奥山真司のレビュー一覧
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地政学、という言葉を目にすることが多くなったが、実際には地政学という学問分野は存在しない。あくまで地理条件を踏まえた政治学であり、グローバル化に伴って各国や地域の情勢はダイナミックに変化し、そこに対応するための情報集積こそが地政学と呼ばれる研究領域である。
現在進行形でロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス紛争といった現状変更に対する挑戦が行われている。これらに付随して、中国の台湾危機や中東・パレスチナのさらなる戦線拡大といった世界大戦に発展するリスクも指摘されている。この軍事行動に至る論理は、ランドパワー・シーパワーという大国を支配する世界観によって規定される。
世界には戦略的に重要 -
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台頭する中国との武力紛争の危険性もしくは中国が暴発する危険性は、既存の大国(米国)の地位に新興国(中国)が挑戦することによる「トゥキディデスの罠」ではなく、衰退し始めたことを自覚した新興国が最後の機会に賭け無謀な軍事的手段に訴える可能性によって高まる、という主張。
人口(特に労働力人口)が減少に転じ、失政により経済成長が鈍化している中国の現状はまさにその条件に当てはまる。
その中国に対抗するには、民主主義諸国の団結、理想的にはそれらによる新たな国際機関の設置、短期的に有効な防御手段の実施、長期的に中国の弱点を攻めつつ弱体化を図る等々の対応が必要だと、的確に指摘されている。
朝鮮戦争を経て -
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地政学者の奥山真司氏の初学者向けの戦略解説書。週末にさっと読み切れてしまう分量なれど、コンパクトに戦略論のエッセンスや台湾有事やアメリカの動向など最新の議論も含めて学ぶことができる。入門書だが、背景には氏の膨大な研究と読書量が詰まっており、今後、関心を持った読者が深掘りできるようにさまざまなテキストや記事が紹介されている(巻末に参考文献一覧があればさらに良かった)
個人的に印象を持った点は、次の通り。
①戦略には、常に相手の行動が存在することを忘れがち。相手のリアクションも考えるべき。
②この点、戦略シミュレーションは政策決定者が、自らの選択肢や相手の対応を考える上で有益
③アメリカの戦略三 -
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戦いにおいて戦略を誤るのは、相手の動きを想定していないから、、、
ロシアのウクライナ侵攻がうまくいかないのは、まさにそれ、、、
見誤った、ってやつ。
希望的観測で物事を決めるとろくなことはない。
第二次大戦の日本も、
「日露戦争であのロシアに勝ったのだから、総力戦でアメリカにも勝てる」
などと、まさに希望的観測で泥沼にはまり、多くの市民が爆撃で殺され、
軍人は餓死、病死で亡くなった。
・・・ということが書いてある本ではない。
なんだか当たり前のことを言っているような本、、、
現在のウクライナ、中国、台湾問題を分析する本、と思えばいいのかな。
いずれにしても日本は80年闘っていない国。
そん -
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205ページと小さな本だが、簡潔にまとまっており、世界史の解像度を大いに高めてくれる。
高校時代に世界史を選択していたが、ほぼ何も学ぶこともなく終わってしまった。
この本を世界史を学ぶ前に読んだら、知識の理解や吸収が全く違ったものになるだろう。
世界史と地理は一緒に学んだ方がいいのではないかと思った。
そもそも世界史を学ぶ意義は、本書に書かれているようなものの見方・考え方を身につけるためではないだろうか。
シーパワーとランドパワー
ルートとチョークポイント
バランス・オブ・パワー
という3つの章で説明されるものの捉え方が特に参考になった。
グランド・ストラテジーの章も勉強に -
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旧帝国海軍が先の大戦で真珠湾攻撃を成功させながら、戦争自体に敗れたのは言うまでもなく、戦術面で勝利しながら戦略面で負けていたからである。日本側は希望的観測で真珠湾で大打撃を与えれば、当面はアメリカは太平洋に進出できず、あわよくばアメリカ国民の感情を挫き、早期和平に持ち込めると読んだからに他ならない。歴史が示す通り、これは全く逆効果で、そもそも中国進出を狙っていたアメリカが日本側に最初の一手を打たせ、国民に復讐心による戦争参加を促す目的だった事が明らかになっている。これはアメリカが大局的には日本より遥かに先を読み、展開を予測できていたからに他ならない。アメリカの国力を知っていた山本五十六ですら、
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今読むべき本
昨今、地政学についての関心が高くなってきていると思う。
ロシアによるウクライナ侵攻、ハマスのテロに端を発するイスラエルのガザ地区攻撃。そして、益々武力による勢力拡大の意図をあらわにしてきている中国の一帯一路戦略。
これら世界の覇権争いについて分析し、国家、独裁者の考えを理解する考え方が地政学だと思う。
奥山氏の新著は、この地政学の歴史的な流れと、理論の進展、そして実際に歴史がどのように動いてきたかを平易に紹介してくれる。
世界の地理は変わることがない。
その地図の上に成り立つ国家の考え方を考察する助けになると思う。
面白かった。 -
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先週(2024.5)数日間ですが入院しました、前回入院した時には会社のパソコンや携帯電話を持ち込んで仕事をしながらでしたが、今回はそれは不要になりました。手術が終わって、まる二日やることがないので、入院前に近くの本屋さんで興味のあるテーマ:地政学について描かれたこの本を買いました。
著者の奥山氏の本は初めてでしたが、地政学をイギリスで勉強されたエッセンスを分かりやすく解説してあり興味を持って読むことができました。奥山氏は「地政学は学問ではない、考え方である」と言われていますが、地政学を学んでおくと、現代起きている戦争・紛争及び過去に日本を含めて様々な国が関わってきた戦争がなぜ起きたのか、なぜ -
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中国(中国共産党)が世界、特に米国、欧州、そして日本に対して行なっている見えない侵略の事実を多くの証拠とともに見える化した参考書。
もしトラのトランプ大統領候補は親中派で知られるが、バイデン現大統領の家族も中国ビジネスとは無関係ではない。
列挙されている多くの証拠の中にはすぐに想像できるもの周知のものもあるが、知られていないものがその何倍もの規模で繰り広げられているようだ。
中国4000年の歴史を権力闘争に明け暮れてきた中国が、世界を征服することのないよう、世界中で監視をしなければならないという気持ちを呼び起こしてくれる参考書。
残念ながら各国の政治的指導者たちは、無傷ではない。 -
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国際関係のアナーキー性に着目し国家間の競争に焦点を当てて分析する「リアリズム」の立場に立つ本書。著者は、自説を「オフェンシヴ・リアリズム」と称し、大国がパワーを求めることを前提にその理論を展開する。その理論では国家がパワーを求めるのは生来備わった性質ではなく、アナーキーな国際システムによる構造的なものだとする。そのシステムの下で大国の目標は自国の生存を脅かす脅威を取り除いた地域覇権国になることであり、近代以降にこの目標を唯一達成した国はアメリカ合衆国だけであるとする。
本書の一番の読みどころは、最終章の中国の台頭に関する分析だろう。それまでに近代以降の欧州、米国、日本に対して用いてきた分析枠組 -
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タイトルが気になり本書を手に取ってみた。一見すると戦争する事で生み出される利益に注目する様な刺激的な内容を想像するタイトルだが、戦争は極力避けるべきという考え方に基づいて書かれている。
筆者エドワード・ルトワックが1999年に記した同タイトルの論文について訳者のインタビュー形式にて日本語化されたもののようだ。全編にわたってベースとなる考え方は「パラドキシカル・ロジック(逆説的理論)」で、私の理解ではある一方向からみた正しさはその影響を受ける他方から見た場合、誤った見方になっているという点だろうか。良かれと思ってしている事が、実は物事の根本解決にはなっておらず、逆に本来望んでいる姿とは真逆の結果 -
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ネタバレ人生戦略の本?なかなか面白そうな出だし。
戦いにはパースペクティブ、戦略、戦術、技術といったレイヤーがあり、どれもそれぞれ重要ではあるが、そもそも論、抜本的なところから価値を目指していくにはそれまで培った技術やドメインから目を離し、武器を捨て、そもそも論にたちかえり、抽象度を上げて考えることが重要という話。
人生までも戦略や階層で整理してくれておりとても興味深い
累積戦略という観点が新鮮だった。
メモ
・自分には世界を変えられるパワーがあるのだと自覚する。個人主義。自分を持つ、自責になる。
・そもそも論で自分自身を考えるようになると人間は個人の責任を意識するようになる。
・一つ以上高いレベ