しながらも満足に支援をうけていない
人たちもいらっしゃるみたいです。
それを知ると、何もできない自分にはため息がでますが、
本書を買ったことでちょっぴり寄付ができて、さらに読んで状況などを知れたこと、
そして、明日へ繋がるような方法論に触れられたことは良かったなぁと思っています。
Posted by ブクログ
東日本大震災のボランティアをどうやって始め、進めていったかという話。
本の始めに震災当初のころの話が書かれていた。私的な話だが、震災の日の翌日に自分の結婚式が予定されていたことでそのことで頭がいっぱいだったことと、帰宅難民になり、車の中で一晩過ごしたことで、震災直後の様子をよく知らなかったことに思い当たった。本を読むだけでずんと落ちおんでしまうほどひどい状況に、自分のことでいっぱいいっぱいでこのことを直視できなかったことが本当に幸せなことだったんだなと思った。
内容は後半のところどころに、蛍光ペンで線を引きたくなるような、ビジネス書としていいことが書かれていて、いい本だと思う。
Posted by ブクログ
「未曾有の事態には、未曾有の自分になるしかない。」と自分の中のリミッターを外して震災ボランティアを立ち上げたプロジェクトの話し。ツイッターやフェイスブック、ブログといったSNSを駆使することでボランティア活動が瞬く間に大きくなって次々と成果を上げていく様子は、まさに「すんごい」。
プロジェクトを推進する方法論といった内容とは別に、震災時の現場の悲惨さや津波の恐ろしさなども記述されていてぼろぼろ泣きながら読んだ。
Posted by ブクログ
震災のボランティア活動を通じた、あらゆる目的を達成させる方法の考え方について語られた本。
素晴らしいと思ったのが、すんごい仕組みの中には、システマチックな構造だけではなく、きちんと人間の気持ちが組み込まれていること。
いくら方法が素晴らしくても、気持ちが動かなくてはお話にならない。
ボランティア活動は感謝がなくなったら崩壊する、のくだりでは、自分の普段の活動についても参考になる。もちろん、お金をもらえる仕事にも、感謝はあった方がい。
Posted by ブクログ
・方法の原理では、プロジェクトの有用性は、1)状況と、2)目的から規定される。
・現場の状況を踏まえた上での目的の設定。
・被災者と支援する側の関心事と期待値のマッチング
・計画はたてない。
・任せるとことは任せる。
・勝負ところにはリソース投入。
・やってよかったね。で終わる。
・モチベーションがすべて。感謝の気持ちがボトムライン。
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3.11の後、日本最大級の支援組織「ふんばろう東日本プロジェクト」をつくった、代表 西條剛央さんの記録
4人でのボランティアからはじめたことが、全国のひとりひとりの力を活かし、大きなプロジェクトになっていく過程と仕組み。固定的な方法も役に立たず、未知の状況で、変化の激しい環境のなか、必要なものを、必要な人に。協力したい人から、早く確実に届ける。
被災された方々のために、自分にできることをしたい、という思いの具現化のもとになるのは、構造構成主義=あらゆることを、しなやかに対応するための考え方。構造構成主義という理論があったからこその実現、でも、そのきっかけは、たくさんの偶然(もしかしたら必然)や、出会いの呼ばれたから。
自分は呼ばれたら気がつけるかな。
Posted by ブクログ
なぜ、日本ではジャスミン革命が起こらないんだろう?と思っていた、インターネット、SNSがこれだけ盛んなのに。
でも、日本では、SNSを利用したすんごい仕組みが動いていたのだった。
「ふんばろう東日本支援プロジェクト」あの大きな仕組みが、こんなにも個人的なきっかけで始まっていたとは...
「ふんばろう東日本支援プロジェクト」は、震災後の大混乱のなか生み出された仕組みだが、必ず来ると予想されている東南海地震、東海地震でもこの仕組みは有効に機能するだろう。
その日に備えるためにも、ぜひ一度読んでおくことを薦めます。
Posted by ブクログ
P283 公平主義からの脱却
「行政の足かせになっていたのが「全員に、完全に同一の物を、同時期に配らなければならない」という「公平主義」である。
なるほど。一部のクレーマーのおかげで行政が慎重になってしまう理由だ。
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現場に即した自由な発想で実行することのすごさ!
亡くなったおじさんへの思い、現地で目の当たりにする被災状況が胸を打つ。
質問は気軽に、批判は慎重に。
相手を認めてから提案する。
厳しすぎる攻撃を慎む。
初めての人にやさしく。
メールより電話、電話より直接話す。
休む時は休む。
目的を同じくして行動するものは、みんな仲間であり、味方であることを忘れない。
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著者 西條剛央氏は1974年生まれで、早稲田大学大学院(MBA)の心理学と哲学の専任講師を務めている。
過去にボランティア活動の経験は無かったが、「構造構成主義」を用い「ふんばろう東日本プロジェクト」を立ち上げ、日本最大級のボランティア・プロジェクトを成功させる。
本書は、その仕組みと支援の舞台裏を書いたもの。
阪神大震災のときも、全国から集まった多量の支援物資について保管と仕分けができずに被災者に届かなかったと聞いた。東北大震災では、その失敗を教訓にロジスティクスに詳しい人がボランティアとして支援していると聞いたような気がするが、事実を確認したわけではない。
確かに、『ホームページに、聞き取ってきた必要な物資とその数を掲載し、それをツイッターにリンクして拡散し、全国の人から物資を直送してもらい、送ったという報告だけは受けるようにして、必要な個数が送られたら、その物資に線を引いて消していく。そうすれば必要以上に届くこともない。また、仕分ける必要もなければ、大きな避難所や倉庫で物資が滞ることもない。必要としている人に必要な分量。直接送ることが可能になる。』というのは、いい視点だ。
これを支援してくれる人たちを見つける手立てもインターネットというあたりが、阪神大震災との大きな違いだ。インターネットの使用環境が全く違う。
時代は変わるので、以前の成功も失敗も鵜呑みにしてはダメ。
だから、現地を見て、状況と目的から方法の有効性を考えるというのは面白い。
ただ、本としては、今一つ分かりにくい。ノンフィクション作家が書いた方が格段に面白いものになっただろう。
ボランティアの組織運営上の苦労話は、目新しいものはないが、改めて組織運営の参考になった。
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ほば日で紹介された、西條剛央さんの本
構造構成主義を元にした、東日本大震災でのボランティア活動について解説している。
一番面白いのは、ほぼ日の対談を西條さん視点で再編成した5章だ、
構造構成主義とは、何にでも通用する原理を研究するもので、状況と目的をポイントに有効な方法を見つけるというもの。
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東日本大震災の時、ボランティアを一番大きく動かした西條さん。 どのようにこの仕組が生まれ実践されたのか? これは多くの人が活かせる点が多いものだと思います。これからの時代の考え方、資本主義の未来。 そういう意味でも学びの多い本だと思います。
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東日本大震災における被災地支援の大きなうねりの一躍を担ったプロジェクトの活動の様子と、ボランティアの集合体という無形なものを、いかにして実態ある組織にまとめ上げたのか、その内部構造が良く分かります。
ボランティアに参加したことのある人、あるいは、ボランティアと被災者をマッチングする立場に立ったことのある人は、その組織化と運営がいかに難しいことなのかを実感しているはず。
私自身、何度もボランティアに参加し、そしてNPOの運営に携わっている者として、本書は、組織運営のお手本として大いに参考になった。
組織論としては、ビジョンの共有、目標の設定、プロジェクト組織の有効性、権限移譲と情報共有の重要性などについて読み取ることができる。
「ふんばろう」とは別に、私自身、仲間と一緒にNPOを立ち上げ、今も支援活動を続けている。また、NPOの仲間とは別に、継続的に現地で活動を続けている知人もいる。
私自身も含め、皆それぞれの思いを抱えながら、今も活動を続けているのだが、本書ではあまり触れられていない、そんなボランティアの様々な思い。それを、「今の思いの記録として文章に記しておきたい。」と、本書を読んで、改めてそう感じた。
皆それぞれが、それぞれの思いを記すことで、
様々な人達の共感を生み、うねりは伝播し、より良い未来へとつながっていくはず。そう信じたい。