野口百合子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレバック・シャッツの目が老いで曇っているからか、老人問題の側面と事件とが全く絡み合ってないように思える。
ピークはジーグラーに面会にいくシーンである。殺人はただ謎のために起こるだけだ。そこに人間の根源的な心理なぞ読み取れない。ただジーグラーに会いに行くシーンには、「死神」に向かう姿勢がある。老いと過去の収容所の虐待とが上手く絡んでいる。
殺人事件をストーリーに入れず、ジーグラーの面会途中の独白をピークとして、その後ゆっくりと終わる中編としていたら秀作であったろう。
バック・シャッツをかっこよくみせるためのアクションシーンや謎解きのシーンなどは全く不要である。本書の最も良い部分が濁るだけだ。記憶帳・息子を無くしたこと・誕生日に死神がやってくること・収容所のこと。このあたりが最も人間的な部分で、残りはただエンタメのために書かれいてるだけだ。
しかもそのエンタメの部分に不整合な点が多くある
・警官がなぜ猟奇殺人をしたのか。バック・シャッツやテキーラに罪を着せるのなら体力を必要とする猟奇的な殺人を犯す意味は全くない。
・なぜユダヤのやり方にのっとってスタインブラットを殺したのか。犯人をユダヤ教徒だと示唆する意味だと解釈するのは困難である。
要するに何故猟奇殺人なのか、が置いてけぼりだ。
もう年はとれないは残念な作品だ。ただその無駄な贅肉の部分が美味いからこそエンタメとして売れてミステリのジャンルになりバック・シャッツというキャラクター小説になっている。この部分が面白く感じられれば本作は老人の心理を鋭く描写したエンタメ小説と受け取れるだろうが、2つの要素が融合しているとは言い難い。