水村美苗のレビュー一覧

  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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    本作は、水村美苗の人生経験や文学観を通して日本語がいかに変貌してきたか、英語の世紀の中でどのような役割を果たしていくのかについて様々な側面から語られる。冒頭は『三四郎』の引用から始まり、日本語が「亡びるね」の持つ意味について考えていく。

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    2021年02月14日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    母と娘って、ありますよね。。

    独特の何かが。

    きっと "父と息子"にも
    あるのだろうけど。

    私自身は 父親との方が
    性格も似ているし
    話も合って 仲が良いのですが

    不思議なことに

    『母の死』を 想像した時の方が
    途轍もない 喪失感に襲われます。

    母と娘って もちろん
    一括りには出来ませんが

    お互いに 値踏みしている感じが
    ありますよね。
    それでいて 目に見えないところで
    囚われているというか。。

    帯の惹句にもなった

    『ママ、いったい
    いつになったら死んでくれるの?』は

    いろんな想いが入り混ざった一言。

    女性が 様々な経験を通して
    少しずつ成長して強くな

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    2021年01月03日
  • 続 明暗

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    あとがきにある、「文士を押すのではなく、人間を押すことを望む」ことを、漱石から受けての続編。
    この書の批判に対しても、冷静に分析する水村美苗はさすが。メンタル強すぎる。

    個人的にこれじゃない感はあったけれど、未完のものへのひとつの答えとしてとても面白かったし、読んで良かった。
    読みながら、漱石は後世の私たちに楽しみを残す為、未完のまま終わらせるつもりだったのではないかとすら思えた。

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    2020年03月09日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    ネタバレ

    ここまで自分の気持ちを出せたら、気持ちいいだろうと思う。
    母親に対しての感じ方、とても共感てきる。
    最後は、いい姉妹に恵まれたな、と思う。
    いいラストでした。

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    2020年01月22日
  • 母の遺産 新聞小説(上)

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    年老いた母親とふたり姉妹の、介護にまつわる話。
    なんて素直な気持ち!
    冷静にお金の計算もしつつ、体調を加味しつつ、適当に親の相手もする。
    下巻を楽しみに読む。

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    2020年01月19日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    中年のおっさんが主人公の小説ってけっこうあると思ってて、
    ハードボイルド小説といえばかなりの確率でおっさんだし、
    まぁおっさんの定義にもよるけど、40代、50代でも特に
    おかしくない感じで。
    じゃあおばさんは、っていうと、まぁおばさんの定義は
    おっさんの定義に対して極めて難しい問題をはらんでいるので
    ぶっちゃけ分からんのだけども、確かにおばさん主人公の
    小説ってあんまないのかな。
    じゃあって感じで今回なんだけども、
    小説の中にも出てきているように、まさにおばさんの
    シンデレラストーリー、ただしややしみったれたバージョン。
    でもしみったれた分だけ現実感があって、
    でもそこそこあり得ないだろって感

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    2019年10月24日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    村上春樹が訳したスコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャッツビー」を思い出した。グレート・ギャッツビーは1920年代、ニューヨーク郊外のロングアイランドの豪邸を舞台に、毎夜盛大なパーティーを開催する若き富豪の物語。この水村美苗の「本格小説」は1950年代後半以降の東京と軽井沢を主な舞台とした日本の富豪を巡る物語だ。華やかな軽井沢の富豪の別荘に出入りするようになった少年東太郎が、自らの出自や貧しさを振り切るため10代で渡米し米国で大富豪になっていく。20代、30代を米国で仕事に全力を注ぎ金銭的には十分に成功するが、実は軽井沢で出入りしていた富豪の家の娘と果たせぬ恋に落ちたまま、満たされ

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    2019年06月05日
  • 続 明暗

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    ネタバレ

    予想以上に自然な繋がり方だった。原作と最も自然な繋がり方を探った、とあとがきにあったが、よくここまで再現できたな、という感想である。
    何度も滝へ身投げした女性の描写があるので、お延の運命を暗示しているのかと単純に思わせておいて、最後はお延の自然に身を委ねる、吹っ切れた姿で終わるのがなんとも清々しくて良い。
    あとがきにあった通り、漱石は文明論を登場人物に語らせるので、どうしてもストーリーへの興味が失せがちだったのが、続明暗では、そのくだりが全くなかったので、漱石のストーリー性と人物描写の巧みさを抽出して読んだかのようで、とっつきやすかった。

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    2019年01月24日
  • 続 明暗

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    夏目漱石の未完の大作で遺作となった、「明暗」の続きを書こうと試みるもの。小学校から大学院までアメリカで過ごした著者、水村氏は、日本語への思い入れが人一倍強い。
    日本を代表する小説家が残した小説の続きを書くというのは、当然批判もされるだろうし、とても勇気が要ることだろう。漱石の明暗を読めば、彼がどうやって物語を終わらせしょうとしていたのかは読者一人一人が想像するところだろう。
    「明暗」に比べればやや読みやすく、それなりにハラハラさせられる展開もある。これはこれで楽しめた。明治時代の結婚というものは、本当に現在と全く姿が違うものだと改めて驚かされた。漱石の小説の登場人物では、ろくに仕事もしないで優

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    2018年07月09日
  • 母の遺産 新聞小説(上)

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    2012年に単行本で出た際に、読んでいるんです。
    2017年現在からみると、たったの5年前。
    最近、電子書籍で再度購入。

    「母の遺産」水村美苗さん。中公文庫、上下巻。

    #

    50代の女性がいて、結婚していて子供はいない。
    父はもう亡く、老いた母がいる。
    この母が、色々面倒ばかりかけ、たいへんにしんどい。

    コレという判りやすい被害がある訳ではないけれど、とにかく気持ちに負担をかけてくる。手間暇をかけさせる。

    ただでさえ自分も体調が悪いのに。重ねて、介護の手間が厚塗りされる。地獄のような疲弊感。誰とも分け合えない苦労。誰も褒めてくれない重労働。

    そして、夫が不貞をしていたことが分かる。若

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    2017年07月15日
  • 母の遺産 新聞小説(上)

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    何かの雑誌で林真理子がオススメしてたので積読リストに入れてました。

    著者の作品は初めてだったのですが、あーマリコさんが好きそうだな、というのが第一印象です。
    親の介護の話を主軸としながら、更年期、老後資金・・・などなど現実的な問題が山積みでいつかは私も向き合うことなんだ、と漠然とですが感じるものがありました。

    登場する姉妹が母の死を待ち望みながらも、母の老いが進むのに合わせて母が不幸にならずに寿命をまっとう出来るよう努力して快適にしようと努める姿がリアルで、救われるようでもあり、切なくもありました。
    切ないといえば、母親が日に日に老いてゆく姿の描写がかなり切なかったです。
    我儘ですごい人な

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    2017年06月27日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    ネタバレ

     わがままな母から解放され、つましく生きるには十分な遺産を得て、浮気している夫を捨てる。50代での再出発。これだけ聞けば「最高やんか!!」と思う。
     しかし、この決断に至るまでが長い。後半は失速してしまった。箱根の芦ノ湖畔の仄暗いホテルで、過去を正視し、老後資金の計算をし、葛藤する。最後は明るい終わりで本当によかった。

     世の中には、暴力とか、犯罪とか、絶対してはいけないことをするような「本物の毒親」もいるだろうけど、ほとんどの場合良い面と悪い面を持つ親ばかりなんだろう。私も自分の親って毒親なんじゃないの?と思って色々調べていた時、自分の親は毒親ではない、だけど、この苦しみは自分にしかわから

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    2017年12月15日
  • 母の遺産 新聞小説(上)

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    ネタバレ

    「ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」

     そんなことを言ってはいけない、と怒る人もいるのだろうか。私はまだ30代だけど、「自分の人生を生きたい」母の介護、というだけで他人事とは思えない。まして、私は一人娘。こういうとき、弟なんて役に立たないんだろうな。。「早く死んで欲しい」そんな会話ができる姉妹が妬ましい。

     下巻も一気に読んでしまいそう。感想は下巻で。

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    2017年05月12日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    毒親の話かなーと思って読んでみました。上下巻と、けっこうボリュームがありますが、読み応えのある文章で、心情の描写がとても丁寧で読むのは楽しかったです。
    特に大きな出来事もなく(あるなら母の死。それも、そう簡単に死んでくれない(笑))、色々となにかありそうでないんだけれど、そういうところがかえってリアルで、そんな淡々とした日常を、最後まで読ませるというのは、著者の技量だなぁと思います。初めて読みましたが、他にも作品があるのでしょうか?調べて読んでみようと思います。

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    2017年02月19日
  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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     英語は普遍語だと言うことに、異を唱える人はいないだろう。
     日本である一定以上の知識を得ようとしたら、必ず、英語に関わることとなる。(日本固有の事柄なら異なるのかもしれないが、古いものになると中国語が出てくる気がする)
     例えば、理系などでは最先端の論文を英語を読み、おのれの研究成果を英語で書く。
     英語で書かれた小説は日本語で翻訳されるが、同じ数だけ日本語で書かれた小説が英語に翻訳されることはない。

     日本語は亡びるだろう。
     私は、近代文学もラノベも実用書も読むし、もちろん翻訳小説も読む。
     けれども、国語教育のおかげではなく、国語の教科書に載る作品は初めの頃に読み終え、物足りないと辞

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    2016年08月10日
  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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    この本を読んで「『三四郎』読みなおそう」と思った読者なので、たいへん興味深く、かつ共感しながら読んだ。
    実際のところ、私自身が「自分よりも下の世代に近代文学を読んでもらいたい」と思っているタイプの人間なのだ。だからこそ、日本語にこだわるし、その存在にありがたみも感じている。
    好きだから、その価値をわかってほしいという気持ちがある。

    <普遍語>としての英語の時代は、すでにもう来ているし、それは他人事ではないのだなぁ、と自覚しなければならない。しかし、実感が湧かないというのが正直なところで、それは現代においてもどれだけ日本人が英語を話せないかを見ても一目瞭然なのではないだろうか。
    つまり、「英語

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    2016年03月05日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    「山荘」だとか、「アメリカ」だとか、全く縁のないキーワードばかりでした。土屋富美子さんの語り口が、ですます調が、お上品でした。

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    2015年12月21日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    最初の著者自身の話から入る、別荘のイメージやら、外国の風景の話がとても上品なセピア色で映る。東太郎さんの、工場で休憩中英語の単語とイヤホンでトレーニングしている図は、努力家で見習わないとと、思ってしまう。中国の方の血も入っているということで、孫正義さんや、財を成す中国の方なイメージが湧きました。しかもかっこいい系。

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    2015年12月10日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    上巻で老母を看取った美津紀は、介護疲れや、夫の火遊びなどの日常の煩わしさを一時忘れるために、箱根芦ノ湖畔のホテルに向かう。

    そこにも、個性的な老女が…
    そして、普段は連泊客がめったに居ないというホテルに、何故か何組もの連泊客。
    元は旧男爵邸であったというクラシックホテルが、なんだかミステリの舞台の様相を呈してくる。

    そこに、離婚に絡むお金の計算やら、母の遺産やら…
    50代での再出発は可能なのか?
    これからの生きる意味は何なのか?
    …と悩む主人公でしたが。
    うらやましいほどの結末であった。

    結局はブルジョワジーな方のお話だったのね。

    しかし、断捨離が話題の今日この頃だが、精神的な意味も含

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    2015年07月04日
  • 母の遺産 新聞小説(上)

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    ネタバレ

    タイトルで誤解するかもしれないが、莫大な遺産をめぐる相続の争いの物語ではない。

    老親が(この作品では母)身体を動かせなくなり、入院をしたと言って呼び出され、あれこれ用事を言いつけられ、生きるのが嫌になったと泣き言を聞かされ、
    介護できないのでホームに入り、毎日呼びつけられ、そしてホームから、熱が出たから救急車を呼んだ、病院を×軒、断られた(ホームの職員が救急車に同乗してくれている)
    急激にボケ始め、同時に始まる食べ物への執着、誤嚥性肺炎、延命措置について等々…

    経験のある自分には身につまされ過ぎて辛い。

    やっと『母』はあちらに旅立ったようですが…
    では、下巻のストーリーはどうなるのだろう

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    2015年07月04日