あらすじ
いまや,世の中は「複製の時代」である。インターネットやデジタル機器の進歩と普及が,いまのこの時代を大きく動かしていることをみても,それは実感できるだろう。そもそも,地球上で複製を始めたのは生物である。ならば,その複製を中心に,生物の進化,社会の構造の謎に迫ってみてはどうだろうか。「複製」というキーワードでこの世界を見渡してみると,あらゆるところに共通性と多様性創出の同じ原則が働いていることがわかる。その原則をあぶり出すことで,世界の,そして人間のありようを捉えなおすことができるかもしれない。
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Posted by ブクログ
生物の複製・DNAの複製は、実際にはオリジナルとやや異なる複製産物をつくり、またそれ同士もことなる。複製っぽいが少し違うことで遺伝的多様性が生まれ、それを性の掛けあわせによってさらに個体的多様性も生む。新しい世代は、何かが少し違って当然、なわけです。
そういう、ややおとなしくもわかりやすい導入部なのだけど、二章以降は少しずつ飛躍が始まります。原型芸術と複製芸術の違いと、脳という記憶装置であり複製装置が生む、複製の仕方いかんでの妄想的記憶の複製。複製された製品を買う消費者、の複製である僕達。
これじゃあ、世界中複製だらけじゃないか! と思ったら、そういうタイトルだった。
複製という言葉から普通に受ける印象以上のことが、ここにはあります。生物としても、社会的にも、どう複製であり、どうオリジナルであろうか。そういうことを考えるときの気持ち悪さがたまらないなあ。