法村里絵のレビュー一覧
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ネタバレアメリカの作家、ジャクリーン・ゴルディスの本邦初紹介作品。
実在の人物の人生を題材に小説を書くベストセラー作家ジネヴラ。次作の主役を任されたローリィは、報酬としてオリエント急行の旅を贈られる。いざ旅が始まると、そこには兄、親友、元婚約者が同乗しており…
うーん…星4寄りの3。
オリエント急行と聞くとクリスティの印象が強すぎて、降りられないのかなぁと思うとそんなことはなく。何回も観光地に停車する。そしてイタリア各地の情景の描写は非常に見事で、トラベルミステリとしては一級。
ただ家族間、友人間、恋人間のゴタゴタを描写する場面が長すぎて、最初に死体は出てくるもののミステリとしては非常に薄味。何より、肝の仕掛けが某名作と駄々被り(というより、よくある仕掛け)。
そして何より長い。こんな長くしなくても良いのに…
作者的には、トラベルミステリと、ロマンスミステリとまではいかないけど、愛の物語を描きたかったのかなぁと思うが、いかんせん「オリエント急行」に乗ってしまうと、読み手が勝手に古き良き古典ミステリ感を求めてしまい、勝手になんか違うと思ってしまう典型だと思った。本当に悪くないんだけど。ラストも気分爽快って感じでもなく、ちょっと残念。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれは「失踪当時の服装は」と似た雰囲気だが、随分後に書かれた、フェローズ署長が指揮を執る別のシリーズ。衝撃のラストという言葉通りの作品。
これを先に積んでいたが、初めての作者なので発表された順がいいだろうと「失踪当時の服装は」から読み始めた。
コネチカット州ストックフォード警察署、フェローズ署長が指揮を執るシリーズ。
「失踪当時の服装は」とは別なシリーズになるが、よくあるメンバーの私生活や個人的なつながりに深入りしていないので個別な作品として楽しめた。
続けて読んでよかったのはプロットがよく似ているし混同しそうだった点だが、並べてみるとストーリーの違いが整理できた。
警察の捜査方法も、書かれた時代を反映している。今から見るとスマホもなく科学捜査の点でも足を使っての証拠集めが主になっているのもよく似ている。
ただ「失踪当時の服装は」に比べて「犠牲者」という言葉があるところが登場人物は重く、社会的な影が濃く、個人の人生を踏まえた深みがある。
どちらかといえばミステリに哀切な色付けがされた時代背景や社会環境の影響が濃い作品だと感じた。
代表作とされる「失踪当時の服装は」と雰囲気が同じようなところも多かったが、やはり読んでよかった作品だった。
題名のとおり「生まれながらの犠牲者」が語る最終章が、まさに慟哭の結末で、伏線にも気づかないで一気読みをした。
ヒラリー・ウォーはチャールズ・ボウエルのノンフィクション「彼女たちは、みな若くして死んだ」に啓発されてミステリを書き始めて成功したのだそうだが、参考図書を読むのは好きだが、こういった犯罪はフィクションだから読めるので、現実に起きた事件なら悲惨な結果に眼をそむけたくなるだろう。犯人も被害者もいわば不幸な出会いがあり、被害者になり加害者になった。その不幸は環境や素質の歪みであったとしても、即犯罪に結びつくのはやはり異常で、ミステリにだけ許されることだろう。昨今の似たような事件でも死刑判決が出て執行された例がある。だがやはり罪は罪で被害者がどんなに恵まれない環境で育ち性格が大きく歪んだ結果にしても犠牲者の人生を恐怖に陥れることはできない。
この作品で美しい13歳の少女の人生がどんなふうに閉じられたか。捜査の足並みが深みに踏み込むにつれ、伏線も見逃す新しい視点で読んだ。二作を比較して同じようでいながら犯人は誰だというミステリの根本はこうも書けるのだという新しい読み方ができた。 -
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このところ短編が続いたので、ガッツリ集中して読めるものを。
ということで、『米澤屋書店』で紹介され積読になっていたこちらをチョイス。さらに帯には宮部みゆきさんの推薦文が。うーん私得!
一言で感想を述べるなら、「警察の執念ってすごい!」。
よく耳にする「徹底的に洗え」がどんなものか、それをまざまざと見せつけられて恐れ入りました。
カレッジ1年生のミッチェル嬢はどこへ行ったのか?
それ一本で書き通すのかと思いきや、中盤からはもう一捻り。しかし、フォード署長らのやることは変わりません。
歩き、話を聞き、あらゆる証拠を集め、また歩く。
特に、筆跡のメモをもとにニューヨーク中のホテルの宿泊者名簿を虱潰しに探すシーンには驚きました。いや、そこまでも大概のことをやっているんですけどね。。
ただ、気になる点もいくつか。
以前読んだ『幻の女』では、「彼女は何者なのか?」に視点が置かれていたため、今作のミッチェルにも何かものすごい秘密が隠されているのではと期待してしまい……なので、「何があったか?」に関してはやや物足りなさを感じました。まあ、警察の手法を描くことが主旨ならそこはあまり、なのかもしれませんが。
また、犯人に狙いを定めるきっかけは少し弱いのではないかなーと。描いたストーリーに合う証拠を探しているようにも見えてしまいました。
それに、フォード署長のパワハラ発言もなかなか……。皮肉屋なキャメロンとのやりとりがガス抜きにはなっていましたが(^^;
と、ツッコミどころもなくはないのですが、地味な割になぜか読ませる勢いのある本作。
こちらでは警察の泥臭い手法の勝利でしたが、他の探偵たちがこの事件を扱ったらどんなふうに解決に導くのだろう?と想像も膨らみました。
機会があれば著者の他の作品も読んでみたいですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクライムノベルはまず主人公に共感できなくて苦手、なんだけど、これは割とすらすら読めた。ヤングアダルトなので文章が平易?なのもあるかもしれない。
最初から癖の強いレイチェルがもっと出てくるかと思ったけどそんなこともなく、デヴォンがなかなか良いお兄さんで好印象だったりもした。ライアンとのロマンス描写が多くて、でも仕事のためとドライに割り切るのかと思いきや、全然割り切らなくてしっかりほだされてて、まあこの辺もヤングアダルトですから、人間の絆を粗末にしてはいけないんでしょうね、という大人の読み方をしました。
タイトルの「ほんとうの名前は教えない」は結局『ルッカ・マリノ』のことなのかな?信用出来ない語り手系だと思って色々読み飛ばしてしまった。 -
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ネタバレルッカ・マリノは窃盗の現場を押さえられ、それを見逃す代わりにミスター・スミスなる謎の男の下で働くようリクルートされた。そこでは他人になりすまし、ターゲットに接近して重要な情報を盗むミッションが与えられる。目的を達成すると再び名前を変え、また新たなターゲットに近付いていく。次にルッカがエヴィ・ポーターとして接近したのは、盗品の売買などの裏稼業に手を染める魅力的な青年ライアンだった。ライアンのボーイフレンドとなり彼の動静を監視していたエヴィだったが、とあるパーティでかつての自分であるルッカ・マリノを名乗る女と出会う。ルッカは自分自身なので、これはミスター・スミスによって自分に差し向けられた諜報員だとエヴィはすぐに気付いたものの、その目的がわからない。
物語は、窮地に陥る現在のエヴィ・ポーターと、彼女が様々な名前を騙ってきた過去とが交互に展開されていく。その形を取ることで、現在のエヴィに差し迫った危機の背景が少しずつ見えてくる。
ミスター・スミスとの対決の中で、自分自身との訣別を決めたエヴィに痺れる。
スパイ映画を見終わった後のような読後感。