【感想・ネタバレ】小林カツ代と栗原はるみ―料理研究家とその時代―のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年04月10日

この本に出てくる料理家は有名人ばかりなので知っている。
どの時代のどの料理家にも思いがあり、学ぶべき事がたくさんある。
久しぶりに料理がしたくなってきた。

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Posted by ブクログ 2019年01月13日

小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代。阿古真理先生の著書。昔は料理研究家といえば女性で、女性の料理研究家が女性のために料理を教えていた時代。今は男性の料理研究家がとても増えて、男性の料理研究家が男性のために料理を教えることも増えている。料理は女性がするべきもので料理下手な女性は女性失格、そん...続きを読むな時代遅れの既成概念が変わりつつあるのは素晴らしいこと。そして料理上手な男性が魅力的な存在とされているのも素晴らしいことだと思います。

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Posted by ブクログ 2015年10月27日

非常に面白い。
料理研究家の変遷とその背景が、女性の社会進出とともに端的に書かれている。
登場人物については深掘りしつつ、さらっと書いてあるが、膨大な資料からの分析が気持ちいい。
惜しむらくは参考文献が書かれていないことだろう。
なお、サブタイトルが主であり、女性二人の名前はアイキャッチ的な意味合い...続きを読むである。

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Posted by ブクログ 2015年09月04日

料理家と人気レシピから読み解く近代女性史。スバラシイ!
カツ代&栗原レシピは私の料理の基礎でもある。時短メニューとおばさん風のカツ代さんを、社会も見つめる「アーティスト」、カリスマ栗原さんを、野暮ったさが魅力の「アイドル」と看破するのはお見事。
ビーフシチューと肉じゃがのレシピを比較しながら...続きを読む、哲学者のごとき辰巳、徹底した美意識の有元…と的確に各料理家を分類、こちらの頭の中でも再編成とラベリングが行われてスッキリ。男性じゃなく「男子」料理家への目配りも楽しい。
あー、こんな面白い新書はほかにないわ

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Posted by ブクログ 2015年09月03日

小林カツ代も栗原はるみも、とても身近な料理研究家。実家には「ごちそうさまが聞きたくて」があるし、家には「決定版 小林カツ代の毎日おかず」がある。今でもたまに参考にしているけれど、それぞれの料理研究家の背景まで考えたことがなかった。また、時代により求められる料理研究家が変化していることも知らなかった。...続きを読む
ビーフシチューのレシピ比較も、面白かった。
ゆっくり料理がしたくなった。

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Posted by ブクログ 2024年03月01日

洞察が深い一冊。
料理が苦手な主婦が存在するようになった背景に対する考察などもあり、興味深かったです。
それぞれの料理研究家のビーフシチューのレシピを比較しているところも面白い。
どの料理研究家もポリシーがあるところなど、確かにそうだなと気付かされました。

料理研究家それぞれの特徴をズバリと述べて...続きを読むいるのも凄いです。
有元葉子→ずば抜けたセンスの持ち主
藤野真紀子→美人
コウケンテツ→イケメン
辰巳芳子→オレンジページには決して出ない

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Posted by ブクログ 2022年07月18日

時代と共にバックボーンの違う料理研究家がフォーカスされるけど、日本の食卓はレベルが高いと思う。
料理本やSNSにあがる料理レシピの数々が無くならないのは暗黙の了解のうちに求められているレベルの高さじゃないかと思う。

時にそんなに頑張らなくていいと言ってくれるのは、男性の料理研究家の方ばかり。女性の...続きを読む料理研究家からもそんな声を聞けるようになるといい。

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Posted by ブクログ 2022年05月08日

大好きな料理研究家の名前が並ぶ。これは読まずにいられない!
中には、小林カツ代、栗原はるみのみならず、昭和の時代からの人気を博した、料理する人なら聞いたことがあるだろう料理研究家の名前とその生い立ちやその研究家のレシピの特徴、その時代の女性や家庭の時代背景とともにつづられている。
その時代によって料...続きを読む理の位置づけ、暮らし方、女性の働き方の変化があって、こういう料理研究家が出てきたのか、と膝を打つ一冊だった。

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Posted by ブクログ 2019年08月02日

まえがきより
 料理研究家を語ることは、時代を語ることである。
彼女・彼達が象徴している家庭の世界は、社会とは一見関係がないように思われるかもしれないが、家庭の現実も理想も時代の価値観とリンクしており、食卓にのぼるものは社会を反映する。
それゆえ、本書は料理研究家の歴史であると同時に、暮らしの変化を...続きを読む描き出す現代史でもある。

あとがきでも触れられていたが、この本は「料理研究家とその時代を研究した本」ではあるけれど、「女性史の研究」という意味合いが強い本になってしまったとのことである。
この本を読むと、それぞれの時代に女性に求められたものや押し付けられたものが浮かび上がってくる。料理研究家というのは、そんな女性たちに救いの手をのべるような存在だったのだ。

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Posted by ブクログ 2018年06月27日

料理研究家。当たり前に存在してるけど、改めて考えると不思議な存在。違う目線で考えるヒントになりました。

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Posted by ブクログ 2018年04月01日

小林カツ代と栗原はるみの二人を中心に、主として高度成長期から現代にいたるまでの人気料理研究家たちの仕事と、彼ら/彼女らが受け入れられた時代状況をリンクさせて考察している本です。日本のに西洋料理を紹介して人気を博した江上トミ、飯田深雪からはじまり、入江麻木、城戸崎愛、有元葉子を経て、土井勝・善晴親子、...続きを読む村上昭子、辰巳浜子・芳子派親子、そしてケンタロウ、栗原心平、コウケンテツ、高山なおみといった、多彩な料理研究家たちがとりあげられています。

こうしたテーマをあつかうときに、フェミニズムが強力な武器になることは容易に想像がつきますが、その理論はやや切れ味が鋭すぎるのではないかという懸念も抱いてしまいます。しかし本書では、何よりも料理研究家たちのパーソナリティにも触れつつ、それぞれが時代のなかでどのような役割を演じることになったのかがていねいに語られていて、理論的な枠組みに対象を無理やり押し込んだような印象がないためでしょうか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年03月07日

この本は小林カツ代と栗原はるみにとどまらず、戦前からつい最近にいたるまでの料理研究家を論じながら、日本の既婚女性に求められてきたもの、そしてこれからの男性女性が直面する食を通した生活誌である。

まず、主婦が毎日の食事に頭を悩ませる姿というのは、割と最近できたものであるという事実にを指摘する。
冷凍...続きを読む・冷蔵の技術が庶民とは縁がなかった江戸以前、そして明治の頃。
多くの庶民は、旬の野菜と旬の魚を煮たり焼いたりして食べるしかなかった。
メニューに頭を悩ませるどころか、毎日同じものをほぼ食べていたのである。
数少ない大店の女性、または金回りのいい武家の女性は、自分で食事に頭を悩ませることもなく、使用人の作るご馳走を食べていた。

明治になり洋食が広まったころ、家庭で作る洋食のレシピの需要が高まった。
洋食屋に行かなくても食べられるハンバーグ、スパゲッティ、ライスカレーなど。
そしてほぼ日本オリジナルと言っていいコロッケやとんかつ。

その後中華のラーメン、餃子、焼売、酢豚などが家庭でできるメニューとなり、エスニックのフォーやトムヤムクンも、家庭で作れるようになってきている。
つまり、外食をいかに家庭料理にするかが、当初料理研究家がなしたことだった。

外食の料理が家庭料理になると今度は、いかに時間を短縮するかがキーになる。
どれだけ段取りをよくするか。
セオリーにとらわれずに手際よく。
これが小林カツ代の売りだった。

食がバラエティを競っている現在、和食洋食中華にとらわれないハイブリッドな料理を考案したのが栗原はるみ。
その後の世代ももちろん社会風潮を反映した調理法、メニューを次々発表する。
料理研究家を論ずるということは、日本の食文化を論ずることなのだ。

力強く同意したり、目からうろこが落ちたりしている間に、日本の食文化が実感できる。
これは稀有な本なのである。

特別料理好きではない私だけど、これを読んだらちょっとは料理を作りたくなった。
そうね。
里芋とエビとシメジの煮物にあんをかけたやつ。
食べたいものが作りたいもの。

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Posted by ブクログ 2016年08月20日

料理番組を支えるさまざまな料理研究家について その人の環境や時代背景を下に どのような料理を作っているか 紐解いていく一冊。
どの料理家も みんなが幸せになれる料理を クリエイティブに 豊かに 表現していて 面白かった。

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Posted by ブクログ 2015年11月11日

料理研究家の評論だけでなく、専業主婦論、女性論としても面白かった。
結婚した当時小林カツ代さんの料理本と首っ引きで、夕飯を作ったのは懐かしい。

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Posted by ブクログ 2015年11月09日

各国の料理が日本にいても食べられて、コンビニ弁当やスーパーのお惣菜で日々食べつなげられて、安く飲み食いできるガード下のお店なんかもあり、本当に便利な時代に生きているわけだけれど、それが果たして幸せなことなのかと考えてしまう。
色々な時代変遷の中で、家族の食を守ってきた女性たちの姿や、それを手助けする...続きを読む料理研究家たちの歴史は、とにかく興味深かった。
もっとちゃんと料理しようと思わされる。

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Posted by ブクログ 2015年10月30日

料理研究家の歴史を辿ることで、女性史・生活史も辿ることができる。当たり前のことなのだけれど、どんな現象にも理由がある、求められるものが表に引き出されてくるのだと腑に落ちる。
食べること、料理すること、じっくり向き合おう、と思った。

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Posted by ブクログ 2015年10月19日

書籍・雑誌に出版年が入っているのが親切です。家庭料理と女性の置かれた立ち位置は切り離せないということで、料理研究家と女性の歴史といったところです。女性誌の話題で、整理整頓や家計簿ネタ(節約)なんかへブレないのは、できそうでできないと思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年10月01日

まず難点を書いておく。この本は「小林かつよ」と「栗原はるみ」の2名について「だけ」書かれたものではない。時期ごとに活躍した「料理評論家」を通じて、戦後すぐから現代に至るまでの日本の家庭における食生活を評論分析したものである。古くは江上トミ・城戸崎愛らから、コウケンテツ・高山なおみに至るまで様々な料理...続きを読む研究家がこの本には登場する。

タイトルがミスリードを誘っている。この2名の料理研究家を対比し、さらには各々の息子と「男子ご飯」という番組の結びつきを盛り込んでいけば、それだけで十分読み応えのあるテーマとなりうる(実際この本でもそのあたりに触れている部分非常に面白い)だけに、このミスリードはとっても残念である。絶賛したい割に満点でないのはそこを指す。そこを差し引けば、非常に面白い切り口の評論だと思うのだけども。

日本経済はもはや、かつてのように男のみが働くことでは成り立たない。女性の社会進出が必要だなどという言葉すら旧時代的であると思う。性差だけでなく若者がバイトに行くことも、定年延長も含めて、働けるものは皆、経済をまわすために社会に貢献することがもはや大前提となっている。雇用形態・賃金格差の問題はここでは置くし、良し悪しを論ずるものでもないが。

当然、家事だけをするために労働力を家に囲っておくなどという贅沢は、よほど裕福でないとできないわけである。「専業主婦」という存在がレアになるのは当然である。

では家事は誰がするのか?「妻がいないと飯も食えない」という男贅沢な時代は終わっている。得意苦手は言ってられない。男であれ、息子娘であれ、炊事洗濯掃除等、最低限の家事は自分でできるのが大前提となった時代がやってきているのである。家事メンやイクメンなどもすぐ死語になるだろう。

仕事に関わる専門知識技術や、学生であれば学力なんかは無論のこと、プレゼンや人脈やゴルフや接待や、そんなものだけでなく、国民全員が家事・育児・介護などの「生活力」というスキルをあげていかないと生き残れない時代なのだと思う。

この本に直接的にそんな内容が書かれているわけではないが、読んでいて切実にそう思った。その当たり前だけど結構厳しい現実に気付かせてくれるだけでも、この本は名著だと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年09月29日

料理が好きで、栗原はるみが好きで、料理教室が好きな私なので、新聞広告で見かけたときは興奮しました。。

本書は戦後から始まる料理研究家の活躍の歴史をたどりながら、昭和・平成の日本の食文化や女性を取り巻く社会情勢の移り変わりを分析した本です。

面白かった!
その時代に活躍した料理研究家を知ることで当...続きを読む時のくらしや価値観が見えてくるってさすが生活史研究家!着眼点がとてもいいです。

日本は戦前までかまどで煮炊きしたご飯が食卓にあがり、そこにメニューの工夫はなく、手に入る食材で毎日ほぼ同じものを食べていた。
それが高度成長期にはいり、専業主婦という地位が確立し、囲炉裏ではなくキッチンが設けられ、はじめて主婦が、同じ料理を出すわけにはいかないとレパートリーに悩み始める。
その後、働く女性が増え、時短料理が求められていく。と同時に、自己実現の欲求から、料理だけでなく生活スタイルまでを提案してくれる人も求められていく。
そして現在は、料理は女性が作るものという固定概念がうすれていきました。。

とまあざっくりこんな流れ。
こうした社会に対して、料理研究家が時代の求めに応じて生まれ、女性をリードしていくのです。
江上トミからコウケンテツまで、みんなかっこいい☆

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Posted by ブクログ 2015年09月27日

料理に興味を持ったのが最近のため、知っている料理研究家に限りがある。
そんな狭かった視野を一気に広げてくれたのが本書。
時代背景を踏まえた歴史解説はとても勉強になった。

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Posted by ブクログ 2015年08月25日

歴代の日本を代表する料理研究家のその時代における役割について説く。料理研究家の研究としては面白いと思う。が、主婦でもなく、なんとなく料理番組は見る方で、料理は自分で釣った魚を料理する程度の自分としては、ちょっと違和感を覚えた。料理の情報のリソースとして、料理本を買うことは少なく、テレビが主体で、たま...続きを読むに新聞や雑誌のレシピの切り抜きがメインだったので、料理本にどう描かれているかより、テレビでの紹介。『今日の料理』ついて触れられてはいるが、私にとって鮮明に覚えているのは、帝国ホテルの村上シェフのシャンピリアンステーキ。フライパンをむこうに傾けると自分の方に油が飛ばないとか、基本的なところから、おいしさの秘訣まで、惜しげもなく披露しているところがよかった。この前、母と話していたらやはりその番組を覚えていた。料理番組は長寿なものが多く、『3分クッキング』『チューボーですよ』『おしゃべりクッキング』など、何年やっているのか。その中で、時代がどのように変わっていったのか知りたいと思った。小林カツ代と栗原はるみがタイトルになっているのは、やはりこの二人が家庭料理に、変化をもたらしたのは事実。また、この二人は子供たちに見事に引き継がれたことも、見逃せないと思う。

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Posted by ブクログ 2021年08月02日

昭和のテレビ時代を象徴するひとつとして勃興する料理研究家の系譜は今に至っては匙加減すら明示しない『カレンの台所』(本作には登場しないが、SNS現象への言及で「予見」されている)に行き着き、一方で2000年以降ケンタ心平コウケンテツに代表される「男子ごはん」が定着する。danchuに憧れた一時もあった...続きを読むリタイア主夫の拠り所は今では専らクラシル・アプリです。

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Posted by ブクログ 2021年07月03日

時代によって、料理研究家に求められるものは異なる。

初期の頃から現在まで、時代背景と彼らの立ち位置、その紹介する料理の中身について論じる。

主婦論はちょっとアレだが。

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Posted by ブクログ 2020年03月12日

ニューヨークタイムズのデジタルのサブスクリプションはクロスワードパズルとクッキングレシピから始まったという話を聞いたことがあります。今日も日本の各新聞には毎日小さなスペースながらも料理のレシピが載っています。もちろん本屋でも料理本のコーナーは百花繚乱な存在感を示していますし、個人的にも隙間時間でつい...続きを読むついクックパッド開いたりしています。性欲、睡眠欲と並んで人類三大欲求を成す食欲の受け皿としてのレシピの市場のなんと広大で盤石なことか!たとえ中食市場が2020年には10億市場になる予測があったとしても家で「ごはん」を作ることは不変の営みにも見えます。しかしレシピは世に連れ、世はレシピに連れ、時代が求めるレシピは変化し続けています。そしてレシピのクリエイターである料理研究家も変化し続けています。その流れを社会学的に分析した久保明昇「家庭料理という戦場」に引用されていたので本書にたどり着きました。タイトルでは小林カツ代と栗原はるみをフューチャーしていますが飯田深雪、江上トミから始まる料理研究家スーパースター列伝です。「家庭料理のいう戦場」の分析からすると単なる紹介にも終わっている気もして「おなかいっぱい」にはなりませんでしたが、小林カツ代をアーティスト、栗原はるみをアイドルとする見立てはさすがだと感心しました。料理研究家という存在がビジネスだとしたら、そこにはマーケティングがあることは自明です。ここに書かれている数々の料理スターが、フィリップ・コトラーいうところの製品中心のマーケティング1.0、顧客重視のマーケティング2.0、ソーシャルなマーケティング3.0、そして自己実現のマーケティング4.0に至る流れとシンクロしているように思えます。ビーフシチューという同一のレシピに各料理研究家のコアの進化を見出そうとする試みには興奮しました。そういう意味では今、料理研究家ではなく料理家という自称が増えていること、前述したクックパッドのようなコンシューマージェネレイテッドなアプリの隆盛は、料理も自己実現の世界に突入しているということなのでしょう。きっと。

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Posted by ブクログ 2018年12月08日

料理研究家の変遷と家庭料理の変遷をたどっている。読む前はタイトルどおりの二人だけを比較しているのかとそれを期待していたのだが、実際には1950年代あたりからの主だった料理研究家を網羅的に取り上げている。小林カツ代と栗原はるみだけでも一冊に足るお二方だと思うが、そうならなかったのは欲張りだけどそのぶん...続きを読む薄味になったようで残念。
男性料理研究家の台頭として、ケンタローや栗原心平、コウケンテツなどにも触れているが、やはり彼らと女性の料理研究家には一線を引きたくなる。男性料理研究家って、そもそも「研究家」とするところがプロではないことの言い換えだと思われ、だからこそ家庭料理のプロといえるのだろうけど、やはり男性がプロデュースする料理って、誰かのためというより、自分のためとかわが道的な色が感じられてしまうということがひとつ。
加えて、ケンタローや栗原心平には、結局「小林カツ代も栗原はるみも世襲なの……」という残念な思いを抱かせる。それも「家庭料理でありながら息子が継ぐのか」という残念な感じ。ジェンダーバイアスかかった見方かもしれないけど、そんな大層ぶらなくていいじゃないかというところに端を発する思い。芸能人の子息が芸能人になるようなイージー感を感じてしまう。
わりと短絡的にまとめているようで疑念を抱く箇所がいくつか。何だか結論が拙速で本としての質を落としている感じがする。肝心の終章の締め方にしても「まず自分の手で自分を養うこと。誰かのためにつくるのは、その後でいい。愛情を込めようと必死にならなくても、自分が充足すれば人に与えることも容易になる。やる気があるときも面倒なときも、コンスタントに台所に立ち続ければ、愛情と腕前、求められる味はやがてついてくるだろう」(p.242)なんて述べてるんだけど、そもそも家庭料理ってことを考えると、この引用部分どうなんだろう。

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Posted by ブクログ 2017年09月27日

過去の料理研究家たちの系譜が、女性の生き方の変化と共に説明されている。
全体としてはとてもよくまとめられているのだが、所々、著者の勇み足というか、思い込みのようなものが見受けられる。

例えば以下の様な箇所。

1.ケンタロウのから揚げのコツについて(124ページ)
”「鶏肉は一件ものすごく扱いやす...続きを読むそうなやさしい素材に見えるけれど、実は肉の中で最もといっていいぐらい火の通りが悪いのだ。優しい外見に惑わされると、外はいい色、中は生、というイタイ目にあう」
鶏肉をキャラクターに見立てて解説している。コンピューターゲーム世代がおとなになったこの時期、若い世代にふえた言い回しだ。”

このケンタロウの文章をどう読めば、鶏肉がキャラクターになるのか。しかも『若い世代にふえた言い回しだ。』とは?特に若い世代にふえた言い回しとは思えないのだが。

2.栗ごはんについて(148ページ)
”<前略>、日本人のソウルフードである栗を使った「栗ごはん」なのである。”

一体いつから、栗が日本人のソウルフードになったのだ?

それにしても、なぜか栗のレシピが多い。

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Posted by ブクログ 2016年06月15日

斜め読みだが、料理の歴史がわかって良かった。小林カツ代の革命性に感動。ケンタロウが一番好き。回復して欲しい。

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Posted by ブクログ 2015年12月06日

ある著名な料理研究家が生み出されるには、その時代々々の特別な背景(主婦が求める料理、需要)があることが分かった。主婦論としても面白かった。

●料理研究家を語ることは、時代を語ることである。彼女・彼たちが象徴している家庭の世界は,社会とは一見関係がないように思われるかもしれないが、家庭の現実も理想も...続きを読む時代の価値観とリンクしており、食卓にのぼるものは社会を反映する。それゆえ、本書は料理研究家の歴史であると同時に、暮らしの変化を描き出す現代史でもある。
●有元の幼少期は、町にも農村の面影が残り、自然に寄り添う暮らしが当たり前だった最後の時代だ。そして、両親の文化的、経済的豊かさを吸収したベースがあるからこそ、時代の先を行く提案ができた。流行を牽引する人の背景には必ず豊かさがある。
●料理研究家のスタイルを決める原点には、必ず育った環境がある。元奉公人に「忘れられない」と言われる母のそうめんは、つゆに使う出汁の「かつお節はぎゅっとしぼって」味を出すことがコツだった。カツ代レシピでかつお節の出汁を絞ることは定番である。
●1994年8月26日、小林カツ代は料理研究家として初めて『料理の鉄人』に出演した。じゃがいも料理がテーマの回で、小林はじゃがいもとエビの炊込みご飯、肉じゃがなど7品をつくり、鉄人の陳健一に見事勝利、一躍時の人となった。
●彼女が挑んだ常識は、料理メディアが主婦の教科書になった高度成長期に定着したものだ。明治生まれの江上トミや飯田深雪が現役で、大正生まれの城戸崎愛や入江麻木が活躍したころ。先行世代は、西洋から輸入した料理を翻訳して紹介した。しかし、昭和生まれの小林は、本格的な西洋料理も和食も食べて育った。文化的な蓄積があるからこそ、新しい発想を持ち込むことができたし、それゆえに批判もされたのである。
●それにしても、料理研究家の離婚は多い。売れっ子になる代償として、仕方ないことなのだろうか。それとも、家族に向けられていた愛情やつくられた料理が、他人に向かう不満が夫の中で大きくなるのだろうか。家庭料理はもともと家族と日々をわかち合う中にある。より多くの家族を幸せにしようと、その技術を公開することで足元の生活が揺らぐとすれば、皮肉な仕事だ。
●プロの世界で修行した善晴は、物事を突き詰めて考える性格もあり、外で食べる料理と家庭料理は何が違うか、おいしくつくるためには何が必要なのかを論理立ててわかりやすく仮設する。外食・中食といったプロの味を基準にする女性がふえた平成の事情を反映し、家庭料理ならではの魅力を伝えようと腐心する。

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Posted by ブクログ 2015年10月04日

人気の料理家さんたちの、そこに至るまでの背景が面白い。背景を知ると、もっとその料理家さんが好きになった。料理自体にも、より興味がわいた。もっともっといろんなレシピを知りたいし、作りたくなった。

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Posted by ブクログ 2015年09月23日

 著名な日本の料理研究家を比較しながら、メニューや調理法と時代や社会の様相とを考察した本で、なかなかの力作である。
 主婦や料理研究家の誕生の説明から始まるが、それらはけっこう新しくて土井勝や江上トミからなので、本書はほとんど高度成長期以後の話しであり、昔話ではなく馴染みの人ばかりである。それも、読...続きを読むみやすくしている要素かもしれない。
 料理人あるいは時代によって作り方がどう変わってきたかをあるメニューで比較紹介しているが、さすがに料理に造詣があり、これらの違いが味や手間などで想像できる人でないとおもしろさは半減するだろう。作者のせいではないが残念である。
 日頃から料理する人、料理が好きな人にはおもしろく読めると思う。

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