武村政春のレビュー一覧
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本来、ウイルスは宿主を殺したりはしない。例えばインフルエンザウイルスは、もともとは水鳥の腸内にいるウイルス。水鳥の中にいる限り病気を引き起こすこともなく静かに引き継がれるだけ。ところが、何らかのきっかけで、本来の宿主でないヒトの中に入ってしまったため、インフルエンザを追い出そうとするヒトが高熱を出し、場合によっては死に至ってしまうというもの。エボラウイルスも本来の宿主は蝙蝠。蝙蝠はエボラに感染しても何ら問題ないのに、ヒトに感染してしまうと血管や臓器を破壊し破滅的な結果をもたらしてしまう。武漢から流行したコロナウイルスの感染は当然といえばあまりに当然の帰結。何とも遣る瀬無い。
他方、ヒトがいまあ -
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核酸(DNAあるいはRNA)を持つが細胞膜は持たない。自己複製能を持つが、単独では生きていけない。ウイルスは「限りなく生物に近い物質」と見なされているそうだ。しかしウイルスが生物か否かは定義上の問題であって、本質的な問題ではないと思う。生命の起源が自己複製能を持った有機物だったとすると、それはまだ現代の定義で生物と呼べるものではなかったであろう。結局、生物は無生物から進化してきたのだ。そして生物進化のかなり初期の段階で支流となったウイルスは、その寄生性から生物進化に大きな影響を与えながら、受けながら、今に至るのだろう。
プロローグ 発見された巨大ウイルス
第一章 生物に限りなく近い物質
第 -
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生物の複製・DNAの複製は、実際にはオリジナルとやや異なる複製産物をつくり、またそれ同士もことなる。複製っぽいが少し違うことで遺伝的多様性が生まれ、それを性の掛けあわせによってさらに個体的多様性も生む。新しい世代は、何かが少し違って当然、なわけです。
そういう、ややおとなしくもわかりやすい導入部なのだけど、二章以降は少しずつ飛躍が始まります。原型芸術と複製芸術の違いと、脳という記憶装置であり複製装置が生む、複製の仕方いかんでの妄想的記憶の複製。複製された製品を買う消費者、の複製である僕達。
これじゃあ、世界中複製だらけじゃないか! と思ったら、そういうタイトルだった。
複製という言葉から普通に -
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ウィルスというと病原体という印象が強いが、ウィルス自身は環境に適応して存在・存続し続けようとしているだけであり、生物との共生関係にあったり、生物の進化に影響を及ぼしたと考えられるウィルスは、生物史や生物の存在にとって重要な役割を担っている、というのが著者の主張の骨子だと思う。
そういう主張も新鮮ではあるが、ウィルスの構造や増殖の仕組みについての解説が面白かった。つまり、一般向けの本として、ウィルス自体についての基礎知識を与えてくれるという意味で、読んでよかった。特に、ウィルスが細胞に侵入する仕組みや、ウィルスに限らず遺伝子を発現させてタンパク室を作る仕組みは、コンパクトかつ詳しくまとまっていた -
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[ 内容 ]
ドラキュラはなぜ日光で灰になってしまうのか。
モスラはどうやって呼吸しているのか。
人と魚が合体して人魚になる過程、カマイタチの鎌の成分、カオナシが食べた生物の声になるメカニズムとは-。
古今東西の「架空生物」の謎を最新生物学で解き明かす。
読み進むうちに頭が柔らかくなること間違いなし。
仮想と現実、冗談と本気、奇想と学問が大胆に結合した「遊ぶ生物学」。
[ 目次 ]
第1章 遊ぶ解剖学(飛頭蛮-耳はどのように翼として機能するか ケンタウロス-人間の胴体はどのように馬からつながったか 豆狸-陰嚢はどのように広がったか)
第2章 遊ぶ免疫学・遊ぶ発生生物学(ぬえ-キメラはどうして -
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[ 内容 ]
いまやDNAの天下である。
個人の外見や体質はもちろん、性格や運命までもがDNAに支配されているかのような言説が幅を利かせている。
しかし、実は最新の科学では、DNAの絶対的地位は揺らぎつつあるあるのだ。
気鋭の生物学者がわかりやすくユーモラスに遺伝子の基礎知識からRNA研究の最前線までを解説。
[ 目次 ]
第1章 総理大臣のDNA
第2章 それは膿から始まった
第3章 DNAの「社会的地位」
第4章 恐るべき実力者RNA
第5章 すべての生物の祖先とは?
第6章 DNAは単なるバックアップコピー
第7章 DNA神話の崩壊
第8章 脱DNA宣言
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