武村政春のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
講談社ブルーバックスの武村先生の著書に入る前に、児童書の方を読んでみた。新型コロナウイルスにも言及している最新版だ。(2020年8月時点)
大変わかりやすくて、ウイルスは生物ではない根拠も、増殖の仕方もスッと頭に入ってくる。児童書向けに表現を簡素にして、難しいことを説明するのが容易でないのにも関わらず、構成も図式も素晴らしいとしか言いようがない。
ウイルスは漠然としていて怖いものだが、実は生きものの進化にも密接に関わっているという仮説がある。この辺りの詳しいことは、講談社ブルーバックスの『生物はウイルスが進化させた』で補完できるのではないかと思う。 -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、ウイルスが生物の進化にどのように関与してきたかということを、筆者の考えを中心に述べてあった。筆者も述べている通り、内容の多くが仮説であったが、その仮説が非常に面白かった。というより、ここまで生物とウイルスの関わりが深かったのか、と驚きを隠せなかった。ウイルスが感染した細胞性生物の中で作り上げる様々な構造と、我々の体を作っている細胞との間にここまでの類似性があることに驚いたと同時に、本書で述べられている仮説は仮説ではなく、事実なのではないかと一人で勝手に興奮してしまっていた。もしかしたら未来の教科書に、本書の内容が載るのではないかと思った。そうなったら本当に面白い。
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Posted by ブクログ
この時期だから、読んでみた。
メディアでの露出度の高い感染症学者の視点ばかりが強調されるが、もっと足元のことが知りたい。免疫学やウィルス学、更には集団感染の現場で指揮をとったディーパットの方々の話などだ。
その中で今回選んだのがこの本。
「ウィルスって生物なの?」と立ち止まって考えたり、タイトルのように「生物とウィルスの関係性」に想像を馳せたりすることができる。
武村先生はオタクっぽくも感じるが、研究者ってこういう方が多い。そうでないと、自分のオリジナルの仮説の確からしさを解明するために何度も、挫折を味わっても立ち上がれない。(いやそんなことをしているからそういう雰囲気が漂うようになるのかも -
Posted by ブクログ
ネタバレまずこのご時世ウイルスが人工に膾炙しているわりに、自分がほとんどウイルスについて知らなかったのでこの本を手に取った。内容は、生物学を全く知らない人には読みづらいかもしれないが非常に面白いものだった。
ウイルスの構造、生活環、多様性や生物との違いなどしっかり学ぶと似て非なるものが多々あり非常に興味深く感じた。個人的に学びとなったのは、哺乳類の胎盤はもともとウイルス由来の遺伝子によって作られるものであること、ウイルスの起源の仮説、多細胞生物の本当の姿の考察、また食品添加物にウイルスが利用されていることなどである。ウイルスを悪者のようには思えなくなりそうだ。 -
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「生命の最小単位は細胞である」とする細胞説は、義務教育でも教わるように現在の生物学における支配的なパラダイムです。
著者はこの細胞説に真っ向から挑戦します。
その鍵となるのが、2013年以降に発見された巨大DNAウイルス達です。
彼らの大きさは光学顕微鏡下で観察できるほどであり、また保持する遺伝情報量も細菌と同等以上のものでした。
この「全くウイルスらしくなく、かといって、これを生物とみなすにはあまりにもウイルス的」な存在の発見は、科学界に大きな議論を巻き起こします。
著者は、細胞を持たない存在である巨大DNAウイルス達を、新たな生物のグループとみなすことを提案します。つまり、細胞説を否定す -
Posted by ブクログ
非常に分かりやすく書かれている。
①ウイルスは細菌の1/10から1/100
②2003年巨大ウイルス発見1)ウイルスが生物の創造主2)生物はウイルスを増やす存在
③ウイルスは24時間で100万倍増える
④生物の定義1)細胞2)代謝3)自己複製4)巨大ウイルス
⑤ウイルスの基本形 カプシド 二十面体 バクテリオファージ
1)吸着2)侵入3)脱穀4)合成5)熟成6)放出
⑥ジェンナー パスツール ワクチン
⑦レトロウイルス RNA →DNA に変えて増やすすごいやつ
⑧バクテリア アーキア アメーバ P 133
⑨セントラルドグマ: DNA 転写 RNA 翻訳アミノ酸
⑩ウイルスの起源1)細胞が -
Posted by ブクログ
ネタバレ真面目な体をなして実にふざけています。
それは著者がきちんと
生物の構造を知り尽くしているからこそできる
高度なお遊びともいえましょう。
解説の中には
ご親切にも図がついていて
明らかにこれはあり得ないだろー(笑)
となっても信じ込んでしまうような恐ろしい
魔力を持っているのです。
恐ろしい著者…!!
面白かったのは百メートルの腸を持つ
ケンタウロスやカオナシはどうやって声を出したのかを
まあ真面目でおバカに解説するのです。
文献もさも当然のようにあるように見せかけて
ないという巧妙っぷり。
人によってはお怒りになるかも。
でも嫌いじゃない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレウイルスの基本的な構造・生活環、ウイルスによって病気が起こる仕組みから、ウイルスの起源と生物進化との関わりについての最先端の研究の知見まで、薄いわりに内容のぎゅっとつまった本。DNAとRNAの違いやセントラルドグマなど、基本的な話から始めてくれるので、初心者にもおすすめ。
「ウイルスは生物ではない!」なんて思っていたが、いよいよそんなことも言ってられなくなってきた。ホットで興味深い話題がたくさん!もっと詳しく知りたい。
・ノロウイルスの感染と血液型には関連がある?
・タバコモザイクウイルスの内部の細長い空間を使ってナノマシンをつくる試み
・私たちヒトゲノムのおよそ半分に、ウイルス由来の塩基