法村里絵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1952年出版というから、実に74年前の作品である。
1950年3月、1人の女子大生、ローウェルが忽然と姿を消す。午前の授業に出席した後、寮に戻り、体調が悪いから昼食は採らずに少し横になると友人に告げた彼女は、しかし、その後、黙ってどこかに出かけたようだった。そのまま、夕食の時間になっても、門限の時間を過ぎても帰ってこなかった。
友人たちも不審に思い始め、寮母や学寮長にも騒ぎが届く。ローウェルの実家にも連絡がいったが、彼女はそこにもいなかった。
昼日中、キャンパスを後にした女子大生はいったいどこへ行ってしまったのだろうか。
本書では、この女子大生失踪という1つの事件を実に丹念に追っていく。
捜査にあたることになったフォード署長は、部下のキャメロン巡査部長らとともに、雲をつかむような事件に挑んでいく。
とにかく、この件、手掛かりがないのだ。ローウェルは、美人で、家族との関係もよく、成績もまずまず、性格もよかった。時々デートをする相手も複数いたが、深い関係ではなく、特にふしだらというわけではなかった。
果たして彼女はどこに向かい、今、どこにいるのだろうか。
フォードはローウェルの日記を何度も読み返し、部下に命じて思いつく限りの人から証言を集め、ローウェルの足跡を追おうとする。
仮説は何度か覆され、そのたび、軌道修正がされていく。
捜査員が時間外に署長の自宅に呼び出されたり、署長が部下を強圧的に叱りつけたり、捜査の進展を議論しながら酒を飲んでいたり、といった時代を感じさせる描写もある。が、一方で、地道な捜査というのは、基本的には昔も今も変わらないのではないか、と感じさせる普遍性もある。
タイトルの「失踪当時の服装は(Last Seen Waring)」は、ローウェルの失踪人手配書の文面から。消えた女子大生の面影を浮かばせる、うまいタイトルだと思う。
本作では、こうした手配書のほかにも、新聞記事も挿入され、また事件や捜査の進行に合わせて日付も入れ、実在の都市や施設名にも触れている。女子大学の様子も生き生きと描写され、ノンフィクションのようなリアリティを作り出している。
フォードの捜査は天才型というより努力家タイプである。派手な展開はないが、綿密で濃厚な読み味。
終盤に向かい、明かされていく真相や事件の犯人に、納得の吐息が漏れる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ儚い水彩画のような情景
英国紳士にとって純潔や階級意識というのがどれほど重要なのか、理解しきれない部分があるが、当時の恋愛と結婚の性質の違いを微妙に感じ取ることができた。
個人的にはアシャーストとミーガンの恋が成就してほしいと思ったけれど、現実的な問題を乗り越えられる覚悟や気持ちが彼にはそこまで無かったのかもしれない。そしてまたそれらの気持ちの移ろいが完全に悪というわけでもなく、自然な流れなんだろうと感じた。
この時の淡い気持ちがステラとの銀婚式を迎えても鮮明に記憶されているというのが不思議で、現在幸せなはずなのに、あの頃の満たされなかった欲求を追い求めてしまうのが何とも言い表しづらい人間味を感じた。 -
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他人の名をかたって潜入調査をする女性。
謎のボスからの指令を受けて、今は調査対象の恋人になっているが‥?
全米ベストセラー1位になった小説です。
エヴィは、資産家ライアンの恋人。
ライアンと長い付き合いの仲間たちに、品定めされるところから始まります。
彼女たちの方が育ちがいいのだが、ライアンがエヴィを気に入ったのはおそらくそのせい、と考えるエヴィ。
エヴィの本名は、ルッカ。
エヴィという女性は実在し、ちょっと調べれば経歴など身元が確かめられる。ルッカと背格好などはかなり似ていて、細かい点も似せてあるのだ。
信用させておいて、調査対象の内部事情を探り、いずれ依頼者の要望に応えられるように立ち回るのが仕事。
ミスター・スミスと名乗るボスの命令で動き、すべては知らされず、自分も監視されている。
ある日、エヴィの本名ルッカを名乗り、経歴もそのままの女性が目の前に現れる。
その目的は?
かって強制されて配下となったエヴィは、ここから解放される道も探し求めていたのですが。
そのうえ、エヴィは、ライアンに本気で惹かれ始めていた‥
仕事の真の目的もわからず、いつバレるかわからない、しかも怖いボスにも見張られる緊迫感。
ヒロインは善人というのではないけれど、悪人でもない。
機転が利き、難しい立場でも仕事をこなしていく強さがあります。
なりすましというやり方が有効なのかどうかはちょっと謎だけど‥(本人にばったり会ったりしないのか?)
小説の設定としては、ユニーク。
スリルをうまく生かしてますね☆ -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近ハマっているヒラリー・ウォー。
捜査小説の傑作「失踪当時の服装は」と同じく、失踪した少女の行方を追う物語だが、本作は単なる二番煎じではなく、「失踪当時〜」のその先にある結末(悲劇)を描いた作品。
捜査小説としてのおもしろさと、フェローズ署長の熱さは健在。地道な捜査が淡々と繰り返されるなかで、フェローズの事件に対する怒りや焦り、必死さがむき出しに描かれており、警察ドラマを見ているよう。
「愛するものを死よりも恐ろしいものから守ってやりたいから、殺すことができる」という犯人の言葉が、とても印象的だった。次々に怪しい人物が現れるため、てっきりフーダニットに焦点を当てたミステリだと思っていたのだが、作者が描きたかったのはホワイダニットのほうだったんだな。
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Posted by ブクログ
なんとも陰鬱なタイトルにひかれ読んでみた…
美人で礼儀正しく成績優秀な13歳の少女バーバラ
初めてのダンスパーティーに誘われ出かけた後、行方不明に…
バーバラに一体何があったのか?
バーバラはどこに行ってしまったのか?
最後の数ページは圧巻!
こんなことって…
なんとも陰鬱なタイトルにひかれ読んでみた…
最後の数ページは圧巻!
こんなことって…
『生まれながらの犠牲者』ってタイトルが胸の真ん中にぶっ刺ささったよ…
苦しいくらいにね…
でも身勝手だよ…
「人の人生を決めつけないで…」
ってまた胸が苦しくなってしまったよ
この作品はヒラリー・ウォーが1962年に発表した作品で警察署長フレッド・C・フェローズのシリーズ第5作目
結末を知った上でまた再読することになりそうだ… -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃおもしろかったよ!
代々の主が非業の死を遂げる資産家の大屋敷、その資産を狙う親族たち、現れた切れ者の探偵(元警察官)、土砂崩れで閉ざされてしまうその屋敷、遺書…
もうアガサ・クリスティでしょ〜
でもなんと…
舞台は南インドのニルギリ丘陵に植民地時代に建てられた洋館〜
しかも電動車椅子やらスマホを使うバリバリ現代の設定…(笑)
頭脳明晰な探偵役の元警官アスレヤはあのエルキュール・ポアロとは違い細身で長身…
そしてなかなか魅力的な紳士なのだ!
失礼…ポワロも紳士だね〜♪
とにかく、このアスレヤもポワロのように霧につつまれた謎を鮮やかに解き明かしていくのよ〜
これは続編も楽しみ〜
しかし、二通の遺書はどうなった??…(笑) -
Posted by ブクログ
ある時間からあの子の姿が見えないな?となり、具合が悪くて診察室にいるのか?と思いきやおらず、じゃあ急用で外出か?と思えば外出届けも出されていないしスーツケースもある。
そしてさすがにこの時間までいないのはおかしいぞと騒ぎが広がり、失踪事件扱いとなり、父親が呼ばれ、警察に通報され、地道な捜査が始まる。
ずっと捜査が続くのだが、不思議と読んでいて面白く、続きが気になる。女生徒の失踪ということで、家庭環境や学業などに問題が無さそうであれば男に決まってる、と虱潰しに、日記内に登場する全ての男の名前を書き出し、分類に分け、当たっていく。
終盤、刑事の推理で犯罪の流れが語られていき、犯人逮捕で話は終わる。これはこれでスッキリ。
そこそこ長いので、そろそろ進展があってもいいんじゃないか?と途中焦れったく思うところもある。