あらすじ
どのように遺伝情報を伝えるのか? なぜ遺伝情報を担う物質に選ばれたのか? 本当に「生命の設計図」か? 生命最大の謎に迫る!
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Posted by ブクログ
DNAについて、専門誌と一般誌の間の絶妙な立ち位置で解説してくれるとても素晴らしい本です。専門誌だと個々の事象を深く説明しすぎて全体が見えづらくなり、かといって一般化した説明だと物足りない。この本は、それぞれの悩みを解決してくれます。おかげさまで、自分の中で理解に苦しんだエピジェネやトランスポゾンについて、やっと頭の中で整理できました。
ただし、この本の難易度は分子生物学や遺伝子工学に触れたことがある人がやっと理解できるレベルなので、内容は難しいと思います。
Posted by ブクログ
DNAについての本。
DNA、つまり生物の設計図だが、本当にそれだけの存在なのか?について著者の考えが示されている。
実はヒトゲノムといっても、実際にタンパク質をコードしているのは全体のごく一部。ヒトゲノムで最も多いのはトランスポゾンで全体の40%を占める。このトランスポゾンはタンパク質をコードしていない。では何をしているのか。
トランスポゾンのうち多くはレトロトランスポゾンとうもので、動く遺伝子と言われているものだ。これによりDNAが書き換えれる。トランスポゾンはレトロウイルスが由来と考えられているようで、そうなるとウイルスがDNAを書き換えている、つまり遺伝情報がかわる。もっというと、ウイルスが進化の要因にもなってしまうことになる。そうなんだ?
単純にDNAのコピーミスといったもの以外にも、レトロトランスポゾンのうような動く遺伝子のようなものでDNAは書き換えらる。DNAは次世代に正確に遺伝子を継承するとともに、バージョンアップできる機能を自らが持っている。まるで、DNAに意志があるかのように思えてしまう。なぜなら、こうした機能がなければ、生命誕生から長い歴史を経て人類の誕生はなかったからだ。
遺伝、進化に果たしたDNAの仕組みに改めて驚きを感じる。
以下、雑談。
動く遺伝子「トランスポゾン」の発見者はバーバラ・マクリントック。この発見により1983年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。1992年に90歳で亡くなっているが、亡くなった日は、僕の28歳の誕生日であった。その1か月後、東京に転勤になった。
またこの1か月前、バルセロナオリンピックで水泳の岩崎恭子選手が14歳ながら200メートル平泳ぎで金メダルを取った。「今まで生きてきた中で一番幸せです」という名言を残したことが思い出される。