野田サトルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025.12.09 ★4.1
「ゴールデンカムイ」のスピンオフ。
第7師団の鶴見篤四郎中尉を筆頭に繰り広げられる前日譚ミステリー短編集。
元の漫画の世界観を損なうことなく、むしろそのキャラクター世界を深く掘り下げるような物語ばかりで、ミステリーとしてもしっかりと読み応えのあるものだった。
鶴見中尉とその配下が好きな人はぜひ読んでみて欲しい。
↓↓↓内容↓↓↓
日露戦争のさなか。戦場という巨大な密室では、正気を失うことこそ美徳とされる。鶴見中尉と第七師団の面々が出会った、驚くべき事件の数々とは……。日露戦争での第七師団を描いた、初のスピンオフノベライズ!! 野田先生による描きおろしイラスト多数!!
第一話 幽霊歩哨 《谷垣源次郎》
ロシア兵との死闘が続く二〇三高地。死んだはずの兵士が歩哨に立つという。谷垣源治郎はある夜、戦場には似つかわしくない、軽やかな鈴の音を聞いた。そして光の中から、先の戦いで死んだはずの戦友の姿が現れるのを見た……。幽霊歩哨の正体とは?
第二話 白い日本兵 《菊田杢太郎》
ロシア兵のあいだで、「白い日本兵」の噂が広まっているという。白い日本兵は銃弾に当たっても死なずにロシア兵へ向かってくる、おそろしい存在だという。菊田はあることをきっかけに、白い日本兵の真実へ近づいていく……。
第三話 羽二重天幕の密室《宇佐美時重》
二〇三高地での戦いも大詰めを迎えようとしている。宇佐美は捕虜の尋問をするための天幕の設置を命じられた。戦局を左右する貴重な情報を持っている捕虜だという。尋問の担当は鶴見だったが、天幕のなかで事件は起こった……。
第四話 時にはやさしく見ないふり《尾形百之助》
奉天でロシア軍への包囲攻撃をかけた陣中、ありえない事件が起こった。日本兵が何者かに次々と殺害されていくのだ。犯人は恐ろしい怪力を持つ、敵の斥候というのだが……。尾形はやがて、鶴見から事件のことで呼び出しを受ける。
第五話 鶴見篤四郎は惑わない《月島 基》
奉天での戦いは膠着していた。損耗は大きく弾薬も少なく、戦いは難局を迎えていた。ある日の夕食後、月島は鶴見から密命を受けた。それは戦局を決する可能性のある驚くべき秘策であった。 -
Posted by ブクログ
私は白土三平の『カムイ』を連想していた。しかしながら、本作は全く異なる 内容の物語であった。
物語の中心人物は、「不死身の杉元」と称される、日露戦争の英雄・杉元佐一である。除隊後、彼は一攫千金を夢見て北海道の砂金採りに励んでいた。彼の顔には大きな傷がある。彼は砂金採りの旅の最中、現地で出会った中年男性から、アイヌから奪われたとされる埋蔵金の噂を聞く。この不死身の杉元と砂金探しは、一見すると関連性の薄い感じだ。
その中年男性は、網走監獄に収監中の埋蔵金を奪ったとされる脱獄囚たちに、刺青によって金の所在場所を示す情報を伝えていた。当初、杉元はこれを単なる作り話や噂と考えていたが、その後の出来事によって話は次第に真実味を帯びてくる。やがて、その中年男性はクマに襲われ命を落とすが、その背中には刺青が刻まれていた。
彼の遺体を背負って歩いている最中、巨大なクマが襲いかかるが、アイヌの少女・アシリパにより救われる。アシリパは、熊の習性に詳しく、リスの捕獲や料理法にまで工夫を凝らしている。彼女が作るアイヌの伝統料理「チチタプ」なども描かれる。また、物語の中でアイヌ語が初めて聞かれ、北海道の厳しい自然、冬の雪景色も印象的に描かれている。
刺青は、人を殺して皮を剥ぐことも可能なものであり、刺青を施された者はその事実を知らなかった。リーダー格の人物は「のっぺらぼう」とも呼ばれている。アシリパは、杉元が人を殺す行為を許さず、殺すなら協力しないと語る。また、北海道の第7師団は、陸軍最強とも謳われる軍隊ながらも、埋蔵金を追っているのだった。
杉元の信条は、「戦争で学んだ死なない方法は、殺されないこと」である。物語はジビエの世界も描き、リスやウサギ、クマ、馬などが登場する。二瓶と谷垣はクマとの戦いに関わる。杉元はシカを狙い、白石は脱獄王と呼ばれる男を捕まえる。白石と杉元は戦いとともに次第に仲間意識を深めていく。刺青を持つ囚人は合計24名にのぼり、その親玉は土方歳三であった。さらに、のっぺらぼうの男から、小樽へ向かうように言われている。
『ゴールデンカムイ』第1巻は、北海道の自然やアイヌ文化、戦争の影、刺青の秘術、さまざまな登場人物の葛藤と冒険が緻密に描かれている。 -
Posted by ブクログ
氷上で燃える青春。野田サトルが描く全力疾走のホッケー譚!
『ドッグスレッド』は『ゴールデンカムイ』の作者・野田サトルが新たに挑む青春スポーツ漫画。舞台は北海道、主人公はフィギュアスケーターからアイスホッケーの世界へ転身した少年だ。氷上での戦いと仲間との絆を通じて、夢を追う熱さと葛藤が描かれる。
何よりもまず感じられるのは、氷上でぶつかり合う青春のエネルギーだ。フィギュアで培った華麗なスケーティング技術が、アイスホッケーという真逆の競技に挑む過程でどう変化していくのか。そのギャップが物語を一層ドラマティックにしている。
さらに、野田サトルらしい緊張と緩和の演出も健在。ライバルとの激闘に心を震わせたかと思えば、次の瞬間にはキャラクター同士の笑える掛け合いが入り、張り詰めた空気がふっと緩む。そのリズムが青春漫画の爽快さを倍増させている。