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Posted by ブクログ
猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ、13作目。(電子書籍を別にすると12作目)
「鷹の王」に続く作品。
今作から版元が創元推理文庫に代わって、引き続き発行されてます。
ジョー・ピケットは広大なワイオミング州で、国立公園を管理する仕事を愛し、大自然に日夜触れている男。
一見ごく普通の善良な人物だが、小さな兆候も目に留め、どんな難題にも愚直なまでに対処し、逃げることなく突き進む。
その結果、豪放な知事には信頼されているが、与えられた車両は何度も大破、堅苦しい上司とは反りが合わない。
環境保護局から、裁定指令を持ってやってきた役人二人がいた。ジョーの知人のブッチの所へ。彼らはなぜか、武器を所持していた。
ところが、死体で発見され、ブッチは最有力容疑者に。
ブッチは工務店を営む寡黙な男で、ジョーの娘ルーシーの親友ハナの父親だった。
たまたまブッチに出会っていたジョーは、事態に不審を覚えます。
環境保護局のバティスタという癖のある人物が強硬策を取ろうと躍起となる。命令を受けた捜査官アンダーウッドは、慣れない乗馬用の馬に乗った部下らを従え、険しい山中に分け入るのだ。
ジョーはブッチの命を守ろうと同行することに。
一方、妻のメアリーベスは、かっては有名だったホテルを改築し再開発するという企画に乗りますが、そちらにも難題が起こります。
8月半ば、前作から1年近く経ち、1作目からは13年ほどになるそう。(シェリダン7歳だったもんね。)
ブッチに賞金が懸けられたと聞いた元保安官マクラナハンは案内人と銃の達人を連れて、ブッチの居所を探しに向かう。
ジョーの宿敵ともいうべき強欲なマクラナハンと、いい加減男の案内人、おまけに銃を撃ちたくて仕方がない男まで加わった大混乱。
そもそも環境保護局がブッチに押し付けてきた難題が非情過ぎて、先を読みたくなくなるほどなのだが。
いえ、どんどん意外な展開していきますからねえ~(笑)
事件は実際に起きた出来事を反映しているそう。
経過はもちろん一捻り二捻りしてあり、森林火災まで起きて、大自然の中での決死の脱出行となる大迫力。
家族が晒される苦悩には、胸苦しくなりますが。
善意の折れない強さ、互いを守ろうとする熱い思いが切ない。
レベルの高い作品が続くことにも感嘆します。
Posted by ブクログ
講談社から創元推理文庫に出版社が変更となったが、シリーズ翻訳が続いてよかった!本国では出版されていても日本での出版が終わるケースが多いのでこれで一安心。
今回も実際にあった土地収用に関わる事件をベースとしているようだが、ストーリー展開は比較的単純。
しかし、そこはボックス作品だけに陰影のあるキャラが多彩に登場(登場人物一覧の多さに驚く)するだけでなく、お馴染みのメンバーも揃って後半になるほど加速のつくストーリー展開は見事。
いつもながら会話に味があり、ユーモラスな味付けもある一方で男同士の切ないまでの信頼関係、そして友情が胸を打つ。
講談社より電子出版しかされていない『逃亡の峡谷』を読んでおくとより一層楽しめるようだ。
Posted by ブクログ
昨年『鷹の王』を<このミス>一位に投票したのは、大好きなこのシリーズの頂点を極める作品と感じたからのこと。しかし続く本書も、一歩も引かぬ快作であることに、ぼくは驚く。そもそも、どの作品も、高水準のエンターテインメントとして面白く読めると同時に、大自然をバックに愚かでちっぽけな人間たちのなすあらゆる悪と闘う、善良な猟区管理官、ジョー・ピケットとその家族たちへのキャラクター愛が素敵なシリーズでもある。
ジョーは、どこにでもいる地味なキャラに見えながら、恐ろしいほど堅物で、徹底した頑固者で、ワイオミングの荒野を守る仕事を愛してやまない。銃は得意ではないが、勇気と良識は人一倍持ち合わせている。家族思いで、友人思いで、優しくタフである。
妻メアリーベスを初め、二人の娘、一人の養女で構成されるジョーの家族たちの個性も明確に示され、長所も短所もそれぞれに異なるばかりか、活き活きとして血が通って見える彼女らの表情も、ジョーの家族へのいっぱいの想いや悩みについても、シリーズとしての魅力の重要な構成要素となっている。
本書は、冒頭からショッキングなバイオレンスとアクションでスタートする。武装した男たち。死体。逃亡者。危険な追跡。ジョーの情感に満ちた仕事と家族への姿勢が、酷薄な様相で彩られる血塗られた現場で、読者の心を人間の世界に繋ぎ止める。けだものの方向にではなく。そう、いつもの構成なのである。
冒険小説の復権、とぼくは本シリーズに触れる度に、この上ない喜びと共に思うことができる。すべての舞台が大自然。圧倒的な権力を持つ悪の横暴が見える中で、繰り広げられる命がけの冒険行は、次々と生じる危機と命の駆け引きのシーンが連続するたまらないページターナーぶりである。
今回、講談社文庫から創元推理文庫に版元が変更となった理由は定かではないが、永らく本シリーズの出版を続けていた講談社が、本作の前に電子書籍のみという形ながら、これまで未訳だったシリーズ第二作『逃亡者の峡谷』(原題"Savage Run")を提供してくれたのは読者としてはとても有難かった。というのも当該作で舞台となる「サヴェージ・ラン」という名の極めて危険な地形、深く抉れ渡ることが奇跡としか思えない谷に、本書でジョーは本作でふたたび向かうことになるからである。
大自然の持つ危険な要素をふんだんに使うのは今に始まったことではないが、今回はそこに新型殺人兵器や、作年のオーストラリア大火災を想起させるような大規模な山火事を盛り込むことで、さらに冒険小説の新しい時代の到来を肌にびしびしと感じさせてくれる。
雄々しく、しかも家族愛、友情、なども優しく感じさせてくれる現代のエンターテインメント。荒野のディック・フランシスと呼ばれる本シリーズのうちでも、相当にスケールアップした冒険小説の世界に生き生きと甦る、馬上の等身大ヒーロー・ジョー・ピケットんの他を寄せつけない活躍物語に新しい読者がさらに急増することをぼくは願ってやまない。
Posted by ブクログ
猟区管理官ジョー・ピケットシリーズ
第13作目
版元を変えて、シリーズ続刊!
(新シーズン開始と捉えてもいい内容なので、この本から楽しめます。)
いゃあ〜面白かった!!
※あらすじは省略
愚直な猟区管理官(現代版のカウボーイ)ジョーが、地域で起きた事件を追う。
多分、知らないだけで他にもこういうシリーズはあるのだろう。
自粛前の読書ペースが戻るほど夢中になって読んでしまったので
「何故読んでしまうのか?」
を考えました。
・主人公ジョーの魅力
銃は下手、支給された車の大破記録の保持者、ジョークによる失言が多い(増えて来てない?)
愚直で誠実な男、どの人物よりも「まともな正義」を持ち自分を危険に晒しながら、薄給を義母にいびられながらも耐えて、耐えて(たまに爆発しつつ)根気よく事件に向き合う。
自然と家族を愛している。
→「なるべく人を傷つけたくない派」
・脇役の魅力
頭脳明晰で、時にジョーよりも頭が回る妻メアリーベスに娘達
(随分大きくなった…色々あったなぁ)
ジョーに恩義を感じ「法の外の世界の住人」鷹匠のネイト
→「躊躇なく人を壊す派」
ヒトの耳、ちぎりがち
(「鷹の王」では主役でした)
宿敵である保安官や、同じく真面目に捜査を進めてくれる他の法執行機関の捜査官
ジョーをバックアップする知事(かなり口が悪くて私は好き) などなど
シリーズモノの醍醐味ですが、ひとりひとりが積み重なって面白味が増していく。
・敵のクソったれ度合い
巻を重ねるごとに増してます。
官僚主義に対してが多め。
・基本的に「事件に巻き込まれて、解決する」という流れはあるのだけれど
毎回アメリカで起きている問題を取り上げているのも飽きさせない。
(今回も実際にはベースの事件があり取材した旨が書かれている)
・タイトルの「発火点」にも表されている通り、解説にも書かれていたが
森自体も火災が起きてしまうし
「人の心の限界」を超えたり、なんらかの境界線を超えてしまう人、その描写が多かった。
ジョーは、平凡な男というイメージがあったが異常な状況の中でも「ここ良さげやん、後で改めてまたココに来てみよう」みたいな事を考えている。
試練を重ねる中で「自然好き」の度合いも強まっていったのかもしれないが、ちょっと「いや自然好きすぎだろ!」とツッコんでしまった。
少し前に、未訳だった2作目が電子版で発売されてます。実はコレ、読んどくとこの巻がより楽しめます。
面白い本を読むと「お、他の本も読むか」と意欲を掻き立てられるのですが、まさにそれでした。読書を続けます。
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