水村美苗のレビュー一覧

  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    『私小説~』を数か月前に読んだので、読み始めは似た感じかと思ったらそうじゃなかった。
    でも、この人の人生を彼女の視点でたどるのはとても楽しいから、別に同じでもよかった。
    今読売新聞で連載されているのも単行本化されたら一気に読もー。

    『嵐が丘』風小説らしいですが、まだ嵐が丘を読んだことがないのでよくわかりません。

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    2011年01月04日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    なんで今まで読まなかったんだろうーー!小説の一部でありながら、まえがきのような、エッセイのような、著者自伝のような「本格小説の始まる前の長い長い話」も、アメリカかぶれで帰国子女があこがれのわたしにとってはものすごくおもしろかった。長さがまったく気にならない!で、そのあとようやく「本格小説」がはじまり、最初はちょっと人間関係がわかりづらかったり、時代が前後したりしてとまどったり、のんびりした会話がちょっとまどろっこしかったりもするんだけど、慣れてどんどん読むのが加速されていって。とくに女中フミさんの語りがはじまると、とにかくその語り口調がすごくよくて。ですます調で敬語や丁寧語が多いんだけど、読み

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    2011年09月18日
  • 続 明暗

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    日本語で小説を書く、ということを独自の視角から提示しつづけてくれる水村さんが漱石の未完作品を書き継いだ、という意欲作だけに、いつか読んでみたいと思っていました。
    漱石の「明暗」から違和感なく、しかも漱石の世界にもともと内包されている激しい心理劇をきちんと展開してくれて、読んでよかった、なんか得したなぁ~という気分。「本格小説」も合わせて、小説好きには広くおススメしたい一冊です。旅行のお供にもなんだかふさわしい!

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    2011年02月23日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    戦後日本とアメリカに生きた「東太郎」を中心とした物語。

    重厚な内容だが、一気に読み進み、最後にはページが進んでいくのが惜しいとさえ感じさせた。

    序盤の「本格小説の始まる前の長い長い話」によりフィクションとノンフィクションを地続きにさせた構成にもやられた。

    もう一度読むと新たな発見も多いはず。

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    2010年07月28日
  • 続 明暗

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    漱石の「明暗」と比べると文体に違和感を少し感じますが、物語としてはとても面白いです。
    自分がどんな考え方をしている人間なのかを、津田は清子に振られるだけでは気づけなかった。もし婚約破棄という状況になった場合、わたしは自分のことをどれだけ見つめ直すことができるのか。

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    2010年03月22日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    東太郎という男の人生を描いた小説。冒頭で少女小説を読みふける場面があったけど、これは元少女のための小説ですかね~。うざい臭いおっさんはほとんど出てこないし、高飛車なばあさんたちはキーくやしいとハンケチを噛むはめになってw途中話がまだ始まらないのかなとイライラするところもあるけれど、ほとんど朝まで読みふけってしまいました。エロエロも少しあって元少女としては楽しめました。

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    2010年01月13日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    推理小説慣れしてしまったわたしの頭には
    かなり刺激の少ない本だった。
    ただ刺激が少ないからといって
    面白くないというわけではない。

    軽井沢の自然や東京の昔の町並みのなかで
    話は展開する。

    祐介の友達が嫂やその妹のことで
    カルい会話をするところなんかは現実に引き戻される。

    東太郎の人生が語られ始めるとあっという間に読める。
    冨美子がずっとメインで語っていたのに、
    最後に冬絵の登場で冨美子が語る立場から
    小説の登場人物へと代わる。
    ここで冨美子の悲しさ、
    現実がどっとあふれ出てくる。

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    2009年10月04日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    面白いよ~と言われていたが、題名にビビッて今まで読みませんでした。下巻これから読みます。美人3婆さんが気に入ってます。魔女みたい。舞台が千歳船橋〜成城なのでとっても懐かしいです。千歳船橋の、雨上がりの泥だらけの道を思い出します。

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    2011年07月17日
  • 大使とその妻 下

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    北條夫人のキャラクターなど魅力的だし、ブラジル移民の様子など舞台設定もユニーク。時間をかけて盛り上げてきたストーリーだが、終盤、失速したように感じた。日本、というものへのこだわりから離れた、ような。。私の読みが浅いのかもしれないけど。

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    2025年06月13日
  • 大使とその妻 下

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    軽井沢の避暑地で過ごす米国人の男性とその隣に新しく家を増改築して転居してきた元大使夫妻。能を舞い日本の伝統文化を生活の中に取り入れる妻に惹かれながら、その奥にある戦前から続く物語が明かされていく。ブラジル移民の実情はよく知らず、本書の中で取り上げられている事実は厳しく辛いなと思った。戦前、戦後に多くの人が本当の事情を知らないまま大きな負荷を背負わされた。そして時間がたつにつれてその事実すら消えてなくなりそうである。本書のように、小説の中でそれらの出来事に触れ、読み継がれていくことが大事だと思う。長編だったけど、いろんな場面を思い浮かべながら読み進めることができた。

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    2025年04月04日
  • 大使とその妻 下

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    ネタバレ

    水村美苗のどの作品も端正な日本語文章を楽しめたので、これも期待して読み始めた。上巻は面白くぐんぐん読んだのだれれど、下巻では読むスピードがだいぶ落ちたのはどういうわけか
    。失われていく日本らしさなのか、ブラジル移民のことか、焦点もくっきりせず、コロナ禍と絡める必然性も私にはよくわからなかった。貴子という人も夢の中の人のようで、魅力が伝わりきれず。読後感も凡庸で、どうも私にはあまり合わなかったようだ。

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    2025年02月20日
  • 日本語で書くということ

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    漱石について論じた文章が興味深い。
    彼が創作の中で何を考えながら、どこを目指していたのかを理解する一助になった。
    異国の地で日本文学に思いを馳せ、行く末を案じたという点で、著者は夏目漱石と自分を重ねていたのかもしれない。

    「Ⅲアレゴリーとしての文学」は聞き慣れない単語が多く、専門外の論文を読まされているようで私には苦痛だった。
    (あとがきによれば、実際著者がイェール大学院時代に書いた論文らしい。門外漢の私が理解できなくて当然だと思った)

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    2024年12月29日
  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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    言葉とは思考であり、文化であり、歴史であり、国の存在そのものである。個人的には英語は話せるようになりたいが、国語教育が蔑ろにされるのはやめてほしい。以前、山田詠美だったと思うが、教科書に自身の著作が載ることになったときに、教科書でしか読めない文豪の作品を載せるべきではないかと言っていたように記憶している。まさにその理由がここに書いてある。

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    2023年03月21日
  • 日本語で読むということ

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     『續明暗』を書いた人として水村氏の名前は知っていたが、実際にその文章を読んだのは、『日本語が亡びるとき』が唯一だった。
     そのエッセイ&批評が文庫化された機会に、本書を手に取ってみた。

     親の仕事の関係で12歳で渡米、著者はアメリカに目をつむり、ひたすら日本に目を向けたと述懐する。長い海外生活から日本に戻り、〈日本語〉で文章を書き始めた著者が『續明暗』を、さらには『日本語が亡びるとき』を書くことになったことも、本書に収められた文章を読んで、何となく納得できた気がする。

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    2022年05月11日
  • 日本語で読むということ

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    エッジが立った文章で心地よい。気持ち良く読める。ただ、内容が自分の目線の射程に依るものが大部分なので、何らかの示唆を得るというものではない。水村は、わざとそういうエッセーを書いて「女流」というブランディングをしているのだろうか。

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    2022年04月26日
  • 日本語で書くということ

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     読んでいて成る程と思ったのは、漱石論の二編。
     一つは、「見合いか恋愛か-夏目漱石『行人』論」。もう一つは、「「男と男」と「男と女」ー藤尾の死」。

     『行人』において、一郎は悩む。「自然が醸した恋愛」と「狭い社会の作った窮屈な道徳」、つまり「自然」と「社会」、〈自然〉=〈ピュシス〉と〈法〉=〈ノモス〉の対立。一郎の狂気とは二項対立のないところに二項対立を見いだそうとするところにある、と著者は言う。何となれば、恋愛が〈自然〉と〈法〉の対立する世界観を前提とするのに対し、一郎とお直がそうであったように、見合いはそうした対立関係にはないから。
    お直が答えようもない不可能な問いを一郎が問うことーこ

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    2022年04月25日
  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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    朝日新聞の模擬入試の欄で紹介されていた。
    フランスでの講演及び日本の明治の日本語について。さらに漱石までは納得できるものであったが。最後で福田の引用をしてから文調がおかしくなってきた。最後は日本精神ということになってきてあまり論理での説明が省略されてきてしまった。4章の日本語という国語の誕生、までは読んでなるほどと納得させられることがあるが、それ以後はだいぶ怪しい。漱石の三四郎や文学論の引用はなるほどよく勉強していることはうかがえるが、英語教育についての論は少し勉強不足なのかもしれない。

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    2021年10月06日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    ネタバレ

    母を見送った後に1人箱根のホテルで過ごす美津紀の揺れる心情、連れ添った夫の裏切りを知りどうするのか、、興味深かった。夫の言い分が最後まで分からずだったけど美津紀の第二の人生はきっとまだまだ長いはずだから正しい選択だったと思う。最後の奈津紀の優しさもホッとした。遺産を巡って姉妹が思いあえたのは羨ましい。

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    2021年09月12日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    『本格小説』は、嵐が丘のオマージュというからにはやっぱり語り手が女中さんだったというか、そのひとが主人公のような小説であった。

     タイトルが日本近代文学『本格小説』とちょっと仰々しいけど、おもしろく読める。戦後から昭和の時代、平成に入ったところを背景に、突き抜けた人物達が織り成すドラマはわたしたちがたどった時代を振り返らせてくれ懐かしく、また歴史風俗の変遷を思う。

     この小説では戦後もすぐ、集団就職の時代にお手伝いさんと呼び名が変わったにもかかわらず女中になってしまったひとと、零落しつつもそのことに執着した家族と、貧しさから這い上がらなければならなかった青年のとの三つ巴のドラマがすさまじい

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    2020年12月23日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    上下巻とかなりのボリュームを頑張って読み進めると、最後の最後に大どんでん返しがあり読後感は面白かった…が、正直年配の女性が延々話してることをそのまま記述してあるような小説のため、やや読むのに骨が折れた。

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    2020年07月28日