サラ・ウォーターズのレビュー一覧

  • エアーズ家の没落 下

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    洋物はほとんど読んだことがなくて文章が若干読みにくい感じがあったけど内容はなかなかのものでした。
    館に起きる出来事の謎を最後まで読者に考えさせる感じがよかった

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    2011年04月16日
  • 荊の城 上

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    主人公のスウはロンドンの下町で育った掏りの娘。育ての母親、サクスビー夫人に大切に育てられる。
    スウが十七になったある日。顔馴染みの詐欺師がスウのところに一つの儲け話を持ってくる。詐欺師が金持ちの令嬢を騙して結婚する手伝いをスウにして欲しい、というのだ。
    スウの役目は令嬢の侍女。令嬢の傍で詐欺師のサポートをする役どころだ。躊躇いながら、不安に苛まれながら、スウは田舎の城館、ブライア(荊)城へと向かう。

    原題の Fingersmith は スリ の意。なるほど。幾重にも意味があるような気がする。
    ただし、邦題の「荊の城」も作品にぴったりの題名。メインの舞台であるブライア(荊)城。その暗い荒んだ雰

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    2011年03月31日
  • エアーズ家の没落 下

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    ネタバレ

    買ってしばらく積んでいたのを読み始めたら一気に進んで、さっそく下巻を買ったら続きが怖すぎてまたしばらく放置した。
    怖いって、この先に何が起こるかということ。不幸とか裏切りとか絶望とか手の施しようがないとか、そういう事態に、もうかなり自分が入れ込んでしまっているこの登場人物たちが、間違いなく突き進んでいっているのが憂鬱で。

    憂鬱で夢も希望もないなりに、きちんと人生を歩いている人が、ふと見つけた謎めく相手にめちゃくちゃに心奪われて、期待をかけて信じて柄にもなくものすごい努力を重ねて、っていう姿にどうもずるずると共感してししまう。
    なので、それがどうあっても叶わないのを、認めたくなくて足掻いたあげ

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    2011年03月28日
  • エアーズ家の没落 上

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    ネタバレ

    「茨の城」にいろんな意味でときめいたり沈みこんだりしながらニヤニヤ読み終わって、「半身」だと不安や憂鬱や、お前そっち行ったら危ないだろ!って心配やどんよりした共感を持ちつつ、一気に突き落とされてしばらくぼんやりした、
    ということがあったので、サラ・ウォーターズは気軽に読めないし読んだ後楽しくはならない、という印象。

    だから覚悟はしていたはずなのに、いろいろ予想以上だった。
    「一人称・回想・伝聞まじり」の語り方は大好きで、巧いことやられると本当にすっかり騙されたりまんまと感情移入してつらくなったりするけれども、まさにそんな状態。

    登場人物はだいたい厭らしい部分や小汚い部分の方が多くて、それで

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    2011年03月28日
  • エアーズ家の没落 上

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    イギリスの地方にある、かつての大領主家。荒廃し見る影も無くしたその大邸宅に身を寄せ合って暮す領主家家族。時が止まったように、暗い闇、湿った空気、くすんだ埃が屋敷内を覆いつくす。妄想なのか、何者かの悪意の所業なのか・・・ああ、なんなのなんなの??先が気になる・・・!!!

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    2011年09月18日
  • エアーズ家の没落 下

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    今回は今までと趣が違うゴシックホラー風の作風。まるでスーザン・ヒルみたいだ。荊の城のようにテンポいい作品ではなく、夜愁のようにじんわり話が進行する。今回は同性愛が出てこなかったのも、これまでとは違うが、キャロラインのキャラは同性愛の女性に近いものを感じる。見た目は悪く、いかつい、気難しい女性だがどこか魅力のあるキャラクター。弟は母に似て美男だが、戦争の傷で美貌は損なわれ障害もある。気難しいが、誇り高く魅力のあるキャラクター。語り手である医者、これがどうしようもない。魅力の無いキャラクターなのだ。しかしこの時代の普通の男性はこんなものなのだろう。モヤモヤしたものが残るが良い作品。再読が必要かな?

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    2011年02月03日
  • エアーズ家の没落 下

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    大部にもかかわらずラストまでまったく飽きさせない。サラ・ウォーターズには安心して時間と五感を預けられる。ブッカー賞最終候補作。

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    2010年12月12日
  • エアーズ家の没落 下

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    ネタバレ

    お屋敷に怪奇現象とくれば、これはもう大好物。

    どう読むかに関しては読者の手に委ねられているので、読後、「ねぇ、ねぇ、どう読んだ?」と聞いて回りたくなる。
    私はといえば・・・・




    おや、と気になる、突飛なというか異常ともいえるような行為があったので、上巻なかばからあたりをつけて読み進めていたため、ラストはああ、やっぱり・・・・・と納得。
    超常現象をまじえたサイコ・スリラーとして読んだ感じ。

    終盤で、登場人物のある決断に伴って件の人物の異常性が、これでもか、とあぶりだされてくるあたり、怖いのなんの。

    そう見定めて読むと、原題の The Little Stranger の Little

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    2011年01月19日
  • エアーズ家の没落 上

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    イギリスの片田舎、荒廃しつつある領主館、小間使いの少女、相次ぐ不審な出来事…。もうワクワクしてしまう。こういうの大好き。超常現象(と思わせる出来事)にどうカタが付くのか?

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    2011年09月06日
  • エアーズ家の没落 上

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    巧みなストーリーテリングに引き込まれる。あらすじを見ずに読めば驚きはもっと大きかったと思う。
    下巻が楽しみ。

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    2010年11月29日
  • 荊の城 下

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    少女の一人称で生い立ちから現在までの人生が語られていく。(ネタバレなしで説明するのは難しい)
    分類としては”ミステリ”というより”ミステリー”かな。いわゆる探偵が出てくるような推理系ではないのだが、読んでいくごとに新事実が浮上し、ビックリの連続。

    上下巻とすごく長いんだけど、この長さは無駄じゃないって思える。むしろもっと詳しく書いてくれてもよかった、少々物足りなかったぐらい。でもやっぱり長いんだけど。(どっちだ)

    いい話だった。

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    2019年11月03日
  • エアーズ家の没落 下

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    確かにこれはどこに分類されるのでしょう。ミステリー?ホラー?いろいろな解釈でOKなんでしょうか。やはりサラ・ウォーターズは面白い。

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    2011年10月11日
  • エアーズ家の没落 上

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    サラ・ウォーターズの新作。
    長篇4作目。
    英国のウォーリックシャー地方で、200年以上の歴史を誇るハンドレッズ領主館。
    近在で診療所を営む医師ファラデーは、友人デイヴィッドの代診で、館へ往診に出向く。
    母親がメイドとして館に勤めていたことがあり、30年前に一度、園遊会の時にこっそり入ってみた思い出があった。
    館がすっかり寂れている有様に、驚愕することに。
    家族は、先代の奥方エアーズ夫人と娘キャロラインと息子ロデリック。
    奥方は美しかった名残をとどめて品があるが、昔を懐かしむばかり。
    館の当主となった息子は責任を感じて奮闘していたが、経済的な危機は土地を切り売りしても追いつかない。
    見るからに具

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    2010年11月26日
  • エアーズ家の没落 下

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    斜陽の旧家の崩壊が本格的に始る下巻。主人公とヒロインの恋愛要素もあるが、ところどころで“滅び”の気配がちらつくので、いつ関係が壊れるのかとヒヤヒヤしっぱなしだった。結末も安易すぎず曖昧すぎず、いい按配だと思う。いろいろな読み方ができそう。
    悲劇として良い作品でした。

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    2010年10月14日
  • エアーズ家の没落 上

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    サラ・ウォーターズが百合描写を封印…ということで不安だったのだけれど、杞憂だった。印象に残ったキャラはベティ。『荊の城』のスウといい、この作家は「ちょっとしたたかな女の子」をとても魅力的に書いてくれる。八重歯が似合いそうなキャラ。サラ・ウォーターズのもう一つの持ち味を認識できた作品でした。
    ロデリックが重い中二病を発症させてしまったことで物語はどう転がっていくのか、下巻に期待。

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    2010年10月12日
  • エアーズ家の没落 上

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     ミステリーとカテゴライズしていいのかどうか…。

     かつて隆盛を極めたエアーズ家が没落していく。
     その姿を主治医の視点から描く。

     とはいえ、主治医ファラデーがエアーズ家に出入りする段階で、土地は切り売りされ邸宅は荒廃している。しかも使用人は、家に悪霊がいると言い出す。

     ホラーであれば、怪異を体験するのは語り手なのだ。
     が、ファラデーは決してそれを認めない。
     彼の根底には、上流社会に属しているエアーズ家の嫉妬がある。

     また、悪霊がいると、エアーズ家をでていきたがっていた使用人は、結局ずっとこの家に居続けた。

     誰一人として信用がおける語り手が、傍観者がいないのが、この物語の

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    2010年10月05日
  • エアーズ家の没落 下

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     ミステリーとカテゴライズしていいのかどうか…。

     かつて隆盛を極めたエアーズ家が没落していく。
     その姿を主治医の視点から描く。

     とはいえ、主治医ファラデーがエアーズ家に出入りする段階で、土地は切り売りされ邸宅は荒廃している。しかも使用人は、家に悪霊がいると言い出す。

     ホラーであれば、怪異を体験するのは語り手なのだ。
     が、ファラデーは決してそれを認めない。
     彼の根底には、上流社会に属しているエアーズ家の嫉妬がある。

     また、悪霊がいると、エアーズ家をでていきたがっていた使用人は、結局ずっとこの家に居続けた。

     誰一人として信用がおける語り手が、傍観者がいないのが、この物語の

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    2010年10月05日
  • 夜愁 下

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    過去へと遡る物語っていうのは、そんなに珍しいスタイルではないと思うけど
    この物語はこの語り方によって素晴らしい味わいになってる。

    素晴らしく切なくほろ苦い味に。

    だけど決して読後感は悪くない。
    それは物語が遡ることで現在閉塞してる彼等彼女等の関係の始まりがラストになっているから。
    いまでこそぐずぐずになっちゃってるけど、始まりはこんなにも輝いていたんだって。
    それは一つの救いであると同時に、切なさを加速させるものでもあるのだけれど。

    今まで高度な技術でもって「物語」を書いていた著者がついに「人間」を書いた!
    とかあおってみる。

    良質なセピア色の名画を観る感覚で読んでいけます。
    日本語タ

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    2009年10月07日
  • 夜愁 上

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    今までのウォーターズを知ってる人は驚くと思う。地味過ぎて。
    前2作はラストのどんでん返しが鮮やかで、むしろそこに注目が集まってた感があった。
    次はどんな仕掛けでくるんだろうって。

    で、今回。
    どんな技を仕掛けてくるのかとドキドキしながら読んでくと

    どんでん返しどころか事件らしい事件もほぼ起こらず。
    しかも物語の視点は過去へと遡るのでぶっちゃけ最初に結果が書かれちゃってる。

    …こうみるとなんかすごくつまんなそうですが(汗)

    いやいやいや、深いんですよこれは。
    下巻へ続く。

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    2009年10月07日
  • 夜愁 上

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    第二次大戦前後のロンドンが舞台。これまでとはかなり作風を変えて、文学の領域へ。ムードがあり、登場人物の抱えた秘密と関わりを知っていくミステリ的な要素もあります。歴史物が好評というのが嬉しかったデビュー作「半身」、少女2人が主人公のディケンズ風味のエンタテインメント大作「茨の城」を期待すると、ちょっと違うかな〜。筆力の証明ではあります。次はどんな手で行くのか、興味あり。

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    2009年10月07日