西條剛央のレビュー一覧
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この本を読むきっかけは、テレビで西條上さんを見たことです。私自身が、震災から2年たって何もできなかったことがずっと心にかかっていました。仕事が忙しいとか、何が最善か考え込んでしまって結局何もできないと言う言い訳だらけで結局何もやらずじまいでした。
心に残ったこと
最善じゃなくてもとにかく動き始めることが大切である。 100人いれば100人から知恵を借りることもでき、次第により良い形に変えていくことができるが、何も始めなければ一歩も動くことができない。
個人的には、やっぱり原子力発電にはNOという考えである。発電所の隣に住んでいない、自分はNOと言うしかない、というのが今の気持ちである。 -
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もうすぐ2年がたってしまうのだが、段々報道が少なくなってきているし、ボランティア活動も下火になってきたと言われているので、あらためてあの日をきっかけにおこなわれたいろいろな活動を振り返りたくて手にとった。このプロジェクトの代表者、西条さんはほぼ日で紹介されるまで知らなかった。
でも読み始めるとすぐにファンになった。腰の低い、謙虚な姿勢で、よくNPOで活躍している大声で正義を声高にさけぶスタイルとは真逆だったのが好感がもてたからだ。「公平という呪縛」にとらわれがちな日本の組織の問題点とそれに関する対処策がとくに会社組織にも通用すると思った。この本はできるだけ大勢の人に読んでもらいたい。そしてこれ -
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ルポから思想まで豪華布陣だが、宮台さんの激憤しながらの筆致が鮮やか。『「ファストフードからスローフードへ」と同じく「原子力から自然エネルギーへ」も日本的に勘違いされるでしょう。〈食の共同体自治〉の問題が、食材選択の問題に短絡したように、〈エネルギーの共同体自治〉の問題が、電源選択の問題に短絡するでしょう。(略)原発災害からの学びがその程度で終わってしまうのですか。』pp.384-385. まさにそこなのだ。設計の悪い世論調査と内閣支持率に翻弄されて愚昧な二択に落とし込んではいけない。そこで一般意志2.0の登場なんだろうな。東さんと宮台さんと津田さんは全く方法論が違うけど、震災をきっかけに議論が
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本の雑誌・年間ベストから。作者の字面、見覚えがあるよな~と思っていたら、いつかその著書を読んで、他のものも是非、と思っていた方だった。そういう意味でも惹かれた一冊。論旨は、大川小学校で突出して見られた被害を、丁寧に紐解くもの。その中で、色んなバイアスにも言及があり、実践に役立つ防災の知識も身につく。大震災のあとの余震という見方でなく、そのまえの前震という考え方は、予測のつかない自然の驚異と向き合うにあたり、大きな示唆を与えるものと考える。それにしても、こんな大きな災害下にあってさえも目につくのが、お上の隠蔽体質っていうのが泣けてくる。
以下、敢えて言うなら、なんだけど、本書が論文の延長上のもの -
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ネタバレ本書は「目的に応じたチーム、ひとりではできないことを達成するためのチームをどのように作ることができるか」というテーマについて、構造構成主義に基づく3つの原理(価値の原理、方法の原理、人間の原理)を元に説明している。
3つの原理に通底するのは、関心相関性原理、言い換えれば「物事の価値や意味は関心に応じて立ち現れる」という原理である。少し単純化してまとめれば、チームが掲げるビジョン、追求する指標、方法の選択、人選といった物事を、チームの目的に即して決定することが肝心である。これが本書から得られる知見である。
ところで本質に即したチームの目的という関心と、人間的な自己保存の関心は表面的なところではと -
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物事の本質からなる原理を解き明かす「構造構成主義」に基づいて、組織や活動を作り上げるにはどうしたらいいかを解説した本。
東日本大震災への支援組織「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を立ち上げ、運営し、目標達成の末解散した際の具体的経験を例に説明が進むのでわかりやすい。
理念が大事で、きちんと明文化すべき。
目的と状況に応じて、最適解は変わってくる。
話し合いのルールは、何でも言い合うのではなく、状況と目的に合った代案を出すこと。
同じ問題関心を持った人が集まってチームを作ること。
どれもなるほど、と思う。
実行には難しいものもあるけれど。 -
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ネタバレ構造構成主義という独自理論からチームの在り方を提唱している。ただ、独自理論というが言っている事自体は、そうだよねって感じなのだけど理論化することで汎用性をもたせられるところに価値はありそう。
チームとはそもそも何か?からミッションや目的の重要性を再考したり、深く掘っていく姿勢はすき(実際には本書では端的にまとめられちゃっているが)
また組織とチームの違いとして、時間軸でとらえた一過性のものをチームとすることで、最終的には「なくなるべき」と主張しているのはとても賛成。
あとは構造構成主義の根本原理に関して展開しているお話だった。
「戦略と実行」でも言われていたことが理論化されていたのが価値 -
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ボランティア経験のない著者が東日本大震災のあとに立ち上げ、被災者支援に成果を挙げた「ふんばろう東日本支援プロジェクト」について、どのような難題をクリアするために、どのように支援の仕組みをつくり、プロジェクトを運営していったのかを具体的に解説。「ふんばろうプロジェクト」の仕組みや成果は確かに「すごい」と思えるものだった。東日本大震災に直面し、それに立ち向かった著者を中心とする人々のドキュメンタリーとしても興味深い。
本書の内容は、有効性のある組織づくりを考えるうえで有益だと思う。しかし、その鍵となる「構造構成主義」という著者が編み出した理論については、本書を読んだだけでは十分に理解できたとは言い -
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本書は「ふんばろう東日本震災支援プロジェクト」で中心的役割を果たされた、西條氏のチームマネジメント手法を中心に展開していく。新しい組織マネジメトの方法論として提起される構造構成主義の概念は、本書で初めて聞く考え方であった。
構造構成主義は次の三つの基本原理に基づく。
1)価値の原理:すべての価値は、目的、関心、欲望に応じてたちあらわれる
2)方法の原理:方法の有効性は、目的、状況によって決まる(変化する)
3)人間の原理:人は関心に応じてたちあらわれた価値を欲して生きている
我々が実施してきた過去の多くの組織運営においては、経験に基づく知恵の体系化により、多くのマニュアル、ガイドライン、ル -
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構造構成主義による「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の運営を丁寧に説明していて、なるほど構造構成主義とはこういうものかとある程度分かりました。
しかし、構造構成主義というツールを使ったからといって、著者のような家電プロジェクトや重機プロジェクトを思い付くわけがないと感じました。つまり、構造構成主義を勉強しても素晴らしアイデアが出てくるわけではない、著者の発想力や閃きが日本最大級のボランティア団体を作ったのだと感じます。
信念対立の解消には、お互いの立場に基づく関心から出発すれば良いと言いますが、この件がどうも引っ掛かります。本書や前書を読むと、『○○という前提(関心)があるなら××になる』