エドワード・ルトワックの一覧
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ユーザーレビュー
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2018年トランプ政権下で出版された軍事専門家による国家戦略論
日本の高度な戦略文化論から入る
1.0 江戸システム 幕藩体制をもって敵を消失させる戦略論
2.0 明治システム 西洋近代から日本を防衛し、近代化を達成した戦略
3.0 戦後システム 防衛費をGNPの1%に抑えながら経済大国に
...続きを読む押し上げた戦略
4.0 今求められているシステム 北朝鮮の核や、中国の尖閣から日本を守るために必要な戦略
4.0に必要なもの
①北朝鮮のすべての核関連施設とすべてのミサイルを排除するために、先制攻撃を行う能力
②国家の衰退を防ぐために少子化を解消する。
③アメリカの同盟軍としての期待を捨て、日本はみずからを防衛するために、自前の国家安全保障を行うべきであり、そのために必要になるが「作戦実行メンタリティ」である。
④これまで用意してこなかった、防衛のための攻撃能力を手に入れるために、早急に手にいれるべきは、現実的な戦闘能力である。ズルをしても相手にかつこと。である。
⑤実戦の混乱した状況化でのみ、本物の戦闘能力を培うことができる。パレードで素晴らしい動きをする軍は、そのための訓練しかしておらず、弱い。
自衛隊に必要なのは、 ①常にアクションを仕掛けること、②即興性を恐れないこと ③リスクをとること だ。
⑥特殊部隊の育成が必要。冷戦後に大規模な戦闘は起きにくくなっている。大量に兵士が死ぬことは大きなリスクであり、たとえ高額な費用が発生しても、空爆やドローンのような
攻撃を大国はとっている。だが、その対象は、少数の敵であり、数万という空爆はあまりにも、非効率なのである。
朝鮮半島の置かれている状況
・防空システムは前近代的、
・中国が援助をしているにもかかわらず、核実験などを行い、中国の国益を損ね、中国の面子をつぶしているにがにがしい同盟国
・アメリカは北朝鮮を中国に渡すことはできない。そうなれば、朝鮮半島に中国軍がなだれこんでくる
・アメリカにとって、韓国は守るに値しない国である。38度線に近いソウルから南に経済を移転するように進言したにもかかわらず、韓国は実行していない。
・脆弱な韓国軍を補完するために、西ドイツとイタリアから武器をただ同然で導入できなにもかかわらず、韓国は自国での開発を優先した。
・トランプの戦略は、核を放棄した北朝鮮がアメリカの保護下で経済的に成長するための援助をすることであったが、うまくいっていない。ちなみに、南アと、リビアではうまく行った。
現代は、地政学(フィオポリティックス)から地経学(ジオエコノミックス)を重視する時代にはいった
地経学とは、地政学+経済+貿易 米中の対決でトランプが採用している戦略は、地経学をベースに組み立てられていることを語る
中国は、過去の時代に受けていた優遇措置をつかって、アメリカに経済的な挑戦をおこなっていて、トランプはその特恵を取り去ろうとしている。
軍事と密接に組みあわさった、経済、貿易の交渉はある面妥当なのである。
イノベーションは、過去、小さな組織から起こっていて、中国、アメリカの規模からは、かならずしも継続的に起こるかどうかは定かデハナイ。シリコンバレイは、官僚的なインド人が増えてきていて、ITなど技術の中心がかわりつつあることを最後に示唆している。
目次
第1章 日本4.0とは何か
第2章 北朝鮮の非核化は可能か
第3章 自衛隊進化論
第4章 日本は核武装すべきではない
第5章 自衛隊のための特殊部隊論
第6章 冷戦後に戦争の文化が終わった
第7章 「リスク回避」が戦争を長期化させる
第8章 地政学から、地経学へ
第9章 米中が戦う地経学的紛争
訳者解説
Posted by ブクログ
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日本のやるべきことはよくわかる。それをやっていないこともよくわかる。どうすれば良いかは読書が考えるほかない。
Posted by ブクログ
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字数は少ないが内容は豊富な本。
2021年現在の国際環境は、日本にとってかなり有利になっている。チャイナ4.0の戦狼外交はチャイナ2.0の悪化版。世界的に反中ムードが高まっている。シーパワー=海軍力、マリタイムパワー=海洋力で、これは中国の理解していない同盟の戦略。
人材が常に入れ替わるため、ジェッ
...続きを読むトエンジンのようなチームワークが必要な技術は開発できない。
日本が中国に対する戦略としては、冷戦期にスウェーデンがソ連とフィンランド国境に精鋭を配置したように、中立のまま台湾を支援できるような体勢をとることで抑止する。そして習近平をつまづかせる、すなわち中国からの様々な要請に全てノーと答えて習近平は失敗していると中国国内に印象付けること。
軍事テクノロジーの逆説として戦車と機関銃の話を挙げている。機関銃は陸軍のどの職種も採用せず、旅順ではロシアの水兵が使っていたことは面白い。戦車も英海軍の航空部隊から始まりチャーチルが承認、本来の任務を隠すために水槽(タンク)を開発していると欺瞞していた。
中東の木の枝と蛇の寓話。木の枝に意思はないが蛇にはある。相手は木の枝ではなく蛇であることを認識する重要性。
なんで中国はあんなことするんだろう、言うんだろうという疑問については「国内のことばかりで他者が見えていないから。文明論的にも対等は他国はおらず強者か弱者という見方しかできない」と簡潔な解答を与えてくれた。
Posted by ブクログ
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予想以上におもしろい本でした。現代中国については、とにかく猛烈な経済成長をしているので、経済力で世界第一位となるのは時間の問題なので、習近平の支配が成功していると考えたくなります。彼は政敵になる可能性のある共産党員幹部たちなんと153万7000人を虐殺や投獄によって一掃し、憲法改正までして終身国家
...続きを読む主席という地位を確保して独裁者となりました。
任期が決まっていて、後継者は選挙で選ばれるなら、クーデターによる暗殺の影に怯える必要はあまりないのですが、終身独裁者は常に暗殺に怯えて政敵を抹殺し続けなければならないところに彼の最大の弱みがある。そして彼がその地位を守るためには、経済成長と国力拡張を臣民に見せ続けなければならない。そして彼の強気な一帯一路や香港や台湾併合をめざす膨張路線はあらゆるところでトラブルを引き起こしている。
この本は、戦略の逆説的論理(パラドキシカル・ロジック)についてさまざまな実例を紹介しながら説明してくれます。戦争が平和をもたらし、平和が戦争の原因となるということいついて我々は危機感を持らなければならない。
台湾は徴兵制を廃止して国防をアメリカ任せにすることで、経済的な発展と平和を享受していますが、その姿は日本とまるで一緒である。こういう視点から現代情勢を見つめ直すことが、平和ボケした日本人には必要だと思いました。
Posted by ブクログ
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ルトワックの日本への指南書(前半)とグローバルな情勢分析。
題名の日本4.0とは、日本の戦略文化について、内戦を一掃した徳川幕府を1.0、西欧の帝国主義に飲み込まれないための明治政府の近代化政策が2.0、戦後の軍事面での弱体を日米安保に依存して経済に全力集中した3.0と整理する。その上で、3.0の
...続きを読む構造は抑止が効く中露にはともかく、抑止できない北朝鮮との間では、自らの身を自らで守る必要があり、4.0と言うべき戦略文化に移行すべきというもの。
方法論としては、少子化の傾向を変えて、イノベーションや経済成長の基盤を維持し、北との関係で持っても使えない核兵器は持たず、代わりに実戦的な先制攻撃力や特殊部隊を確保することを挙げている。パレードだけ上手い軍隊を戦えないと非難して、イスラエルやフィンランドのように脅威に晒されている国の軍隊のリアリティを称賛している。
また、リアリティについては、第二次大戦後に、ポストヒロイックウォーとして、犠牲を避ける傾向がアメリカ軍でも強まっていることを指摘。イスラエルの単純な作戦と異なり、完璧を見据えて作戦規模が拡大して本末転倒になっている状況を指摘している。また、マティスやペトレイアスについても、politically correctな軍人で軍事合理性を欠いていると批判。要するにリスクを恐れない戦士の文化が消えつつあるということ。
また、最後の章で地政学から地経学という視点で米中対立を分析。
リアリスティックに戦士の文化を効率的に追求し、新たな戦略文化に至ること、これが現在日本の課題である。
Posted by ブクログ
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