サラ・ウォーターズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ夢中になって読んだけれど、途中からファラデーの結婚に対する突っ走り方があまりに独りよがりで、館と家族に関する彼の証言が信用できなくなり、何が本当なのか最後までわからなかった!
原題からするに、ベティがlittle strangerなんだろう。
ベティが館で働き出したことをきっかけに、館の中で澱んでいた負のエネルギーのようなものが力を得ることになり、家族それぞれの前に、それぞれが無意識のうちに恐れを感じたり執着している対象の形になって現れたのかな。とすると、キャロラインが叫んだ「あなた」は最初スーザンのことかと思ったけど、実は彼女はファラデーの幻影を見ていたのかも。結婚に対して怖いくらい前のめりだったから、キャロラインが彼に恐怖を抱いていても不思議ではない(キャロラインは最後、終始理性的に見えたけど)。
でも、この考えでは、なぜベティがそのきっかけになったかということの説明ができない。となるとやっぱりベティが全てを仕組んだということ?でもベティはあの家族をかなり慕っているように見えたのになあ。仕組む理由もよくわからない。うーん。
(となるとやっぱり全てはファラデー?littleていうのは、取るに足らない庶民の彼の形容詞なのかしら??)
解説には、嵐が丘と物語の骨格が似ているとの記載があって、この前たまたま嵐が丘を読んだばかりなので納得した。こうやって点と点がつながるのが楽しいよね。 -
Posted by ブクログ
描写が細かいので、かつて栄華を極めた屋敷が今では落ちぶれていることが目の前に浮かぶ。
下巻でどう終わるのか全然想像がつかない。
この著者の本はsnsでおもしろいと言っている人をたまたま見つけて、初めて手に取った。
本筋には関係ないものの、この本を読んで、イギリスで戦後配給制が取られていたことを初めて知った。戦勝国なので意外。
ちなみにその関係で少しググったところ、配給制がとられていた当時、少ない食料でなんとか拵えられたイギリスの家庭料理を食べたアメリカ人が「イギリス料理はまずい」と吹聴し、今でもそのイメージが払拭できていないと主張するブログがあった。
その当時まずかっただけで今ではそうではないし、配給制がとられる前もそうではなかったということらしい。 -
Posted by ブクログ
登場人物がみんな豪胆で臆病、大胆不敵で小心翼翼なイギリス文学。小説が上手い!翻訳が上手い!すごい、なんなんだこの話。どうやって思いついたの?若い女ってこういう突拍子も無いこと出来ちゃうかもねとゾッとしたり、あんたそんな面を今まで隠し持っていたの?と感心したり、話が始まったらもうその後は愁眉を開く間なんてありません。とんでもないぐるんぐるんの怒涛の展開。なのに急ぐでも駆け足でもなく、終始丁寧で美しい日本語の中にそっと忍び込ませてるヒントがまた美しい。何故か読んでて「騙された!」とは思わず「くー!そうだったのかよー!そうだいけいけー!やったれー!」と爽快な気分になれる緩急が不思議。登場人物達が皆蠱惑的で理解の範囲を超えた気狂い達だからかな。
こんなに展開がコロコロ変わるのについていけなくなることも無く、終始読みやすい文章なのも素敵。
スウのセリフが下町べらんめぇ調で子気味よくていいのよね、気取った言葉だけが美文では無いという当たり前の事を思い出しました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ初のサラウォーターズ。どんな作風なのかとか全く知らずに読んだ。想像してた以上におもしろかった。
一言で例えるなら、両手を固く握られて右へ左へとめちゃくちゃなワルツを踊らされているような感じ。
まず何よりストーリー展開がレベチだった。
単に、泥棒娘がお金持ちのお嬢様を騙すためにお城へ潜り込む話だと思っていた。お嬢様と友情が芽生えるのかなと思いきや芽生えたのは愛だった。(ここまで直接的な女の子同士の恋愛は読んだことなかった)
まずそれだけで衝撃だったのに、気狂い病院へスゥがいれられたときはホントにびっくりした。モードのしたたかさには戦慄した。ここで立場が逆転してしまうのがおもしろい。
その後も、母ちゃんが計画に噛んでいたことや、モードとスゥは赤ちゃんの時に入れ替わっていたことなど、全く予想しない展開が続き、読むのが止まらなかった。
次に登場人物たちも奥深く描かれている。
スゥの口悪く荒っぽい感じも真新しかったし、モードに至っては頭の弱い常識知らずのお嬢様と思いきや、スゥよりもはるかにしたたかだった。
母ちゃんもいろんな面を見せてくれた。
スゥを一番愛してくれていた母ちゃん、しかしその愛は偽物で金目当てにスゥを売った冷血な母ちゃん、けれど結局、娘のモードもスゥもどちらも愛していた故に最後まで苦しんだ母ちゃん…
彼女たちはじめ、紳士やジョン、ディンティなどもみんな深く描かれている。
暴力描写もあり、特に気狂い病院でスゥが看護師からいじめられたり水責めに合うシーンはかなりきつかった。
最後、酷い道を歩んできたモードとスゥが、お互い偽りのない姿で心を通わせ合うことができて良かった。2人が刺し違えなくて良かった。
2人ともよく頑張ったよ。