中室牧子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
・感想
子育てや教育に関するさまざまな疑問について、経験や思い込みではなく、科学的なデータをもとに考えられる一冊。学力だけでなく、非認知能力や親の関わり方、学校選びなど、子どもの将来を見据えた幅広いテーマが扱われている。特に、親がよいと思っている教育が必ずしも最善とは限らないという視点は興味深かった。
一方で、研究結果はあくまで統計的な傾向であり、すべての子どもに当てはまるわけではない。知識としては参考になるものの、実際の子育てにどう落とし込むかは、自分自身で考える必要があると感じた。子育ての正解を教えてくれる本というより、判断するための材料を与えてくれる本。今後の子育てに活かせるヒントを得られた一冊だった。
✅ Todo
子どもの結果だけでなく、努力や工夫、成長した過程を具体的に褒める。
勉強や習い事を親の価値観で決めつけず、本人の興味や好奇心を大切にする。
一緒に遊ぶ、会話する、絵本を読むなど、子どもと過ごす時間の質を意識する。
教育に関する情報を鵜呑みにせず、科学的根拠や研究の限界を確認する。
子どもの成長に合わせて、家庭での関わり方や教育へのお金の使い方を定期的に見直す。 -
Posted by ブクログ
ネットが発達し、誰でも簡単に専門的知識にすぐアクセスできるようになった社会においては専門性を突き詰めることだけが必ずしも正解とは限らない。
例えば、専門的な分野に関する理論のフレームワークの中で物事を考えてしまい視野狭窄に陥る危険性がある。また単純な試行回数によって習得ができるような深く狭い内容はAI に置き換えられる危険性がある。
情報が氾濫する社会の中で重要なことは情報の統合、掛け算的に情報を使うことである。
必要なのことは、分野横断的な知識の習得。
現代人は抽象化の能力が昔に比べて上がっていると言われている。直接の経験に頼るのではなく、分類の仕組みを通じて現実を理解し、何層もの抽象的な概念を使って情報同士の関係を理解する。例えば、動物の一部を哺乳類に分類し、さらに生理学や DNA での類似点を元に、もっと細かく分類する。
概念を表すことについても理解ができるようになった。
平均思考において必要な能力は、習得した内容を抽象化し、分類分けし、その抽象化した内容同士の類似点、結束点を見つける能力だと考える。 -
Posted by ブクログ
教育を経験則や「教育論」だけで語るのではなく、ランダム化比較試験などのデータを用いて教育の効果を分析する「教育経済学」を紹介した一冊。
「子どもを褒美で釣ってはいけないのか?」「ほめて育てるべきなのか?」といった教育の通説を、データを用いて検証している点は興味深かった。
一方で、統計学的な説明については疑問も残った。セレクションバイアスの確認方法や、サンプル数、デルタ、欠測値への対応など、試験デザインを考えるうえで重要な点の説明が十分ではないように感じた。
特に興味深かったのが、幼児教育の効果を示す根拠として紹介される「ペリー幼稚園プログラム」。
就学前教育を受けた処置群と対照群を長期間追跡し、高校卒業、持ち家、雇用などでは処置群が高く、逮捕歴や留年などでは対照群が高かったという結果が紹介されている。
ただ、40歳まで追跡するのであれば、死亡や回答拒否などによる追跡不能はなかったのか。また、評価項目そのものに偏りはないのか。
とはいえ「エビデンスに基づく教育」を考えることでランダム化試験を用いる事で、今後の効果的な教育を考察する上で伸び代がたくさんある事を示唆する一冊だった。 -
Posted by ブクログ
テレビでも話題になっていた本。
子育てで気をつけるべきことが多く書かれていた。
他人ができたから自分もそういけるとは限らない。
勉強だけではなく非認知能力というものも意識していかないといけない。
お気に入りの内容は3つ
1つは、成績が良くない事を、しっかり伝えずにただ褒める指導は本人が自覚せずに物事が進んでしまう非常に危険な事だというのを再認識させられた。ただ自尊心を上げるだけでは意味がない。
2つは、能力を褒めるのではなく、必ず過程をしっかり見てあげて褒めてあげる事。
3つは、行きすぎた平等は生徒が皆平等だと思わせることで生徒自身の責任を押し付けてしまうこと。少なからず差はあることは分かっていた方が良い。 -
Posted by ブクログ
面白かった。様々なエピソードが織り込まれているので、その一つ一つのエピソードも楽しめる。タイガーウッズ、ロジャーフェデラー、ジャンゴラインハルト、ケプラー、ゴッホ、村上春樹、任天堂の横井軍平など。
早期に専門に特化してしまう危険性をあげ、逆の事例として色々なエピソードが紹介された上、色々な分野を学び、様々な経験を通して見つけたものに取り組んだ時にイノベーションが起きる。と著者は言う。水平思考は時間と労力がかかるので、研究は垂直思考で行われることが多いが、専門の外からのアイデアで解決できることもあるのでそれを忘れないようにしないと視野が極端に狭まる。
著者のように警鐘を鳴らす人がいないとますます早期専門性が重要視されてしまうだろう。日本はどうか?
7章と8章がドラマティックで面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ•幼い時からゴルフ一本英才教育のタイガーウッズと、スキーレスリングなど寄り道しながら13歳からテニスを始めて一流になったフェデラーを例に挙げて、集中/専門化と多様化を論ずる
•知識を深く定着させる、未経験領域へ仮説を広げる、常識を壊す、決まった仕組みを疑う/既存の仕組みを壊す、などの効果(ケプラーの楕円軌道/地動説)
•逆に専門化は現状を疑わずに突き進んでしまうリスクを孕む(NASAのチャレンジャー号、コロンビア号の事故、等)
•内容は興味深いが、基本的にエピソードベースで都合の良い事例を集めてきた印象。何を持って専門/多様を区別するか、何をもって効果があるとするか、効用をどう定量評価するか、何と何を掛け合わせると効果があるのか、掛け合わせでも意味無いものもあるのでは、など突き詰めるとかなり弱い
•とはいえ、教育の事例や科学的発見のエピソードは興味深いし、自分なりにどう知識や経験を掛け合わせるか、を考えるきっかけを与えてくれる
•要は未知の領域にも積極的にチャレンジして学びを増やそう、不確実性の増している世の中ではより幅広い知識を獲得しておくべき、ということか
•中室牧子先生の後書きが、どうこの本の内容を捉えるかのヒントになる
•自分としては、経営、現場、IT/AIと何を掛け合わせるか