サラ・ウォーターズのレビュー一覧

  • 夜愁 上

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    戦時下のロンドンを舞台に、登場人物たちが織りなす群像劇。

    過去へと遡るごとに明らかになってゆく彼らの恋。
    この時系列の順番は、恋の輝きが永遠に戻らないことが強調されるようで、ひどく切ない。
    前作や前々作のようなミステリを期待すると肩すかしをくらうが、抑制された巧みな描写で読み手の気持ちをそらさず、牽引力は健在だと思った。

    恋に絡めとられた同性愛者たちのしっとりとしたシーンは、禁忌と抑圧あってのエロス。
    かぐわしく妖しくも美しい!
    ラストの奇跡的な美しさにも、胸が締め付けられてしまう。

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    2016年10月02日
  • 半身

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    ジェットコースターの醍醐味を味わおうと思ったら、まずは急勾配の坂を上っていかなければならない。
    それはひどくゆっくりしたものだが、やがて頂上に達するとそこからは絶叫の連続だということが、予想できているからこそ、あのゆっくりゆっくしとした昇りの中で次第に精神は高揚していくのである。
    しかし、それがいつまでもいつまでも続くと、実はこの上り坂は絶叫マシーンにつながっていないのではないかという懐疑的な気分になってしまう。
    まさしくこの長編小説がそうだった。
    いつまでもいつまでも長い上り坂が続くのだ。
    約480ページの文庫本の3分の2までがこんな調子だったのだ。
    「はてさて、この長編小説は一体何を描こう

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    2013年09月22日
  • 荊の城 下

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    読書完了日2007年08月11日。上下巻、かなりの読み応えがありました。読み進めるにつれて次次と明らかになっていく真実に、最後までドキドキしました。ミステリーとエンターテイメントがバランスよくミックスされていると思います。

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    2011年07月31日
  • 夜愁 下

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    すべての始まり、物語の結末。巻頭の登場人物紹介が上巻と下巻で異なるのが興味深かったです。分かれてしまった人間関係の元ある繋がり。現在の状況が最初に提示されていることで、いっそう深みを帯びる繋がりに思えました。

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    2009年10月04日
  • 夜愁 上

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    『茨の城』のようなスピード感はないものの、緻密な描写に引き込まれます。3章からなる構成は時間を遡っていくもの。結末は始まりに、始まりは結末に…。

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    2009年10月04日
  • 荊の城 上

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    読書完了日2007年06月04日。この作家さんの作品「半身」を挫折しているので、再チャレンジの気持ちで読み始めました。出だしは大変眠かったです…、途中からするする読めましたけれど忍耐力が途切れれば挫折しそうな勢いでした(苦笑)どうも外国作家のお話とは相性が悪い…(汗)苦手なのかな?

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    2011年07月31日
  • 荊の城 上

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    線路ならぬミステリーは続くよどこまでも。いや、でもこれをミステリーとして読んじゃ間違ってもダメよ!これはれっきとしたファンタジーなんだよなぁ。だからこのミスとかそんな賞とっちゃってるばかりにバッシングの憂き目にあう。完璧なプロットがなんぼのもんじゃい。惑わせるって意味では最高ですよ。江戸川乱歩ファンにはオススメ?いわゆる耽美派?あ、違うのか。

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    2009年10月04日
  • 荊の城 上

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    サラ・ウォーターズのは怖いって判ってたはずなのについ手にとってしまって・・ドロドロ(泣)。
    ホラね予想通りの展開〜と思っても、それで終わってくれない。いろんな意味で(?)ドキドキさせられたよ。
    『半身』よりも読後感が良くてホッとした。

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    2009年10月04日
  • 荊の城 下

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    上下巻というボリュームにもかかわらず、ひきこまれてあっという間に読んでしまった。でも『半身』と一緒であんまりミステリーという感じはしないけど。ヒロイン二人がたくましい!サクスビー夫人は切ない。

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    2010年03月27日
  • 荊の城 下

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    上下巻セットで買ったので、一気に読んでしまいました。おかげで寝不足です・・・。一体どうなってしまうのか?気になってどうしても途中でやめられない面白さでした。ミステリーファンなら、必見です!

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    2009年10月04日
  • 荊の城 下

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    結局買ってしまいました。(^^ゞ 
    いやー、そうきましたかっ!(ネタばれになるので書きませんが)
    ミステリーだけでなく、さまざまな要素でたのしませてくれるこの作者は、あまり海外物を読まない私でも夢中になります。

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    2009年10月04日
  • 半身

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    ノブレス・オブリージュで女囚刑務所へ傾聴慰問を始めた精神的不安定で引きこもりのマーガレットは、慰問先の刑務所で詐欺罪で収監されている美しい霊媒師シライナと出逢う。

    こうなるんじゃないかな、こうなるんじゃないかなという嫌な予感と、恋という形を取った依存がじりじりと強くなっていく状態を、「良くない、ああ、良くない」という不安と焦燥でもって読ませる一冊だった。
    ゴシックホラーとも違う、ミステリとも違う、ラブロマンスとは言えない、カテゴライズしにくい作品。

    マーガレットがシライナに入れ込んでいく様は、モリエール著「タルチュフ」のタルチュフに騙される金満家オルゴンと同じで、古今、詐欺師に騙される人の

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    2025年02月20日
  • 黄昏の彼女たち 下

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    上巻とは打って変わって、下巻は話のスピードが早い。殺人が起きて、それをめぐる犯人の心理描写が続く。疑心暗鬼になり、主人公は周りの人物が卑しく見えてくる。恋人さえも。
    犯人の心配とは裏腹に新たな事実が沢山明らかになり、展開も予想外だった。
    結局、主人公たちにとっては1番良い顛末を迎えたことになるが、途中の展開からは予想できなかった。

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    2025年02月16日
  • 黄昏の彼女たち 上

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    戦争で色々なものを失った後の陰鬱なムードと、その中での女性同士の恋愛のスリル感が妙に入り混じっていて不思議な感覚。幸せになれそうな人が誰もいない。

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    2025年02月07日
  • 黄昏の彼女たち 下

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    下巻。
    上巻ではまったくミステリ要素はなく女同士のラブロマンスって感じだったけど、下巻で早速事件が起こる。フランシスとリリアンの関係を知り、激昂した夫のレナードがフランシスに掴みかかってきたのを、リリアンが咄嗟に灰皿スタンドで殴り殺してしまう。2人は事故に見せかけ死体を遺棄し、罪の意識に怯えながら暮らすようになる…

    殺人を犯してしまった人間の心の動揺や葛藤が延々と描かれていて、ずっと重苦しい。ミステリというよりは心理サスペンスという感じでした。別の人間に容疑がかかり裁判にかけられ、良心の呵責に耐えかねて時にリリアンを憎むようになるフランシス。最後はその容疑者が裁判で無罪になったところで物語が

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    2023年12月26日
  • 黄昏の彼女たち 上

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    第一次世界大戦後のロンドン。戦争で父と兄弟を喪い、広い屋敷で母と二人で暮らすフランシス。生計のために、レナードとリリアンという若い夫婦を下宿人として住まわせることに。女性が恋愛対象のフランシス。一つ屋根の下で、母と夫の目を盗みながらフランシスとリリアンは秘密の関係になっていく…

    ツイッター(X)で二度と読み返したくない本みたいなハッシュタグを見ていて見つけた本。(なんかそういう本を時々無性に読みたくなる)上巻では、フランシスとリリアンの関係性がじわじわと縮まっていき、とあるきっかけで急速に燃え上がっていく様子が描かれる。もう破滅の予感しかないんですけど…!
    翻訳ものにしてはすらすら読みやすい

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    2023年12月12日
  • 黄昏の彼女たち 下

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    (上巻よりつづく)

    そして、事件は起こる。いや。レズビアンの関係がわかってしまったというのではない。三角関係には邪魔者はいなくなってほしいが必須。殺人事件が起こるのか?と思っていたら、その通りになった、さて…

    ここからが読みどころなのだと思うが、わたしには息詰まるおもしろさというより、息苦しさのほうが強かった。でも、それがサラ・ウォーターズの真骨頂かもしれない。

    時代背景が前世紀の初め、女性の地位思想は抑えられている。解説にもあるが、ヴァージニア・ウルフの小説と同傾向と思うとうなづけるものがある。

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    2022年03月10日
  • 黄昏の彼女たち 上

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    1920年代、第一次世界大戦後と第二次世界大戦の間のイギリスが舞台。戦後の喪失と未来への希望が見えない世界への不安。まして西欧といえども女性の地位が低かった。女性の選挙権もまともになかったようだな時代が舞台。

    戦争で逝ってしまった兄や弟。そして父も借金を残してなくなってしまった、古い大きなお屋敷に母と暮らせば、維持するために、部屋を貸していくしかなかった。
    お嬢様だった「フランシス」、なのに屋敷を管理するのは当然、お手伝いさんも雇えないので、自分で掃除も何もかもしなければならない変化。26歳の独身、鬱々たる毎日になる。しかも過去に女性問題事件を起こしている秘密があった。

    貸室に来たのは若い

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    2022年03月10日
  • 半身

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    久しぶりの帰省で見つけた本を備忘録として登録。
    自分でも内容をよく覚えてないのでレビューが書けません。

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    2021年12月28日
  • 半身

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    ネタバレ

    主人公の人生酷すぎない?書いてる部分はまだ先を考えてるけど、時間が経って現実を受け止めたらもう耐えられないでしょ。一回未遂もしてる訳だし。
    と思いながらも、最終章もあまりショックをうけないまま読み終えてしまった。この手のストーリーでハッピーエンドはそうないわな。

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    2021年07月02日