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Posted by ブクログ 2019年06月04日
夏目漱石の本歌取りであるが、新人作家がそれにチャレンジした勇気と、その勇気に匹敵する内容の面白さに感服し喝采。
登場人物のキャラで小林がずいぶん常識人になってしまったのと、妻お延がなんでかうつ性格になってしまったのは、ちょっとしたキズにもみえるけれども、それまでほとんど登場してなかったもと彼女の清...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年10月28日
「日本語が亡びるとき」等の論考でも知られる著者のデビュー作。何と言っても夏目漱石の死によって未完に終わった「明暗」を、その文体を見事なまでに再現した上で、続きを創出するという大胆な作品であるが、これがデビュー作とは思えない恐ろしい完成度に満ちている。
漱石が「明暗」という作品をどのように終わらせよ...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年01月31日
漱石の『明暗』は…ずいぶん以前に読もうとして、挫折してしまったような気がする。
ずいぶんと難渋して、どこが「則天去私」なのかもさっぱりわからなくて、放擲したような…。
だから、この本も、正直に言うと、読み切れるとは思えなかった。
ところが、読み始めると、ぐんぐん引きつけられた。
津田とお延の間の危...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年05月29日
さすが、ちくま。さすが水村美苗さん。
1990年に筑摩書房から出版された、水村美苗さんの初小説だそうです。面白い。大好き。
新潮文庫になっていたんですね。それが絶版になっていた。それをまた、ちくま文庫が出したんですね。まあ、新潮の方がメジャーですからねえ。でも、僕はちくま文庫さん、大好きです。ち...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年05月03日
「漱石未完のあの傑作の続きを書く」という時点で非常に面白いテーマであったし、現代に於ける創作の一つの根幹をついていると思う。それを抜きにしても非常に楽しめた。
あとがきを読むだけでも漱石文学批評として明晰で興味深かった。それは、自らを漱石として創作するという態度によって獲得される批評であり、その上で...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月07日
非常に読み応えのある作品だった。
主人公津田はいつまでも自分の人生を正面からぶつかろうとしない態度、
素直な感情の発露よりそれと同時に現れる下らない理性による体面ばかりを気にする態度によりどうしようもない人間となってしまう。
津田の妻であるお延も初めはそんな主人を無理やり信じながら(心のどこかで疑っ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年08月04日
ある小説が絶筆になって、その先が知りたいほどおもしろいなら、
書き継がれるものはおもしろくなくてはならない。
とおっしゃる作者、説得力がある。
読者は何を期待するかというと、登場人物がこのさきどうなったかということと、
途絶したストーリーの先を知りたいということ。
登場人物の性格が変わってほし...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年03月09日
あとがきにある、「文士を押すのではなく、人間を押すことを望む」ことを、漱石から受けての続編。
この書の批判に対しても、冷静に分析する水村美苗はさすが。メンタル強すぎる。
個人的にこれじゃない感はあったけれど、未完のものへのひとつの答えとしてとても面白かったし、読んで良かった。
読みながら、漱石は後...続きを読む
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