【感想・ネタバレ】戦争にチャンスを与えよのレビュー

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ビザンツ帝国の戦略

mac
2022年09月30日

一部ご紹介します。
・すべての考えられる状況において、可能な限り戦争を回避する。しかし、いつ何時戦争が勃発しても大丈夫なように行動する。
訓練を怠らないこと。常に戦闘準備を整えておくこと。
戦争準備の最大の目的は、戦争開始を余儀なくされる確率を減らすことにある。
・敵とその考え方に関する情報...続きを読むをできるだけ集め、継続的に敵の動きを監視する。
・攻撃と防御の両方で精力的に軍事行動を実施する。
多くの場合、小規模な部隊で攻撃し、総攻撃よりも斥候、襲撃および小規模な戦闘に重点を置く。
武力行使を最小限に留めることは、説得に応じる可能性のある者を説得する助けになり、
説得に応じない者を弱める助けになる。
・消耗戦争や他国の占領をしない。やるのは、「非戦闘」の機動(詭道)。
電撃戦や奇襲で、敵をかき乱し、素早く撤退する。
目的は敵を壊滅させることではない。うまくすれば敵を味方に変えてしまうこともできるからだ。
敵が複数いる場合、お互いを攻撃させるように仕向けられれば、単一の敵よりもかえって脅威は小さくなる。
・全般的な勢力均衡を変えるために同盟国を求め、戦争を首尾よく終わらせることを目指す。
外交は平時よりも戦時の方がより重要だ。
最も有用な同盟国は、敵の隣国だろう。なぜなら、彼らは敵との戦い方を熟知しているからだ。
・敵の政府転覆は勝利への最善の道である。
戦争のリスクや費用に比べれば、実に安上がりなので、積極的に行うべきである。
宗教的狂信者でさえ買収は可能である。なぜなら、狂信者はもともとクリエイティブなので、自分の大義に背く行動でさえ正当化できるものなのだ。
・外交や政府の転覆が十分でなく、戦争を行わなければならない場合、戦争は敵の強みを出させずに、敵の弱点を突く「合理的」な作戦と戦術を用いるべきである。
それには消耗戦を避け、辛抱強く徐々に相手を弱体化させることだ。
時間がかかるかもしれないが、急ぐ必要はない。
なぜなら、ある敵がいなくなってもすぐに代わりの敵が必ず現れるからだ。
・「戦わずして勝つ」ことを目指し、それでも戦争が勃発したら最小限の兵力と資源で戦争の勝利を得ることこそ理想である。
正義や道徳といった抽象的な価値の名の下に戦争を遂行するなどもってのほかである。


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Posted by ブクログ 2019年02月13日

人道介入が戦争を長引かせてしまっているのが現実だった。
どの国も人も様々な違いが必ずある。第三者はともかく、当事者同士が互いに無関係でいられる社会ではないので、干渉することなくやっていくことは難しい。

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Posted by ブクログ 2024年02月07日

2024.02.07
2017年に刊行された本だが、ロシアのウクライナ侵攻、ハマスとイスラエルの戦いが現在進行形のいま読むと示唆に富んでいることに驚く。すると、尖閣はどうなるのか!
考えると恐ろしさしかないが、そういった「思考停止」状態こそ筆者の忌むところである。

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Posted by ブクログ 2023年06月03日

タイトルが気になり本書を手に取ってみた。一見すると戦争する事で生み出される利益に注目する様な刺激的な内容を想像するタイトルだが、戦争は極力避けるべきという考え方に基づいて書かれている。
筆者エドワード・ルトワックが1999年に記した同タイトルの論文について訳者のインタビュー形式にて日本語化されたもの...続きを読むのようだ。全編にわたってベースとなる考え方は「パラドキシカル・ロジック(逆説的理論)」で、私の理解ではある一方向からみた正しさはその影響を受ける他方から見た場合、誤った見方になっているという点だろうか。良かれと思ってしている事が、実は物事の根本解決にはなっておらず、逆に本来望んでいる姿とは真逆の結果を引き起こしているという事だ。例に挙げられているものの一つに、一方的に攻撃を受けて、難民化した人々の難民キャンプを支援するNGOのケースである。食糧支援や過度の保護が、却ってキャンプ内の反撃者を増加させ、結果的に「一時的な停戦状態」を作れても、攻撃者に対する憎しみは「永久に消えない」といったものだ。こうしたパラドキシカル・ロジックを国家の戦略レベルに適用する必要性を説く。太平洋戦争での日本の真珠湾攻撃も部分的な戦術では勝利したが、最終的に日本への原子爆弾投下によって敗戦に繋がった。日本に足りなかったのは長期視点に基づく戦略があまりに甘い予想だった事もあるが、期待する同盟関係が全く役に立たなかった事が最終的な敗北に繋がった。当時同盟を結んでいたドイツ・イタリアは遥かに遠い存在であり、戦力的な面でも軍需支援もほぼ期待できない。ソ連との不可侵条約も中身が無く強固なものではないから(何より相手は簡単に裏切るソ連)、最後の最後で北方領土まで失った。日本は決定的に同盟の存在が足りてなかったと言える。ならば外交力であろうか。筆者は何より周辺諸国の情報を重視するが、これも我が国では耳が痛いインテリジェンスの話だから、当時のレーダー能力が示す様に、また現代においても期待は薄い。ならば対外的には意思をはっきり表示せよ、これは尖閣問題での中国に対する態度をはっきり示す必要性へと繋がる。
いずれにしても、日本の周辺は北朝鮮に代表される危険な国、アジア最大の経済国となったが大国として安定性に欠ける中国、そして態度を明確にせずに安全に慢心しつつ自国経済最優先する韓国と、同盟相手になり得ない国家から、同盟関係を築いてもさして得られる利益の無い国家ばかり。当面はアメリカの軍事力頼みになるのは間違いないし、その結果戦後の高度成長の恩恵が得られたのも事実だ。
筆者は日本の読者のためにか、戦国武将の武田信玄や徳川家康、織田信長も引き合いに出し、それらの戦い方や戦略における凄さにも着目している。遥か歴史上には優れたリーダーが多くいたが、再び世界に目を向け、今日本がとるべき戦略(大戦略)を真剣に考える時が来ていると、読みながら強く感じた。
現在の敵は将来の味方、その逆、今の味方は将来の敵といった様に必ずしも近視眼的に相手を選ぶのでは無く同盟国は長期視点で選ぶべきであり、また仮に不安定で先読みの難しい状況では、一時的な利用と割り切る事も必要だ。そのベースには相手を知る深い情報と、グローバル化によって距離に関係なく地球規模で影響し合う国家間の力関係を見誤らない事が重要だと感じた。

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Posted by ブクログ 2019年09月08日

表題の1999年の論文はPKOが「戦闘に巻き込まれたり、意図的に攻撃される民間人を守れないことを恐れて」「消極的な傍観者」にとどまる、と看破する。日本と同じぐらい(自国民の命を重んじる)マスコミがうるさいらしい(マスコミは本質的に左翼)セルビア。NGOの「難民支援・保護」活動は、「生地に戻れるという...続きを読む虚しい希望を抱かせて」難民状態を長期化するだけ。パレスチナ問題がまさにそうで、ハマスは失地回復でなくイスラエルの《完全な消滅》を目指している。パレスチナ人難民を国連難民救済機関が養い、その子供をハマスが教育する

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年06月15日

 なかなか挑発的なタイトルです。
 本書は経済学者、戦略家、歴史家、国防アドバイザー、シンクタンクの上級顧問といった様々な肩書を持つエドワード・ルトワックの著作。
 
 「戦争の目的は平和をもたらすことにある」

 著者は本書の中でそう説きます。
 この逆説的に思えるテーゼが何故言えるのか、それを実...続きを読む際の戦争(紛争)の歴史を振り返って説明をしてくれます。

 本書は著者が過去に寄稿したいくつかの論文で構成されています。
 そのため章ごとにテーマが変わるので、最初から最後まで一貫したテーマで通底しているわけではありません。
 いうなれば過去論文の短編集、といった感じです。

◆「1. 自己解題「戦争にチャンスを与えよ」」および「2. 論文「戦争にチャンスを与えよ」」

 冒頭にある通り、著者は「戦争は平和をもたらす」と説明します。
 太平洋戦争や第二次世界大戦後、日米や西欧諸国の間に戦争は起こっていません。
 一方でパレスチナや旧ユーゴスラビア諸国、ルワンダなど、長年にわたって紛争状態が続き、ゆえに国土が荒廃して発展の余地すらない地域が数多くある。両者の違いはどこから来るのか。著者は「外部から戦争が調停されたか否か」であるといいます。
 なぜ外部調停により停戦を迎えた紛争が長年にわたり対立状態を解消できないのか、その理由が語られます。なかなか説得力のある理論であはありますが、現代の価値観からすると受け入れづらいものでもあります。


◆「3. 尖閣に武装人員を常駐させろ(中国論)」

 ここでは、日中の尖閣諸島をめぐる対立について、日本側の「あいまいな」態度に警鐘をならしています。
 なぜ「あいまいな」態度が事態を悪化させてしまうのか。中国の特異な政体と絡めて理由が語られます。


◆「4. 対中包囲網の作り方(東アジア論)」

 中国(というよりも習近平)の野心的な行為と中国という国の幼児性・特異性が分析されると同時に、その覇権主義的な行動を抑え込むためのアジア各国およびアメリカの連携について語られています。
 中国の分析がなかなか面白い。それと同時に反中同盟から脱落しつつあるフィリピンの分析もなかなか面白い。


◆「5. 平和が戦争につながる(北朝鮮論)」

 本章は以下の指摘から始まります。

「北朝鮮は特異な政権である。特異な点として二つ挙げられるだろう。一つはリーダーのヘアスタイルがひどい、ということだ。」

 ちょっと吹き出しました。本書ではこのような表現がちょいちょい出てくるのでなかなか楽しませてくれます。
 しかしその後はまじめな話となり、北朝鮮が侮れない国であると説きます。
 そして北朝鮮に相対する日本に選択肢を提示しますが、これがなかなか厳しい。。。


◆「6. パラドキシカル・ロジックとは何か(戦略論)」

 パラドキシカル・ロジック(逆説的論理)について説明がされます。
 これは1章や2章にも通底する内容です。つまり「戦争が平和をもたらす」「敗北が勝利をもたらす(逆に勝利が敗北をもたらす)」「大国は打倒できるが、小国は打倒できない」ということ・・・。なぜそのように言えるのか?
 身近な例でいうと「中国は大洋覇権を握るために空母建設を進めているが、それがゆえに大洋覇権を握れない」。なぜそのように言えるのか。この分析はなかなか面白い。


◆「7. 「同盟」がすべてを制す(戦国武将論)」

 ここでは戦国時代の武田信玄、徳川家康、織田信長の3名を取り上げて、彼らの戦略的優秀さを語っています。
 外国人が日本の戦国大名について分析するとはなんだか違和感がありますね。ただここでの分析は一般論の範囲であり、要は戦術性と戦略性の2点が語られています。
 本章終盤のメッセージは、今の日米同盟に照らし合わせるとなかなか含蓄があります。

「「同盟」は大戦略を遂行し、勝利を獲得するうえで不可欠な選択である。あらゆること(を一国でなす)には限界があるからだ。
・・・そして、もう一つ忘れてはならないのは、「同盟」という戦略は、しばしば不快で苦難を伴うものでもある、ということだ。」


◆「8. 戦争から見たヨーロッパ」

 ここはなかなか面白い。著者の(マッチョイムズな)性格がもっともよく表れた章といえます。
 一言でいうと、「戦士の文化の衰えた国は衰退する」ということです。
 なんじゃそら!?と思いますが、ここで展開される論理がなかなか面白い。

「いずれにせよ、ここにシンプルな一つの事実がある。アンダーソン・クーパー(CNNのアンカー。すこぶるイケメンで紳士。だがゲイである。)には子供がいないが、トランプには子供が五人、孫に至っては娘のイヴァンカだけでも三人いる。将来、孫が10人から15人程度になるのはほぼ確実だ。

 もちろん、アンダーソン・クーパーはフライトアテンダントの胸を触ったことがないほど上品だろう。ところが、彼には未来がない。トランプには未来がある。」


◆「9. もし私が米国大統領顧問だったら」

 タイトル通りアメリカに提言する政策論が展開されます。それがビザンティン帝国や徳川幕府の戦略から導出されている点が面白い。
 それに著者がオバマ大統領を良く思っていないところも面白い。オバマ大統領の上品さと著者のマッチョイムズの相容れなさがよくわかります。


◆「10. 日本が国連常任理事国になる方法」

 まず著者が指摘するのは「常任理事国入りを目指して日本がとっている戦略は全くの誤りだ」という点です。
 日本はブラジル、インド、ドイツ、ナイジェリア、南アフリカなどとタッグを組んで常任理事国入りを目指しているが、これで目標を達成できる見込みはゼロである、なぜか?日本は「誰も欲しない」プランを追及しているからだ、と著者は言う。
 ではどうすればよいか?「カギを握るのはインド、そしてロシアである。」著者がこう説く論理はなかなか面白い。



 本書は上記の1,2が本書のハイライトでしょう。挑発的なタイトルですし。
 ここでのメッセージを簡単に要約するならば「対立する両者が自国のリソースを使い切るまで戦ってこそ、その後に平和が訪れる」ということです。
 もし外部の調停で生煮えの状態で戦争を終えても、両者はまだ戦う力と戦意を残しているため、その後も対立と緊張状態が解消されないのです。この状態は国土の復興と発展を妨げるわけです。

 また上記のアジェンダを通して分析される北朝鮮や中国、ロシアの性格についても興味深い。
 著者は中国を「鈍感な国」といいます。

「さらに厄介な問題がある。中国は、隣国を完全に見誤る伝統を持っている点だ。
・・・この理解力のなさは1979年の中越戦争を考えても驚きだ。
・・・つまりベトナムは、中国にとって、隣国であるだけでなく、つい最近も一度敗北した相手なのだ。にもかかわらず、今回もまた失敗を繰り返しているのである。」

 この鈍感さは中国の「組織的欠陥」に由来すると著者は言います。この分析はなかなか面白い。

 またロシアにおいて、プーチンの国民に対する態度について説明した以下の内容はおもしろい。ロシアという国と国民の特異性をよく表していると思います。

「プーチン氏が自国民に発しているメッセージは、以下のようなものだ。

”ロシア国民よ、あなた方はアメリカ人のようにリッチにはなれないし、フランス人のようにエレガントにはなれないし、イタリア人のようにおいしいものも食べれられない。しかしあなた方は、世界最大の領土を持つ帝国の人間であり、これは誰に与えられたものではなく、戦争に勝つことによってロシア人自身が獲得したのである。・・・その代わりにロシア人は耐えなければならない。帝国の人間として耐え忍んでほしい”

 このメッセージに対してロシア国民たちは「いいでしょう。あなたの言う通り耐え忍びます。国際的な経済制裁にも負けずに頑張ります」といっているのだ。」

 こういった著者の歯に衣着せぬ分析やマッチョイムズな主張はなかなかユニークです。しかしその内容には的確さがある。
 いつもは「まじめな評論家先生」の国際分析本を読んでいる方に、本書は面白い視点を与えてくれると思います。

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Posted by ブクログ 2019年01月20日

著者の根本的な考え方は「人間は戦争をするもの」であり、なくすことは困難、だったら肯定的に考える、というようだ。雄は子孫を残すために他の雄と争うという、そもそも動物的本能として、争うことは避けられないという考え方。すべての人間が平和主義者であればよいが、争いを好む男性も一定数存在する限り、戦争をなくす...続きを読むことは難しい。

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Posted by ブクログ 2018年11月25日

"コミュニケーション能力が高く、周囲の状況を俯瞰的に観察でき、腕力がすこぶる強い紳士であるべきであり、暴力が必要な場合は躊躇することなく行使できること。
現実的な世界観を持ち、真剣に平和を考えるのであれば、中途半端な停戦協定を結ぶのではなく、勝者と敗者が明確になるまで戦争を続けるべきという...続きを読むのが著者の視点。
示唆に富んだ内容、まずは先入観を持たずに読むことを進める。"

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年10月14日

自己解題、論文、インタビュー3編。訳者(インタビュア)による解説。
題名にもなっている論文「戦争にチャンスを与えよ」これは、戦争が外部の力で「中断」されることにより、永遠に「戦後」が来ない。(戦争が凍結されたまま)むしろ、当事者が戦争に疲弊し尽くすまで続けさせた方が、戦争が本当に終わる。戦後が本当に...続きを読む来る。
まあ、わからんではないが。
確かに、手厚く保護されている難民キャンプの存在が、紛争を長期化させ、難民二世、難民三世を生み出しているのは当事者から未来を奪っている側面は否定できないとは、思う。
(難民キャンプで生活している限り、避難先に同化することはない)

中国に関するインタビューで一番印象に残ったのは、
・中国は大国としての振る舞い方を知らない。
・中国は、(付き合いの長い)ベトナムのメンタリティすら理解できないでいる。
・中国相手には、曖昧戦略はむしろ誤ったシグナルになりかねないのではないか。

おち:ロシアは戦略はすごいが、経済がダメ
だが、経済センスがないからこそ、経済制裁に鈍感でいられるのかもしれないw

あと、実体験に基づくイタリアと英国の違いw
ああ、英国食ってのは、暴力と陰謀の存在を建前で否定しない紳士だよな。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年07月22日

かなり功利主義的だが,説得力がある。
少子化のところの議論はあまり納得できなかったが。

・戦争は当事者を疲弊させ平和を生む。
・第三者が中途半端に介入することで戦争が凍結され,解決されない。
・戦争を含む戦略的行動時には,パラドキシカル・ロジック(逆説的論理)が働く。
・日本が国連常任理事国に入る...続きを読むには,6カ国の協調はやめてインドと一席を共有するべき。

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Posted by ブクログ 2018年02月21日

男は戦争を好み、女は戦士を好む、そして子供が生まれる。戦争を否定すれば少子化となり国は消滅する。博識の著者の予測だけに安易に否定できない強いメッセージ。自然界と同じで肉食系が子孫を残すというのは道理だろう。

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Posted by ブクログ 2018年01月04日

難民問題、戦争にチャンスを、という話ではかなり共感した点があった。
イスラエル・パレスチナ問題を考える際には
「なんで戦争の結果なのに、こんなに残り火があるんだろう」と思う事がある。

例えば、日本はアメリカに原爆を落とされ、町は無くなり、後遺症に苦しむ人もいる。
しかし、日本人の中でアメリカに憎し...続きを読むみを抱いている人はその割に少なく、もはや憧れの対象である。

それは、本書で述べているように、残り火さえなくなるくらいはっきりとした勝敗がつき、人々が敗戦を認め、復興に尽力したから今の日本があるのだと思う。

だが、中東問題においては、他国々が口を出し(問題の根本が他国から始まっているというのもあると思うが)パレスチ人を難民キャンプに匿い、その中でイスラエルへの憎しみを育ててしまった事は問題を永久に保存する手助けをしたのではないかと思う。

エドワード・ルトワックの述べていることはかなり現実離れしているのではないかと感じる事も多いが、それも見方としては面白いと思う。

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Posted by ブクログ 2017年11月15日

 本書はルトワックの書下ろしではなく、訳者である奥山真司氏との東京での対談を10章に分けて収録したものである。一部は、文藝春秋誌に掲載されている。
 対談は2016年10月で米大統領選の直前の時期である。彼の自説であるパラドックスの論理をもとに、対中国や対北朝鮮の戦略や、日本の戦国武将論、ヨーロッパ...続きを読む論、ビザンティン帝国、国連常任理事国、など日本の取るべき戦略論を展開している。織田信長や武田信玄など、よく勉強している。
 ただ、このルトワック戦略を日本がそのまま採用することはないであろう。実行にはやや無理がある。ただ、ひとつの考え方として興味深く、頭の体操としてはいいと思う。
 現代の戦略論大家として、今後も注目していきたい。

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Posted by ブクログ 2017年09月17日

些か煽情的なタイトルの本書。
内容としては、1999年にforeign affairsに掲載された同タイトルの論文を中心として、2016年に東京でインタビューされた記事によって構成されている。
要点としては①「戦争は平和へとつながる。中途半端に止めなければ」②「戦術の成否は戦略の成否とはつながってい...続きを読むない」③「イギリス凄い」④「強い国との同盟は大切」あたりだろうか。
①が本書の大きな柱の一つを成している。中途半端に止めることは、戦争から平和へとつながる「決定的な勝利」と「戦争による疲弊」の流れを滞らせ、戦闘状態を凍結するだけである。実例としては、アメリカのアフガン紛争、イラク戦争介入、ルワンダ大虐殺の際のNGO支援、パレスチナ・イスラエル紛争への国連の紛争介入など。戦闘状態が中途半端にとどめ置かれたことにより、戦後復興が行われず、難民は難民のままテロの温床となってしまう。著者が提唱する、戦時には平時とは異なる論理が通じるとする「paradoxical logic」として、「戦争が平和につながり、平和が戦争を呼び起こす」
他には、日本の周辺国である中国、北朝鮮、ロシアなどの分析に頁が割かれている。近頃ミサイルの発射実験のほか、水爆の実験にも成功したと推測され、脅威の水準が近頃急激に上昇している北朝鮮に対し、降伏、先制攻撃、抑止、防衛、何もしないという選択肢があり、現状は何もしないという選択しかしていないと筆者は指摘する。これまでの経済制裁は効果を上げておらず、ミサイル防衛、核装備など明確な力で抑止につなげないと戦争を招きかねないと。
ほかにはイスラムに飲み込まれるヨーロッパなど、この点は他論者にも指摘され始めてきた事柄のため、ここではあえて深い言及は避ける。
全体としてさっくりしているものの、ここ数年の東アジア情勢を俯瞰するうえでは有効な書ではなかろうか。

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Posted by ブクログ 2017年08月13日

戦争を、平和の世界から見てはならない、と何かの本で読んだ記憶があって、そのことを証明する内容だった。

この国で、戦争にチャンスを与えよ、だなんて、刺激の強い題名をつけたものだと本屋で見かけ、つい購入。

ワイドショーやニュース、新聞、それにまつわる様々な人々のコメント、それらはただ、弾も何も飛んで...続きを読むこない場で行われていて、今目の前をどうにかする、数年の間にっていう考え方でしかなくて、実際それらは半世紀以上の覚悟がいるのだ。
でもそれは、戦争が、先の大戦でしかないこの国の人じゃ考えられないんじゃないかと考えされられた。
学校で、世界は広いなどと言われるけれど、言ってる人たちの頭の中の世界は、さほど広くはなかったのだ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年07月30日

【文章】
 読み易い
【気付き】
 ★★★★・
【ハマり】
 ★★★★・
【共感度】
 ★★★★・

相対する概念というのは常にお互いを内包し合って存在している。

平和は戦争が終わったのあとに訪れる。
戦争が中途半端に打ち切られた後には平和はやってこない。

外部組織が戦争を途中でやめさせる事によ...続きを読むり、小競り合いが続き、復興もままならない状態へと陥ってしまう。
介入するのなら、最期まで責任を持つ覚悟がなければならない。

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Posted by ブクログ 2017年07月10日

金正恩の髪型やモンテカルロの娼婦など冗談か本気かわからない話も出てきてそれがちょこちょこ笑わせる。その他はルトワックの戦略思想について本人が語ったインタビュー集といったところ。不安定で隣国を理解しない中国、あいまいさが誤解を生む日本の対応、パラドキシカルロジック、イギリスなどのディシプリン、オデュッ...続きを読むセイアとイーリアスなどなどについて。

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Posted by ブクログ 2017年06月29日

昔から思ってたことが書かれてた。

他国の紛争に中途半端に介入して、それで平和になるわけでなく、紛争状態がだらだら続くだけなのが不思議で、いっそどっちかに肩入れしてさっさと終わらさせちゃえば良いのにと思ってた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年06月26日

アメリカ戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問。戦略家。歴史家。経済学者。
ルーマニアのトランシルバニア地方のアラド生まれ。イタリア、イギリス軍にて教育を受ける。一時イスラエルに居住。第3次中東戦争と第4次中東戦争を戦っている(陸戦でそれなりの戦果をあげている様子)。ロンドン大学で経済学の学位を取っ...続きを読むたのちアメリカのジョンホプキンス大学で1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用。専門は軍事史、軍事戦略研究、安全保障論。国防省の官僚や軍のアドバイザー。ホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーも歴任。著書に「中国4.0」「自滅する中国〜なぜ世界帝国になれないのか」「クーデター入門ーその攻防の技術」他多数

全体のトーンとしては非常にエキセントリックで、実際の兵士や民間人の立場としてより、純粋な軍師、戦略家として、戦争という状態を人類のエコシステムの一部と捉え、それをあえて紛争から中途半端に抑えたり、人道支援として介入する国連、NGO等の戦争、紛争状態からの回避、支援が、かえって不安定状況の悪化、より非道い紛争を招く、という、読者に知的挑戦を与えている。これはシステム思考論におけるレバレッジポイントの考え方に似ており、(システム思考の求めているところとは異なるが)あえて平和という状態を無理に維持して、腐敗や不満の鬱屈をため込んだ不安定な状況を解放するためにあえて手放す(システム思考の中にも手放すことでレバレッジを得るというポイントがある)ことで戦争状態に放置する(争いが起こったら不介入で鎮まるのを待つことでそのエネルギーの解放により、平和という状態が確保できるという視点を持ち込んでいる。(著者は戦争を好んでいるわけではないし、避けるべきだとするが、避けざるを得ない状況になると、回避すべきではない、その代わり選択肢として戦略的思考による同盟の構築や電撃戦、欺瞞や包囲殲滅戦、戦略的な撤退等、総力戦は絶対避けるべきとの考え方をしている。また、敵との対応もインテリジェンスを駆使し、可能であれば買収する等、あらゆる手段を取るべきだ(戦争になってもドアは開け続け、交渉を継続すべきというインテリジェンス論(彼の独自の考え方で戦略は政治より強いという考え方がある)をベースに知的戦略論を読者に提示することで新たな視点を紹介している。

個人的にはあえてABC兵器等の非人道的及び人類の存亡に関わる兵器の使用について、忌避して書かれているようにも見えることから、1960年代のMAD(Mutual Assured Destructive:相互確証破壊)戦略等の戦略自体が狂っている状態からは距離を置いているところが気になるところである。

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Posted by ブクログ 2018年12月20日

2016年10月来日時のインタビューをまとめたもの。戦略的思考の方法など語ってる。
ちょうど米大統領選でゴタゴタしてたころで,オバマ外交はダメだとか,日本外交へのアドバイスとか,そういった話も。

表題の意味は,「当事者が疲弊しないうちに外部の介入で停止された戦争は,次の争いの火種を残してしまい,長...続きを読む期的な平和にはつながらない。とことんやった上で終わった戦争こそが真の平和をもたらすのだ」ってことだそうで,ちょっとにわかには受け容れがたい命題だ。リアリズムというより

さらに,欧州の衰退を論じているところ,随分雑な感じでいろんな方面から反感を買いそう。曰く「戦いが、『野蛮』で『原始的』で『後退的』とみなされるようになれば、子供は生まれなくなる。『男は戦いを好み、女は戦士を好む』という文化を失った国は、いずれ消滅する」p.168

その例示がまたひどい。CNNのクーパー氏(ゲイのイケメン)とトランプ(子供が5人,孫も二桁)を挙げて,「クーパーは、フライトアテンダントの胸など触ったことがないほど上品だろう。ところが、彼には未来がない。トランプには未来がある」p.170
…えっ…?こんなので戦略家…?って感じである

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Posted by ブクログ 2018年12月09日

・戦争は「現象」である。
・戦争の最大の役割は、「戦争をしたい」当事者の感情を疲弊させ、最終的に、その後の「平和」を生み出す。
・「当事者の感情=火」が燃え尽きる前に紛争を凍結してはならない。結局、長期化し、そこで争われている本当の問題は解決しない。
・こちらの動きが、相手に戦略的なメッセージとして...続きを読む明確に伝わることが重要。
・「あいまいなメッセージ」ではなく、例えば「尖閣諸島を守る」という明確なメッセージ(人員を常駐させる)を伝えるべき。
・優れた軍事力で相手にサプライズを与えても、外交や同盟で負けていれば最終的には勝てない。戦前のドイツと今日の中国は同じ。
・ドイツ・ブラジル等との「チームの一員としての常任理事国入り」は誰も欲しないプランである。特にスペイン語圏のラテンアメリカ諸国はブラジルを望まないし、ヨーロッパにはドイツを支持する国はない。アフリカも自国すら統治できていない。インドは別。日本はインドとの共同管理を狙う。

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Posted by ブクログ 2018年02月07日

論文とインタビューを纏めた本だけあって、ルトワック氏のいつもの論調、という印象。
8章だけは頂けない。理屈も結論も共感できない。あとは程よく逆説に満ちておもしろい。

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Posted by ブクログ 2017年06月18日

★戦争にチャンスを与えよ
・戦争の目的は平和をもたらすこと、
・戦争の妨害=平和はもたらされない=決定的な勝利、戦争による疲弊という終戦要因が阻害される
・NGO、国連等の無責任な介入が戦争を長引かせる
・和平合意、難民移住などに関する責任をすべて引き受ける
覚悟がある場合はOK
・難民キャンプが自...続きを読む然な拡散を阻害し難民、紛争を永続化させる

★尖閣に武装人員を常勤させる提案
★同盟こそ最強の戦略、軍事力のみでは負ける。

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Posted by ブクログ 2017年06月04日

中国4.0の続刊というポジショニングで、前書で導入した戦略の逆説的論理、大国小国理論などを、中国に閉じない形にgeneralizeして戦争の有用性を説いている。が、結局中国集中砲火に再帰結している気がしないでもない。

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