あらすじ
《村井理子さん、推薦!》
ずっと苦しかった。泣きたい気分だった。
そんな私の気持ちを受け止めてくれた一冊だ。
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──時代が変わっても、家事はラクになっていない!
なぜ家事は女性の仕事だったのか?
明治から令和まで、家事と仕事の両立を目指してきた女性たちの歴史、それぞれの時代の暮らしと流行を豊富な資料で解き明かし、家事に対する人々の意識の変遷を読みとく。
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●メディアが広げた“幸せな”性別役割分担
●「本当は自分でやるべき」に縛られる
●育児をレジャー化する「名ばかりイクメン問題」
●令和の食卓における効率化と趣味化
●一汁一菜ブームが見落とすもの……etc.
家事のモヤモヤをときほぐし、
共働き時代の新しいパートナーシップのかたちを考える。
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【目次】
■第1章 家事とお金のままならない関係
1.家事のムーブメントを加速させた『逃げ恥』
2.家事代行サービスという方法
3.「名前のない家事」とは?
4.家事をやった気になっていばる夫
5.本当に養っているのは誰?
6.「マッチョな夫=羊飼い」説
7.夫婦のパートナーシップ
8.ケアとクリエイティビティ
■第2章「家事=妻の労働」になったのは昭和時代だった
1.手料理には愛情が必要ですか?
2.女性たちを縛る「家事=愛情表現」という思い込み
3.根深く残る母性愛神話
4.主婦論争が示したもの
5.女中が必要だった時代
6.農家の女性たちの生活改善運動
■第3章 昭和・平成・令和 食事づくりの現場で
1.「ていねいな暮らし」への愛憎
2.男女の役割分担から脱出する
3.一汁一菜ブームとは何だったのか?
4.時短料理はなぜブームになったのか?
5.巣ごもり生活でわかった、自炊力という武器
■第4章 家事を「大変!」にするのは何?
1.カリスマたちが教える、片づけが秘める魔力
2.お手入れしやすい住まいとは?
3.実は高度な家事、買いものと献立
4.「ひと手間」がわずらわしいのはなぜ?
5.料理が苦痛になるのはなぜ?
6.家事は一朝一夕には覚えられない
7.グチを受け止めてくれる人はいますか?
8.家族とライフスタイル
■第5章 シェアするのは難しい?
1.頼りにならない父親たち
2.育児に〝当事者意識〞を持っていますか?
3.大掃除は、家事シェアを日常化させるチャンス!
4.子どもに料理を教えると……
5.平等な家事シェアは可能か?
6.平等なシェアがゴールなのか?
7.どうする? 家計管理
■第6章 ケアと資本主義
1.『モモ』が描いたケア
2.主婦たちの虚無感
3.ケアとは何か?
4.ケアを閉じ込めた家父長制
5.資本主義のたくらみ
6.私たちにできること
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
家事・育児・介護の本当の大変さを説明する本。本書は家事と育児・介護等のケアについて、従来女性が背負わされてきた重荷の大きさを説く。私は母になって以来、こんな風に思う。「女はどんなに体調が悪くても決して休んではいけないが、男は少し疲れたらいつでも休んで良い。」と。「なんでこんなにも身を削って死に物狂いでタダ働きするのが女の役割なんだろう。」と。「私も休んで良い方の性別に生まれたかった。」と。こんな風に私がふつふつと感じる怒りや悲しみや虚しさを、この本は学術的に社会へ問いかけてくれていると思う。
Posted by ブクログ
家事に対する人々の意識の変遷に着目して書かれた作品。
ジェンダー観にはじまり、コロナ禍での家事に対する関わり方、丁寧な暮らしについて、過去の家事負担が現代機器によってどう変わったかなど、丁寧に説明されている。
個人的に土井先生の本に対しての着眼点にはっとさせられた。自分には無かった発想なので読んでいて小気味よい。
便利すぎる家電や設備によって我々は退化しているのではないか、との指摘も新しい。不便さにメリットを見出すのもまた一興だし、便利さに振り回される感覚はきっと自分がより歳をとった時に肌身に感じるのではないだろうか。
また、家事を愛情表現と考える人は家事を人任せにして愛情を受ける側、とする考えにも納得。「愛情」とは何かも考える文章だ。
家事や育児に対して女性側に負担を強いる社会構造そのものに意義を唱える著者の姿勢は見習いたいものがある。
作中に読んでみたいと思った書名が満載で、今後の読書人生にいかそうとおもう。
Posted by ブクログ
今年のベスト5の中に間違いなく入る一冊。自分は男とか女とかあまり性差を感じずに生きてきたつもりだったんだけど、社会人になって、結婚して、子供が産まれて、というライフサイクルの中で感じていた違和感の正体が見事に言語化されていて衝撃の連続だった。いろんな女性の中に無意識のレベルでまさに社会制度として組み込まれてきた今の立ち位置。世代で話が全く通じなくなる仕組みもよく分かる。自分の中のフェミニズムが呼び覚まされてしまったのか、射精責任とか、妾と妻のフェミニズムとかいろんな本を読み漁っているところ。
Posted by ブクログ
産休取ってからずっと考えてたことを言葉にしてくれた本。まず、子供産んで休まなきゃならなくて、でもお金かかるのに、産んですぐだから長時間働けないから給料下がった時。こういう時、守ってくれるのが会社じゃないんかーい、と思った。
私が働いて利益を出してる会社って、何者?と。会社が潰れても、儲かっても血は流れない。働く人が流すだけ。
ケアの時間を取らざるを得ない産婦を、金にならないからと給料減らす。資本主義では当たり前だが、なら、国が守らなきゃ。
私はいくらお金があれば「いいよ」と言うのか。疑問だわー
私はいくらでも欲しい、と言ってしまう。不安だから、自分も子供も。
ケアの資本主義の中での価値を高めるのがいいのか(うっかり、そっちの方向に走りがち。会社やりたいなら、お金のこと考えないと立ち行かないが、そうすると「生活=生きること」をできるのが、金持ちしかいなくなると言う矛盾!)、もっとお金の価値を下げて生活に重きを置ける生き方ができないものか。時間や、気持ちを重視できないか。
と言う方向気国が動けば、安心して生きられる人が増えそうだ。生きるって、お葬式にどれだけ人数集められるかじゃない。人に多少遠慮しながらわがままを言いながら死ねる社会がいいんじゃないかね 90
Posted by ブクログ
家事の大変さを女性が担ってきた歴史、背景をもとにとてもわかりやすく説明する。これまで言葉にできない心のモヤモヤを代弁してくれたかのようでした。「苦しいって言っていいんだ」「しんどくて当たり前じゃないー」って思えました。
Posted by ブクログ
家事が苦手で苦労しています。
一方読書や情報収集は苦にならないのですが、他の人と比べて落ち込む日々。自己肯定感も低いです。
ボリューミーな本ですが「人の数だけ家事の正解はある」と家事へ向かう気持ちが楽になる言葉だったり、「家事の監督をする人の精神的負担が大きい」と自分を省みるような言葉が随所にあり、ハッと目を惹かれます。
自己管理術のひとつとして子どもに家事を教える(自信を持てるように)という考えに大賛成!
Posted by ブクログ
男女役割の理不尽さと、家事の比率とが、比例して、お話が展開されてるのかなと思いました。
それはそれで、興味深く読みました。
できる人が、できる時に、家事をする事がノンストレスで自然に出来るといいなと思います。
Posted by ブクログ
エッセイか何かかと思ってジャケ買いしたけれどそんな話じゃなかった!(笑)
歴史的に「家事」がどのように変遷していったかをデータと共に書かれている。
ジェンダーの話は恨み節になり勝ちで読んでいて辛くなることがあるのだけれど、この本は随分と客観的に書かれているように感じる(もちろん恨み節もあるにはあるけれど)
どうして今こうなってるの?というのが歴史的な背景(政治や技術の発展、海外との比較)に基づいて説明されると「なるほど!」と思えるし今を変えていけるような希望も感じる。
Posted by ブクログ
読みごたえのあるボリュームでした。
結婚してフルタイムの共働きの時に、あまりにも家事の割合が違うところ、などなど思い出しました。
正直、私一人の方が楽だよね。と思ったなぁ。
家事は家族みんなで補いあうべき!
担当の家事はやりきってもらう。文句はつけない。
たまにやる家事をやったぞアピールしない。
Posted by ブクログ
明治から昭和、平成と、家事と仕事の両立を目指してきた女性たちの歴史について書かれた本。
歴史が進む中で、目まぐるしく社会の仕組みや価値観が変わっている。家事の手本となるのは自分の親だけど、親の真似をしても社会の仕組みと合わないような…。そんな歴史。
今、当たり前と思っている家事や家族の形って本当に当たり前なのかな、と思ったり。
以下メモ
・母性愛という考え方が日本で出てきたのは、1918~1919年に与謝野晶子と平塚らいてうが中心となって最も盛り上がった母性保護論争がきっかけ。(この時代、お見合い結婚から恋愛結婚に変化)夫婦の間に恋愛感情があることが前提の近代家族では、目には見えない愛情を示す必要がある。(家族社会学者、山田昌弘)典型的には、「夫が給料を持ち帰ることが、愛情の証であり、妻が家事労働を引き受けることが愛情の証となる。」
・1985年以降、少なくとも2000年代初頭までは、育児の主体は母親から赤ちゃんに移り、母親は24時間子どもに奉仕せざるを得ないよう、(母子手帳の記述による)指導が転換していたのである。
・1980年代になると、既製服の文化が浸透し、手縫いの衣類はすたれていく。すると、必要なモノを必要に応じて作る手仕事の延長で、家事の趣味かが始まる。仕事を持つ主婦が増え始める中、専業主婦を続ける女性たちが、自らの存在価値を手をかける家事に求めたかのようにも見える。
そうした時代にっ育った世代が、平成になって子育てを始める。その時手本にしたのが、昭和の後半に家事に手をかけていた母親たちだった。
・性別役割分担が機能していた期間は、実は20年ほどでしかない。まず、女性たちが主婦業に虚しさを感じるようになる。1982年に、アルコール依存症になる主婦などをルポした「妻たちの思秋期」がベストセラーになり社会問題化するが、主役になる場を持てない人生にむなしさを覚える人は多い。
・しかし便利になればなるほど、ちょっとした不具合、相性の悪さでイライラする。お任せに慣れれば慣れるほど、考える力や手先の器用さが磨かれなくなり、ちょっとした手間が煩わしくなる。わからないことが増えると、自己評価も下がってしまう。ひと手間が面倒に思えるのは、実はラクになったからかもしれない。
・「モモ」
時間に余裕がなくなると人生がつまらなくなるのは、「時間とはすなわち生活だからです。そうして人間の生きる生活は、その人の心の中にあるからです。」と、同書は明快に記している。時間泥棒が奪ったのは、その人の生活なのである。
・現実世界に、時間泥棒と戦っているモモはいないから、私たちは自分で暮らしを、人生を取り戻していくことが必要だ。そのためには、ケアを組み込んだ社会のシステムが不可欠である。消費でストレスを発散させるのではなく、暮らしや仕事を充実させるために必要なモノを買う、あるいはつくる、シェアする。家族や友人と過ごす時間を確保し、仕事仲間がどんな人知って、お互いに力を合わせて仕事をする。
Posted by ブクログ
表紙と違って濃い内容。
色んな書籍や研究を遡ってテーマについて考察。
まぁ、家事って完璧さに個人差あるし、家族やセルフのケアに繋がるのに金銭発生しないから難しいものだ。
Posted by ブクログ
家事やケアが女性に押し付けられてきた歴史や社会構造を紐とき、あるべきパートナーシップのかたちを展望。
男性の意識改革をはじめ、社会的な状況の改善には前途多難だと思ったが、個人的には、家事をシェアしていく上でのヒントや他山の石となるような話がいろいろあり、参考になった。
既発表の文章を複数収録しているということもあるかもしれないが、本書の構成としては、同じような話が何回も出てきたり、内容があっちへ行ったりこっちへ行ったりという感じで、ちょっと読みづらかった。
Posted by ブクログ
カジュアルなタイトルと見た目に反して、イラストの一切ない文字だけの300ページ超の大作。
内容は家事のノウハウやコツを伝えるような、よくある家事本では全くない。
むしろ「家事の社会学」というようなタイトルの方が適切じゃないかと思える。
家事の歴史的、社会的、政治的背景を紐解きながら、家事の偏在する大きな負担の理由を説明し、そのよりよい在り方を検討している。
対象読者は、日々家事に追われている人、その中でも家族があり、ケア(育児や介護)も家事の一つである方と想定している。現在の日本では大多数が女性でしょう。
女性が会社や社会などの公的エリアから家庭に追いやられ、家事を1人で抱えこまされ、男性が家事に関与しないのはなぜか。それはそれぞれの個人的な要因というよりは、家事がそういうものだとしてきた親、会社、社会、制度の関与がある。それぞれが長い時間の中で複雑に絡み合っているので根が深い。
具体的に家事負担の軽減として目指す方向は、家事の総量を減らすことと、それをほかの家族とシェアすることだ。シンプルだが重要であり、その具体例もまとまってはいないがいくつも紹介されている。制度や考え方も徐々によい方向に変化してきており、これからもきっと変わっていけるだろうという著者の姿勢も嬉しい。
女性が日々家事に苦しめられ、悩んでいることに対して、労いたい、共感したい、肩の荷をおろしてあげたい、助けたい、と思う著者の温かいケアの気持ちが真っ直ぐに伝わってくる本である。
そんな大変な思いをしている女性はもちろん、家事の大変さに気づいていない男性(夫、会社の管理職の方、官僚、政治家)の皆さんも、読んで頂きたい本です。