長年コンサルタントとして活躍してきた著者による、新たな思考法に関する一冊。
近年「エビデンスは?」「客観的な妥当性は?」「あなたの感想ですよね」といった言葉が聞かれるようになる中で、著者自身は、客観的なデータやロジカルシンキングよりも、主観を大事にしてきた、と述べた上で、発想の出発点を主観に切り替えることを主張しています。コンサルタントといえば、客観的な思考を大事にするものと思い込んでいましたが、新たに、客観と主観を定義した上で、その考え方を解説していきます。加えてAIの進化により、このような客観性のある考え方が改めて問われていることも指摘しています。著者のこれまでの作品である『仮説思考』『右脳思考』の考え方も織り混ぜ展開しており、時代に合わせた考え方の必要性も感じます。AI時代における考え方、仕事の仕方とは何かを考えさせる内容だと感じました。
▼私はむしろ、自分や顧客(相手)の「主観」(個人の感情や価値観)を、仕事を進めるうえで大切にしてきた。
▼個人の価値観や考え方が多様化した現代では、ますます人と人との”すれ違い”が頻発しているように思えてならない。だからこそ、そんな現代人に必要なのは、「ロジカルで客観的な話をする力」よりも、「相手の主観に寄り添う力」だと、私は考えているのだ。
▼新しい主観と客観の関係性
異なる主観同士をぶつけ合い、重なった部分を”客観”と定義する
▼「ロジカルシンキングの限界」を超える3つのステップ
①「自分の主観」を理解する
②「相手の主観」を探り当てる
③「自分と相手の主観」をぶつけ合い、”客観”(主観が重なる部分)をつくる
▼「自分の意見をつくる」ためには、自分の立場や主張を」いったん、決める」ことが重要
▼人間の意見や思考というのは、必ずしもファクトや理屈に基づいているわけではなく、最初から偏っているからだ。なまじ「俯瞰力」に自信がある人ほど、「自分は客観的に物事を見ている」と思っているから、「自分が正しい」という前提でコミュニケーションを取ってしまいがちだったりする。「客観せい」というのは、案外たちが悪いものなのだ。
▼重要なのは、組織内に存在する多様な主観を、「客観的な指標」で無理やりコントロールするのではなく、より「大きな主観」によって束ねていくことだ。
▼ゴールデンサークル理論
優れたリーダーは、WHY(信念・目的)→HOW(手段・方法)→WHAT(商品・サービス)の順で思考する
▼上司やリーダーがやるべきことは、そうした組織の理念やビジョンを「部下たちが共通して持っている認識」としてつくり出すこと
▼「結局、なんのためにそれをやるのか」という「Why」が共有されていなければ、社員の心は動かないからだ。心が動かなければ、当然、社員たちの行動は変わらない。
▼近年、「若手の早期退職」が社会的に問題視されているが、それはいまの社会が売り手市場であるのと同時に、「働くモチベーションづくり」で多くの会社が失敗していることも理由のひとつではないだろうか。またそれは、上の人間の責任であると同時に、社員一人ひとりが「どんな視点や意識を持って働くか」が、これからの時代には求められているとも言える。もしあなたが、いま属している会社でいまひとつ「やりがい」を感じられていないのなら、その視点を少し変えてみることで、道が開けるかもしれない。
▼人や組織を動かすために真に必要なのは、「筋の通ったロジカルな説明」よりも、たとえ非合理でも、「人々の共感を呼ぶようなストーリー」だ。なぜなら本書ですでに述べたように、人間の行動や意思決定に大きな影響を与えるのは、「論理」よりも「感情」だからだ。
▼やはり大切なのは、実績や経験の有無を問わず、「自分はこれが好きだ」「これは自分の得意分野だ」と積極的に発言していくことだ。そうやって日頃から「自分の主観」を表明している人ほど、多くのチャンスに恵まれる。そこで経験を積むことができれば、「客観的な信頼性」も後からついてくるだろう。
<目次>
序章 なぜ「あの人」と「わたし」は、わかり合えないのか?
――「客観性の落とし穴」にハマらないための思考法
「主観」と「客観」の定義をアップデートする
「主観」から始める新時代のビジネス戦略
第1章 まず、あなたの「価値観」を徹底的に洗い出す
――「自分らしい発想」を、どうやって手に入れるか
「論理」の先に、「正解」はあるのか
「頭のいい人」は、こうやって人を動かす
リスクを回避し、チャンスをつかむための「右脳思考」
「感情と向き合う」ことは、「自分を知る」こと
「自分の意見がない人」から脱却する方法
第2章 「常識」「ルール」「思い込み」から自由になる考え方
――「視点」を変えれば、「世界の見え方」が変わる
世界を「正しく見る」ための思考法
むやみに「否定しない」「説得しない」「反論しない」
「思考のバイアス」を取り除く方法
「仮説思考」で相手の価値観を検証する
「意見の対立」はなぜ生じるのか?
第3章 「説明しても伝わらない」を乗り越える方法
――「主観」をすり合わせ、「認識のズレ」を解消する
「提案を通すのが上手い人」が考えていること
「認識のズレ」はどこからやってくるのか
「曖昧さ」をクリアにする思考法
第4章 だから、あの組織はうまくいく
――本当に“働きがい”のあるチームのつくり方
優れたリーダーは「WHY」から語る
チームの生産性を高める「モチベーションづくり」の作法
ビジョンは「見える化」してこそ意味がある
「ロジックの時代」から「ストーリーの時代」へ
「自分らしさ」を「武器」に変える働き方