水村美苗のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
おもしろかった。漱石のことをよくわかっているというわけじゃないから当然かもしれないけど、「明暗」を読んだあとすぐに読んで、まったく違和感なかった。ときどきこれは「続」のほうだ、漱石じゃない、と思い出さないといけないくらい。で、「明暗」よりは後半に動きがあって展開が早くて読みやすかった。ええーそれでどうなるのー、という感じ。淡々としているのに、清子が津田をふったわけを話すところとか、いよいよ謎が明らかに、という気がして、なぜか読んでいてすごく盛り上がった。 でも、なんとなく、またこの先を読みたいような気がした。決着がまだ着かない感じというか。この先、みんなが日常に戻ってからのことを読みたい。 そ
-
Posted by ブクログ
なんで今まで読まなかったんだろうーー!小説の一部でありながら、まえがきのような、エッセイのような、著者自伝のような「本格小説の始まる前の長い長い話」も、アメリカかぶれで帰国子女があこがれのわたしにとってはものすごくおもしろかった。長さがまったく気にならない!で、そのあとようやく「本格小説」がはじまり、最初はちょっと人間関係がわかりづらかったり、時代が前後したりしてとまどったり、のんびりした会話がちょっとまどろっこしかったりもするんだけど、慣れてどんどん読むのが加速されていって。とくに女中フミさんの語りがはじまると、とにかくその語り口調がすごくよくて。ですます調で敬語や丁寧語が多いんだけど、読み
-
Posted by ブクログ
軽井沢の避暑地で過ごす米国人の男性とその隣に新しく家を増改築して転居してきた元大使夫妻。能を舞い日本の伝統文化を生活の中に取り入れる妻に惹かれながら、その奥にある戦前から続く物語が明かされていく。ブラジル移民の実情はよく知らず、本書の中で取り上げられている事実は厳しく辛いなと思った。戦前、戦後に多くの人が本当の事情を知らないまま大きな負荷を背負わされた。そして時間がたつにつれてその事実すら消えてなくなりそうである。本書のように、小説の中でそれらの出来事に触れ、読み継がれていくことが大事だと思う。長編だったけど、いろんな場面を思い浮かべながら読み進めることができた。