感情タグBEST3
Posted by ブクログ
家事に対する人々の意識の変遷に着目して書かれた作品。
ジェンダー観にはじまり、コロナ禍での家事に対する関わり方、丁寧な暮らしについて、過去の家事負担が現代機器によってどう変わったかなど、丁寧に説明されている。
個人的に土井先生の本に対しての着眼点にはっとさせられた。自分には無かった発想なので読んでいて小気味よい。
便利すぎる家電や設備によって我々は退化しているのではないか、との指摘も新しい。不便さにメリットを見出すのもまた一興だし、便利さに振り回される感覚はきっと自分がより歳をとった時に肌身に感じるのではないだろうか。
また、家事を愛情表現と考える人は家事を人任せにして愛情を受ける側、とする考えにも納得。「愛情」とは何かも考える文章だ。
家事や育児に対して女性側に負担を強いる社会構造そのものに意義を唱える著者の姿勢は見習いたいものがある。
作中に読んでみたいと思った書名が満載で、今後の読書人生にいかそうとおもう。
Posted by ブクログ
今年のベスト5の中に間違いなく入る一冊。自分は男とか女とかあまり性差を感じずに生きてきたつもりだったんだけど、社会人になって、結婚して、子供が産まれて、というライフサイクルの中で感じていた違和感の正体が見事に言語化されていて衝撃の連続だった。いろんな女性の中に無意識のレベルでまさに社会制度として組み込まれてきた今の立ち位置。世代で話が全く通じなくなる仕組みもよく分かる。自分の中のフェミニズムが呼び覚まされてしまったのか、射精責任とか、妾と妻のフェミニズムとかいろんな本を読み漁っているところ。
Posted by ブクログ
産休取ってからずっと考えてたことを言葉にしてくれた本。まず、子供産んで休まなきゃならなくて、でもお金かかるのに、産んですぐだから長時間働けないから給料下がった時。こういう時、守ってくれるのが会社じゃないんかーい、と思った。
私が働いて利益を出してる会社って、何者?と。会社が潰れても、儲かっても血は流れない。働く人が流すだけ。
ケアの時間を取らざるを得ない産婦を、金にならないからと給料減らす。資本主義では当たり前だが、なら、国が守らなきゃ。
私はいくらお金があれば「いいよ」と言うのか。疑問だわー
私はいくらでも欲しい、と言ってしまう。不安だから、自分も子供も。
ケアの資本主義の中での価値を高めるのがいいのか(うっかり、そっちの方向に走りがち。会社やりたいなら、お金のこと考えないと立ち行かないが、そうすると「生活=生きること」をできるのが、金持ちしかいなくなると言う矛盾!)、もっとお金の価値を下げて生活に重きを置ける生き方ができないものか。時間や、気持ちを重視できないか。
と言う方向気国が動けば、安心して生きられる人が増えそうだ。生きるって、お葬式にどれだけ人数集められるかじゃない。人に多少遠慮しながらわがままを言いながら死ねる社会がいいんじゃないかね 90
Posted by ブクログ
家事が苦手で苦労しています。
一方読書や情報収集は苦にならないのですが、他の人と比べて落ち込む日々。自己肯定感も低いです。
ボリューミーな本ですが「人の数だけ家事の正解はある」と家事へ向かう気持ちが楽になる言葉だったり、「家事の監督をする人の精神的負担が大きい」と自分を省みるような言葉が随所にあり、ハッと目を惹かれます。
自己管理術のひとつとして子どもに家事を教える(自信を持てるように)という考えに大賛成!
Posted by ブクログ
男女役割の理不尽さと、家事の比率とが、比例して、お話が展開されてるのかなと思いました。
それはそれで、興味深く読みました。
できる人が、できる時に、家事をする事がノンストレスで自然に出来るといいなと思います。
Posted by ブクログ
エッセイか何かかと思ってジャケ買いしたけれどそんな話じゃなかった!(笑)
歴史的に「家事」がどのように変遷していったかをデータと共に書かれている。
ジェンダーの話は恨み節になり勝ちで読んでいて辛くなることがあるのだけれど、この本は随分と客観的に書かれているように感じる(もちろん恨み節もあるにはあるけれど)
どうして今こうなってるの?というのが歴史的な背景(政治や技術の発展、海外との比較)に基づいて説明されると「なるほど!」と思えるし今を変えていけるような希望も感じる。
Posted by ブクログ
読みごたえのあるボリュームでした。
結婚してフルタイムの共働きの時に、あまりにも家事の割合が違うところ、などなど思い出しました。
正直、私一人の方が楽だよね。と思ったなぁ。
家事は家族みんなで補いあうべき!
担当の家事はやりきってもらう。文句はつけない。
たまにやる家事をやったぞアピールしない。
Posted by ブクログ
家事やケアが女性に押し付けられてきた歴史や社会構造を紐とき、あるべきパートナーシップのかたちを展望。
男性の意識改革をはじめ、社会的な状況の改善には前途多難だと思ったが、個人的には、家事をシェアしていく上でのヒントや他山の石となるような話がいろいろあり、参考になった。
既発表の文章を複数収録しているということもあるかもしれないが、本書の構成としては、同じような話が何回も出てきたり、内容があっちへ行ったりこっちへ行ったりという感じで、ちょっと読みづらかった。
Posted by ブクログ
カジュアルなタイトルと見た目に反して、イラストの一切ない文字だけの300ページ超の大作。
内容は家事のノウハウやコツを伝えるような、よくある家事本では全くない。
むしろ「家事の社会学」というようなタイトルの方が適切じゃないかと思える。
家事の歴史的、社会的、政治的背景を紐解きながら、家事の偏在する大きな負担の理由を説明し、そのよりよい在り方を検討している。
対象読者は、日々家事に追われている人、その中でも家族があり、ケア(育児や介護)も家事の一つである方と想定している。現在の日本では大多数が女性でしょう。
女性が会社や社会などの公的エリアから家庭に追いやられ、家事を1人で抱えこまされ、男性が家事に関与しないのはなぜか。それはそれぞれの個人的な要因というよりは、家事がそういうものだとしてきた親、会社、社会、制度の関与がある。それぞれが長い時間の中で複雑に絡み合っているので根が深い。
具体的に家事負担の軽減として目指す方向は、家事の総量を減らすことと、それをほかの家族とシェアすることだ。シンプルだが重要であり、その具体例もまとまってはいないがいくつも紹介されている。制度や考え方も徐々によい方向に変化してきており、これからもきっと変わっていけるだろうという著者の姿勢も嬉しい。
女性が日々家事に苦しめられ、悩んでいることに対して、労いたい、共感したい、肩の荷をおろしてあげたい、助けたい、と思う著者の温かいケアの気持ちが真っ直ぐに伝わってくる本である。
そんな大変な思いをしている女性はもちろん、家事の大変さに気づいていない男性(夫、会社の管理職の方、官僚、政治家)の皆さんも、読んで頂きたい本です。