中室牧子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
200ページ弱、1日で読み切れるボリュームだが、なかなか面白い。
著者は教育経済学者。教育経済学は「教育を経済学の理論や手法を用いて分析することを目的としている応用経済学の一分野」とのことで、データを信頼し、それを用いて明らかにされる教育や子育てに関する発見は、専門家や評論家の「個人的意見」より、よほど価値があるというのがこの本のポイント。
たしかに、とかく「私はこう思う」といった「専門家の意見や見解」が鵜呑みにされがちで、「子どもを全員、東大に合格させた親の教育論」みたいなのが売れてしまう世界において、主観や個人の感想、たまたまうまくいったn=1の事例を礼賛するより、大きなデータをもとに有意性のある傾向を知っておく方が、子どもにとっても親にとっても健全であろうと思う。
著者は序論で、良くある問いを提示している。
「子どもはご褒美で釣ってはいけないのか」
「褒めて育てるのはありかなしか」
「ゲームをすると暴力的な子どもが育つのか」
これらに、著者はデータをもとにした回答を示している。
これ以外にも、本の中で著者はいくつもの問いを立て、それについてデータで答えを出している。以下の問いに少しでも興味があるなら、手に取って読んでみるといいと思う。
「テストでよい点を取ったらご褒美と、本を読んだらご褒美。どっちのほうが効果があるのか」
「お金はご褒美としてありかなしか」
「少人数学級には効果があるのか」
「学力テストで高い点を取る学校は、良い学校なのか」
「いい先生とは、どんな先生のことなのか」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
これまでの自分の人生を振り返って「自分はスペシャリストにはなれないな」と思うことが増えていた。
そんな中この本に出会い、人生の指針を得たように感じている。
【要約】
・タイガー・ウッズとフェデラー
タイガー・ウッズのような早期からの特化型教育よりも、様々な経験を積んだフェデラー型の方が現代の複雑な世界では適応力が高いという指摘は、教育やキャリア設計において重要な示唆だと思った。
これは「意地悪な世界」(予測不能な領域)で生き抜くために、汎用的な問題解決能力が求められるからだと述べられている。
・「速い学び」と「ゆっくりな学び」
早期専門特化の教育は短期的な成果はあっても長期的な成長を損なう可能性が指摘されている。
幼少期は幅広い分野を学び「マッチ・クオリティ(自身の得意分野)」を見つけることが大事。
・画家のゴッホの人生
ゴッホの人生は、一見無駄に見える試行錯誤の連続が、最終的には独自の芸術スタイル確立につながったことを示しています。
ここから、キャリア設計においても「計画して実行」よりも「試して学ぶ」方が有効である可能性が示されている。
これは私にとってとても救いになった。
「何歳からでも遅くはないんだ」と。
・NASAのチャレンジャー号事故の例
特定の「ツール」や思考枠組みに固執することの危険性を痛切に物語っている。
本事例に置ける「ツール」とは「データ絶対主義」。
データが重要であることは間違いないが、過去実績(データ)のない未知の試みについては定性的な議論も必要。
NASAに勤めるほど優秀な人でもこのような落とし穴があるのだから自分はより注意すべきだと感じた。
・全体まとめ
専門化が進みすぎた分野でアウトサイダーにチャンスが生まれるという逆説は、AI時代における人間の役割を考える上でも示唆に富んでいる。
「不確実性の時代」を生き抜くためのメタスキルが重要。
特定の分野に深く潜るだけでなく、幅広い経験と言語化能力(概念化)を組み合わせることが、予測不能な課題に対処する力を養う。
一見無駄に見える経験も、後で統合されれば独自の強みになる。
これは個人のキャリア設計のみならず、組織の人材育成においても重要な視点だと考えさせられた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「因果関係」と「相関関係」を混同しないようにしましょう、という本。
それを明らかにするために必要になるのが「因果推論」
本書は個別具体的な因果推論の方法について、数式などは用いずに説明をしてくれている。
○因果関係を確認するための3つのチェックポイント
1 「まったくの偶然」ではないか
2 「第3の変数」は存在していないか
3 「逆の因果関係」は存在していないか
○因果推論の方法
ランダム化比較試験、自然実験、差の差分析、操作変数法、回帰不連続デザイン、マッチング法、回帰分析
○因果推論の5ステップ
1 「原因」は何か
2 「結果」は何か
3 3つのチェックポイントを確認しよう
4 反事実を作り出そう
⇒「もっともらしいデータ」で置き換える必要がある
5 比較可能になるよう調整しよう -
Posted by ブクログ
読みやすくて興味深い内容が多かったです。
努力を評価することと非認知能力を育てるという部分が重要だと思いました。
他のマンガでわかるシリーズと比較すると少し密度は薄いかも(でもすんなり読めてよかった)
[要約メモ]
・結果ではなく努力を評価する
・認知能力だけではなく、非認知能力を育成することが大事
→やり抜く力と自制心を育てることが大事
・相関関係と因果関係を意識して教育する(相関関係のものを因果関係だと思って教育しない)
・男女共学より別学の方が学習度が高い
→男女で教え方が異なるから、男子は競争させて、女子は1人で自己目標を達成した方が良い傾向にある
・クラスの中心人物の人柄で周囲の少年犯罪確率が変わる