野口百合子のレビュー一覧
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ネタバレジョー・ピケット猟区管理官シリーズ第十九弾。
熊に人間が襲われるというおよそ他人事ではない事故の調査に向かっていたが、
あっという間に、判事の妻が長距離射撃で殺された事件に呼び戻されるジョー。
すぐそばにいた判事の代わりに撃たれたのか。
天上天下唯我独尊の判事に恨みを抱く者は多く、
新しい保安官、群検事長代理、ハイウェイパトロール警官、警察署長、ジョーと、
法執行機関が全て呼び寄せられ、容疑者リストを作るように要求される。
捜査が進まない中、ネイトが長距離射撃の銃を隠し持っていると密告があり、
保安官に犯人として逮捕される。
リヴとの子供が無事生まれ鷹狩りビジネスも順調で、
表の世界に戻っていたネイトだったが、
勾留されている最中に、
前作で追い詰めた暗殺者の師匠がネイトを狙ってリブと赤ん坊を誘拐する。
拘置所からでるために保安官の耳をちぎったのはやりすぎだが、
無事二人を取り戻せてよかった。
判事の妻殺しの真犯人は、違法な薬物売買医をしていた新参者の医師で、
動機は判事の妻と恋愛関係にあると思っていた郡検事長代理だった。
が、もっとも印象的だったのはミッシー。
結婚のたびにより金持ちの男と結婚していたミッシーだが、
今の夫の病気を治すために、危険を冒して違法薬物を医師から買うために帰国したとは。
夫のことはステップアップする踏み台ぐらいにしか思っておらず、
愛してはいないのだと考えていた。
相変わらず裁判所の金属探知機が修理されていないのも衝撃的だった。
身を隠すネイト一家に代わって、
鷹狩りビジネスを任された長女シェリダンが家に戻ってくるのも。 -
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ネタバレ安心して読めるジョーピケットシリーズ…なんだが、本作はシリーズとしてのかなり異色作、翻訳者やレビューを読むと大きな転換点と迎えると描かれているが、確かにそういうイメージがある。
3女ルーシーの成長とジョーとメアリーベスの子離れ、そんな流れの裏でリズムを刻むようなネイトの環境変化、これだけでも大きな転換を感じさせるのに、本作で起こった事件はワイオイング州猟区管理官の枠を大幅に逸脱しており、尾を引く気配が濃厚。次回作の楽しみ70%、怖さ30%
***ここからかなりネタバレを含むことを書く***
リブが亡くなり子供をジョー夫妻に預けたネイトが復讐者と化す、という一番悪い予想は外れたは良かったものの、ルーシーとジャスティンは前途多難な道を歩みそうだし、ワイオミング州と国家機関との関係もこのままでは済みそうにない、アブリエラは本当に止めを刺されたのだろうか?…色々今後に影響しそうな出来事がある中、一番の懸念は今回陰すら感じなかったミッシー、こいつ早ければ次作当たりで絶対イランことしてくると思う。 -
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このシリーズには凄まじいアクションもあれば、荒野の一軒家に生きるファミリー小説としての温かさもある。そして自然を背景にしたワイルドかつ美しい土地の四季を味わうこともできるし、懐かしきウエスタンを彷彿とさせるワイオミングがもたらすノスタルジーを感じることもできる。いろいろな意味でぼくはこの猟区管理官ジョー・ピケットのシリーズをとても長い時代に渡って読み続けている。
荒野のディック・フランシスと言われるだけあって、人間の善悪取り混ぜた描写の中で悪党は徹底した恐ろしいほどの悪をもたらし、正義漢は逆境の中で立ち上がることを常に意識する。いわば冒険小説の古典のようなシリーズなのである。
つい最近の湾岸の不穏な状況の中で0ドローンの無人爆撃が注目され、その冷酷非情で人間味のみじんも感じられない無情な戦争のニュースを日々目にしている今日この頃であるが、本シリーズにもそうした最新兵器が持ち込まれ、いささかこれまでの犯罪者がもたらす不穏さに、より一層、汚なさや不条理、悪意のさらなる進化のようなものが物理的に加わった感が強いのが、現在トランプが火を放った新たな湾岸戦争でのドローンや機雷などの無人攻撃を想起させるところがあって、胸元がヒヤリとする想いで本書を読むことになった。出版元の講談社も今このときに本書を僕らに届けるべく出版を急いだのではないだろうかと疑いたくなるくらいに。
自然と野生と平和の土地に舞い込む悪と、都度闘ってきた主人公のジョー・ピケットとその家族だが、昨今では家を焼かれ、転地を余儀なくされるなど、外敵状況変化に弄ばれ、慣れない環境下で若干四苦八苦している印象がある。名コンビと言える孤高の鷹匠であったネイト・ロマノウスキも恋人の登場により、ジョーの境遇に少なからず近接してきた印象がある。等々、シリーズの変化は大きなうねりの中で少しずつ変化を見せている、
さて本書をどう評価すべきか? 難しいのは、今述べてきたような状況下に、途方もないクライシスとアクションが唐突に持ち込まれてきたのが本編だということだ。攻撃的で残忍で実力も備えるプロの犯罪者チームが本シリーズのど真ん中に降り立ったのである。性格異常とも言える残忍極まりない女性を首領とするチームは、ドローンなど最新の武器を駆使し、多くの暴力的シーンを展開するのが本書である。
最後最後まで緊張は続き、そして犠牲者も少なくない。本書をもってレギュラーを下りざるを得ないキャラが多いのにも驚いたが、この展開の後に続くシリーズはこの後どれだけ傷痕を残し、この過激な嵐を後を迎えてゆくのだろうか? シリーズならではの大きな曲がり角に差し掛かった本書を、作者はどう整理し、ジョー・ピケットへの試練をどう与え続けてゆくのか? そうした意味でも衝撃の一冊であり、これまでのシリーズが逸脱しているゆえに、かなりシリーズのバランス自体が心配になっているのが本心、といったところなのである。 -
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C.J.ボックスの猟区管理官ジョー・ピケットのシリーズ。
「越境者」「嵐の地平」に続く、16作目。(2作目の電子書籍と翻訳されていない短編集?が間に入ってますが)
原著は2016年。デビュー作発行は2001年なので、だいぶ経ってますね~。
日本での発行は1作目2004年、本作が2023年。
登場人物は、ちゃんと年を取っていくスタイルですが~
発行年よりはゆっくり進んでます。
ジョー・ピケットは、家族と仕事を愛する、善良で真面目な男。
中背で引き締まった体つきで、特にたくましくはないが、愚直に問題に取り組むうちに、何故か危険の真っただ中に入り込む運命にある(笑)
ワイオミングの広大な自然の中で、密猟やさまざまな悪だくみに遭遇しては、解決していきます。
今回は珍しく、担当区域を離れて、州南部の砂漠地帯へ。
それというのも、盟友ネイトが姿をくらましたから。
ネイト・ロマノウスキは鷹匠だが、元は特殊部隊工作員の凄腕。長身で手足が長く金髪を後ろで結んでいる。
グレーゾーンで生きているため、日頃は山中で身を隠すように独りで暮らしています。
そんなネイトの元へ政府関係者がやってきて、大規模なテロを起こす疑いのある男達を調査するよう要求してきた。ネイトの記録を抹消するという条件だったが、人質を取られて、要求を呑むしかなかった。
ネイトを探すために行動するジョー。
ここへさらに、ジョーの長女で大学生のシェリダンが、友達のバイトに付き合って、同じ地域に滞在しているという。まさかそんな危険な場所とは知らずに‥!
だがネイトとジョーが来ると知っていたら、悪者こそ逃げた方がよかったかも(笑)
大がかりだが、ある意味シンプルなアクションものとなってます。
家族愛が絡むのが、さすがこのシリーズというところも。
利発だった女の子シェリダン、すくすく育ってますねえ。
自然が好きで鷹匠になりたがっていたぐらい、ネイトとも親しかった。
大人になりかけて、ちょっと距離は開いたけれど。
まだまだシリーズが続いているのが、嬉しい限り☆ -
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ネタバレジョー・ピケット猟区管理官シリーズ第十八弾。
前作で猟区管理官をクビになったジョーだったが、
ルーロン元州知事の暗躍(?)のお蔭で無事復職していた。
新しい家に車、昇給、そして元のバッジナンバーを取り戻して。
(今回はそこらへんの話になるかと思っていたが、
箇条書きで終わっていた)
今回は、
ドローンがミュールジカをいたずらに追いまわしているのを、
隣の猟区管理官が発見するところからはじまる。
ドローンが逃げ帰ったのはジョーの管区で、
協力を求められたジョーと
同じドローンに腹を立てていたネイトが協力して、
ネイトの鷹がドローンを叩き落す。
犯人はルーシーのボーイフレンドの父親と判るが、
なぜか自分は逮捕されないと高をくくっており、
FBIが乗り込んでくる。
そして、狼の群れという二つ名の暗殺集団も。
ドローンの犯人が証人保護プログの保護下にいる元犯罪者で、
「狼の群れ」のターゲットあることは予想がついたので、
意外な展開ではなかったが、
事件の発端となった猟区管理官、リード保安官、ダルシー群検事長が狙撃されたのは
ショックだった。
ネイトがテーブルの上にワイングラスの数が足りないことから、
ジョーにリブの妊娠を気づかせようとしたのに、
全く気がつかないのがジョーらしかった。
だが、常にボイスレコーダーを携帯して会話を録音するとは、
いろいろやられてジョーも賢くなった。
三女のルーシーが高校を卒業して家を出て行くのもさびしかったが、
ネイトがリブが結婚し子供が産まれるとは、
時の流れを感じた。 -
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実は二三か月の読書ブランクというものをこの歳になって相当久々に経験した。おそらく10代半ば頃以来の本なし状態を体験したのではないだろうか。原因は何かわからないが、最近はライブハウス出演が重なるなどして、読書というある種の緊張状態が保てなくなっていたのではないかという気がする。しかしこのままでは流され、脳が呆けてしまいそうだという危機感を少なからず感じて、意図的に本書に取り組んだ。実は本書は半ばまで読んでから停滞状態となっていたので、読書再開を決意して改めて最初のページから読みなおした。ものの数日で読み終える。しかしそのためには読書の時間というものを敢えて意図的に作る必要があった。
救いはあった。本書はシリーズものであるゆえに主人公のジョー・ピケットや彼の家族たち、凄腕の相棒ネイト・ロマノウスキなどのレギュラー陣がふたたび僕の元に戻るまでにさしたる努力は必要としない。ジョーの娘たちは作を追う毎に育って行き、今回は中でもしっかり者の長女シェリダンが活躍する。彼女は今回ジョーが追うことになった失踪事件の舞台となるサラトガの高級リゾート牧場で働いていたのだ。
山岳地帯に突然出現する風力発電や、ずれて来たかに見える法権力の闇などを背景に、ジョーは現地で利権の背後に見える権力の横暴や悪意の気配を感じ取ってゆく。いなくなってしまった猟区管理官、失踪した女性客、新しく着任した州知事やいかにも怪しいその補佐官など、悪意が見え隠れする政治構造や経済背景のもと、一騎のカウボーイの如くジョーは事件の核心に迫ってゆくのだが、雪に覆われた山岳地帯を取り巻く孤立と、政治の壁、取り上げられつつある猟区管理官という仕事そのものまでが予断を許さないという最悪の状況に追い込まれる。
しかし辺境であるからこそ、閉ざされた雪のリゾート牧場とその周辺に展開する悪と犯罪への追及を断たれることなく、ジョーは自由に動き、シェリダンやネイトが彼の二の腕の役を買って出る。大小さまざまの悪党たちが物語の各所に登場してくるのだが、徐々に背景の巨大な権力構造が見えてくるにつれ、物語はスケールアップし、ジョーとネイトの闘いは暗中模索の状況を打開してゆく。
荒野のディック・フランシスと言われた本シリーズの魅力は、悪党が本当に悪党であること、それにも増して主人公たちが不屈であることの正統派の対立構造にあると言える。現代の経済と自然の対立を背景に、単身立ち向かう猟区管理官の姿をこれまでも追ってきた読者でありながら、もたらされる犯罪が様変わりして真の悪が見えにくくなっていること、さらに権力に踊らされる小悪党たちの卑劣な動きとその愚かさが徹底して空しいことなどなど、人間悲喜劇の綾が風雪の荒野に描かれる、またも本書はシリーズの安定を感じさせるパワフルな一作である。 -
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猟区管理官ジョー・ピケットシリーズ
失踪したセレブを現知事の依頼で捜索することになったジョー
依頼も、状況も不可解な点が多い。
娘のシェリダン働いている観光牧場で起きたため
久しぶりに二人で話す機会がある。(忘れてるだけか)それだけで結構嬉しい。
そして鷹匠の師匠であるネイトとも絆がちゃんとあることがわかって良かった…前も少しあったけど二人だけに通じる会話があって感動した。
彼氏候補の男も登場し、シェリダンが小さい頃から読んでる私としては「お前、変な行動とったら西部流の解決といくぜ」と父親ヅラしながら読んでました。
ジョーだけではなく、下手したらネイトに耳をちぎられる可能性もある。
事件自体は見え方は違えどこれまで起きたものに近い印象
派手などんでん返しの展開とか、映画っぽいアクションが多いわけでは無く地味だけどやはり読ませるのは、描かれるキャラクターの良さなのか、やはりピケット一家に幸せになって欲しいと願ってるからなのかもしれない。 -
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猟区管理官ジョー・ピケットのシリーズ。15作目。
「越境者」に続く作品。2015年原著発行、2022年翻訳発行。
ワイオミングの広大な自然を背景に、仕事と家族を愛する愚直で善良なジョーの苦難と活躍が描かれます。
ジョーの養女エイプリルが、殴打されて道路端で発見された。
エイプリルは、幼い頃事件に巻き込まれ、問題のある親からジョー夫婦が引き取った娘。
反抗的で頑なだったが、それなりにモテるようになって居場所を見出していた。
出来た恋人はロデオスターのダラス。駆け落ちしたのだが‥
昏睡状態のエイプリルに、ジョーとメアリーベスは悲痛な思い。
ジョーはダラスを疑うが、なぜかダラスは怪我をして実家に戻っており、無関係だと親に主張される。
ジョーは、仕事でキジオライチョウの大量殺戮事件もかかえていた。
一方、盟友ネイトが、散弾銃に撃たれて重傷を負う事件まで起きる。
危機に次ぐ危機。
悪役の強烈さが半端なく、濃い。
ネイトが撃たれている状況で一体どうなる?という終盤から。
これはまた‥
読みごたえがありました☆ -
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猟区管理官ジョー・ピケットのシリーズ。
「発火点」の次の作品。14作目。
前作で一度職を辞したジョーだったが、知事の意向で復帰している。
新たな任務は、大製薬会社のスコギンズが殺された事件で、担当する地域を離れて、ワイオミング州でも辺境の町へ調査に赴くことに。
その土地の大立者のテンプルトンという人物が、暗殺ビジネスを運営している可能性があるというのだ。
親友ネイトが関わっているかもしれない事件。
知事の要請でFBIとも連携があるとはいえ、大きな権限があるわけでもなく、よそから来た管理官など、嫌がられても仕方ないが。
それにしても、いささか様子が‥?
ネイト・ロマノウスキは、山に独りで暮らす鷹匠。元工作員で色々訳ありのグレーゾーンの人間だが。
不器用なまでに善良なジョーと、友情で結ばれています。
長身で手足が長く、金髪を後ろで結び、冷たい色の目(最初は緑と書かれていたけど、その後描写が変わってる‥)という、やたらカッコいい男なのだ。
この作品でまた、危険な範疇へ入ったなあ‥という印象ですが。
いやでもまあ‥
面白いには違いないので、とにかく。
真面目に調べを進めるうちに、危険の真っただ中へ飛び込んでしまうジョーを助けるには、スケールの違う異能の人がいないと無理。だからねえ。
ジョーの長女のシェリダンの大学生活も。
養女のエイプリルは、ロデオスターと恋仲に。面倒そうなことになってたり。
末っ子のルーシーは高校生で、と家族の様子も描かれます。
愛妻メアリーベスはもちろん(笑)
家族愛も魅力的な作品、いつも面白いのが有難いです☆ -
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ネタバレジョーピケットサーガも17作目になるのか。2作目(電子のみ)以外全部読んでいるが、ずっと安定したレベルを維持しているのが素晴らしい。
ジョーと家族が危機に瀕して、苦悩して、最後にその危機を(ネイトがやってきて)乗り越えるカタルシス…マンネリっちゃマンネリなんだが、そのマンネリを何度も味わいたいって気持ちをもつ俺としては、このシリーズは期待を満たしてくれる安定供給源の一つとして非常に重宝している。
家族の危機、ネイトの強さ、ミッシーのヴィランっぷりと本作でもその良きマンネリ要素は満たされるのだが、州知事の交代や娘たちの成長など、要素は少しずつ変わってきてて、そこもまた次作以降に期待する要素だったりする。 -
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毎年、一作楽しみに待ち焦がれるシリーズ新作が今年も順調に登場。現代の西部劇。最近、海外旅行に出たり、Liveとその練習に時間や気持ちが優先されて(←言い訳)、こんなに愛読しているシリーズ作品を、今頃読んでいる。さて本シリーズは、そもそも単独完結作品として書き継がれてきたように思うが、時には複数作品を通して連続感のあるストーリーも増えてきていると思う。
初期の頃は「荒野のディック・フランシス」などと呼ばれて、読者としてもなるほどいいキャッチコピーだと納得していたものの、やはりフランシスのように毎作異なる主人公・異なる設定ではない。フランシスは設定を変えても、すべて同じハイ・レベルでのハードボイルド感を表出してきた稀有な作家ではあるが(無論ぼくは全作読破済み)、こちらのボックスの方は同じ登場人物が生きる同じ世界に、時間軸に沿って描かれる家族ドラマであるから、今ではディック・フランシスのイメージからは完全に独立した領域で息づいている好調なシリーズと言えるだろう。
さて本作は、前作までの流れを継いでさらに残酷さを前面に出してゆく敵役ダラス・ケイツとのファミリーが復讐に燃えてピケット家に執拗な攻撃を加えてゆく過程で、さらに複数の犠牲者を出してゆき、さらにはピケット家にまで脅威が及んでくる、それもじわじわとではなく一気に、と、あまりに惨憺過ぎるのではないかというくらい残酷な攻勢によって前半が埋められる。やられっ放しで読者としても腹立たしくなるくらいのタメなのだ。
何故、ダラスが出獄できるんだとか、彼の連れ歩いている刑務所友だちたちはどこから湧いてきたんだよ、とか不平不満がふつふつと湧いてくるのだが、これも作者の思い通りに操られる一種の快感と言えないこともない。どうせ最後にはいつものように悪漢たちをまとめて、荒野のヒーロー、ジョー・ピケットがやっつけてくれるとの確信のもとに読書を進められるのは、言われてみれば、そう、ディック・フランシスとおなじ構図かもしれない。
それに本シリーズのサブ・ヒーローとも言えるネイト・ロマノウスキの存在もある、と思いきや、本作では彼の存在は重要なインパクトを遺すとは言え少し薄めかも。その場合は次の作品への期待感がまた高まったりするのだが、そういう複層構造になるのもシリーズが長く安定してその面白さを維持しているおかげなのだと思う。本当に細かいところまでしっかりと組み立てられているのがこのロング・シリーズの凄さなのである。
本シリーズでは、作品毎に時間が過ぎ、ピケットの周囲の常連キャストはもちろん、幼かった娘たちもどんどん育っては事件に巻き込まれたりして行くなど波乱に満ちたサブ・ストーリーを提供してくれているので、この先本シリーズがどう展開してゆくのかは予断を許さないが、『ブルー・ヘブン』のような評価の高いシリーズ外独立作品などもまた書いて頂けると嬉しい。これからこのシリーズを読み始める方は、できれば最初から読むことをおすすめするが、途中のどの作品であれ、単独でも面白さを十分に味わって頂けると思うので、是非ピケット・ファミリーの魅力を体感して頂きたい。 -
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シリーズ作品の難しい事は、毎回キャストを総動員しないといけないことだろう。
個性豊かなキャラが増えるごとに、読者は新作でお気に入りのキャラの登場を期待する。それを裏切らずに見せ場を作りつつ新作を書くのは並大抵のことではないだろう。
特にシリーズの魅力の一つが、雄大なオレゴンの自然の風景(そしてそこで熟成された人々の生き方・価値観)であるだけに舞台も変えにくいだろうし…。
そういった制限がありながらも、本作は見事にいくつかのエピソードを束ね、お馴染みのキャストを配置しラストまで一気に楽しめる仕上がりになっている。
キャストが年を取り(成長し)、すこしずつ言動が変わる辺りもリアルで、こちらも感情移入しやすくなる。
本国でのシリーズは続いているようなので、是非、このまま翻訳を続けてほしい。 -
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講談社文庫はルーロン知事のように任期が切れ、創元推理文庫はネイトロマノフスキのように寡黙で語らない。
日本での最新刊を読み終えた今、次作が出るまで途方に暮れているしかないのか?
日本語訳ピケットシリーズは一年に一回しか出版されていない。
ピケットファンの皆さん、これでいいと思いますか?
アメリカでは既にこの作品以降5作も出版されているんですよ。(Wikipediaによる)
今回のシェリダンは大学生なのに、アメリカの最新刊では30歳に近くなっているはずなんです。
どうかどうか一刻も早くアメリカに追いついてください。
水源のない荒野で喉が渇いたエルク状態です。
いや、風雪に晒されるヤマヨモギの気分です。 -
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猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ、13作目。(電子書籍を別にすると12作目)
「鷹の王」に続く作品。
今作から版元が創元推理文庫に代わって、引き続き発行されてます。
ジョー・ピケットは広大なワイオミング州で、国立公園を管理する仕事を愛し、大自然に日夜触れている男。
一見ごく普通の善良な人物だが、小さな兆候も目に留め、どんな難題にも愚直なまでに対処し、逃げることなく突き進む。
その結果、豪放な知事には信頼されているが、与えられた車両は何度も大破、堅苦しい上司とは反りが合わない。
環境保護局から、裁定指令を持ってやってきた役人二人がいた。ジョーの知人のブッチの所へ。彼らはなぜか、武器を所持していた。
ところが、死体で発見され、ブッチは最有力容疑者に。
ブッチは工務店を営む寡黙な男で、ジョーの娘ルーシーの親友ハナの父親だった。
たまたまブッチに出会っていたジョーは、事態に不審を覚えます。
環境保護局のバティスタという癖のある人物が強硬策を取ろうと躍起となる。命令を受けた捜査官アンダーウッドは、慣れない乗馬用の馬に乗った部下らを従え、険しい山中に分け入るのだ。
ジョーはブッチの命を守ろうと同行することに。
一方、妻のメアリーベスは、かっては有名だったホテルを改築し再開発するという企画に乗りますが、そちらにも難題が起こります。
8月半ば、前作から1年近く経ち、1作目からは13年ほどになるそう。(シェリダン7歳だったもんね。)
ブッチに賞金が懸けられたと聞いた元保安官マクラナハンは案内人と銃の達人を連れて、ブッチの居所を探しに向かう。
ジョーの宿敵ともいうべき強欲なマクラナハンと、いい加減男の案内人、おまけに銃を撃ちたくて仕方がない男まで加わった大混乱。
そもそも環境保護局がブッチに押し付けてきた難題が非情過ぎて、先を読みたくなくなるほどなのだが。
いえ、どんどん意外な展開していきますからねえ~(笑)
事件は実際に起きた出来事を反映しているそう。
経過はもちろん一捻り二捻りしてあり、森林火災まで起きて、大自然の中での決死の脱出行となる大迫力。
家族が晒される苦悩には、胸苦しくなりますが。
善意の折れない強さ、互いを守ろうとする熱い思いが切ない。
レベルの高い作品が続くことにも感嘆します。