岡本亮輔のレビュー一覧
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「日本人は信仰心が薄い」逆に「日本では八百万の神が浸透していて特別に礼拝したりしないから信仰心がないように見える」などと、日本人の宗教観を語る上ではよく言われる。
この本では、まず宗教を「信仰」と「実践」と「所属」に要素分解し、それによって日本人の宗教との向き合い方を分析しようとしている。
葬式仏教では「信仰」なき「実践」、神社では「信仰」なき「所属」、スピリチュアル文化は「信仰」と「実践」が消費される。また、結婚式のキリスト教も「信仰」なき「実践」の一つで、学校のキリスト教がブランドとして存在しているのも日本の特徴である。
また、かつて「病貧争」からの救済を謳って発達した新宗教も、豊か -
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ネタバレ葬式仏教上等っていう話。
科学が発展途上の段階では人類にとって宗教は必要な機能であったけど、ある程度科学が発展すると宗教は衰退していく。
それぞれの国や地域で文化や習慣と深く結びついているのでなくなりはしないと思うけど、宗教との距離感は文化保存という意味では葬式仏教くらいがちょうど良いんじゃないかな、と。
信仰は神や宗教ではない別のモノに対象を移して消えずに残っていくと思うけど。
最初から最後までとても読み易く大変面白かった。
p. 151
ヒッチンズの戦力として知られる定型句に、「根拠のない主張は根拠なく否定してよい」というものがある。「神が実在する」という途方もない主張を -
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「死」を学際的に検討する過程で、よりよい「生」とは何かについて考えされさせられた。死とは生物学的な個体の絶命という意味を超えた観念であると感じた。死者を弔うのは他者であるが、その死者の存命中はもちろん、死後に至っても相互作用の中で誰かの自己と社会が形成されていく。そのような「分人」的観点で捉えると、「死」は自己完結するものではない。また、「弔う」ことの本質は儀式という表層的なものではなく、生成変化を伴う生者と死者の社会的な共生だと思った。
一方で、テクノロジーによって新たに生じる死者の権利、死後労働の観点は非常に悩ましい。生命はその有限性によってこそ輝くが、死後も残り続ける SNS 上の情報や -
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岡本亮輔著『宗教と日本人』のレビューです。
「日本人は無宗教」に代表される日本独特の宗教観を理解するために、「信仰」「所属」「実践」の三つの要素から実態を解釈する立場で書かれています。
ある種の思考実験のようで、このような理論のある本は面白くて好きです。
ちなみに、新宗教は形式的にキリスト教と類似する、とされ、本書の主な対象からは外れています。
キリスト教では信仰中心(信仰していることを前提)に教会への所属の有無が語られてきたようですが、日本では信仰の有無とは別に、実践や所属が存在すると考えられます。
実際、海外向けには神道は"religion"ではなく"Ja -
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学生時代、本書に出てくる「創造論者側」の代表格であるID論や、それに対するパロディ宗教スパモン教といった話題がたびたびネット上で挙がっていたことを思い出した。当時はよく背景を知らず、「へー馬鹿なことやってんなー」程度にしか感じていなかったが、100年もの歴史をもつ根深い問題だったとは。
とはいえ、タイトルでvsと煽るほど創造論者と無神論者は直接対決しているわけではない。
本書で紹介される「創造論者」は進化論と創造論が同列、あるいは創造論優位となるように教育現場に介入しようとする政治集団の性質が強い。彼らは科学者を議論の場に引きずり出し、「白熱した議論=自説にも一定の確からしさがある」と錯覚さ -
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ネタバレ宗教的なものの流行に興味があり、読み始めた。大きな活力にもなるし、極端にいえば人を殺す動機にもなるもの。「これさえ信じておけば私は生きていける」という思考の危うさを、説明できるようになるかもしれないと思った。
この本のオリジナルな点は、宗教を信仰・実践・所属の三要素に分解し、個人を中心とする現象として注目するところ。
印象的なフレーズ
「消費者優位のスピリチュアル・マーケットで主題になるのは、魂の救済ではなく、心身の癒しや気分転換だ。」
「問題のある世界を作り変えるのではなく、そうした世界を少しでも快適に生きるための道具として宗教が利用されるのだ。」
人は変えられないから自分が変わるしかな -
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20世紀以降における科学と宗教の対立について、主にアメリカやイギリスでの論争を中心に、その社会的情勢を取り上げるノンフィクション。
登場人物がとにかく多いのと、著者の文体がやや個性的で幾分読みづらかったものの、具体的な逸話やそれぞれの論の概要、論者についての考察が面白く、興味深く読み進めた。
個人的には宗教は既に役割を終えつつあると思うが、それでも宗教や信仰を徹底的に糾弾する新無神論にはなんとなく立ちづらく、科学と宗教の擦り合わせを志向したくなるが、宗教に起因する悲惨な事件や本書での創造論者の工作活動を見ると宗教廃絶をついつい考え、立ち位置を定めることの難しさを思う。
本書で取り上げられている -
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パロディ宗教による伝統宗教への反逆、進化論教育をめぐる猿裁判や公聴会、真無神論者の登場と戦線の拡大などを取り上げ、創造論者と無神論者の100年にわたる闘いの歴史を描く。
個人的には、キリスト教的な全知全能の神については無神論だが、アニミズム的な人智を超えた存在については証明はできないがあり得るのではないかと思っており(不可知論?)、神の存在に関係なく文化としての宗教については重要だという立場だが、本書で紹介されている創造論者と無神論者の「百年戦争」の顛末について面白く読ませてもらった。
自分としてはやはり無神論に軍配が上がるように思ったが、アメリカをはじめ先進国でも無神論者は少数派で「人間は1 -
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これはめちゃくちゃ面白くて読む手が止まらなかった!
主にアメリカでの、創造論者と無神論者との戦いの歴史について書かれた本。
創造論者が学校の授業にまで口を出して進化論を教えないようにするところがびっくりしてしまった…この時代に?人間は神が作ったと教えるのか?と。でもこれも日本人だからよりそう感じるのかも。そう思うと創造論者が力を持つと将来的に国が衰退していくのでは(というか昔のような感じになる)とか、でも今まで神や聖書を信じることで学んでた道徳心はどうなるんだろう?とか、良い塩梅がわからなかったが、終章にある「流用モデル」がなんだかんだ一番共存できるのかなと思った。
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生命の起源や多様性の説明として、進化論と創造論の2つの論がいかに論戦を繰り広げてきたか、それぞれの論客にはどのような人物がいるのかを掘り下げた本です。マジメな本だけどどこかエンタメ感のある筆致でとても読みやすかったです。
この世の成り立ちを説明するのは科学か宗教か?
筆者は基本的には科学的、合理的な立場に視点を置き、キリスト教原理主義者のような極端な論説の矛盾を指摘。そして9.11の同時多発テロ事件以後は、リチャード・ドーキンスに代表されるような「反神論者=積極的にあらゆる宗教に反対する者」の台頭により、無神論的な考え方が啓蒙されつつある状況を示しつつも、宗教と科学の折衷を目指す科学者らの -
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実に面白く読んだ。
著者は宗教という言葉をスポーツと同じく、大まかなカテゴリーを指すものという。そして野球とサッカーを比べてどちらが本物のスポーツかと問うのが無意味であるように、各地域、各時代の宗教を比較してどれが本物の宗教かと決めるのも不毛であると。
信仰を軸とする宗教組織という、欧米のキリスト教をモデルにするから、日本人は無宗教だと思い込んでしまう。だが、信仰を中心とせず、実践と所属という要素に注目することで、日本人と宗教の関係がよく見えてくる。日本人は決して無宗教ではない。
本書の結論は、「世俗社会に合わせて、宗教は、人間集団を規範的に統制するものから、個々人の働きかけによって消 -
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そもそも観光の対象とは、ほぼ宗教的な場所、動機が発生するところであり、民衆の憂さ晴らしにも支配者側の支配のツールでもあったこと
宗教文化の観光用商品化、経済的な利用、
宗教への意識や向き合い方の変化による巡礼の多様化、
目的地ではなくそのプロセスを重視する信心によらない巡礼行、
サンチャゴ巡礼(コンポステラ、、、私的なタイミングとしてちょうどこの本読んでるときアバンタバンの篠田くん本を模索舎で発見し、コンポステラという音楽グループ始めたとき篠田くんが、コンボステラ星の巡礼の道があるんだよ、いいよねって笑っていたのを思い出した)
サンチャゴ巡礼をカトリック信仰のものとしない例としてのシャーリーマ -
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世俗化と私事化が進展した社会における宗教の位置づけを「聖地巡礼」を軸に紐解く一冊。
サンティアゴ巡礼については寡聞にして知らなかったため、第2章は特に面白く読みました。
信仰のない現代の巡礼者にとってはサンティアゴ大聖堂の聖遺物は旅の目標にはならないため、代わりに徒歩巡礼を選び、サンティアゴまでのプロセスに意味を与えているのだといいます。
「インタビューや無数の巡礼記からは、他者との交流体験、つまり巡礼仲間との出会いや別れに高い価値が置かれている様子がうかがえる。」(第2章 3 ゴールより重要なプロセス オスピタレーロとゲスト同士の交流)
そして、「信仰者の巡礼体験が本物で、信仰なき巡礼者の -
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<目次>
はじめに~物語都市・江戸東京の魅力
序章 流動する聖地
第1章 アニミズムの聖地~世界的大都市における自然崇拝
第2章 ビルのはざまの聖地
第3章 重なり合う聖地~江戸・帝都・東京の多層性
第4章 慰霊と追悼の聖地
第5章 流行神の聖地
第6章 フィクションが作り出す聖地
第7章 塔と聖地
終章 物語の強度が生み出す聖地
<内容>
気鋭の社会学者による東京論。東京は江戸の時代、明治期(帝都期)、そして戦後の現在のTOKYO、と移り変わりながら重層的に物語が積み重なり、見事な「聖地」となっている。著者は「聖地」を「場所に対する人間の語りや振る舞いに」注目して、如