水村美苗のレビュー一覧
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ケビンは、夫婦のことを書いて残しておきたいと思った。特に貴子のことは。本人から聞いたことより夫の篠田氏から聞いたことが多かった。貴子のことは篠田氏も六条の御息所から詳しく聞いていたのだ。貴子の両親がサンパウロについてそこで貴子は生まれた。しかし母親が死んでしまいどうしようも無くなった父親は旧知の山根書店のおじいさん(安二郎)とおばあさん(八重)に預けていった。この山根書店で貴子は大きくなった。二人は貴子を一人前の日本人として育てたいと習い事にもお金を使った。それで店の奥で謡を舞っていたのを六条の御息所に見られたのである。それが縁で御息所の北條瑠璃子との繋がりができた。
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帰国子女ベストセラー作家が書いた愛国主義的な片手間エッセイだと本書のことを想像していた。
実際、執拗に長い前半部分の「若い頃体験記」は軽薄な印象で、本書を途中で投げ出す寸前にまで動揺した。
しかし中盤ぐらいからの言語学や、果ては文明論まで持ち出した考察は興味深い。
内容は、英語の言語大流行によってもたらされる文化禍への警告である。英語ネイティブの無邪気、無自覚、無神経を非難する。
後半からはその考察をベースに日本近代文学論のようにもなっていき、漱石の『三四郎』を日本での先見性という一般的評価だけでなく、当時の世界での位置や「大学→翻訳→国語→日本近代文学」という歴史的シンクロとして解説する。本 -
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ある小説が絶筆になって、その先が知りたいほどおもしろいなら、
書き継がれるものはおもしろくなくてはならない。
とおっしゃる作者、説得力がある。
読者は何を期待するかというと、登場人物がこのさきどうなったかということと、
途絶したストーリーの先を知りたいということ。
登場人物の性格が変わってほしいのでもなく、雰囲気が違ってもほしくない。
人間のエゴイズムを追求している意図ならば、急に勧善懲悪を期待するのでもない。
さて読んでの感想は
「答えはすでに漱石の作品の中にあるのである」
ということをまざまざと見せてくれるね。
『明暗』と『続 明暗』通して読んでみて、むしろ違和感がないのが怖い -
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母と娘って、ありますよね。。
独特の何かが。
きっと "父と息子"にも
あるのだろうけど。
私自身は 父親との方が
性格も似ているし
話も合って 仲が良いのですが
不思議なことに
『母の死』を 想像した時の方が
途轍もない 喪失感に襲われます。
母と娘って もちろん
一括りには出来ませんが
お互いに 値踏みしている感じが
ありますよね。
それでいて 目に見えないところで
囚われているというか。。
帯の惹句にもなった
『ママ、いったい
いつになったら死んでくれるの?』は
いろんな想いが入り混ざった一言。
女性が 様々な経験を通して
少しずつ成長して強くな -
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中年のおっさんが主人公の小説ってけっこうあると思ってて、
ハードボイルド小説といえばかなりの確率でおっさんだし、
まぁおっさんの定義にもよるけど、40代、50代でも特に
おかしくない感じで。
じゃあおばさんは、っていうと、まぁおばさんの定義は
おっさんの定義に対して極めて難しい問題をはらんでいるので
ぶっちゃけ分からんのだけども、確かにおばさん主人公の
小説ってあんまないのかな。
じゃあって感じで今回なんだけども、
小説の中にも出てきているように、まさにおばさんの
シンデレラストーリー、ただしややしみったれたバージョン。
でもしみったれた分だけ現実感があって、
でもそこそこあり得ないだろって感 -
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村上春樹が訳したスコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャッツビー」を思い出した。グレート・ギャッツビーは1920年代、ニューヨーク郊外のロングアイランドの豪邸を舞台に、毎夜盛大なパーティーを開催する若き富豪の物語。この水村美苗の「本格小説」は1950年代後半以降の東京と軽井沢を主な舞台とした日本の富豪を巡る物語だ。華やかな軽井沢の富豪の別荘に出入りするようになった少年東太郎が、自らの出自や貧しさを振り切るため10代で渡米し米国で大富豪になっていく。20代、30代を米国で仕事に全力を注ぎ金銭的には十分に成功するが、実は軽井沢で出入りしていた富豪の家の娘と果たせぬ恋に落ちたまま、満たされ
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ネタバレ予想以上に自然な繋がり方だった。原作と最も自然な繋がり方を探った、とあとがきにあったが、よくここまで再現できたな、という感想である。
何度も滝へ身投げした女性の描写があるので、お延の運命を暗示しているのかと単純に思わせておいて、最後はお延の自然に身を委ねる、吹っ切れた姿で終わるのがなんとも清々しくて良い。
あとがきにあった通り、漱石は文明論を登場人物に語らせるので、どうしてもストーリーへの興味が失せがちだったのが、続明暗では、そのくだりが全くなかったので、漱石のストーリー性と人物描写の巧みさを抽出して読んだかのようで、とっつきやすかった。 -
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夏目漱石の未完の大作で遺作となった、「明暗」の続きを書こうと試みるもの。小学校から大学院までアメリカで過ごした著者、水村氏は、日本語への思い入れが人一倍強い。
日本を代表する小説家が残した小説の続きを書くというのは、当然批判もされるだろうし、とても勇気が要ることだろう。漱石の明暗を読めば、彼がどうやって物語を終わらせしょうとしていたのかは読者一人一人が想像するところだろう。
「明暗」に比べればやや読みやすく、それなりにハラハラさせられる展開もある。これはこれで楽しめた。明治時代の結婚というものは、本当に現在と全く姿が違うものだと改めて驚かされた。漱石の小説の登場人物では、ろくに仕事もしないで優