【感想・ネタバレ】創造論者vs.無神論者 宗教と科学の百年戦争のレビュー

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Posted by ブクログ

20世紀以降における科学と宗教の対立について、主にアメリカやイギリスでの論争を中心に、その社会的情勢を取り上げるノンフィクション。
登場人物がとにかく多いのと、著者の文体がやや個性的で幾分読みづらかったものの、具体的な逸話やそれぞれの論の概要、論者についての考察が面白く、興味深く読み進めた。
個人的には宗教は既に役割を終えつつあると思うが、それでも宗教や信仰を徹底的に糾弾する新無神論にはなんとなく立ちづらく、科学と宗教の擦り合わせを志向したくなるが、宗教に起因する悲惨な事件や本書での創造論者の工作活動を見ると宗教廃絶をついつい考え、立ち位置を定めることの難しさを思う。
本書で取り上げられている事例は大半が英米のものなので、それ以外の国や地域での宗教と科学あるいは世俗主義の対立に関しても読んでみたくなった。

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

対立構造で書かれているので仕方ないが、攻撃的排他的な論調が目立ち深みという観点では物足りなかった。
科学側が知的に勝って政治的に負けたというような下りもあったが、全編を通して見ると宗教側は侵略されるばかりで戦争という体ではなかったように思う。現実がそうだから仕方がないとも言えるだろうが、読み物としてはもうひと工夫欲しかったかなというのが正直なところ。
舞台の違いか、「宗教と日本人」のほうがスッと入ってきたかな。

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2024年04月10日

Posted by ブクログ

パロディ宗教による伝統宗教への反逆、進化論教育をめぐる猿裁判や公聴会、真無神論者の登場と戦線の拡大などを取り上げ、創造論者と無神論者の100年にわたる闘いの歴史を描く。
個人的には、キリスト教的な全知全能の神については無神論だが、アニミズム的な人智を超えた存在については証明はできないがあり得るのではないかと思っており(不可知論?)、神の存在に関係なく文化としての宗教については重要だという立場だが、本書で紹介されている創造論者と無神論者の「百年戦争」の顛末について面白く読ませてもらった。
自分としてはやはり無神論に軍配が上がるように思ったが、アメリカをはじめ先進国でも無神論者は少数派で「人間は1万年前に神によって創造された」といった信念を持つ人も無視できない一定数いるという実態に鑑みると、論理だけでは片づけられない宗教の根深さがあるのだなと感じる。
本書でも言及されているが、本物の宗教とパロディ宗教の違いというのも確かに説明困難といえ、個人的に神が実在するか否かに関係なく(伝統的な)宗教は尊重すべきとも思ってはいるのだが、宗教自体の虚無性にも思いを至らされた。宗教について考えを深めさせてくれる1冊であるといえる。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

聖書原理主義者の存在や、それにまつわる裁判の話も聞いたことがあったが
裁判の背景や科学者によって異なる宗教との向き合い方などが書かれていて、
とても面白かった。

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2024年03月12日

Posted by ブクログ

これはめちゃくちゃ面白くて読む手が止まらなかった!
主にアメリカでの、創造論者と無神論者との戦いの歴史について書かれた本。
創造論者が学校の授業にまで口を出して進化論を教えないようにするところがびっくりしてしまった…この時代に?人間は神が作ったと教えるのか?と。でもこれも日本人だからよりそう感じるのかも。そう思うと創造論者が力を持つと将来的に国が衰退していくのでは(というか昔のような感じになる)とか、でも今まで神や聖書を信じることで学んでた道徳心はどうなるんだろう?とか、良い塩梅がわからなかったが、終章にある「流用モデル」がなんだかんだ一番共存できるのかなと思った。

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2023年12月24日

Posted by ブクログ

人間は一万年前に神によって創造された。
と、アメリカ人の40%が信じている。
アメリカの科学者の33%は神を信じる。
という事実にびっくり仰天。
でも
レベルの高い研究系の大学に勤める科学者に限ると、信仰者は23%。さらに、米国科学アカデミーの会員に限れば9割以上が無神論者か無宗教者。
と聞いて安心

無宗教や無神論者というと日本でもヒトデナシのように見られそうけど、科学的には当然でごく自然な考えだと確認できて良かった。

パロディ宗教に笑った。

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2023年12月05日

Posted by ブクログ

生命の起源や多様性の説明として、進化論と創造論の2つの論がいかに論戦を繰り広げてきたか、それぞれの論客にはどのような人物がいるのかを掘り下げた本です。マジメな本だけどどこかエンタメ感のある筆致でとても読みやすかったです。

この世の成り立ちを説明するのは科学か宗教か?

筆者は基本的には科学的、合理的な立場に視点を置き、キリスト教原理主義者のような極端な論説の矛盾を指摘。そして9.11の同時多発テロ事件以後は、リチャード・ドーキンスに代表されるような「反神論者=積極的にあらゆる宗教に反対する者」の台頭により、無神論的な考え方が啓蒙されつつある状況を示しつつも、宗教と科学の折衷を目指す科学者らの影響力もページを割いて紹介。ドーキンスのようなスター科学者の思わぬ弱点についての筆者の考察もあり、とても勉強になりました。

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2023年09月19日

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