水村美苗のレビュー一覧

  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    毒親の話かなーと思って読んでみました。上下巻と、けっこうボリュームがありますが、読み応えのある文章で、心情の描写がとても丁寧で読むのは楽しかったです。
    特に大きな出来事もなく(あるなら母の死。それも、そう簡単に死んでくれない(笑))、色々となにかありそうでないんだけれど、そういうところがかえってリアルで、そんな淡々とした日常を、最後まで読ませるというのは、著者の技量だなぁと思います。初めて読みましたが、他にも作品があるのでしょうか?調べて読んでみようと思います。

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    2017年02月19日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    「山荘」だとか、「アメリカ」だとか、全く縁のないキーワードばかりでした。土屋富美子さんの語り口が、ですます調が、お上品でした。

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    2015年12月21日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    最初の著者自身の話から入る、別荘のイメージやら、外国の風景の話がとても上品なセピア色で映る。東太郎さんの、工場で休憩中英語の単語とイヤホンでトレーニングしている図は、努力家で見習わないとと、思ってしまう。中国の方の血も入っているということで、孫正義さんや、財を成す中国の方なイメージが湧きました。しかもかっこいい系。

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    2015年12月10日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    上巻で老母を看取った美津紀は、介護疲れや、夫の火遊びなどの日常の煩わしさを一時忘れるために、箱根芦ノ湖畔のホテルに向かう。

    そこにも、個性的な老女が…
    そして、普段は連泊客がめったに居ないというホテルに、何故か何組もの連泊客。
    元は旧男爵邸であったというクラシックホテルが、なんだかミステリの舞台の様相を呈してくる。

    そこに、離婚に絡むお金の計算やら、母の遺産やら…
    50代での再出発は可能なのか?
    これからの生きる意味は何なのか?
    …と悩む主人公でしたが。
    うらやましいほどの結末であった。

    結局はブルジョワジーな方のお話だったのね。

    しかし、断捨離が話題の今日この頃だが、精神的な意味も含

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    2015年07月04日
  • 母の遺産 新聞小説(上)

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    ネタバレ

    タイトルで誤解するかもしれないが、莫大な遺産をめぐる相続の争いの物語ではない。

    老親が(この作品では母)身体を動かせなくなり、入院をしたと言って呼び出され、あれこれ用事を言いつけられ、生きるのが嫌になったと泣き言を聞かされ、
    介護できないのでホームに入り、毎日呼びつけられ、そしてホームから、熱が出たから救急車を呼んだ、病院を×軒、断られた(ホームの職員が救急車に同乗してくれている)
    急激にボケ始め、同時に始まる食べ物への執着、誤嚥性肺炎、延命措置について等々…

    経験のある自分には身につまされ過ぎて辛い。

    やっと『母』はあちらに旅立ったようですが…
    では、下巻のストーリーはどうなるのだろう

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    2015年07月04日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    その当時に生きた人にしか感じられなかった惨めさと華やかさ
    いまの時代では想像できない世界が同じ日本だったんんだ
    苦しくも悲しくも悔しくもあるんだけど
    読み始めると、先が気になり、どんどん読み進め
    最後の最後には、単純に夢のように浮かれていた気持ちが
    びっくりするほど水を浴びせられたような気分になり
    すごい小説を読んでしまったなぁという気持ち
    でも、水村さんの他の小説、すぐに読みたいとは思えない
    衝撃が強すぎる

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    2015年05月10日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    愛憎入り混じる実母の死を迎えた上巻を経て、下巻では箱根のホテルを舞台に、夫の不貞を知り自身の身の振り方を決めるプロセスが描かれる。

    ここでは極めて魅力的な人物が登場し、そのうち1人は前半からの伏線を経て登場する。魅力的な人物との出会いを通じて、自身の半生を振り返り、新しい生を取り戻そうとする主人公の姿は極めて美しい。

    日本の近代文学が終焉したと言われる中で、もはや孤高の存在としてJ-文学への呪詛を吐きながら独自の文学世界を構築する著者の文学的営為に今後も注目したい。

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    2015年05月04日
  • 母の遺産 新聞小説(上)

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    「今日、ママンが死んだ」

    カミュの名作の冒頭を飾るこの一言を呟ける日を夢見た娘と死を待つ母親。この二人の愛憎を描き出す長編。

    水村美苗は寡作であるものの、その作品の質は恐ろしい程高い。本作もそうした点で期待を込めながら読んでおり、相変わらずの丹精で美しい日本語と、ペーソスに溢れた文学世界は稀有。

    上巻は恐ろしい程の気ままさで家族を振り回す母親を巡る追想が主であり、冒頭の一言が現実のものとなる瞬間に終わる。そして下巻へ。

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    2015年04月30日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    成城に屋敷を構え、夏は軽井沢で過ごす上流階級の家庭に生まれた女たちと、身分の違いすぎる男太郎の、半世紀に渡る運命の物語。
    「太郎ちゃんなんかと結婚したら、ミ・ラ・イ・エ・イ・ゴ・ウなんの夢もない。恥ずかしくて死んでしまう。」と言い放ちながら、死ぬまで太郎を愛し続けたよう子。
    生涯他の女性を愛する事なく、アメリカに渡り、億万長者になった太郎。
    でも、ふたりが結ばれる事はなく、あまりにあっけない別れが悔しい。
    周りの雑音が多すぎて、ドラマチックな盛り上がりに欠けるのだけど、人生なんてそんなものかもしれない。
    太郎を子供の頃から支えてきた、女中の冨美子の目線で語られるが、最後に驚きの事実が。

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    2015年01月19日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    かなり長い話でしたが、話の世界にどっぷりと浸ることができました。
    女中の視点で語られる三枝家と重光家、太郎とよう子の関係も面白かったし、舞台になっている軽井沢や小田急沿線も馴染のある場所だけに情景がすんなりと思い浮かんで、ぐいぐいと引き込まれました。
    よう子視点での話も読んでみたかったけど、ここは想像するしかないといったところが残念。
    冨美子視点からだと、よう子が何故そこまで雅之と太郎といった2人の極上の男性に溺愛されるのか、そこまで魅力が伝わらないのだが、そこは冨美子のよう子に対する嫉妬心みたいなものが含まれていて魅力が伝わる描写になっていないのかな、と思った。

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    2015年01月14日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    主体としての「I」が育たなかった日本で、「私」を主語に本格小説を書いた著者の姿勢に圧倒される。
    主体としての「I」を書こうとすれば、自分がとるに足らないことも受け入れられる。と言いながら、これだけの量、精密さ、言葉の崇高さを維持して書きあげるって、どんなモチベーションなんだろうか。登場人物は、そこまで私であることに自覚的に暮らしているようには見えないし。主体としての「私」とは何か、何度か読み直さないといけない本。

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    2014年07月24日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    水村版「嵐が丘」の下巻。

    本編のストーリーに関して言えば、正直なところ私は白けた目で見てしまっていてどうにも入り込めなかった。
    見た目も性根も大して美しくない(失礼な言いぐさだけど本当にそういう設定なので仕方ない)女性に対して、とてつもなくレベルの高い男2人(しかも、片やどこまでも優しい生粋のお坊ちゃま、かたや己の実力だけで成り上がったワイルドな青年…だなんて、今どき少女マンガにも登場しなさそうな完璧度合)が共に心を寄せて、しかもその3人の不思議な不倫関係は一層の仲の良さで保たれる…とか…一部の女性の理想かもしれないけれど、私には現実感が無くてイマイチ乗り切れなかった。

    ただ、最後の最後に

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    2012年09月17日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    小説家として何を書くべきか迷っていた「私」の前に突然現れた一人の青年。彼は、共通の知人である東太郎について語りたくてわざわざ「私」を訪ねてきたのだった。
    幼少時から何度か会った東のその後を聞いた「私」は、東をモデルとして昭和日本を舞台とした「本格小説」を書こうと思い立つ…。

    作者自らが認める通り、昭和日本でブロンテの「嵐が丘」を再現しようとしたこの小説。
    小説本編に入る前に、何故この小説を書くことになったかを語る「本格小説の始まる前の長い長い話」という章があるのだが、これが誇張ではなく本当に長い。文庫本200ページ分もある。
    しかも厄介なことに、作者が身の上を語っているこのパートがまた面白い

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    2012年09月16日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を題材にしたという小説。まあ、それは知っていても知らなくてもいいのだけど、上巻は本編が始まる前の「本格小説の始まる前の長い長い話」が200ページ以上も続く。作者自身が語った形で、本小説の主人公である東太郎と作者との出会いや本編では語られない米国に渡った後の東太郎の暮らしぶりについて書かれている。本編を読むために必要な部分がないとは言わないが、いかんせん長すぎる。さらに、「本格小説とは…」といった本作品についての説明あるいは言い訳と思しき部分まである。

    このパートが30ページくらいで済んでいれば、本編に素直に入れるし、その方がかえって面白く読めただろう。画竜点睛を

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    2012年04月22日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    89点。自分が小説をあまり読まないのは物語に対する興味がないからだ。さらに物語に対する読解力も理解力もない。しかしこの『本格小説』は物語で東太郎という男の半生を描いた小説だ。なのに面白かった。
    とか言って下巻も読まずに上巻の感想を書くのも如何なものかとは思うが、実は上巻の半分くらいは著者自身による「本格小説の始まる前の長い長い話」という前書きなのだ。この未だ小説が始まってない前書きこそが非常に重要で、特に文庫版ではP225〜P232の部分は熟読されたい。
    まとめちゃうと私的な体験(事実)を盛り込んだ小説が私小説である一方、本格小説とは「作り話を指すもの」である。さらに著者は日本語で書かれた私小

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    2011年10月28日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    ニューヨークで、運転手から実力で大金持ちになった伝説の男の数十年にも及ぶ悲恋の物語。
    愛するということに切なくてやりきれない気持ちになります。

    読後も余韻の残る物語でした。所々に差し挟まれた写真が想像力を一層広げてくれます。

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    2011年10月04日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    ニューヨークで、運転手から実力で大金持ちになった伝説の男の数十年にも及ぶ悲恋の物語。
    愛するということに切なくてやりきれない気持ちになります。

    読後も余韻の残る物語でした。所々に差し挟まれた写真が想像力を一層広げてくれます。

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    2011年10月04日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    上巻から引き続き、東太郎のこれまでが語られます。
    下巻も一気に読んでしまいました。

    戦後から平成まで、日本がどう変わってきたのか、日本人がどう変わってきたのか、が描かれています。
    『嵐が丘』を日本の戦後を舞台に書いてみた、そこから浮き上がってくる「日本」の姿、というのでしょうか。
    変わってしまった日本を考えて、まだ消化不良です。

    久しぶりに読みごたえのある小説を読みました。

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    2011年03月29日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    上の半分くらいまでは、導入部分ですが、それだけでも大きなドラマ。
    この導入部分で、東太郎の得体の知れなさに引き込まれます。
    それを解決する本筋に入ってからも、読みごたえがありました。

    日本とは、日本人とは、を強く感じる小説でした。
    ボリュームはありますが、難しくはありません。
    一気読みをお勧めします。

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    2011年03月29日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    しっかりどっしりとした小説で、その重厚な世界観に引き込まれる。
    もっともっと色んな人の語りを聞きたかった。

    写真が挟まれているせいか映像をとても想像しやすいけれど、物語が軽くなってしまうのは怖いから小説のままでいてほしいような気もする。

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    2011年01月04日