サラ・ウォーターズのレビュー一覧

  • 荊の城 下
    昔、少しだけ読んで読むのを
    やめていた本。

    田舎の泥棒一家が金持ちを夢見て
    その夢をスウに託して…

    モードの夢見る脳内お花畑っぷりに
    スウは可哀そうにと憐れみを浮かべる
    そして私も笑
    それは次第に同情に変わり
    モードを見る目も変わってくる。
    男女、女女、とにかく
    人と人の絡みが、文章によって
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  • 半身
    これはなかなか読み応えがあってね。
    いや文字多いわーってことでへこたれそうになるかと思いきやなんか上手いこと読ませてきて。そんなドラマチックな展開があるわけでもないようにも思うんだけど。。アレだ、言葉の魔術師。てきな。
    で、何が読ませるって老嬢と呼ばれてしまう30女の悲哀というかもう男も女もこの年ま...続きを読む
  • 荊の城 上
    すべてが終わった後に回想しているような描写がされている
    スウがお嬢様に添い寝するシーンの「睫毛が羽のように咽喉をなでる」て表現めちゃめちゃ良いな・・・
    初読なんですけど『お嬢さん』で大筋知ってるので実質2回目みたいなもんなので、これ初回と2回目で全然印象かわるだろうなってシーンばっかりでうわーうわ~...続きを読む
  • 荊の城 下
    上巻より続く
    しかし下巻を読んだらなるほどミステリであった
    山場の帰還場面は手に汗握る
    大変素晴らしい
    全体として充分高水準の娯楽読物として力作だが
    もうひとつ欠点目につく出来でもある
    それぞれの描写は作者にとって必要だろうから書いたのだろうけれども
    作品にとっては必要だったのだろうか
    あまりに細か...続きを読む
  • 荊の城 上
    ホラー風味のミステリというよりミステリ仕立てのホラーものといった趣で
    あいかわらずミステリ読者のミステリ認定幅の広いことよということと
    ヴィクトリアンに限らずこういう旧家の因習的な素材はなぜイギリスなのか
    フランスとかアメリカとかイタリアとかドイツとかロシアとかアラビアとかでないのは
    やはり各国の文...続きを読む
  • 半身
    マーガレットは初めてミルバンク監獄にやってきた。囚われている女囚の慰問のために。盗人、赤ん坊殺し、詐欺、色々な過去を持つ女囚のなかで、一人静謐な雰囲気を持つ女囚がいた。その名はシライナ・ドーズ。霊媒だったという。彼女に引き寄せられながらマーガレットはミルバンク監獄に慰問に通う。そしてだんだんと生活の...続きを読む
  • エアーズ家の没落 上
    医師のファラディーは子どもの頃にエアーズ家の園遊会に出席してからこの一家に憧れを抱いていた。メイドの急患で呼ばれたファラディーはエアーズ家の人たちと知り合いになり、当主のロデリックの足の治療に通ううちに、一家とも親しくなった。しかしこのエアーズ家には小さな異変が続く。ハンドレッドズ領主館が不気味だ。
  • 荊の城 下
    あまりにも凄絶な恋の残酷。
    緻密に練られた構成による怒涛の展開、人間ドラマの機微、ミステリーの要素を堪能しながら、「人を想うことの残酷」を感じさせる小説。
    その残酷ゆえの官能が悦びがあまりにも力強くて、読後放心状態。

    まさに「二人は、お城で幸せに暮らしましたとさ」という結末ではなかろうか。天晴。
  • 荊の城 上
    うわあ……
    息を呑む展開と濃密なエロスにくらくらする。
    これは凄い小説だ……!
    映画もいいけど、舞台でも観てみたい。

    結末は果たしてどうなる?
    下巻、ハラハラする……
  • 荊の城 下
    どんでん返しにつぐどんでん返し。
    映画『お嬢さん』の原作だが、第三部が原作と映画では大きく異なる。
  • エアーズ家の没落 上
    最初に明言しますがこの物語の真の主人公は人間ではなく「館」です。
    「レベッカ」「ねじの回転」さらには「ずっとお城で暮らしてる」など館を舞台にしたゴシックホラーは枚挙にいとまがありませんが、本作もまたその系譜に連なる意欲作。
    主人公は田舎の中年医師。
    子供時代に訪れた領主館に憧れを抱き続ける彼が、ふと...続きを読む
  • 黄昏の彼女たち 下
    上巻と下巻のこのテイストの違いといったら・・・!フランシスに感情移入しちゃって、早く読み進みたいんだけどいやちょっと待って先送りさせて、と読むのを躊躇したり。二人はこの先どうなるんだろう。誰にも言えない秘密を抱えて二人でひっそりと生きていくのかな。
  • 黄昏の彼女たち 上
    サラ・ウォーターズの新作ときては、読まないわけにいかない(感想書くのは遅くなりましたが)
    翻訳されないわけではなく、寡作なんですね。

    第一次大戦後の1922年。
    戦争で父親と兄たちを喪い、老いた母と二人で暮らすフランシス。
    屋敷を維持するのも難しく、下働きも雇えないので自ら労働する日々でした。
    ...続きを読む
  • 黄昏の彼女たち 上
    上巻と下巻ではかなり趣が違います 女性間のロマンスから殺人事件に… ただ 殺人を犯した意図は明らかにされていません、それに女性二人がその後 どうなったかも… そういう色々と謎を残したまま終わってしまいます ですが、そこがまた魅力になっているような気もします  下巻は一気読みでした…
  • 黄昏の彼女たち 下
    なぜ1920年代という時代を設定したのか、と考え続けながら読んだが、なるほど、上流階級なのに下宿人をおかねばやっていけなかったり、階級では下のはずの下宿人のほうが羽振りがよくお洒落や流行にも詳しかったり、帰還兵たちが浮かばれなかったり、さまざまな矛盾や転覆が底流となるのはこの時代だからこそ、なのか。...続きを読む
  • 半身
    1874年のロンドンが舞台なので、そういう時代がかったお話が苦手な人はいるかもしれませんが、私はわりと苦にならない雰囲気でした。
    ただ、題材が守護霊だったりレズ(?)だったりして、だいぶ後半まで「これはミステリなの?」というギモンがあり、「創元推理文庫」から出てるからにはたぶんミステリだよね?と思...続きを読む
  • 夜愁 下
    上巻だけ一度読んだことがあるが、冗長すぎて挫折してしまった。今回数年ぶりにリトライ。

    戦後の1947年、戦時中の1944年、さらに1941年と時が遡っていく構成。ミステリーと言われているが、特に謎めいた事件が起きるわけではない。

    戦時下という状況がなくとも成り立つような話かもしれないが、戦火かま...続きを読む
  • 荊の城 上
    第1部の終わりを読んだ瞬間、
    こ、これはっ。。。!!ってな感じで
    そっから先はノンストップ。

    主人公スウのキャラが入りやすいので
    ミステリ初心者にはとっても良いと思う。
    でも、初心者でコレ読んだらハードル高くなっちゃうなぁ。

    んで、何がいいって、やらしいの。
    エロいんじゃないよ、やらしいんだよ。
  • 半身
    「老嬢」マーガレットは、慰問に訪れた刑務所で、霊媒師の女囚・シライナと出会う。
    シライナの魅力に惹かれていくマーガレット。
    シライナは何故、投獄されたのか?
    彼女は牢獄で何を考えているのか?
    マーガレットとシライナの日記、という体裁の文章なので、好みが分かれるかもしれない。
    幻想的な交霊会、寒々とし...続きを読む
  • 荊の城 下
    とにかく面白くて、ドラマチック。
    波瀾万丈です。
    ディケンズ的と評される作品は色々ありましたが、この作品が一番でしょう。
    ディケンズよりも濃いほど、複雑に絡み合う展開。