野口百合子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第二次大戦中の大西洋において、孤立した英国に食料や物資を運ぶ輸送船団とドイツ海軍Uボートの戦い。圧倒的に優勢なUボートに対して、英国海軍はロバート退役中佐のゲームを用いた対潜水艦海上戦闘戦術に将来を託し、中佐は海軍婦人部隊という女性スタッフたちとともにゲームを用いた戦術を進化させ、それを護衛艦の士官たちを訓練していく。その結果、大西洋の戦いで遂にUボートの脅威を退けたという実話に基づくストーリーが語られる。
なるほどと思って読んだが、重力堂信光氏の解説によると、大西洋の戦いの帰趨は必ずしもこの戦術によるものではなく、輸送船団に配置された護衛空母やセンチ波レーダーという新兵器・新技術によるのだという。これこそが本書の大どんでん返しであったが、重力堂氏は、それでも英国が英国人の手で勝利をたぐり寄せたという英国人の物語は少しも色あせるものではないと言う。たしかに、秘密裡に組織され、戦後忘れられてしまったロバーツ中佐や海軍婦人部隊の献身は記憶されるべきものなのかもしれない。特に、女性の地位が低かったあの時代にあって、戦争による人手不足から男性が果たしていた地位に女性が入り、しかし、戦争終結とともに元の役割を求められることとなった不遇の女性部隊員たちのことを思えば。
なお、本書は、様々なエピソードが前後して出てきて、しかも、メインのストーリーと、それを彩るだけのサイドストーリーがはっきり区別されずに出てくるので、読みにくい面があることを付言しておく。 -
Posted by ブクログ
ボケてるのかどうかはさておき、頭の回転は鈍ってない洞察力は残ってる元刑事のおじいちゃんが主人公の話。
主人公が若い時に出会ったナチス絡みの復讐劇かと思いきや…そうはいかず…
なんか派手さはないわりに
先に先に解決したり、謎が明かされて進んでいくのでハラハラしながら進むでもなく半分以上読んでしまったので「大丈夫かな」と心配になった。
主人公の元刑事としての洞察力とか、皮肉を吐く感じは好きだけども、ややスローペース
終盤はたたみかけるように進むのだけど「痛快!」って感じでもなかったな…期待しすぎたのかもしれない。
孫と一緒に行動、主人公の子供(孫の父親)は「殺された」とあるので今後の話に出てくるのかな。
うーん。続編はもっと暴れるのかな? -
Posted by ブクログ
一万円選書の中の一冊。
うーん、正直事件そのものについては少々物足りなかったというか、なんだそれ?というか、腑に落ちないものがありましたけど、それに勝るのがバック・シャッツ。
皮肉ばっか言ってて、こんなおじいちゃん、見てる分には楽しくていいな。
年をとったからならではの悲哀も感じさせてくれて、事件のことというよりは、そういったことの方がしみじみ来ました。
孫のテキーラはちょっと性格がつかめなかったけど。もっと冷静に物事見てる子かと思ってたら……。
ところで、なぜこの本を一万円選書で選んでくれたのか。
私が「早くおばあちゃんになりたい」って書いたからか、それともミステリ系の本を面白いって書いたからか……。 -
Posted by ブクログ
ネタバレバック・シャッツの目が老いで曇っているからか、老人問題の側面と事件とが全く絡み合ってないように思える。
ピークはジーグラーに面会にいくシーンである。殺人はただ謎のために起こるだけだ。そこに人間の根源的な心理なぞ読み取れない。ただジーグラーに会いに行くシーンには、「死神」に向かう姿勢がある。老いと過去の収容所の虐待とが上手く絡んでいる。
殺人事件をストーリーに入れず、ジーグラーの面会途中の独白をピークとして、その後ゆっくりと終わる中編としていたら秀作であったろう。
バック・シャッツをかっこよくみせるためのアクションシーンや謎解きのシーンなどは全く不要である。本書の最も良い部分が濁るだけだ。記憶帳・息子を無くしたこと・誕生日に死神がやってくること・収容所のこと。このあたりが最も人間的な部分で、残りはただエンタメのために書かれいてるだけだ。
しかもそのエンタメの部分に不整合な点が多くある
・警官がなぜ猟奇殺人をしたのか。バック・シャッツやテキーラに罪を着せるのなら体力を必要とする猟奇的な殺人を犯す意味は全くない。
・なぜユダヤのやり方にのっとってスタインブラットを殺したのか。犯人をユダヤ教徒だと示唆する意味だと解釈するのは困難である。
要するに何故猟奇殺人なのか、が置いてけぼりだ。
もう年はとれないは残念な作品だ。ただその無駄な贅肉の部分が美味いからこそエンタメとして売れてミステリのジャンルになりバック・シャッツというキャラクター小説になっている。この部分が面白く感じられれば本作は老人の心理を鋭く描写したエンタメ小説と受け取れるだろうが、2つの要素が融合しているとは言い難い。