水村美苗のレビュー一覧

  • 大使とその妻 下

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    軽井沢の避暑地で過ごす米国人の男性とその隣に新しく家を増改築して転居してきた元大使夫妻。能を舞い日本の伝統文化を生活の中に取り入れる妻に惹かれながら、その奥にある戦前から続く物語が明かされていく。ブラジル移民の実情はよく知らず、本書の中で取り上げられている事実は厳しく辛いなと思った。戦前、戦後に多くの人が本当の事情を知らないまま大きな負荷を背負わされた。そして時間がたつにつれてその事実すら消えてなくなりそうである。本書のように、小説の中でそれらの出来事に触れ、読み継がれていくことが大事だと思う。長編だったけど、いろんな場面を思い浮かべながら読み進めることができた。

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    2025年04月04日
  • 大使とその妻 下

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    ネタバレ

    水村美苗のどの作品も端正な日本語文章を楽しめたので、これも期待して読み始めた。上巻は面白くぐんぐん読んだのだれれど、下巻では読むスピードがだいぶ落ちたのはどういうわけか
    。失われていく日本らしさなのか、ブラジル移民のことか、焦点もくっきりせず、コロナ禍と絡める必然性も私にはよくわからなかった。貴子という人も夢の中の人のようで、魅力が伝わりきれず。読後感も凡庸で、どうも私にはあまり合わなかったようだ。

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    2025年02月20日
  • 日本語で書くということ

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    漱石について論じた文章が興味深い。
    彼が創作の中で何を考えながら、どこを目指していたのかを理解する一助になった。
    異国の地で日本文学に思いを馳せ、行く末を案じたという点で、著者は夏目漱石と自分を重ねていたのかもしれない。

    「Ⅲアレゴリーとしての文学」は聞き慣れない単語が多く、専門外の論文を読まされているようで私には苦痛だった。
    (あとがきによれば、実際著者がイェール大学院時代に書いた論文らしい。門外漢の私が理解できなくて当然だと思った)

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    2024年12月29日
  • 日本語で書くということ

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    難しい 頭の良い人にはわかるのかもしれないけれど、疲れている私の頭にはスッと入ってこなかった。なるほど、というところもあったので、いつかまた読み返したい。

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    2026年01月12日
  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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    言葉とは思考であり、文化であり、歴史であり、国の存在そのものである。個人的には英語は話せるようになりたいが、国語教育が蔑ろにされるのはやめてほしい。以前、山田詠美だったと思うが、教科書に自身の著作が載ることになったときに、教科書でしか読めない文豪の作品を載せるべきではないかと言っていたように記憶している。まさにその理由がここに書いてある。

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    2023年03月21日
  • 日本語で読むということ

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     『續明暗』を書いた人として水村氏の名前は知っていたが、実際にその文章を読んだのは、『日本語が亡びるとき』が唯一だった。
     そのエッセイ&批評が文庫化された機会に、本書を手に取ってみた。

     親の仕事の関係で12歳で渡米、著者はアメリカに目をつむり、ひたすら日本に目を向けたと述懐する。長い海外生活から日本に戻り、〈日本語〉で文章を書き始めた著者が『續明暗』を、さらには『日本語が亡びるとき』を書くことになったことも、本書に収められた文章を読んで、何となく納得できた気がする。

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    2022年05月11日
  • 日本語で読むということ

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    エッジが立った文章で心地よい。気持ち良く読める。ただ、内容が自分の目線の射程に依るものが大部分なので、何らかの示唆を得るというものではない。水村は、わざとそういうエッセーを書いて「女流」というブランディングをしているのだろうか。

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    2022年04月26日
  • 日本語で書くということ

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     読んでいて成る程と思ったのは、漱石論の二編。
     一つは、「見合いか恋愛か-夏目漱石『行人』論」。もう一つは、「「男と男」と「男と女」ー藤尾の死」。

     『行人』において、一郎は悩む。「自然が醸した恋愛」と「狭い社会の作った窮屈な道徳」、つまり「自然」と「社会」、〈自然〉=〈ピュシス〉と〈法〉=〈ノモス〉の対立。一郎の狂気とは二項対立のないところに二項対立を見いだそうとするところにある、と著者は言う。何となれば、恋愛が〈自然〉と〈法〉の対立する世界観を前提とするのに対し、一郎とお直がそうであったように、見合いはそうした対立関係にはないから。
    お直が答えようもない不可能な問いを一郎が問うことーこ

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    2022年04月25日
  • 日本語で読むということ

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    『日本語が亡びるとき』の著者のエッセイ集。
    著作についてのコメントや、批評も入っている。

    タイトルにちなんで、という感想にはならなかった。けれど、幾つか、印象に残った言葉がある。

    『銀の匙』について書かれた中にある、「美しい」ことと「美しく生きる」ことの差。
    表面と内面の差とは言い切れない、自明ではない価値の比喩、と述べる。

    坂口安吾とタウトについて書かれた中にある、日本人は日本を「発見」せずにすまされるのだろうかという言葉。
    私たちにとってのルーツは、今や「役に立つ」か「役に立たない」かで片付けられようとしている、そんな気がする。

    漱石の『明暗』にある、牛になる事を二回取り上げている

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    2022年03月20日
  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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    朝日新聞の模擬入試の欄で紹介されていた。
    フランスでの講演及び日本の明治の日本語について。さらに漱石までは納得できるものであったが。最後で福田の引用をしてから文調がおかしくなってきた。最後は日本精神ということになってきてあまり論理での説明が省略されてきてしまった。4章の日本語という国語の誕生、までは読んでなるほどと納得させられることがあるが、それ以後はだいぶ怪しい。漱石の三四郎や文学論の引用はなるほどよく勉強していることはうかがえるが、英語教育についての論は少し勉強不足なのかもしれない。

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    2021年10月06日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    ネタバレ

    母を見送った後に1人箱根のホテルで過ごす美津紀の揺れる心情、連れ添った夫の裏切りを知りどうするのか、、興味深かった。夫の言い分が最後まで分からずだったけど美津紀の第二の人生はきっとまだまだ長いはずだから正しい選択だったと思う。最後の奈津紀の優しさもホッとした。遺産を巡って姉妹が思いあえたのは羨ましい。

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    2021年09月12日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    『本格小説』は、嵐が丘のオマージュというからにはやっぱり語り手が女中さんだったというか、そのひとが主人公のような小説であった。

     タイトルが日本近代文学『本格小説』とちょっと仰々しいけど、おもしろく読める。戦後から昭和の時代、平成に入ったところを背景に、突き抜けた人物達が織り成すドラマはわたしたちがたどった時代を振り返らせてくれ懐かしく、また歴史風俗の変遷を思う。

     この小説では戦後もすぐ、集団就職の時代にお手伝いさんと呼び名が変わったにもかかわらず女中になってしまったひとと、零落しつつもそのことに執着した家族と、貧しさから這い上がらなければならなかった青年のとの三つ巴のドラマがすさまじい

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    2020年12月23日
  • 本格小説(下)(新潮文庫)

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    上下巻とかなりのボリュームを頑張って読み進めると、最後の最後に大どんでん返しがあり読後感は面白かった…が、正直年配の女性が延々話してることをそのまま記述してあるような小説のため、やや読むのに骨が折れた。

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    2020年07月28日
  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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    あらすじが優秀なので記入します。
    日本語は、明治以来の「西洋の衝撃」を通して、豊かな近代文学を生み出してきた。いま、その日本語が大きな岐路に立っている。グローバル化の進展とともに、ますます大きな存在となった<普遍語=英語>の問題を避けて、これからの時代を理解することはできない。われわれ現代人にとって言語とは何か。日本語はどこへいくのか。

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    2019年09月27日
  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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    文学を中心とした日本語教育に力を入れろという主張。
    文学教育と言語教育は別次元で議論するべきだと思うので、わたしは反対。

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    2019年05月21日
  • 母の遺産 新聞小説(下)

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    途中まで暗い、寂しい結末が予想されました。
    しかし最終番に向けての展開は前向きで、明るく、何故かほっとしました。

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    2017年03月05日
  • 増補 日本語が亡びるとき ──英語の世紀の中で

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    「読まれるべき言葉」(文学テキスト)が読み継がれなくなったら国語は亡びる。国語としての日本語を護るには、国語教育において日本近代文学(漱石や鴎外)を読ませなければならない。

    そのためには国語の時間を増やす必要があり、英語の時間を減らす必要がある。「全員バイリンガル化」のごとき英語教育の「充実」をやめる。英語教育は限られたエリートに与えればよく、ただし本物の英語力を育てなければならない。学校は英語を読むことへの入り口を提供すればよい。充実すべきは国語教育であり、日本近代文学を読む時間である、という主張だった。

    それには納得した。ただ、ぼく自身は、国語教育の本来的な使命として、「論理的に考え、

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    2016年12月23日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読み始めた時は、あまりの前書きの長さに
    我慢して読み進められるのかどうか、とても不安
    でも、あれは必要な前書きというか
    いま現在の時代から、終戦後の日本の世界に戻るために
    必要な前書きだったんだなと読み終わってわかる
    これは恋愛小説なんでしょうか…
    下巻に続く

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    2015年05月10日
  • 続 明暗

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    本の評価うんぬんの前に、漱石という日本を代表する文豪が手掛けた未完
    の遺作に手を加えようとする試みを決心した水村氏にまず敬意を表したい。
    これは、未だかつて誰もやろうとしなかったこと、あるいは過去に誰かが
    やろうと思いつつも勇気を出せずに思いとどまったことであろう。
    水村氏は本作がデビュー作ということだが、新人作家にしてこの決断力は
    他に類を見ない。現代文学界の歴史に名を刻まれる偉業だと信じて
    止まない。

    それだけに、作品の出来が非常に惜しく思われる。
    漱石の文体はうまく真似できており、雰囲気だけであれば漱石のそれと
    大きく変わらない。問題は、心理描写のカットである。これは本人が
    認めている

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    2012年11月04日
  • 本格小説(上)(新潮文庫)

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    去年初めて読みその時面白くてすぐ読み終わったのに、全く話を忘れていたのでもう一回読み直した。
    最後ちょっとびっくりする話をそういえば思いだした。

    嵐が丘の日本版ということらしいけど、スケールは違いすぎる。

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    2011年10月14日