水村美苗のレビュー一覧
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ああ、読み終わってしまった・・・
12年ぶりの水村美苗小説、じっくり味わう積りが
やっぱり最後は、一気読みになる。仕方ないね。
周一・貴子、「大使とその妻」が軽井沢を去った後、
隣人ケヴィンの手記として小説は進む。
下巻では、貴子の父の生い立ちから始まり、少女時代、
周一との運命的な出会いが描かれる。
そして、軽井沢の最後の夏・「祝祭の夏」も。
時代はコロナ禍の直前。
ネタバレになるので、私が知らなかった重い歴史は
ここでは触れない。
でも、この歴史が、小説の柱でもある。
それが貴子を作っているのだから。
正直、結末は見えていた。
わかっていたのに、ついにそのことが小説に出てきたときは号 -
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久しぶりに痺れる本に出会った。
著者の水村美苗は学者であり作家である。名門イェール大学・大学院でフランス文学を専攻し、アメリカの大学で日本近代文学を教えながら日本語で小説を書いた。本書の発刊は2008年。5年をかけて書き上げたことからも著者の情熱が伝わってくる。
書き出しは著者の体験が小説のように綴られる。もうすでにこの文体が心地よい。しかし、そこからは緻密な調査と考察が積み重ねられ、一つの結論に向かっていく。それは「日本語は亡びうる」という結論である。
島国日本では連綿と日本語が使われてきた。それは時代に応じて変化はすれど、なくなるとは想像していない。しかし、日本語はなくなる可能性がある。
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心震える恋愛小説か怪談話を読みたいと、10年の積ん読を経て人を食ったようなタイトルの恋愛大河小説を読んで心震わす。後にNYの大富豪になった満洲引き揚げ者の貧しい少年東太郎と裕福な隣家の娘よう子の幼い恋心から始まる幸福と悲劇、そして一族の栄枯盛衰が昭和の軽井沢を舞台に何十年にも渡り繰り広げられる。一人ひとりの行動の積み重ねが人の心に影響を与え、その結果がまた人それぞれに違う意味を持つ。それぞれが自分の居場所を探す話であり誰が幸せで誰が不幸せだったのかさえつかみきれぬまま恋愛の大河に呑み込まれる。今の日本はある人には良くなりある人には悪くなった。40年前の軽井沢ってこうだったよね、などと思いながら
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夏目漱石の本歌取りであるが、新人作家がそれにチャレンジした勇気と、その勇気に匹敵する内容の面白さに感服し喝采。
登場人物のキャラで小林がずいぶん常識人になってしまったのと、妻お延がなんでかうつ性格になってしまったのは、ちょっとしたキズにもみえるけれども、それまでほとんど登場してなかったもと彼女の清子、温泉で親しくなった安永と貞子の性格創作は見事だった。津田と妹お秀と吉川夫人の性格描写はきちんと承継していたし、ストーリー自身が夏目漱石のそれよりも昼ドラみたいで抜群に面白くなってたわ。
太宰治のグッドバイとか、山﨑豊子の約束の海とか途中で絶筆になってる小説を思い切って本歌取りするブームが到来し -
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この作者の第一作が『続・明暗』であるうえこの題名
手をつけるのにかなりの読書意欲を必要としたので買って2年も寝かせたが
意外にとても読みやすかった
題材からの連想でサマセット・モーム「平明な文体と巧妙な筋書き」みたいな感じかしらん
物語の面白さで読み始めたら止まらない内容
題名の「本格小説」は作中の作者から説明あるように「小説のような話」を指して
小説である以上は作者の知ることの中で書かれているから(広義の)「私小説」であり
では「私小説」でない「小説のような話」はどうなるか
みたいな感じらしい
なるほど
そういうわけで『嵐が丘』を戦後日本へ置き換えたような筋書きを
作中の作者を複数の話し手 -
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「日本語が亡びるとき」等の論考でも知られる著者のデビュー作。何と言っても夏目漱石の死によって未完に終わった「明暗」を、その文体を見事なまでに再現した上で、続きを創出するという大胆な作品であるが、これがデビュー作とは思えない恐ろしい完成度に満ちている。
漱石が「明暗」という作品をどのように終わらせようとしたのかという意図を知るものは誰もいないこの世界において、それでも本作で描かれた物語は、「もしかすると、明暗とはこのように描かれるべき作品であったのかもしれない」と思わせる磁力を持ち合わせている。無数にある物語の分岐のうち、最も確度が高い選択肢を選ぶという行為を数万回、数十万回と繰り返した中でた -
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下巻です。
期待を裏切らず、最後まで深みのある恋愛小説で、どっぷりと美しい世界観に浸りました。
(著者は嵐が丘のような話と言っていますが、私は谷崎の細雪、小池真理子の恋がよぎり、再読したくなりました。特に恋の主人公は同名フミコ!)
そんな中ラストの冨美子の件は、一瞬小説全体の美しさを汚された気がしましたが、そういう事情のお蔭で彼女の語りには包容する力があり愛があるわけですから、生々しさも許容しなきゃな、という気持ちに変わりました。
また、上巻で感じていた三枝家や重光家等の名家の品格を、時を経て現代の富裕層である久保家には少しも感じず(だからと言って決して下品という意味ではなく)、現 -
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2012年に単行本で出た際に、読んでいるんです。
2017年現在からみると、たったの5年前。
最近、電子書籍で再度購入。
「母の遺産」水村美苗さん。中公文庫、上下巻。
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50代の女性がいて、結婚していて子供はいない。
父はもう亡く、老いた母がいる。
この母が、色々面倒ばかりかけ、たいへんにしんどい。
コレという判りやすい被害がある訳ではないけれど、とにかく気持ちに負担をかけてくる。手間暇をかけさせる。
ただでさえ自分も体調が悪いのに。重ねて、介護の手間が厚塗りされる。地獄のような疲弊感。誰とも分け合えない苦労。誰も褒めてくれない重労働。
そして、夫が不貞をしていたことが分かる。若 -
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下巻です。
上巻では母の介護が焦点だったのに、下巻では主人公の夫の若い女との浮気話に軸を移した感じで主題が読めず、はじめは少々戸惑いました。
だってね、箱根のホテルに逗留してから雰囲気ががらっと変わるんですもん。急に夫問題(苦笑)。
・・・ではありましたが、通読したらとてもよかったです。
ここまで雰囲気を変えるなら思い切って一部・二部、と分けてくれた方がはじめから受け入れやすいかな、とも思ったけど・・・これでいいのかな?
内容的には、主人公の、母や夫、もっと言えば過去からの「自立」の物語です。
自立、といっても若者ではなくて50代中年女性というところがミソ。
その歳になっても親のせいにする -
Posted by ブクログ
小説は、主観的な内的な心象風景を物語で紡ぎながら、その中に美しさとそれから生まれる哀しみがあらわされれているもの・・かなと。
どの時代でも、文化、社会の中で人が思うようには生きていけない辛さみたいなものが澱んで、人が巻き込まれ、自分からまきついていくような人がいて、そういう時代に翻弄される劇的な物語を、人は惹かれるものである。
この本の主人公が登場しているとき、嵐が丘の冷たい暗い風がいつも感じられる。この小説が「嵐が丘」を意識していることは、最初から感じられるのだが、嵐が丘を感じながらも、この小説の舞台は戦後である。貧しい家族に恵まれない辛い子供時代を過ごした主人公は、時代背景が嵐が丘とは違 -
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第8回小林秀雄賞受賞作。
『続明暗』を書いた作者として名前は知っていた。
この文量を書ききった感が、すごい。凄まじい。
国語=日本語の定義が、崩れつつある。
英語が「普遍語」となった現代、ビジネスチャンスやグローバルコミュニケーションを求めるものは、況や英語を話せることを目的とするようになった。
日本人にとって、何語で話し、何語で書くかというのは大きな問題提起であると思う。
「〈学問〉とは本来、〈普遍語〉で読み、〈普遍語〉で書くものだという〈学問〉の本質が、否定しがたく露呈してきた」
文学の世界にとっては更に切実である。
世界の第一線で活躍する日本の作家といえば、私はまず村上春樹を思い