【感想・ネタバレ】本格小説(上)(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

ニューヨークで、運転手から実力で大金持ちとなった伝説の男・東太郎の過去を、祐介は偶然知ることとなる。伯父の継子として大陸から引き上げてきた太郎の、隣家の恵まれた娘・よう子への思慕。その幼い恋が、その後何十年にもわたって、没落していくある一族を呪縛していくとは。まだ優雅な階級社会が残っていた昭和の軽井沢を舞台に、陰翳豊かに展開する、大ロマンの行方は。

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Posted by ブクログ

以前著者の「母の遺産」を読んで、それがとてもよかったと友人に話したら、こちらの本を貸してくれました。

構成がとても凝っていて、長い長いプロローグの後に、回想として過去の話を一歩引いた女中の目線で描いています。
もう、どこまでがフィクションだかわからないくらいその世界観にのまれました。
昭和初期の軽井沢を舞台とした階級社会の(底意地の悪さを含めて)華やかさが美しく、更に美しい3姉妹が登場しときめき度MAXです。

すべての疑問は下巻に託されていますが、なんだかもったいなくてすぐに読む気にならない・・・

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2018年05月20日

Posted by ブクログ

文庫にて再再読。
日本語で歌うロックはサンボマスターにて完成の域を超え、本格小説は水村美苗をもって次の世紀に入ったということで。

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2015年05月26日

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ネタバレ

傑作とも言える。軽井沢を舞台にしたのは、『嵐が丘』とは雰囲気違うが、そこも狙いだろう。骨太に人間模様が描かれ、語られる。長さを感じさせないのも著者の腕による。

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2014年03月03日

Posted by ブクログ

大好きな小説である嵐ヶ丘を下敷きにしているということで読み始めました。女中が語る一家の物語という構成、ストーリーが似ているだけでなく、設定や説明の細かさが与えるリアルさも嵐ヶ丘に似ていると思いました。
下巻はまだ買っていませんが、上巻には戦後すぐの日本の富裕な層の人々の暮らしが細かく描かれ、それを背景に展開していくであろう下巻も早く読みたい気持ちでいっぱいです。

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2013年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

先生始め、藤野ゼミのみなさんが大好きな本作、やっと自分も読み始めました。

作者水村氏の200ページ超にわたる自分語り「本格小説の始まる前の長い長い話」。
本当に長いが、その語りが本編でここまで膨らむことになるとは。



「これから先に自分の人生のすべてがあると信じていられた年齢であった。日本の人にかこまれ、日本語で話していられるというだけでハイスクールの建物の中に閉じこめられているときとは別人になったような生き生きとした心地がしたが、皆の中に溶けこみたいとは思わなかった。私からすれば彼らはもう人生の道筋のついた大人であり、しかも「本社」「チョンガー」「出張」などという言葉の世界に充足している大人であった。それに引き替えまだ人生の道筋がついていない分、私には無限の可能性が開かれているように思えた。彼らの存在の恵みを初夏の太陽の恵みのように浴びながらも、一人きりになりたかった。」(88)

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2013年05月22日

Posted by ブクログ

文量も多くて始めの部分は読みが進まないが、いつの間にか引き込まれてしまう。「本格」なのに読みやすい。
本の世界感に浸りたい人にはおすすめ。純文学というか、人の人生を描いた作品が好きになったきっかけの本。

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2012年08月22日

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ネタバレ

久しぶりに日本の小説を読んで、なんて読みやすいんだろうと驚いた。ちょっと古めかしい言葉使いなのが凄く綺麗で、秋風が立ち、とかバタ臭い、とか忘れかけていた響きに酔いしれて、すいすい読めた。
冒頭の160ページもある「本格小説の始まる前の長い長い話」というのがどこまで本当なのか、実話仕立てで思わせぶりな本当に長い長いフリだが、なんて面白い設定なのか、すっかりその罠にハマってしまった。
そのあとからようやく始まる本格小説は、思わせぶりにフッた東太郎の出番がなかなかなく、早く先が読みたい一心で余計に長く感じて遅々として読み進まず。
それと、読めない字があった。「嫂」。話の流れから考えると当然なのにどうしても出てこなかった。調べると「アニヨメ」だった。
所々、見たことのない字面が出てくるが、それも美しく感じて心地よい。
それと、トミコが心に思うことで「…そのとたんに昔の自分へとすうっと道が通るような気がします。同時に今の自分がこうまでちがうものになってしまったことを痛いほど感じるのです」というところを思わず二度読みしてしまった。歳のせいか。
三婆さんが集まったシーンは会話がとても面白く、ほかの登場人物達の雰囲気もよく出ている上に舞台が日本だけにリアルに情景が思い浮かぶ。
とにかく、東太郎のことがとっても気になって仕方がない。ミステリアスな男の話。ある意味、本格ミステリー。
読む前から下巻は絶対に面白いってわかる。

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2012年05月27日

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現在のところ、一番大好きな小説。
嵐が丘をベースにした物語性や、
水村さんのなめらかな文体、
静かな語り口の裏にある激情が、心をゆさぶる。

これを今から読めるあなたは幸せだな、と、ぼくは思います。

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2011年11月05日

Posted by ブクログ

おもしろくて一気に読んでしまった。嵐が丘がベースになっているけれど、それだけではありません。終わった後また読み直したくなりました。恋愛小説、ニューヨークでの日本人の生活、軽井沢、戦前戦後のお金持ちの優雅な暮らしなどに興味がある人は読んでみてください。上下間ともウィリアム・モリスのパターンが表紙でそれもいい。

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2011年10月28日

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ネタバレ

* 2008年01月04日 04:32記載:

友人に薦められて読んだ本。

ちゃんとした長編小説を読んだのはおそらく
初めてじゃないかって感じで、自分の読書スピード
が相当遅いことに辟易しながらも後半は一気に
最後まで読みました。

これからは読書家と言われるようにがんばりたいです。

ちなみに著者はかの著名な経済学の権威、岩井克人
の妻でもあります。




何人かの登場人物が背負う運命はあまりに悲しく
不幸であり、読み終わってから一途な愛情を
美徳とすることに対して抵抗を覚えるような
苦々しさが胸に残りました。


ある女性が言います。
「愛されないっていうのはとても不幸なことだと思う」と。
しかし愛する人に愛されないことはは往々にして
あるのが世の常であり、ほとんどの人が直面するで
あろう不幸であると思います。そんな運命も甘んじて
受け入れていかなければ前には進めないのだと
改めて実感してちょっと悲しくなったり。


また、小説の終盤に男が日本人を批判的に表して
言った、
「軽薄を通り越して希薄ですね」
という台詞が何となく自分あてはまっている
気がしてはっとする思いでした。



いろいろ考えさせられました。

余韻に浸りたいときにいかがでしょうか。

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2011年05月07日

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「嵐が丘」の翻案ですが、翻案という言葉から想像する安易さや安っぽさとは無縁。
「嵐が丘」の方は読んでいる自分と小説内の世界がつながっている感じはあまりなく、むしろその異世界めいたところが魅力でもあるとおもいますが、本作は私小説のような導入部分のせいもあって、あたかも物語世界と読者側の実世界が地続きであるかのような手触りがあります。
そのような小説のほうが、日本文学にはなじむということなのかもしれません。

著者の新作が待ち遠しい…。

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2010年07月08日

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上下巻と分厚いので辟易したけれど、ぐんぐん引き込まれて両方合わせて僅か3日で読んでしまったよ。色々な人が書評を書いているので、わざわざ自分が書くまでも至らないかもしれない。

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2010年01月28日

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最初はなかなか読み進まなかったけれど、語り手が作者から祐介に変わった辺りからどんどん惹き込まれました。
戦後間もない、上級階級の美しい三姉妹。軽井沢の情景。
ウィリアム・モリスの装丁が似合う美しい文章で綴られて、たまらなく引き込まれます。

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2010年01月16日

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読みたかった物語がここにはある。久々に恋愛で胸がぐっと来る。冒頭作者は偶然聞いた「小説のような話」が天からの啓示のように日本語で書かれた「近代小説」を書きはじめたとある。そしてそれに続く「本格小説の始まる前の長い話」で物語の主人公となる男東太郎との出会いと12歳で渡米して以来半生を送ったニューヨークで聞く彼の話が作家の私小説的な物語の中で書かれている。そして後の物語への伏線となっている。カルフォルニアの大学で働く彼女の元に一人の若い男加藤祐介が尋ねてくる。「東太郎」の話がしたいと。そして彼から聞いた「本当の話」こそ真の小説のような話であり、日本近代文学の元となった嵐が丘のような作り話という「本格小説」を書こうとして作家には「真実の話」は作り物めいてくると書いている。この話のどこまでが真実でどこからが作り話なのか、作家はここで読み手を翻弄しようとしている。加藤祐介は偶然軽井沢の古ぼけた山荘で東太郎と「わたしは女中です」という初老の女土屋冨美子に出会う。土屋冨美子によって東太郎とその恋人よう子の話が語られる。戦後まもなく女中として働くことになった宇田川家、その奥様の実家三枝家、その隣の重光家、といったお金持ち。宇田川家の持つ借家に住む極貧の家族の中で虐げられていた少年東太郎。華やかな三枝家の3姉妹の意地悪い仕打ち。幼なじみの少年と少女は秘かに二人だけの世界を育んでいく。やがて訪れる別離、引き離されても思いあう二人が起こした事件、その結果互いに深い傷を負い東太郎はアメリカへと去っていく。残されたよう子は王子様のような重光家の息子と結婚する。仲睦まじく暮らすよう子達のもとにアメリカンドリームのように成功した東太郎が現れる。お金持ちのお屋敷、軽井沢、令嬢と貧乏人、それは遠い昔家にあった「女学生の友」とか堀辰雄とかの小説のようであり、最近流行の昼メロの様でもある。懐かしいような気分と共に思わずのめり込んでしまう魅力的な世界が広がる。帰ってきた東太郎に対する冨美子の冷たい言葉、何故こうまで彼は冷たくされるのか、孤独な彼の凱旋に涙が出る。でもそれは私が恋愛偏差値が低いせい、そこには悲しい別の思いがあったから。それが最後まで読んで漸くわかるのだから完全に鈍いのだろう。途中何枚もある軽井沢の風景は物語を彩ると共に、もしかしたら今もあの重光家と三枝家の別荘は旧軽井沢に残っているのではないか、この風景の中に本当にあるのではないかと想像させる。また、「本格小説が始まる前の長い話」もアメリカで計らずも生きることになった姉妹の物語として、東太郎の成功と対照的な家族の結末は皮肉に感じる。

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2011年07月16日

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▼水村美苗さんは数冊読んでいて、文章がとにかく上手いので信頼しています。長らく積読になっていたもの。

▼「嵐が丘」の日本版という売り文句。読み始めるとすぐに、「あ、この男性がヒースクリフかしらん」というのが出てくるのですが、なかなかキャサリンが出てこない。1970年代のニューヨークの日本人界隈の話をしているうちにどんどん進んでしまう。仕舞いには、「おお、上巻全体が前置きなのか・・・?」。

▼というわけでいろいろと魅力的なパーツは転がっているのだけど、全体の構図と力感は散漫なので、この上巻だけで言うとそれほど極上でもありませんでした。が、どうやら下巻がかなり疾風怒濤な予感。成程、つまりは嵐が丘を戦後日本でやるために、周到な準備をしてきたんだな、と。

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2025年07月14日

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村上春樹が訳したスコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャッツビー」を思い出した。グレート・ギャッツビーは1920年代、ニューヨーク郊外のロングアイランドの豪邸を舞台に、毎夜盛大なパーティーを開催する若き富豪の物語。この水村美苗の「本格小説」は1950年代後半以降の東京と軽井沢を主な舞台とした日本の富豪を巡る物語だ。華やかな軽井沢の富豪の別荘に出入りするようになった少年東太郎が、自らの出自や貧しさを振り切るため10代で渡米し米国で大富豪になっていく。20代、30代を米国で仕事に全力を注ぎ金銭的には十分に成功するが、実は軽井沢で出入りしていた富豪の家の娘と果たせぬ恋に落ちたまま、満たされぬ人生を送っていく。グレート・ギャッツビーも本格小説も、お金では手に入らない恋のために苦しむ主人公という共通点がある。水村美苗はそこに、出来事を客観的に語らせるために女中土屋冨美子を使い、その冨美子さえも客観視するための通りがかりの若者加藤祐介を物語に絡ませた。東太郎を含めた3人の思惑のぶつかり合いのような会話が、幸福とは何かを考えさせてくれる。

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2019年06月05日

Posted by ブクログ

最初の著者自身の話から入る、別荘のイメージやら、外国の風景の話がとても上品なセピア色で映る。東太郎さんの、工場で休憩中英語の単語とイヤホンでトレーニングしている図は、努力家で見習わないとと、思ってしまう。中国の方の血も入っているということで、孫正義さんや、財を成す中国の方なイメージが湧きました。しかもかっこいい系。

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2015年12月10日

Posted by ブクログ

小説家として何を書くべきか迷っていた「私」の前に突然現れた一人の青年。彼は、共通の知人である東太郎について語りたくてわざわざ「私」を訪ねてきたのだった。
幼少時から何度か会った東のその後を聞いた「私」は、東をモデルとして昭和日本を舞台とした「本格小説」を書こうと思い立つ…。

作者自らが認める通り、昭和日本でブロンテの「嵐が丘」を再現しようとしたこの小説。
小説本編に入る前に、何故この小説を書くことになったかを語る「本格小説の始まる前の長い長い話」という章があるのだが、これが誇張ではなく本当に長い。文庫本200ページ分もある。
しかも厄介なことに、作者が身の上を語っているこのパートがまた面白い。なので、私は「長い長い話」を読み終わっただけで満足してしまって、しばらく本編に読み進められなかった(笑)。

本編だが、昭和日本から脈々と続く階級差に隔てられた三人の男女の恋愛模様が描かれる。
この三人もだが、軽井沢にいる女富豪姉妹も、ちょっと私の知っている「日本」からはかけ離れすぎていて(いやそういう階級も存在するのだろうと知らなくはないのだけれど)、読んでいてまるで現実感や親近感を覚えない。
こんな人たちを現代日本の大衆向け小説の題材として使ってしまうのが、いかにもアメリカ育ちの作者ならではだと感じてしまった。

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2012年09月16日

Posted by ブクログ

エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を題材にしたという小説。まあ、それは知っていても知らなくてもいいのだけど、上巻は本編が始まる前の「本格小説の始まる前の長い長い話」が200ページ以上も続く。作者自身が語った形で、本小説の主人公である東太郎と作者との出会いや本編では語られない米国に渡った後の東太郎の暮らしぶりについて書かれている。本編を読むために必要な部分がないとは言わないが、いかんせん長すぎる。さらに、「本格小説とは…」といった本作品についての説明あるいは言い訳と思しき部分まである。

このパートが30ページくらいで済んでいれば、本編に素直に入れるし、その方がかえって面白く読めただろう。画竜点睛を欠いた感がある。

なお、上巻における本編は子供時代を中心としたややまったりとした展開。辻邦生を思い起こさせるような典雅な文体は嫌いではない。

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2012年04月22日

Posted by ブクログ

89点。自分が小説をあまり読まないのは物語に対する興味がないからだ。さらに物語に対する読解力も理解力もない。しかしこの『本格小説』は物語で東太郎という男の半生を描いた小説だ。なのに面白かった。
とか言って下巻も読まずに上巻の感想を書くのも如何なものかとは思うが、実は上巻の半分くらいは著者自身による「本格小説の始まる前の長い長い話」という前書きなのだ。この未だ小説が始まってない前書きこそが非常に重要で、特に文庫版ではP225〜P232の部分は熟読されたい。
まとめちゃうと私的な体験(事実)を盛り込んだ小説が私小説である一方、本格小説とは「作り話を指すもの」である。さらに著者は日本語で書かれた私小説というものの持つ真実の力に注目する。
じゃあミックスしちゃおうじゃないの、と。ミックスした理由は私小説を書こうとしていた著者の実存的な理由に他ならないわけだが。
日本でもっとも質の高い私小説が量産されていたのは近代だ。そこで題名は『日本近代文学 本格小説』やってやるぞ感がかっこいい。
先の前書き部分では私的な内容を語りながらも物語の主人公である東太郎が登場する。
著者は人から聞いた「小説のような話」を小説化(作り話)しながらもこの前書きを配置することで私小説的が持つ真実の力も両立させようとしたのだ。
つまり、日本語の「私」は西洋の「I」のような、個々の人間を超越した抽象的な「主体」という意味をもちえなかったと語る著者は、小説内でメタフィクションの構造をとることで本来日本語においては埋没しがちな主体を、著者が物語を語る主体として小説に「翻訳」することで『本格小説』化を試みたのだ。
客観的に日本の文学と日本語を眺めてきた海外暮らしが長い著者だからこその感受性だし、真摯な挑戦的態度が好きだな。
下巻が楽しみだ。

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2011年10月28日

Posted by ブクログ

ニューヨークで、運転手から実力で大金持ちになった伝説の男の数十年にも及ぶ悲恋の物語。
愛するということに切なくてやりきれない気持ちになります。

読後も余韻の残る物語でした。所々に差し挟まれた写真が想像力を一層広げてくれます。

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2011年10月04日

Posted by ブクログ

上の半分くらいまでは、導入部分ですが、それだけでも大きなドラマ。
この導入部分で、東太郎の得体の知れなさに引き込まれます。
それを解決する本筋に入ってからも、読みごたえがありました。

日本とは、日本人とは、を強く感じる小説でした。
ボリュームはありますが、難しくはありません。
一気読みをお勧めします。

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2011年03月29日

Posted by ブクログ

『私小説~』を数か月前に読んだので、読み始めは似た感じかと思ったらそうじゃなかった。
でも、この人の人生を彼女の視点でたどるのはとても楽しいから、別に同じでもよかった。
今読売新聞で連載されているのも単行本化されたら一気に読もー。

『嵐が丘』風小説らしいですが、まだ嵐が丘を読んだことがないのでよくわかりません。

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2011年01月04日

Posted by ブクログ

なんで今まで読まなかったんだろうーー!小説の一部でありながら、まえがきのような、エッセイのような、著者自伝のような「本格小説の始まる前の長い長い話」も、アメリカかぶれで帰国子女があこがれのわたしにとってはものすごくおもしろかった。長さがまったく気にならない!で、そのあとようやく「本格小説」がはじまり、最初はちょっと人間関係がわかりづらかったり、時代が前後したりしてとまどったり、のんびりした会話がちょっとまどろっこしかったりもするんだけど、慣れてどんどん読むのが加速されていって。とくに女中フミさんの語りがはじまると、とにかくその語り口調がすごくよくて。ですます調で敬語や丁寧語が多いんだけど、読みやすくてここちよくて雰囲気があって。で、下巻最後まで読んだらまた上巻に戻って読みなおしたくなった。なにげなく読んでいた部分が伏線だったり、肝心な部分だったんだなーとわかって感心したり。

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2011年09月18日

Posted by ブクログ

戦後日本とアメリカに生きた「東太郎」を中心とした物語。

重厚な内容だが、一気に読み進み、最後にはページが進んでいくのが惜しいとさえ感じさせた。

序盤の「本格小説の始まる前の長い長い話」によりフィクションとノンフィクションを地続きにさせた構成にもやられた。

もう一度読むと新たな発見も多いはず。

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2010年07月28日

Posted by ブクログ

東太郎という男の人生を描いた小説。冒頭で少女小説を読みふける場面があったけど、これは元少女のための小説ですかね~。うざい臭いおっさんはほとんど出てこないし、高飛車なばあさんたちはキーくやしいとハンケチを噛むはめになってw途中話がまだ始まらないのかなとイライラするところもあるけれど、ほとんど朝まで読みふけってしまいました。エロエロも少しあって元少女としては楽しめました。

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2010年01月13日

Posted by ブクログ

面白いよ~と言われていたが、題名にビビッて今まで読みませんでした。下巻これから読みます。美人3婆さんが気に入ってます。魔女みたい。舞台が千歳船橋〜成城なのでとっても懐かしいです。千歳船橋の、雨上がりの泥だらけの道を思い出します。

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2011年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み始めた時は、あまりの前書きの長さに
我慢して読み進められるのかどうか、とても不安
でも、あれは必要な前書きというか
いま現在の時代から、終戦後の日本の世界に戻るために
必要な前書きだったんだなと読み終わってわかる
これは恋愛小説なんでしょうか…
下巻に続く

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2015年05月10日

Posted by ブクログ

去年初めて読みその時面白くてすぐ読み終わったのに、全く話を忘れていたのでもう一回読み直した。
最後ちょっとびっくりする話をそういえば思いだした。

嵐が丘の日本版ということらしいけど、スケールは違いすぎる。

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2011年10月14日

Posted by ブクログ

泣けると聞いて読んだ本。壮大なスケールで描かれた恋愛小説で、それなりに面白くはあったけど、泣けなかったな。主人公が陰鬱すぎる。
嵐が丘を読んでみようか。

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2010年02月15日

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