二村ヒトシのレビュー一覧
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安易なハウツーもののようなタイトルですが、巻末に収められている著者との対談で國分功一郎が述べているように、本書はまさしくその本質において倫理の書です。
著者が説いていることをごく簡単にまとめてしまうならば、自分自身の「モテたい」という気持ちをしっかりと見つめ、自分の「キモチワルさ」を謙虚に考えなおし、そのことを通して「自分の居場所」がどこにあるのかを知ることが、「モテる」ためには重要だということになるかと思います。しかも、そうしてモテるようになったところで、著者自身がそうであったように心が苦しくなるというのですから、モテるための手っとり早いハウツー本を求めている読者にとっては、まったくなんの役にも立たない本なのかもしれません。けっきょく、それでも自分は「モテたい」のか、そしてもし「モテたい」のであれば、それはなぜなのか、と著者はどこまでも読者に考えることを要求しつづけます。
恋愛において独りよがりに陥ることの愚かさを指摘するようなことばは多く見られますし、ときには哲学的な他者論とリンクさせながらそうした問題に取り組んでいる論者もすくなくないのですが、本書はそこからさらに一頭地抜きん出ているように思います。 -
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AV監督である著者が、恋に悩む女性たちに向けて書いたエッセイです。
「心の穴」や「自己受容」といったキーワードは著者独自のものですが、精神分析が論じてきたことと重なり合うところも多く、いわゆる「恋愛指南本」とは一線を画する内容になっています。
巻末の信田さよ子との対談では、著者自身が女性に「菩薩」を求めてしまうことが暴露されて厳しいツッコミをもらっていますが、これだけ鋭い恋愛論を展開している著者が、そうした彼自身の女性観の「身勝手さ」に無自覚であるとは思えません。むしろそのことを自覚しているからといって、容易にそれを克服できないところに、一番のむずかしさがあるような気がします。
著者のいう「インチキ自己受容」は、自分のことを振り返ると思いあたるところが多いのですが、それを克服することができるようには思えず、それを自覚することであまり世間の迷惑にならないように折りあいをつけていくほかないのかな、と思っています。著者も、本書で告白しているプライヴェートでの「ヤリチン」的な振る舞いについて、おなじようなスタンスをとっているのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。 -
Posted by ブクログ
R25の書評を見て心惹かれて買った本。
タイトルが「おっと」という感じだけど、内容は至ってまじめな「どうやったら自分を、他人を愛せるのか?」というものです。
ちょっとつきあいの長い人は「私ってナルシストだからぁ〜」という言葉を私から聞いたことが1度はあるかと思いますが(うざくてすいません)、まさにこの本が取り上げているのも「自己肯定」と「ナルシシズム」の違い。
自分のことは可愛いけれど、自分を愛せているわけではない。
自分を愛してあげなさいと言うことは簡単だけど、難しい。
私が人生でずーーーっと思っていること、だから生きにくいんだよなぁと思っていたことをそのまま、私が思っているよりもずっと上手に書いている本だなというのが感想。
最後の最後は自己肯定しなさいねというメッセージになっていて(というか、そう言うしかないですよね)、他の書いてある内容全てには同意できるだけに、それがちょっと単純な気がして残念でした。が、愛のある示唆に富んだ内容が多く、面白い本だったと思います。
タイトルが恥ずかしいけどすごくおすすめ。 -
Posted by ブクログ
自己肯定感と恋愛のお話。ハウツー本の類ではありません。
ナルシシズムと自己肯定というキーワードから書かれているようです。
恋愛は,その人が長年かけてつくってきた他者との関係の取り方や,遡ると両親との関係を密かに反映させてるんだろうなと思います。(色々,社会やメディアの男性観・女性観とかで自分の求めてるものが見え辛くなったりするんだけども)。恋愛になるといつも似たような人を好きになったり,同じような失敗をして,似たような別れ方をしてしまったり。自分が知らずしらず作り上げてしまった台本を繰り返してしまっているようで。
まだ,表面的なところだと思いますが読んでると,この考察は深いなあなんて思うところが所々ありました。
恋愛を通して自己分析してみたい人なんかにオススメしたいなと思います。
Twitterにこの本のタイトル名でアカウントがあり,本の内容を抜粋して呟いているので興味があればそちらをまずフォローしてみるのもよいかもしれません。(自分もリツイートされてきたものから興味をもったくちです。) -
Posted by ブクログ
ただ単に「これこれこうであれ」と言うだけの本じゃない。
相手がいて、その相手を想うこととはこういうことで、あなたや相手のその考えかたや捉えかたによって、気持ちに変化が生まれていく。
理解できるであろう人と、できないであろう人とが分かれる作品であると思っています。
『自分を大事にしていて、自分のために生きている人』と、『自分を大事にしていなくて、他人のために生きている人』と、『自分を大事にしていなくて、自分のために生きている人』がいるから。
ゆっくりゆっくり読んでいって、身に沁みこませていって、「嗚呼、こういうことを言いたかったのかあ」ってなっていく本です。
傷ついた人には、あなたが傷ついた理由はこうですよ、と教えてくれる。でもどうやってクリアするかは教えてくれない。
ただ言いたいのは、『自己肯定しなければならない』と強迫観念のごとく差し迫っているけれどかねがねあっている、ということ。
自分を否定する人は自分を安売りしたがる。 -
Posted by ブクログ
いろんなタイプの「ダメ男」ばかり好きになってしまい、そのたびに浮気されたり貢いでしまったりした挙句にろくな別れ方をしたことがなく、今となってはすっかり恋愛は縁遠いものになってしまいましたが、その当時読めていたら良い方向に何か変えられていたかもしれない。
自己受容できていない=自己肯定感が低い女性のための、良い恋愛をするための指南書。
私は親との関係が悪く絶縁状態にあるため、親子関係を絡めた話は特に興味深かったです。
「親に空けられた心の穴(褒めてもらえなかったり、厳しくされすぎたりして傷ついた心)を、相手を傷つけることによって親に復讐しているような気持ちになっている」
「一度思い切って親のせいにしてしまう」
これは単に親を憎めというわけではなく、心の穴の形を知るために必要なことのようです。
それを知って初めて自己受容、いわゆる自己肯定感が育てられるんだなと。
自己肯定感って恋愛に限らずいろんな場面で大切と言われているけれど、今まで読んだ本や教えられたことであまり腑に落ちるような言葉がなかったので、今回初めて理解できたような気がします。
個人的には著者の二村さん男性なのに女性にこんなに寄り添ってくれるんだ!女心よくわかってる!と感心したのですが、巻末の単行本の読者からの恋愛相談やカウンセラーさんとの対談を読んだらけっこう女の敵みたいな考えなのが露呈していて、こんなに厳しく怒られているのをそのまま収録しちゃうゆだ、って笑っちゃいました。