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2000年以降、中国は三度、その戦略を転換してきた。
「チャイナ1.0」 =平和的台頭
「チャイナ2.0」 =対外強硬路線
「チャイナ3.0」 =選択的攻撃
来たる「チャイナ4.0」とは、どのような戦略なのか? そして日本がとるべき道とは。
戦略論の分野で世界的な名声を確立した本物のストラテジストが語る。
戦略家ルトワックのセオリー
・大国は小国に勝てない
・中国は戦略が下手である
・中国は外国を理解できない
・「米中G2論」は中国の妄想
・習近平は正しい情報を手にしていない
・習近平暗殺の可能性
・日本は中国軍の尖閣占拠に備えるべし
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Posted by ブクログ
企業間や人間関係にも使えそう、なるほどと思ったことのいくつかを。
「国の規模が大きいほど外国への理解度は低くなる」
企業でも同じことが言えると。
「大国は小国に勝てない」
他国連携要素が生じてしまう。
国家そのものの性質、国体を見抜き理解し、どう取り扱うかが重要。
代表的なアメリカ人は「人類には文化を超えた普遍的な性質がある」と心の底から信じている。
人種的、文化的なバックグラウンドを公の場で表面するのが憚れる国がアメリカ。違っているから相容れないことがある、とは微塵も考えない。
人種差別主義者と思われたら、人として終わった扱いになる。
Posted by ブクログ
稀代の戦略家と呼ばれる著者による中国論。
以下、本書より。
【日本政府への提言】
(2016年3月20日発行)
最後に現在の安倍首相や日本の対外政策担当者に向けて注意を喚起して、本書の結びとしたい。
「慎重で忍耐強い対応」というのは、通常はほぼ全ての国に対して勧められるもの。
だが、私がここで強調したいのは、中国のような規模が大きく、独裁的で不安定な国家に対しては、それが逆効果という事。
中国は、15年のうちに3度も政策を変更している。
さらに作戦レベルや現場レベルで、ソ連でさえ決して許さなかったような軍事冒険主義が実質的に容認されている。
これに対抗するには、有事に自動的に発動される迅速な対応策が予め用意されていなければならない。
中国が突然、尖閣に上陸した時、それに素早く対応できず、そこから対応策を検討し始めたり、米国に相談を持ちかけたりするようでは、大きな失敗に繋がるだろう。
現在の中国のような国家に対処するには、所謂「標準作戦手順」のようなものが必要。
これは予め合意・準備された行動計画の事。
慎重で相談しながらの忍耐強い対応は、相手もそれができる政府でなければ逆効果。
アルカイダ・マグレブのマリ占領に直面したフランスが、もし「慎重で忍耐強い対応」をしていたら手遅れになっていただろう。
国連やNATOで対応策を練っていたら間に合わなかった筈。
しかしフランスは、予め行動計画を準備していたからこそ、迅速に対応できた。
既に述べたように、日本は米国を頼りにしつつも、同時に全面的には頼るべきではない。
特に尖閣問題についてはそう言える。
現在の日本は、米国と同盟を組みながら中国に対峙しているが、ここで決定的に重要なのは、日本側からは何も仕掛けるべきではないという事。
つまり逆説的だが、日本は戦略を持つべきではないし、大きな計画を作るべきではないし、対応は全て「反応的」なものにすべき。
これが本書の結論。
巨大で不安定で予測不可能な中国に対し、敢えて積極的な計画をもって対抗しようとするのは、そもそも馬鹿げた事であり、成功する筈がない。
何が起きるかは予測不可能だから。
従って寧ろそれぞれ独立して多岐に渡る能力に支えられた「受動的な封じ込め政策」を行うべき。
真珠湾攻撃のようなアタックや、逆に平和イニシアチブなども進めずに、日本はひたすら受動的な「封じ込め政策」に徹するべき。
米国には、政府を批判しながら「イニシアチブを取れ!戦略がない!計画がない!」と「戦略」の推進を主張する愚かな人間がいる。
これは全く余計な事。
日本でこのような声が大きくならない事を祈るばかり。
Posted by ブクログ
中国を戦略的な視点から視ていることで、
中国の違った姿が 浮き彫りになる。
このルトワックという人は、スゴイな。
【エドワードルトワックの戦略論】
習近平が 『核心的リーダー』として登場している。
その意味を知るものはなく、
それを決めることができるのは、
習近平だけと言う中国の現実。
2000年以降、中国は三度、その戦略を転換してきた。
「チャイナ1.0」 =平和的台頭
『中国の国際舞台の台頭、経済は日本を超え、アメリカに迫る』
国際舞台には、戦略のロジックがあるが、それを抑えた。
「チャイナ2.0」 =対外強硬路線;胡錦濤時代
戦略ロジックを発動させた。大国の錯覚。
『胡錦濤は権力を充分に行使していない弱腰政権リーダー』
2014年秋に 間違いに気がついた。反中同盟ができた。
「チャイナ3.0」 =選択的攻撃
フィリピンに対する攻撃。
フィリピンのエリートは中華系。そして文化的に反米である。
→しかし、反発された。
インドに対する攻撃。
2009年から2014年まで、インドとの国境侵入事件を起こした。
そして、中国は スリランカに基地をつくろうとしている。
金はチカラなり という錯覚。
国力と経済力はちがうことを 強調。
イギリスもフランスも いまだに国力がある。
経済力が先行し、国力がおくれてやってくる。
経済力でごり押しすればなんとかなる。
2008年から2009年
線的な予測をすることで、中国はさらに伸びて行く。
アメリカは沈み、中国は昇る。
China Up,US down.
これは、ゴールドマンサックスの予測だった。
中国の主張した 九段線。
蒋介石の主張した 十一段線をベースにしている。
大国は 二国間の関係を保てず、
第三国が 支援する構造があり、想いのままにならない。
パラドキシカルロジック 逆説的論理。
2013年 ベトナムの反発。
中国のベトナム沖の石油プラットホームに対するベトナムの対応。
中国は 海のゲームでは勝ったが 地のゲームでは苦戦した。
最初の一手があれば 当然それに対する反応があることを
理解していなかったこと。
日米同盟の弱点
アメリカが領有権争いでは、中立の立ち場を貫く。
靖国神社参拝に対してアメリカは距離をもっている。
『ロシアは戦略をのぞいてすべてダメだが、
中国は戦略以外はすべてうまい。』
『中国が失敗したのは、自分たちの都合の良い日本を勝手にでっち上げたことによる。』
中国の主張をおしつけようとしたが、
自分たちの主張をおしつけることができなかった。
おなじように 『都合の良いアメリカ』もつくることになる。
『大国というのは、ある要求をする前に、それが成功するかどうかを見極めるものだ。
そしてロシアがそうであるように、一旦要求を表明すれば、そこから動きを止めることはない。
成功するまで行動しつづけるからだ。』
習近平のリスクは 党や軍を敵に回しかねない。
2015年9月の習近平の訪米は 失敗だった。
アメリカに対して 対等になったと言うイメージアップ。
G2 中国とアメリカの『新型大国関係』
これは、キッシンジャーが 中国に売り込んだ。
中国は 内向きであり 『自分たちに都合の良い外の世界』を
『発明』する。この『発明』は、日々更新され、強化される。
『百年国恥』の借りを返したやりたい。
『人類の歴史は、長きにわたる犯行と愚行の歴史』
冷静な判断をすべき時にできないという愚行。
中国という国の性質 『国体』
習近平を一体誰が選んだのだ?
習近平は 共産党支配を破壊しつつある。
反腐敗運動は どこに進むのか?
共産党が つくりあげてきたものは 腐敗にまみれていても
今の中国をつくりあげたことは 確かなのだ。
毛沢東のエンジンは イデオロギーだった。
共産主義を求心力とした。
鄧小平は マネーを求心力とした。
『イデオロギー志向』『権力志向』『マネー志向』
の共産党に、優秀な若者が 入らなくなっている現実がある。
習近平は 美しい妻をもち、共産党 政府 軍隊の権力を持っている。
当然、お金は 余るほどある。
しかし、もっていないものがある。
『真実を伝えてくれる人材』がいない。
情報のフィードバックシステムがない。
韓国がなぜ日本嫌いなのか?
それは、自分たちの祖父たちを恥じているからだ。
そのうらみが、現在の日本人にむけられている。
変数とは 政府の決定により変化する政策
パラメータとは 国体 である。
習近平は 中国と言う国体 を守ることができるのか?
中国4.0
1 九段線を引っ込める
2 空母の建造をやめること
中国の問題は 外国を理解できず、それゆえまともな外国との交渉もできない。
中国の戦略的な文化は 内的なコンセンサスの欠如。外的な理解の欠如。
『シーパワー』;海における軍事力。
『海洋パワー』;他国との関係で生まれるもの。
『大国は小国にかてない。』
日本は『慎重で忍耐強い対応』は 中国には逆効果である。
重要なキイワード
1 パラドックス
『今日成功した戦略は、明日は必ず失敗する。なぜなら それは今日成功したからだ。』
2 大国論
『大国は小国に勝てない。』
『国が大きいほど外国への理解度は低くなる』
3 感情論
4 戦略文化というパラメータ
『文化決定論』
『戦略文化』『戦略も文化に馴染みがない』
→内向きの権力闘争の戦略はあっても、外向きな戦略はなく
外は 内むけように『都合のいいように』編集する。
戦略を論じる場合に どこに足場をおくかで
かなり違ってくる。この戦略論は アメリカを軸にしながら
日本を足場にして考察していることで、かなり違った風景が生まれてくるのである。
もちろん 仮想敵国の 中国を 主なターゲットとする。
Posted by ブクログ
旧帝国海軍が先の大戦で真珠湾攻撃を成功させながら、戦争自体に敗れたのは言うまでもなく、戦術面で勝利しながら戦略面で負けていたからである。日本側は希望的観測で真珠湾で大打撃を与えれば、当面はアメリカは太平洋に進出できず、あわよくばアメリカ国民の感情を挫き、早期和平に持ち込めると読んだからに他ならない。歴史が示す通り、これは全く逆効果で、そもそも中国進出を狙っていたアメリカが日本側に最初の一手を打たせ、国民に復讐心による戦争参加を促す目的だった事が明らかになっている。これはアメリカが大局的には日本より遥かに先を読み、展開を予測できていたからに他ならない。アメリカの国力を知っていた山本五十六ですら、日本国民感情に押され前面に立たなければならなかった事、更には海軍の腕試し的な要素、そして一撃論の中でそれらが複雑に絡み合う状況及び潮流には逆らう事が出来なかった。
一つの例ではあるが、戦術よりも戦略が重要なのは言うまでもなく、本書はそのような戦略論において世の中を席巻するエドワード・ルトワック氏の著書である。氏の提唱した「逆説的論理(パラドキシカル・ロジック)」は戦略理論の議論に革命を起こしたと言われ、様々な戦略理論の教材としても用いられているとの事である。また各国を訪問し国家的戦略のアドバイスをするなど、精力的に世界を駆け回っている。逆説的論理とは「大国は小国に勝てない」の考えの下、大国が小国を攻めれば、必ず小国に味方・支援する他の大国が現れ敵対するため、結果的には始めに攻めた大国の方が不利益を被るといった例が代表的だ。戦力や資源に豊富な国であればあるほど、勝てる見込みは線形(リニア)に増加するだろうが、実際の世の中は、それに対抗する他国との関係性により成り立っている事をよく表している。簡単な例で言うなら、攻め込めば攻め込むほど兵站が伸びて、いつか息切れすると言ったものもこれに含まれる。人的・兵器・食料全てにおいて限界点があるからだ。
氏は本書において、近年の中国の戦略面の変化を例に述べており、それを「中国(チャイナ)1.0〜4.0」のフェーズに分けて論じている。中でも平和路線から拡大路線(強大な経済力を背景に力を外へ向け始めた)へ変化した2.0については、今でも諸外国から敵視され続ける中国戦略の大失敗と見ているようだ。実際には民主政治でトップが選ばれる西側諸国から見たときに、習近平氏が国家の上にある共産党からの指名により選ばれる体制であるから、何やら得体の知れない政治的な違いなども原因であるとは思うが。その様な中国も本書が記された2016年以降も引き続き経済は拡大し、習氏もかれこれ3選を果たして健在である。
中国を始めとして各国が戦略を見誤るのは、他国を100%正確に理解する事が難しく、社会のすべての要素に対して政治で最大効果を発揮する事が不可能だからだ。税をとれば国民は不満を言うが、病気や怪我で社会的な弱者になった時には助けられる。自衛隊に反対しながら、万が一中国が尖閣を奪いに来た時には必要性を感じる。沖縄の基地や米軍に憤りながら、いざ無くなれば中国の格好の餌食になる。世の中はそれら様々なバランスで成り立つし、そこに登場する各国の文化や主義が絡み合うから、誰にもはっきりとした事がわからない。だからと言ってそれを考えずに過ごすことも出来ない。様々なケースを考慮しながら、確率的に高いものをベースにして方向性(戦略)を見出せなければ、国は簡単に衰退してしまう。だから政治家を称賛するつもりはないが、その苦労は解る。
氏は本書最後に日本が採るべき戦略について述べる。隣に中国という大国と向き合い、尖閣だけでなく沖縄までをも奪い合う日が来るかもしれない。台湾については言うまでもない。更にその先にはプーチン率いるロシア、そして長年日本を支配しながらもかつての勢いが減速し、迫り来る中国やインドなどの超人口大国に追われるアメリカ。イギリスが撤退し団結力の試されるEUヨーロッパ連合。世界は今やネットも移動手段も遥かに高速になり繋がりを強めている。四海を海に守られている日本という幻想も最早無いに等しい。仮に尖閣諸島を中国が奪いに来たならアメリカは手助けはしないだろう。何故ならアメリカが動けば世界大戦になる事は明白だし、そもそもアメリカの国家戦略上、他国の領土紛争には(ウクライナを見ても解る通り)前面に出て戦う様な事はしない。であれば島嶼防衛は日本自らが解決しなければならない問題であり、流石に今の世の中、中国だって他国の領土を攻めたりしないだろう、というのは過去の日本が犯した戦略ミスと同じ事だ。日本人と中国人では言葉も文化も考え方も違う。先ずは我々一人一人が自分事として、各人の戦略を描かなければならない事を本書は教えてくれているのかもしれない。果たして自分の人生にさえ戦略などあったであろうか。反省に繋がる一冊である。
Posted by ブクログ
中国という国は日本から見ると、あるいは日本人から見ると色々な評価がある国である
お隣さんなのだから当然ではあるが
自分はネガティブな目では見ていないというのが本音
中国人として生まれてくれば良かったなんてことは絶対に思わないのだけど、中国という国は興味に値する国だと思う
韓国という国もあり、両国は反日という点で共通点がある
しかし、韓国、あるいは韓国人は「日本は歴史的に間違ったことをした」「日本は問題がある」といった結論ありきの語り方をする人が多いと思う
中国人はどちらかというと、日本の立場や日本の考え方といったところを説明すれば、その意見には耳を傾けてくれる
話にならない韓国人
話になる中国人
これが自分が多くの中国人や韓国人とつきあってきた中での両国の評価
もちろん、全員が全員ではないが
前置きが長くなったが、そういったことで中国には興味を持っているし、もっとわかりたいという思いがある
そんな中で手にとったこの本
中国、もちろん近代中国というか、中華人民共和国になってからの話だけれども、筆者としては中国の段階が3つあり、これからが4つ目の段階になるよ
その4つ目の段階では戦略的にこういった事をした方が良いよという内容
1つ目の段階、中国1.0
鄧小平さんの時代の事を指していたと思う
天安門の事件もあったが、中国も成長し始めた頃であり、周辺国もそこまで中国に警戒していない時代
。。。と言う事だが、日本はその頃から一定程度の警戒があった気がする
まぁ経済力で日本を超えてしまう可能性があるという点の警戒かな
「そんな事は起きない」「中国経済は日本を超えない」そういった本が一部の日本人の希望通りの内容で、一定の人気があった気がする
この本の筆者の評価としては、この頃の中国は周辺国とうまくやっていて、経済成長も期待できる非常に良い国だったというところ
2つ目の段階、中国2.0
この辺りで中国は戦略的に間違いを起こしたらしい
ここは胡錦濤さんの辺りを指していたと思う
中国の中で自信が生まれてきた事で周辺国への侵略的な行為が見えてきたと
ここで興味深い内容が「大国は小国に勝てない」「大国は自分の判断で他国に対する軍事行動を起こせる国」というような内容
非常に腹落ちした
大国が小国を攻めようとすると、その大国を警戒する他国、特に他の大国が小国側につく事で力の均衡が図られると
また、大国の定義として挙げられていたのがフランス
フランスはすでに経済力ではアメリカやドイツ、、、日本から見ても下にはなる訳だが、近年、アフリカのマリへの軍事侵攻を起こした
侵略した訳ではないが、イスラム武装勢力がいたのでその勢力を一掃するための軍事侵攻だった
こういった事ができるのが大国だと
なるほど、それは日本は絶対にできない
中国もインドとかともめていたりするけど、大国というには少し微妙なのかなと思ったりもした
まぁそういう事で、1.0のまま周辺国と揉めずに成長していけばアメリカを超す超大国になれたかもしれないのに、、、というのが中国2.0
そして第3段階
これは現在の習近平さん
ここは自分としても2.0との違いがよく分からずだったのだが、筆者からすると微妙に違うらしい
だが、結局周辺国と揉めているって事は変わらずなので、中国にとって良い方向じゃないよねという話らしい
で、筆者が言いたいのが中国4.0
やはり中国1.0に戻るべきだという話
南シナ海で埋め立てしていたりして、中国の力が非常に強くなっている
素人からすると、すでにアメリカも超えているのではないかという印象もあるのだが、全然そうではないと
アメリカは批判意見もなくはないが、やはり色々な国と一定程度の信頼関係を築いている
それによって各国の港を使える事でアメリカは世界のどこにでも軍艦を派遣可能であると
しかし中国は違って各国の港を自由に使う事ができない
確かに中国の軍艦が日本に入ったというようなニュースは聞いた事が無い
また、ロシアと中国の違いについても興味深い
ロシアは戦略以外すべてダメ
中国は多くの事が上手く言っているが戦略だけがダメ
なるほど
そこまで戦略というものは大事なのだろう
単純な中国たたきの本ではなく、色々と考えながら読めた
Posted by ブクログ
中国1・0
2000年頃の中国は改革開放を継承した江沢民が経済を優先し、実質的な資本主義経済へと舵を切った。反日教育のイメージが強いが、WTOに加盟し、国際法も順守する。中国は台湾を含めた周辺国に対し平和裡に台頭するという戦略を実行した。
中国2・0
リーマンショックにより中国は経済力で世界一になるのに後10年でできると思い込んだ。第一の錯誤は「金は力なり」つまり経済力が国力そのものだと思い込んだのだ。中国国内では今でもこういうところがあるので無理はないのかもしれないが経済力に国力が追いつくには50年以上かかるのかもしれない。例えば空母だけをとっても中国がアメリカに追いつくには20年以上かかる。
第二の錯誤は「リニアな予測」China up,US downを信じ、ゴールドマンサックスのBRICsという投資のアイデアに世界中が踊らされたがこれを信じたウブな中国は「これからはわれわれが物事を決定する立場に移るべきだ」と考えた。その例が元は蒋介石の国民党が絵を描いた荒唐無稽な九段線だ。
そして第三の錯誤が「二国間関係」で物事を決められると考えたことだ。領土問題では中国はいつも二国間での解決を主張する。しかし小国が中国と揉めれば周りの国は次は我が身と小国に味方する。
胡錦濤は国内の「あまりに抑制的で中国の力を十分に発揮していない」という批判を受け対外的に強硬な姿勢を示すようになった。ルトワック曰く「ロシアは戦略を除いてすべてダメだが、中国は戦略以外はすべてうまい」日本に対しても巨大市場の中国を重視する企業が政府に圧力をかけ、腐敗した政治家はビジネスマンの言うことを聞くと言う幻想を抱いた。
中国3・0
2014年秋、反中同盟に気づいた中国は方針を変更した。それが「選択的攻撃」で抵抗のない相手は攻撃し、抵抗されれば止める。尖閣問題でも領海内への侵入は抑制されている。ロシアが国際社会の反対を無視してクリミア半島を実効支配したのに比べれば、中国が尖閣を自国領にするための実力行使はない。主張していれば国内では問題にならないからだ。アメリカの航行の自由作戦を中国は邪魔しない。航空識別圈を定めたが実際には守ろうとしない。
権力を集中させる習近平は反腐敗運動で10万人の党幹部を捜査し、人民解放軍トップ二人を逮捕した。徐才厚についてはガンで死期が近い入院中に逮捕しており極めて強硬な姿勢だ。天津爆発事故では習近平暗殺説が流れたが、これは一般市民も習近平がリスクを背負っていることを知っているということだ。結局中国は米国との「新型大国関係」G2を目指したが果たせなかった。中国3・0は今も続いている。
中国の第一の敵はアメリカ、アメリカが中国を敵視していると言うことではない。中国からすればアメリカは民主的にドナルド・トランプを大統領に選ぶ不思議の国だ。これは中国では起こりえない。薄熙来がいかに人気取りを実行しようとも大統領にはなれないのだが、アメリカはそれを許す国でそのこと自体が中国に影響を与える。
第二の敵は習近平その人だ。共産党を腐敗から救おうとする習だが反腐敗運動は共産党のパワーの元であるカネの流れを止め、求心力を失わせる。ゴルバチョフ同様に共産党を改革しようとした結果が共産党の解体に繋がりかねない。毛沢東時代の求心力はイデオロギーだったがもうそこには戻れない。カネという求心力を失えばこの本を読む限りでは大国意識しか残らないのだろう。
中国4・0
戦略がうまくない中国にルトワックが勧めるのは2つ、九段線を引っ込めること、空母の建造を止めることだがこれは受け入れられないだろうとルトワックも中国国内では政治的に受け入れられないだろうと考えている。だが、荒唐無稽な九段線も寄港地を持てない無駄遣いに終わる空母も、小国を反中国で団結させアメリカに近づけるだけなのだ。パキスタンやスリランカに寄港地を持ったところで南シナ海からインド洋をすべて敵に回しては実際には使えない。
では日本はどうすべきか、「封じ込め」と書いてるが要はリアクションだ。そのためには尖閣を守れるようにハードとソフト(法整備)を備え、外交的にも連携する。トランプの対中関税障壁のように中国がアクションを起こしたら、欧米やアジア各国が一致してグローバルな貿易取引禁止状態を作るように準備しておく。最大限の確実性と最小限の暴力を多元的に発揮できるように準備しておくべきだと言う。
結局中国の問題は過去100年の恥辱を乗り越えるためには大国として特にアメリカに認めさせないといけないという感情と、一旦言ったことは取り下げられないという面子、そして自国を基準にする限り外国を理解できないということになるのか。難儀なことだ。
Posted by ブクログ
ワシントンの大手シンクタンク・戦略国際問題研究所のエドワード・ルトワックによる作。中国の国際戦略が、フェーズを4つに分けることによって明快に解説されている。フェーズは以下の通り。
毛沢東らによる恐怖政治(チャイナ0)
江沢民による平和的な軍事・経済成長(チャイナ1.0)
1970年代後半から進む。中国をロシアに対抗する存在としたい米国の思惑もあって、大国が台頭すると発動する「バランシング」が働くことなく極めて平和裏に成し遂げられた。
胡錦濤の周辺による体外強硬路線(チャイナ2.0)
2009年頃から進む。「2国間関係」についての錯誤(米国と2国間関係を構築しようとするも、大国同士の2国間関係はあり得ない。2国間には付随するさまざまな同盟や問題があるから)、線的(リニア)な予測の錯誤(経済成長が永遠に右肩上がりだと思い込んだ)といった誤りから、周辺国に圧力をかけるも、「逆説的論理(パラドキシカル・ロジック)」よって、逆に包囲網が形成される。つまり、大国は小国に勝てない。
習近平による選択的攻撃(チャイナ3.0)
ベトナムやインドへの軟化など、周辺国によって対外戦略を硬軟織り交ぜ、同時に「G2構想」を進めようとする方針。しかし、前述の理屈からこの構想は破綻。
ルトワックは、チャイナ4.0においては、これまで広げた無根拠な領海の風呂敷(九段線)を撤回することを勧めるが、習近平は思いつくことすらないだろうと予想。国内の腐敗や民主化を望む声、軍の反発など問題山積と見る。日本は多元的な能力を備えて、4.0に臨まなければならない、というのがまとめ。
フェーズごとに解説されているので、とても分かりやすかった。特に印象に残ったのは「逆説的論理(パラドキシカル・ロジック)」。ルトワックの研究はこちらの戦略が状況に及ぼす影響をも考慮に入れた戦略論らしい(訳者・奥山真司談)。
中国はまだまだリスクを孕んだ大国だと感じた。良著!
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