阿古真理のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
書名に心のなかを見透かされたような気がして、ドキっとしながら手に取る。
本書は、作家であり生活史研究家である著者が、家庭料理を主に女性がどのように担ってきたか、歴史をふまえながら論じた本である。
史実やインタビュー、文献引用が非常に充実している。
冷静で淡々とした語り口も良い。
特定の価値観や主義主張を押しつけるようなことがほとんどないので、落ち着いて読め、一冊を閉じるころには、現代の食卓がいかに複雑な歴史と価値観が混在する結果になっているかが、自然と頭に入るようになっている。
読みながら、ふと今の私が生きる社会って、料理に対する「こうあるべき」や「こうしたら良い」という情報は溢れる一方で、残業をともなう仕事をもつ人間が現実的にどう料理することが「正解」なのか、実は答えが用意されていないんじゃないか、ということに思いいたる。
試しに私の中の漠然とした「良い料理」のイメージを、思いつくままに挙げると、
1.手作りである
2.手間をかけずに作っている
3.手間をかけて作っている
4.加工食品を上手に取り入れる
5.なるべく素の材料で料理するのが良い
6.農薬とかも気になる
7.食費は上手に節約するのが良い
8.やはり母の作っていた食卓が理想である
9.とはいえ、専業主婦の時代が長かった母と、仕事についている私とでは生活が違いすぎるから、それ相応になんとかしないと
etc.
って、矛盾だらけで、こんなの全て満たす正解なんてあるわけがない!(笑)
そもそも、長いあいだ実家暮らしをしてきた私の料理の腕が足りないし!
全く余談だけど、この本を読んでいたお正月休み、二人家族の夫と同時にインフルエンザをわずらい、家庭が閉鎖する目にあった。
少し体調が回復してきた日、とにかく水炊き鍋だけ作ろうと、白菜をざくざく切って湯気の上がる鍋に入れていたら、体は辛かったが料理できることがしみじみ嬉しかった。
料理は生きる権利である、と著者はいう。
うん、料理は女の義務ではなく、大人の権利だと思う。
そして、働く人誰しも、毎日簡単なご飯をつくって食べられる生活を送れるような社会を設計することが、大人の義務なんじゃないか。
少しずつでも、そんな社会になればいいのになと思った一冊でした。 -
Posted by ブクログ
「パンと日本人の150年」とあるように、日本人とパンの関係は深いものになり、パンのない生活なんて考えらないという方もいるくらい親密なものになっている。
パンの世界も昔からあるアンパン、クリームパン、メロンパン、カレーパンと言った日本で作られて今も人気のあるパンから、フランスのパンも食べられるというパンが好きな人にとってはたまらない状況になっている。
パン好きな街として知られる神戸。その神戸で、重要な役割を果たしていたのがドイツ人だったとは知らなかった。知らなかったと言えば、デニッシュを導入したのがあのアンデルセン。たまに買って食べるが、サクサクした生地と甘いクリームの組み合わせがたまらない。
日本のパン事情のみならず、西洋のパン食文化にも触れていて読んでいて腹いっぱいになる。文庫本にしては盛りだくさんな内容だ。
コンビニ、スーパー、デパ地下、商業施設の店、個人経営の店などパンを打っている店がたくさんあり、しかもパンの種類が豊富にあり迷うくらいだ。これからもパンがどのようになっていくのか気になる。 -
Posted by ブクログ
日本での今につながるエスニック,タイ料理の人気は意外と最近ということと,少数のパイオニアによって広がったということが興味深い.タイにおけるタイ料理自体も.経済成長に伴って屋台が増えてという背景で思ったより近代.日本人の食への執念が感じられた.
北インド式の重めのカレーから南インドの日常的なミールスへのシフト,関西の出汁文化との相性.大阪でスパイスカレーが増えているのは大阪メトロのコラボもあったりしたので同感.
料理本と雑誌,店を開いてきた人からのインタビューを通じてよくまとめたと感心.
これから行くアジア飯屋も本書のような目線で料理を見ると面白いかもしれないと感じる. -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次を見るだけで、「おお、確かに何故なんだろう?」と思えるということは、目の付け所がいいんだろうなあ。
紅茶の美味しい喫茶店が、関西に比べて東京に根付かないのは、東京の水は硬いからというのは、自分で気づきたかったなあ。
カステラが和菓子なのは、バターを使っていないからと言われれば、確かに!
名古屋の人があんこが好きなのは、お茶の文化があるから、とか、山形の食文化が特別なのは、明治の時代に取り残されて、古い食文化が残っているから、とか、いろいろと面白かったけれど、疑問もいくつかある。
牛乳豆腐は道東のソウルフードみたいな見出しだったけど、あれは酪農が盛んな地域のソウルフードなわけで、千葉県の鴨川でも同じようなものを「チッコカタメターノ」という名前で食べている。
本文でもそれに触れているから、知ってた上でのそういう書き方か…と、ちょっと残念。
あと、大阪のうどんは汁まで飲み干すものだと何度か書いてあったけど、私が何回か食べた大阪のうどんはしょっぱくて、汁などとても飲めたものではなかった。
京都のうどんは美味しかったけど。
ご当地グルメは現地で食べるに限るというのは、私も同感。
というのは、時々「これであってるの?」みたいな代物を、現地じゃないところで食べたことがあるからだ。
現地で食べてそう思ったのなら、「好みの味じゃないんだな」で終わるけれど、現地じゃないと「これであってるの?」といつまでも気になってしまうから。 -
Posted by ブクログ
日本の肉じゃがは、その始まりから歴史の変遷の中で、
価値観や生活と共にレシピも変化していった。
また、世界各地にも肉とじゃがいもを使った煮物がある。
そんな日本と世界の肉じゃがを多くのレシピで紹介する。
・はじめに
1章 肉じゃがとは何か? 2章 日本の肉じゃが
・肉じゃがの歴史 ・日本の肉じゃがレシピの決まりごと
3章 日本の肉じゃがレシピ ・日本の肉じゃがレシピ分布図
4章 世界の肉じゃが ・世界の肉じゃがMAP
・世界の肉じゃがレシピの決まりごと
5章 世界の肉じゃがレシピ
・世界の肉じゃがレシピの主な参考文献
6章 肉じゃがの結論 ・主な素材別レシピ索引
・おわりに
・レシピ以外の参考文献 Special Thanks
Column1~5
明治時代の肉とじゃがいもの出会いから
“おふくろの味”肉じゃがが誕生した。
明治から現在までの歴史の歩みの中で、多くの料理人や
料理家、料理学校が、雑誌や本で様々な肉じゃがのレシピを
創り出した。最初の尚道子、ザ・和食な辻学園、
村上明子や栗原はるみ、小林カツ代、城戸崎愛、平野レミ、
笠原将弘、きじまりゅうたなどのレシピが花を添える。
更に、世界各地には肉とじゃがいもの煮物のレシピが数々存在する。
スウェーデンのフェーマンスビッフ、
スペインのじゃがいもとチョリソの煮込み、
エチオピアのアリチャなど、その地域ならではの調味料で
味付けしているが、見た目は肉じゃが。美味しそう!
ただ、スープやシチューもあるのが気になったけど。
日本のレシピは作り手の個性で同じようでも違っているし、
大家族から共稼ぎ、コロナ禍、一人暮らしなどの家での変化や、
電子レンジなどの家電や調理器具の変化、
狭い単身者用の台所など、時代の変化に寄り添いながらも、
今でも肉じゃがが存在しています。うん、食べたくなった。