武村政春のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレウイルスの基本的な構造・生活環、ウイルスによって病気が起こる仕組みから、ウイルスの起源と生物進化との関わりについての最先端の研究の知見まで、薄いわりに内容のぎゅっとつまった本。DNAとRNAの違いやセントラルドグマなど、基本的な話から始めてくれるので、初心者にもおすすめ。
「ウイルスは生物ではない!」なんて思っていたが、いよいよそんなことも言ってられなくなってきた。ホットで興味深い話題がたくさん!もっと詳しく知りたい。
・ノロウイルスの感染と血液型には関連がある?
・タバコモザイクウイルスの内部の細長い空間を使ってナノマシンをつくる試み
・私たちヒトゲノムのおよそ半分に、ウイルス由来の塩基配列がある!
・有胎盤類の胎盤形成に関わる遺伝子が、かつてレトロウイルスだったときのエンベロープ形成に関わる遺伝子に由来していた。(内在性レトロウイルス配列)
・最小の生物といわれるマイコプラズマを凌駕する大きさ、遺伝子の多さ、複雑さを持つ巨大ウイルス(ミミウイルス)の発見は、生物とウイルスの境界をより曖昧にさせた。
・ミミウイルスにくっついて一緒にアメーバに感染するウイルス、ヴァイロファージ
・真核生物の核形成は、DNAウイルス由来である?
・自身の2つの核のうちひとつを、まるでウイルスのように、ほかの紅藻の細胞に注入して寄生する紅藻がいる! -
Posted by ブクログ
友人から借りました
ファンタジー? 学術書?
真面目にふざけた本。
もはや、どれを信じたらいいのか。
とれももっともそうに書いてあるから。
人魚を、受精卵の細胞分裂から追いかけたり(イラスト入り)、免疫の説明を真面目にしたあと「キメラ」の狸遺伝子が「免疫」を騙すとかいう話が。
すごい、奇書ですね。
妖怪のほかにも、最近の映画、千と千尋の「カオナシ」とかの分析も。
あまりにも、緻密に描かれていて「気持ち悪い」というところもある。詳しすぎて「難しい」ところもある。
娯楽本になりきれてない気もするが、妖怪類をここまで真面目そう(?)に分析した本はなかなかないだろう。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
私たちの体の細胞が分裂するとき、細胞の中では必ず、DNAが複製される。
生命現象の根幹を担うこの反応は、一糸乱れぬ正確さで行われると考えられがちだが、じつは思った以上に不完全で、結構“いい加減”なのである。
そして、まだまだ、よくわかっていない。
本書は、いまなお多くの謎が残る「DNA複製」の世界に的をしぼり、そのしくみをわかりやすく解説する。
[ 目次 ]
第1章 複製はこうして始まる―華やかなる細胞内シンクロ
第2章 DNAポリメラーゼはいかにはたらくか―驚くべき正確さ
第3章 DNAポリメラーゼはいかに間違うか―驚くべきいい加減さ
第4章 片足を上げるDNA―DNA複製の全体像
第5章 複製はこうして終わる―残された謎、そして憂鬱なテロメア
第6章 複製外伝―いろいろな複製様式
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
またまたブルーバックス。
本書はクリックが提唱した
DNA→mRNA→Protein
の流れの中で脇役と言われていたRNAに注目した本です。
周知の通り、昨年度のノーベル化学賞、医学生理学賞でRNA関連の受賞があったことからもはや脇役ではなく、生命現象を大きく動かしている可能性すらある存在です。
そんなRNAを転写、翻訳のような基本からRNA編集やRNA干渉(←医学生理学賞の対象)まで解説しています。
専門書ほどではないですが、取っ掛かりにはもってこいだと思います。厚い教科書を読むよりも気楽に、でも大事なことを押さえられます。
ある程度、生命科学を知らないと難しいかもしれません。しかし、RNAがいかに重要な役割をしているかを感じることはできます!!
-
Posted by ブクログ
タイトルの「ウィルス」とはヒトに病気をもたらすものではなく、細胞に対して感染する一般的なものを示しており、医学的より生物的な話に終始している。
小さめな単細胞に迫る勢いの大きさの巨大ウィルスから触れているが、細胞とウィルスの境界を曖昧にするという話ではなく、ウィルスがいかに規格外か示す一例であり、本書中には他にも多様なウィルスを紹介している。
そういったウィルスの特性を元に、真核生物など現時点で起源が分かっていないものに対する仮説を説明している。
ある程度DNAの仕組みなどを理解していたつもりだったが、この本を読んで余計にわからなくなった、それだけ根本的な議論に触れるという意味で良本と感じた。
細胞に感染してからDNAを複製するまでの間で、一時的にウィルスが消えるように見えるいわゆる「暗黒期」、ウィルスが本領発揮して複製しまっくている意味では「黄金期」であり、その過程で複製工場のようなものを細胞内に構築するとのこと、またそれが真核生物が生まれた経緯であるとのこと。
個人的に興味の持っていた、遺伝子の水平移動についても触れていた。
ただ細胞の立場では「移動された」であるが、ウィルス的には、ある細胞のものが自分の遺伝子に組み込まれ、またそれが別の細胞に組み込まれる、2ステップあることを改めて記載している。
ただそれ自体の説明の流れではなく、ウィルスの起源が不明過ぎる件について、特にリボソームの観点で明らかに説明がつかない種についての、一つの説の根拠として述べている。
卵子に対する精子の挙動について、細胞に対するウィルスのそれと同じであると言及があった、同じことを考えていたので、よく言語化してくれたと思った。
ここから派生して、ウィルスとは何かという問いになる、一般的には細胞を求めて彷徨ってる姿を想像するが、それはほぼ非活性な状態であり、対してウィルスが活躍してる姿は細胞内の暗黒期であり、他の細胞内にいるタイミングが真の姿とは…というジレンマもある。
「共感染」と言うキーワードが出ている、一つの細胞に対して複数のウィルスが感染している状態を示す。
ただウィルスの立場としては、細胞のリソースを分け合うわけなので、それぞれ迷惑しており、もう一方を排除するための免疫相当の機能がある。
一般的に思い浮かぶ免疫細胞とは違うが、もう一方の遺伝子情報を保持する意味では若干仕組みは似てるし、そこでも遺伝子の水平移動の概念が出てくる。 -
Posted by ブクログ
DNAについての本。
DNA、つまり生物の設計図だが、本当にそれだけの存在なのか?について著者の考えが示されている。
実はヒトゲノムといっても、実際にタンパク質をコードしているのは全体のごく一部。ヒトゲノムで最も多いのはトランスポゾンで全体の40%を占める。このトランスポゾンはタンパク質をコードしていない。では何をしているのか。
トランスポゾンのうち多くはレトロトランスポゾンとうもので、動く遺伝子と言われているものだ。これによりDNAが書き換えれる。トランスポゾンはレトロウイルスが由来と考えられているようで、そうなるとウイルスがDNAを書き換えている、つまり遺伝情報がかわる。もっというと、ウイルスが進化の要因にもなってしまうことになる。そうなんだ?
単純にDNAのコピーミスといったもの以外にも、レトロトランスポゾンのうような動く遺伝子のようなものでDNAは書き換えらる。DNAは次世代に正確に遺伝子を継承するとともに、バージョンアップできる機能を自らが持っている。まるで、DNAに意志があるかのように思えてしまう。なぜなら、こうした機能がなければ、生命誕生から長い歴史を経て人類の誕生はなかったからだ。
遺伝、進化に果たしたDNAの仕組みに改めて驚きを感じる。
以下、雑談。
動く遺伝子「トランスポゾン」の発見者はバーバラ・マクリントック。この発見により1983年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。1992年に90歳で亡くなっているが、亡くなった日は、僕の28歳の誕生日であった。その1か月後、東京に転勤になった。
またこの1か月前、バルセロナオリンピックで水泳の岩崎恭子選手が14歳ながら200メートル平泳ぎで金メダルを取った。「今まで生きてきた中で一番幸せです」という名言を残したことが思い出される。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ生命とは何かあるいは、生きているとはどいうことかにかかわる、根本的な課題に意欲的にアプローチし、同時に地球生命の根源のLUCAに迫ろうという意欲的な本書、もちろん、2015年に出版されているので、新型コロナ禍の現代にあって、もっと、解決すべき課題に研究課題が向かっていこうとするやもしれないが、それでも、生命とは何かについて、ウィルスは該当するのか否か、について、今だから考察するに値すると言えるだろう。
本書の言う第4のドメインというのは、サイズにおいても、遺伝子量においても従来のウィルスの定義とは桁違いな巨大ウィルスが発見されたことに啓発されて生命の再定義が要請されていることによっている。著者は、この巨大ウィルスをはじめとするウィルスを生物の第4のドメインとしてはどうかと提案している。ウィルスは、現時点での生物学的な定義においても生命であるかどうか、境界線にあるといえる。現時点では、生物は、真核生物、アーキア、バクテリアの3つのドメインにおいて、定義されている。しかし、ウィルスは他生物の細胞への吸着(感染)、侵入、放出とういう過程で、次世代の再生産に他生物の存在を前提とする自立しない存在という理解と言える(それゆえに、生物ではない、という定義となる)。しかし、生命の情報資源とも言うべきDNAもしくは、RNAを有しており、他生物の細胞の資源、リボソームの利用を必要しているとはいえ、自己の次世代再生産能力は有している。
人間中心主義的に見ると、微細なウィルスは目に入らないかに見えるが、しかし、人間のみならず、すべての生命体は様々な共生のネットワークの中にあるといえる。コロナ禍の現在、まさに、そうした点について再考すべき重要なタイミングにあると思えるのだが。 -
Posted by ブクログ
本書を読めば,私たちが持っている〈ウイルスに対する構え方〉が変化するだろう。〈感染症の原因〉〈諸悪の根源〉のようなウイルスのイメージは,ウイルスの一面しか知らないことから引き出されていることを教えてくれた。
そもそも,私たちのまわりにはじつに多くのウイルスが存在しているらしい。本書の紹介によると「天然の水の中に,1mLあたりおよそ2億5000万個のウイルスがいる場合がある(海水中には約500万個から1500万個)」という。これは大変だ。がしかし,著者は,視点を変えるとこの数はたいしたことがないとも言っている。たとえば,人間の血液中にある赤血球の数は,1mLあたり40億個も含まれているらしい。「これに比べれば,海水中のウイルスの量など微々たるものだ」となる。
ウイルスの型わけなども分かりやすく説明してくれている。なるほど,ウイルスの世界にもこんな分類ができるんだなとかしこくなった気がする。今話題のコロナウイルスは,RNAウイルス→1本鎖RNA→コロナ(脊椎動物が宿主)→コロナ→(SARS,新型コロナ)となる。インフルエンザは,RNAウイルス→1本鎖RNA→オルスミクソ(脊椎動物が宿主)→インフルエンザ→インフルエンザ。
鳥インフルエンザとかトンコレラなどといって騒いでいる時期もあったけど,そもそもウイルスは,もともと細菌・植物・昆虫・脊椎動物など,いろんな宿主に感染しているんだと知っていれば,「それがなぜ人間に…」と考えることもできる。そうすれば,これまでいなかった場所にクマが出てくる現象とつながってくるような気してくる。そもそも,人間の生活を省みる必要はないのか…と。
新型コロナのように,ときにパンデミックを引き起こすウイルスたちは,人間の細胞の中に入り,細胞が持っているコピー機能を使って自らのコピーを作り瞬く間に増殖する。こうなってくると,ウイルスは「やっつける相手」としか感じられないし,そのときはそれでいいのだとは思う。
しかし,こういう流行をきっかけに,いったいウイルスとは何なのか。なぜ,生物が持っているDNAやRNAを持っているのか。そもそも,生物の細胞の中のDNAやRNAとどこが違うのか…いろいろと気になってくるのも仕方ない。そして,その振る舞いを見るにつけ,生命の基本の部分にウイルスがいるのではないかとも思えてくる。
この辺りに興味がある人は,是非,本書を手に取って読んで欲しい。
ところどころ,ユーモアのある表現もあって,難解な内容を説明しているわりにはとっつきやすいと思う。