水村美苗のレビュー一覧

  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    以前著者の「母の遺産」を読んで、それがとてもよかったと友人に話したら、こちらの本を貸してくれました。

    構成がとても凝っていて、長い長いプロローグの後に、回想として過去の話を一歩引いた女中の目線で描いています。
    もう、どこまでがフィクションだかわからないくらいその世界観にのまれました。
    昭和初期の軽井沢を舞台とした階級社会の(底意地の悪さを含めて)華やかさが美しく、更に美しい3姉妹が登場しときめき度MAXです。

    すべての疑問は下巻に託されていますが、なんだかもったいなくてすぐに読む気にならない・・・

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    2018年05月20日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    2012年に単行本で出た際に、読んでいるんです。
    2017年現在からみると、たったの5年前。
    最近、電子書籍で再度購入。

    「母の遺産」水村美苗さん。中公文庫、上下巻。

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    50代の女性がいて、結婚していて子供はいない。
    父はもう亡く、老いた母がいる。
    この母が、色々面倒ばかりかけ、たいへんにしんどい。

    コレという判りやすい被害がある訳ではないけれど、とにかく気持ちに負担をかけてくる。手間暇をかけさせる。

    ただでさえ自分も体調が悪いのに。重ねて、介護の手間が厚塗りされる。地獄のような疲弊感。誰とも分け合えない苦労。誰も褒めてくれない重労働。

    そして、夫が不貞をしていたことが分かる。若

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    2017年07月15日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    下巻です。
    上巻では母の介護が焦点だったのに、下巻では主人公の夫の若い女との浮気話に軸を移した感じで主題が読めず、はじめは少々戸惑いました。
    だってね、箱根のホテルに逗留してから雰囲気ががらっと変わるんですもん。急に夫問題(苦笑)。

    ・・・ではありましたが、通読したらとてもよかったです。
    ここまで雰囲気を変えるなら思い切って一部・二部、と分けてくれた方がはじめから受け入れやすいかな、とも思ったけど・・・これでいいのかな?

    内容的には、主人公の、母や夫、もっと言えば過去からの「自立」の物語です。
    自立、といっても若者ではなくて50代中年女性というところがミソ。
    その歳になっても親のせいにする

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    2017年07月10日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    小説は、主観的な内的な心象風景を物語で紡ぎながら、その中に美しさとそれから生まれる哀しみがあらわされれているもの・・かなと。
    どの時代でも、文化、社会の中で人が思うようには生きていけない辛さみたいなものが澱んで、人が巻き込まれ、自分からまきついていくような人がいて、そういう時代に翻弄される劇的な物語を、人は惹かれるものである。

    この本の主人公が登場しているとき、嵐が丘の冷たい暗い風がいつも感じられる。この小説が「嵐が丘」を意識していることは、最初から感じられるのだが、嵐が丘を感じながらも、この小説の舞台は戦後である。貧しい家族に恵まれない辛い子供時代を過ごした主人公は、時代背景が嵐が丘とは違

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    2015年11月16日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    文庫にて再再読。
    日本語で歌うロックはサンボマスターにて完成の域を超え、本格小説は水村美苗をもって次の世紀に入ったということで。

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    2015年05月26日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    傑作とも言える。軽井沢を舞台にしたのは、『嵐が丘』とは雰囲気違うが、そこも狙いだろう。骨太に人間模様が描かれ、語られる。長さを感じさせないのも著者の腕による。

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    2014年03月03日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    これを読み終わった知人の勧める言葉があまりに熱烈だったので、惹かれて手に取る。
    まず普段翻訳ミステリばかり読んでいる目に、古風で流麗な日本語が気持ちよく、そちらにうっとりする。
    そしてまた、著者の自伝らしきまえがきも面白く、これがこんなに面白いのに、本編がどのように始まるのだろうかと思っていたら。
    これがもう、面白くておもしろくて、ただ、こればかりを読みふけるわけにもいかないので遅々としてページが進まない(通勤電車に持って歩くには重かった)のが何とももどかしく…。休み時間に読んだ小説の続きが気になって仕方ない授業中、のような感覚。寝ても覚めても、どこかがこの小説の世界とつながっているような感覚

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    2014年01月07日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    まさに「嵐ヶ丘」!
    面白かった
    読み終わったのが寂しい(´・_・`)
    もっとこの雰囲気を味わい続けていたい

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    2013年12月08日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    大好きな小説である嵐ヶ丘を下敷きにしているということで読み始めました。女中が語る一家の物語という構成、ストーリーが似ているだけでなく、設定や説明の細かさが与えるリアルさも嵐ヶ丘に似ていると思いました。
    下巻はまだ買っていませんが、上巻には戦後すぐの日本の富裕な層の人々の暮らしが細かく描かれ、それを背景に展開していくであろう下巻も早く読みたい気持ちでいっぱいです。

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    2013年07月21日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    誰一人として満たされ尽くすことなく、時代に翻弄される。救いようのない話ではある。

    とはいえその救いようのなさとそれゆえの感動を、冗長さを感じさせずにここまで喚起出来るのは、さすがの名作ゆえんか。

    小田急線に乗るのが、ちょっと楽しみになるかも。

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    2013年06月02日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    先生始め、藤野ゼミのみなさんが大好きな本作、やっと自分も読み始めました。

    作者水村氏の200ページ超にわたる自分語り「本格小説の始まる前の長い長い話」。
    本当に長いが、その語りが本編でここまで膨らむことになるとは。



    「これから先に自分の人生のすべてがあると信じていられた年齢であった。日本の人にかこまれ、日本語で話していられるというだけでハイスクールの建物の中に閉じこめられているときとは別人になったような生き生きとした心地がしたが、皆の中に溶けこみたいとは思わなかった。私からすれば彼らはもう人生の道筋のついた大人であり、しかも「本社」「チョンガー」「出張」などという言葉の世界に充足してい

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    2013年05月22日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    果たして東太郎は実在するのか、架空の人物なのか。

    著者が最初に断っているように、これは私小説ではない。本筋に入るまでの長い話は私小説の形式を取っているようだが、これはあくまで後半の本格小説への導入部と考えるべきである。
    著者はおそらく、どこまでもフィクションのリアリティを表現することにこだわった。導入部の私小説に架空の人物を紛れこませることで、煙が形を持って実体化するように、その人物があたかも実在したかのように読者に錯覚させる。
    そして後半の本格小説に突入する。仮に、これが東太郎の目線で語られる話だったら、リアリズムは逆に薄れてしまったであろう。旅行者、女中と話し手を介することによって、彼の

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    2013年01月20日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    文量も多くて始めの部分は読みが進まないが、いつの間にか引き込まれてしまう。「本格」なのに読みやすい。
    本の世界感に浸りたい人にはおすすめ。純文学というか、人の人生を描いた作品が好きになったきっかけの本。

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    2012年08月22日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    久しぶりに日本の小説を読んで、なんて読みやすいんだろうと驚いた。ちょっと古めかしい言葉使いなのが凄く綺麗で、秋風が立ち、とかバタ臭い、とか忘れかけていた響きに酔いしれて、すいすい読めた。
    冒頭の160ページもある「本格小説の始まる前の長い長い話」というのがどこまで本当なのか、実話仕立てで思わせぶりな本当に長い長いフリだが、なんて面白い設定なのか、すっかりその罠にハマってしまった。
    そのあとからようやく始まる本格小説は、思わせぶりにフッた東太郎の出番がなかなかなく、早く先が読みたい一心で余計に長く感じて遅々として読み進まず。
    それと、読めない字があった。「嫂」。話の流れから考えると当然なの

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    2012年05月27日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    下巻も前半は典雅な展開が続くが、よう子と太郎の恋愛が隠せなくなってきてから、話も激しく動くようになる。また、語り部である女中のフミ子が、次第に存在感を増し、それが「信頼できない語り手」となる様は、本家の嵐が丘と比べても見劣りしないレベルだ。

    総じて見ればよくできた小説だが、改めて「嵐が丘」という150年以上前に書かれた小説の凄みを感じさせるものでもあった。

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    2012年04月22日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    現在のところ、一番大好きな小説。
    嵐が丘をベースにした物語性や、
    水村さんのなめらかな文体、
    静かな語り口の裏にある激情が、心をゆさぶる。

    これを今から読めるあなたは幸せだな、と、ぼくは思います。

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    2011年11月05日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    おもしろくて一気に読んでしまった。嵐が丘がベースになっているけれど、それだけではありません。終わった後また読み直したくなりました。恋愛小説、ニューヨークでの日本人の生活、軽井沢、戦前戦後のお金持ちの優雅な暮らしなどに興味がある人は読んでみてください。上下間ともウィリアム・モリスのパターンが表紙でそれもいい。

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    2011年10月28日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    * 2008年01月04日 04:32記載:

    友人に薦められて読んだ本。

    ちゃんとした長編小説を読んだのはおそらく
    初めてじゃないかって感じで、自分の読書スピード
    が相当遅いことに辟易しながらも後半は一気に
    最後まで読みました。

    これからは読書家と言われるようにがんばりたいです。

    ちなみに著者はかの著名な経済学の権威、岩井克人
    の妻でもあります。




    何人かの登場人物が背負う運命はあまりに悲しく
    不幸であり、読み終わってから一途な愛情を
    美徳とすることに対して抵抗を覚えるような
    苦々しさが胸に残りました。


    ある女性が言います。
    「愛されないっていうのはとても不幸なことだと思う」

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    2011年05月07日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    下巻に入るともう一気読み。そして読み終わるのがもったいなくて、いつまでもいつまでも読んでいたいと思うような。単なる恋愛ものではなく、もうこれは戦後日本のすべてというものがつまっているような感じがした。それとさまざまな人たちのさまざまな人生。人生とは、と考えさせられるような。ものすごく読みごたえがあって。まさに本格小説。すごく客観的に人やものごとをながめられる女中フミさんの語りで、人ひとりひとりの人生全体をながめられるような感じ。フミさんの、人生なんてそんなもの、っていう感じ方に共感するような。人生は、はかない。「本格小説が始まる前の長い長い話」からずっと、著者が、将来がひらけているかどうか、未

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    2011年09月18日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    「嵐が丘」の翻案ですが、翻案という言葉から想像する安易さや安っぽさとは無縁。
    「嵐が丘」の方は読んでいる自分と小説内の世界がつながっている感じはあまりなく、むしろその異世界めいたところが魅力でもあるとおもいますが、本作は私小説のような導入部分のせいもあって、あたかも物語世界と読者側の実世界が地続きであるかのような手触りがあります。
    そのような小説のほうが、日本文学にはなじむということなのかもしれません。

    著者の新作が待ち遠しい…。

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    2010年07月08日