サラ・ウォーターズのレビュー一覧

  • エアーズ家の没落 上
    イギリスの地方にある、かつての大領主家。荒廃し見る影も無くしたその大邸宅に身を寄せ合って暮す領主家家族。時が止まったように、暗い闇、湿った空気、くすんだ埃が屋敷内を覆いつくす。妄想なのか、何者かの悪意の所業なのか・・・ああ、なんなのなんなの??先が気になる・・・!!!
  • エアーズ家の没落 下
    今回は今までと趣が違うゴシックホラー風の作風。まるでスーザン・ヒルみたいだ。荊の城のようにテンポいい作品ではなく、夜愁のようにじんわり話が進行する。今回は同性愛が出てこなかったのも、これまでとは違うが、キャロラインのキャラは同性愛の女性に近いものを感じる。見た目は悪く、いかつい、気難しい女性だがどこ...続きを読む
  • エアーズ家の没落 下
    大部にもかかわらずラストまでまったく飽きさせない。サラ・ウォーターズには安心して時間と五感を預けられる。ブッカー賞最終候補作。
  • エアーズ家の没落 下
    お屋敷に怪奇現象とくれば、これはもう大好物。

    どう読むかに関しては読者の手に委ねられているので、読後、「ねぇ、ねぇ、どう読んだ?」と聞いて回りたくなる。
    私はといえば・・・・




    おや、と気になる、突飛なというか異常ともいえるような行為があったので、上巻なかばからあたりをつけて読み進めていたた...続きを読む
  • エアーズ家の没落 上
    イギリスの片田舎、荒廃しつつある領主館、小間使いの少女、相次ぐ不審な出来事…。もうワクワクしてしまう。こういうの大好き。超常現象(と思わせる出来事)にどうカタが付くのか?
  • 荊の城 下
    少女の一人称で生い立ちから現在までの人生が語られていく。(ネタバレなしで説明するのは難しい)
    分類としては”ミステリ”というより”ミステリー”かな。いわゆる探偵が出てくるような推理系ではないのだが、読んでいくごとに新事実が浮上し、ビックリの連続。

    上下巻とすごく長いんだけど、この長さは無駄じゃない...続きを読む
  • エアーズ家の没落 上
    巧みなストーリーテリングに引き込まれる。あらすじを見ずに読めば驚きはもっと大きかったと思う。
    下巻が楽しみ。
  • エアーズ家の没落 下
    確かにこれはどこに分類されるのでしょう。ミステリー?ホラー?いろいろな解釈でOKなんでしょうか。やはりサラ・ウォーターズは面白い。
  • エアーズ家の没落 上
    サラ・ウォーターズの新作。
    長篇4作目。
    英国のウォーリックシャー地方で、200年以上の歴史を誇るハンドレッズ領主館。
    近在で診療所を営む医師ファラデーは、友人デイヴィッドの代診で、館へ往診に出向く。
    母親がメイドとして館に勤めていたことがあり、30年前に一度、園遊会の時にこっそり入ってみた思い出が...続きを読む
  • エアーズ家の没落 下
    斜陽の旧家の崩壊が本格的に始る下巻。主人公とヒロインの恋愛要素もあるが、ところどころで“滅び”の気配がちらつくので、いつ関係が壊れるのかとヒヤヒヤしっぱなしだった。結末も安易すぎず曖昧すぎず、いい按配だと思う。いろいろな読み方ができそう。
    悲劇として良い作品でした。
  • エアーズ家の没落 上
    サラ・ウォーターズが百合描写を封印…ということで不安だったのだけれど、杞憂だった。印象に残ったキャラはベティ。『荊の城』のスウといい、この作家は「ちょっとしたたかな女の子」をとても魅力的に書いてくれる。八重歯が似合いそうなキャラ。サラ・ウォーターズのもう一つの持ち味を認識できた作品でした。
    ロデリッ...続きを読む
  • エアーズ家の没落 下
     ミステリーとカテゴライズしていいのかどうか…。

     かつて隆盛を極めたエアーズ家が没落していく。
     その姿を主治医の視点から描く。

     とはいえ、主治医ファラデーがエアーズ家に出入りする段階で、土地は切り売りされ邸宅は荒廃している。しかも使用人は、家に悪霊がいると言い出す。

     ホラーであれば、怪...続きを読む
  • エアーズ家の没落 上
     ミステリーとカテゴライズしていいのかどうか…。

     かつて隆盛を極めたエアーズ家が没落していく。
     その姿を主治医の視点から描く。

     とはいえ、主治医ファラデーがエアーズ家に出入りする段階で、土地は切り売りされ邸宅は荒廃している。しかも使用人は、家に悪霊がいると言い出す。

     ホラーであれば、怪...続きを読む
  • 夜愁 下
    過去へと遡る物語っていうのは、そんなに珍しいスタイルではないと思うけど
    この物語はこの語り方によって素晴らしい味わいになってる。

    素晴らしく切なくほろ苦い味に。

    だけど決して読後感は悪くない。
    それは物語が遡ることで現在閉塞してる彼等彼女等の関係の始まりがラストになっているから。
    いまでこそぐず...続きを読む
  • 夜愁 上
    今までのウォーターズを知ってる人は驚くと思う。地味過ぎて。
    前2作はラストのどんでん返しが鮮やかで、むしろそこに注目が集まってた感があった。
    次はどんな仕掛けでくるんだろうって。

    で、今回。
    どんな技を仕掛けてくるのかとドキドキしながら読んでくと

    どんでん返しどころか事件らしい事件もほぼ起こらず...続きを読む
  • 夜愁 上
    第二次大戦前後のロンドンが舞台。これまでとはかなり作風を変えて、文学の領域へ。ムードがあり、登場人物の抱えた秘密と関わりを知っていくミステリ的な要素もあります。歴史物が好評というのが嬉しかったデビュー作「半身」、少女2人が主人公のディケンズ風味のエンタテインメント大作「茨の城」を期待すると、ちょっと...続きを読む
  • 夜愁 上
    戦時下のロンドンを舞台に、登場人物たちが織りなす群像劇。

    過去へと遡るごとに明らかになってゆく彼らの恋。
    この時系列の順番は、恋の輝きが永遠に戻らないことが強調されるようで、ひどく切ない。
    前作や前々作のようなミステリを期待すると肩すかしをくらうが、抑制された巧みな描...続きを読む
  • 半身
    ジェットコースターの醍醐味を味わおうと思ったら、まずは急勾配の坂を上っていかなければならない。
    それはひどくゆっくりしたものだが、やがて頂上に達するとそこからは絶叫の連続だということが、予想できているからこそ、あのゆっくりゆっくしとした昇りの中で次第に精神は高揚していくのである。
    しかし、それがいつ...続きを読む
  • 荊の城 下
    読書完了日2007年08月11日。上下巻、かなりの読み応えがありました。読み進めるにつれて次次と明らかになっていく真実に、最後までドキドキしました。ミステリーとエンターテイメントがバランスよくミックスされていると思います。
  • 夜愁 下
    すべての始まり、物語の結末。巻頭の登場人物紹介が上巻と下巻で異なるのが興味深かったです。分かれてしまった人間関係の元ある繋がり。現在の状況が最初に提示されていることで、いっそう深みを帯びる繋がりに思えました。