水村美苗のレビュー一覧

  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    余韻のある恋愛小説でした。どうでもいいことですが、主要登場人物が大体優雅で美男美女と言う設定ながら、主人公の女性が、その中ではブスっていうは作者の好みなんでしょうか。

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    2011年07月17日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    読みたかった物語がここにはある。久々に恋愛で胸がぐっと来る。冒頭作者は偶然聞いた「小説のような話」が天からの啓示のように日本語で書かれた「近代小説」を書きはじめたとある。そしてそれに続く「本格小説の始まる前の長い話」で物語の主人公となる男東太郎との出会いと12歳で渡米して以来半生を送ったニューヨークで聞く彼の話が作家の私小説的な物語の中で書かれている。そして後の物語への伏線となっている。カルフォルニアの大学で働く彼女の元に一人の若い男加藤祐介が尋ねてくる。「東太郎」の話がしたいと。そして彼から聞いた「本当の話」こそ真の小説のような話であり、日本近代文学の元となった嵐が丘のような作り話という「本

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    2011年07月16日
  • 大使とその妻 下

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    水村美苗さんの書籍を初めて読みました。ストーリー展開は終始ゆるやかで驚くような展開はありませんが、選ばれた言葉一つ一つがとても美して読んでいるだけで、教養が身につくようなそんな読書体験でした。源氏物語や百人一首など、日本人なのに学校でほんのさわりを習っただけで、何も知らない。ブラジル移民の話も初めて聞いた内容で学校、親からも習ったこともない。能動的に知ることをしていかないと一生知らないまま。本を通じて、また知りたいことが増えました。面白かった!だけじゃない読書体験ができて良かった。

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    2025年11月28日
  • 無駄にしたくなかった話

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    2009年~2024年に、文芸誌などに掲載されたエッセイや書評や講演、日記など短いものがまとめられている。
    最初に読んで思ったのは、いやーやっぱり、昭和的?な言葉でいうと「ハイソサエティ」で「インテリ」であこがれる、っていうこと。
    あと、たとえば、成金といわれるタイプの人を評する揶揄とか、おしゃれじゃない人に対する観察とか、「(自分が)若い女じゃなくなるとツマンナイ」というところとか、シニカルな率直なもの言いがよい、と。いい人に見られようとしない感じが素敵。

    冒頭の「無駄にしたくなかった話」という旅行記がおもしろかった。ヨーロッパの超お金持ちたちとフランスに滞在したときの話だけど、一緒に滞在

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    2025年10月27日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    ▼水村美苗さんは数冊読んでいて、文章がとにかく上手いので信頼しています。長らく積読になっていたもの。

    ▼「嵐が丘」の日本版という売り文句。読み始めるとすぐに、「あ、この男性がヒースクリフかしらん」というのが出てくるのですが、なかなかキャサリンが出てこない。1970年代のニューヨークの日本人界隈の話をしているうちにどんどん進んでしまう。仕舞いには、「おお、上巻全体が前置きなのか・・・?」。

    ▼というわけでいろいろと魅力的なパーツは転がっているのだけど、全体の構図と力感は散漫なので、この上巻だけで言うとそれほど極上でもありませんでした。が、どうやら下巻がかなり疾風怒濤な予感。成程、つまりは嵐が

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    2025年07月14日
  • 大使とその妻 上

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    日本の古典文学の引用が
    随所に散りばめながら、
    美しい日本語で軽井沢の
    四季が描かれる。

    特に劇的な出来事はないけど
    登場人物にとっては大きな出来事へのリアクションに共感できるかどうかで、好き嫌いは分かれるかも。

    貴子の仕舞のシーンは
    鮮やかなイメージが脳裏に
    浮かんだ

    映像化は難しいだろうな

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    2025年06月12日
  • 大使とその妻 下

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    ネタバレ

    後半は大使夫人貴子の生い立ちがほとんどで、彼らがブラジルに戻ってから連絡が途絶えてケヴィンが心配する様子が描かれる。ラストは落ち着くところに落ち着くような光の見える展開でホッとしました。
    軽井沢の蓬生の宿の描写が素晴らしいので、どちらかというと前巻の方が好きです。

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    2025年04月04日
  • 大使とその妻 上

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    ケヴィンと貴子、それぞれの過去から今に至るまで、国を跨ぎ時代を超え、何層にも物語りが織りなされていく。それは、とうの昔に亡くなったかけがえのない者との対話でもある。最後に二人が再会できることを願わずにはいられなかった。

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    2025年03月27日
  • 大使とその妻 下

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    ネタバレ

    うつくしくて静謐な筆致の中に不穏さが見え隠れして、夫妻とケヴィンは一体どうなっていくの…?とドキドキの上巻に続く下巻。「夫人」と出会ってからの貴子の半生が語られていく。
    面白かった。ブラジルの日本人移民のことなんて考えたこともなかった。
    でも、読み終わって気付いたんだけど、私、貴子があんまり好きじゃないのかも。なんでだろう、結局は周りの人を振り回して平気な(またはそれに気づいてない)人みたいな気がしてしまって。

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    2025年03月27日
  • 大使とその妻 上

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    語り手の日本に住むアメリカ人、
    高等難民みたいで
    どこか日本を見下してるし
    最初は鼻についてたんですが
    読み進むうちにやめられなくなり!

    それは実は彼も
    もう一人の主人公の女性と同様、
    過去に故郷で重い出来事があり
    それをずっと引きずりながら
    生きているから。

    女性の主人公が話す日本語が美しく
    背筋が伸びる気持ちになりました。

    最後は書かれていませんが
    哀しい結末を想像しちゃった!


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    2025年02月12日
  • 大使とその妻 下

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    ケビンは、夫婦のことを書いて残しておきたいと思った。特に貴子のことは。本人から聞いたことより夫の篠田氏から聞いたことが多かった。貴子のことは篠田氏も六条の御息所から詳しく聞いていたのだ。貴子の両親がサンパウロについてそこで貴子は生まれた。しかし母親が死んでしまいどうしようも無くなった父親は旧知の山根書店のおじいさん(安二郎)とおばあさん(八重)に預けていった。この山根書店で貴子は大きくなった。二人は貴子を一人前の日本人として育てたいと習い事にもお金を使った。それで店の奥で謡を舞っていたのを六条の御息所に見られたのである。それが縁で御息所の北條瑠璃子との繋がりができた。

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    2025年02月09日
  • 大使とその妻 上

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    アメリカ人のケビンは一人で軽井沢の追分の小屋に住んでいる。冬の寒い頃は東京のマンションに移っているが、気候が良くなると軽井沢に戻ってくるのが習慣になってしまった。そんなケビンの隣の別荘が改築され新しい住人が越してくるという。静けさを愛するケビンは家族ずれなら困るなと心配していたが、やってくるのは夫婦ずれだという。少しほっとしたケビンだった。そしてその夫婦が越してきて、少しずつお互いの来歴を知るにつれ、ケビンにはその夫婦が忘れられない人たちになっていく。

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    2025年02月01日
  • 大使とその妻 上

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    薄い布を一枚一枚剥ぐように貴子の真実が明らかになっていく
    ケヴィンと同じくわたしも次々に訪れる驚きにただ茫然とするばかり。
    冒頭で夫妻との別れが描かれているので、これからさらに何があきらかになって何が起こるのか、怖いような気持ちで下巻に、、、

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    2024年12月18日
  • 母の遺産 新聞小説(上)

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    時々お話が前後するし、読みにくい部分はあったけれど。
    主人公と近い年だし、他人事ではない内容に先が気になり興味深く読めた。

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    2024年02月19日
  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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    帰国子女ベストセラー作家が書いた愛国主義的な片手間エッセイだと本書のことを想像していた。
    実際、執拗に長い前半部分の「若い頃体験記」は軽薄な印象で、本書を途中で投げ出す寸前にまで動揺した。
    しかし中盤ぐらいからの言語学や、果ては文明論まで持ち出した考察は興味深い。
    内容は、英語の言語大流行によってもたらされる文化禍への警告である。英語ネイティブの無邪気、無自覚、無神経を非難する。
    後半からはその考察をベースに日本近代文学論のようにもなっていき、漱石の『三四郎』を日本での先見性という一般的評価だけでなく、当時の世界での位置や「大学→翻訳→国語→日本近代文学」という歴史的シンクロとして解説する。本

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    2022年09月25日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    読売新聞にて2010年1月16日から2011年4月2日まで毎週土曜日に連載(全63回)。当日の新聞を保存してあったので、読み通した。
    自分が母の介護に追われているので、このタイミングで読んでみた。主人公の心理描写が素晴らしく、満足できる着地で読後感は期待以上であった。

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    2022年04月26日
  • 母の遺産 新聞小説(上)

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    読売新聞にて2010年1月16日から2011年4月2日まで毎週土曜日に連載(全63回)。当日の新聞を保存してあったので、読み通した。
    自分が母の介護に追われているので、このタイミングで読んでみた。主人公の心理描写が素晴らしく、満足できる着地で読後感は期待以上であった。

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    2022年04月26日
  • 母の遺産 新聞小説(上)

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    介護問題において今の自分と重なる部分がある次女美津紀のことが気になり読んだ。新聞小説だけに読みやすいボリュームでタイトルがついているのも好ましい。著者の自叙伝部分もあるようなので現実味もある気がする。下巻が楽しみ。

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    2021年09月07日
  • 続 明暗

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    ある小説が絶筆になって、その先が知りたいほどおもしろいなら、
    書き継がれるものはおもしろくなくてはならない。

    とおっしゃる作者、説得力がある。

    読者は何を期待するかというと、登場人物がこのさきどうなったかということと、
    途絶したストーリーの先を知りたいということ。

    登場人物の性格が変わってほしいのでもなく、雰囲気が違ってもほしくない。
    人間のエゴイズムを追求している意図ならば、急に勧善懲悪を期待するのでもない。

    さて読んでの感想は

    「答えはすでに漱石の作品の中にあるのである」
    ということをまざまざと見せてくれるね。

    『明暗』と『続 明暗』通して読んでみて、むしろ違和感がないのが怖い

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    2021年08月04日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    すごいタイトルだと思って、気になっていた本。
    ・本編が始まるまでに200P以上も不要ではないか
    ・中途半端な実写の写真を挿れる必要はないのではないか
    ・私小説でも本格小説でもないのではないか
    とか思いながらも面白かった。

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    2021年06月27日